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流星、夜を切り裂いて ~ 第25話 ~

〈vs スレイ〉

[アイビス 1回目]

アイビス「く……速い……!」
スレイ「機体の条件は同じ…… 要は腕の差だ!」

[アイビス 2回目]

スレイ「どうだ、アイビス!  実力の差を思い知ったか!」
アイビス「だからって、 あきらめてなんていられない!」
アイビス「星の海を往くためには フィリオとチーフ、あたしとあんた、 全員の力が必要なんだ!」

[撃墜]

スレイ「く……!」
アイビス「やった……やったよ!」
スレイ「アイビス!  勝負はまだついていない!」
(スレイに『ど根性』)
アイビス「スレイ!」
スレイ「負けるわけにはいかない!  ナンバー01はこの私だっ!!」
(スレイ機がアイビス機に隣接)
【強制戦闘】
スレイ[ソニック・カッター]vsアイビス[防御]
アイビス「ああっ!!」
(アイビス機が爆発)
スレイ「フン…脱出はしたようだな」
(レイディバードが出現)
ツグミ「ああっ……!」
クスハ「ア、アイビスさんが……!」
スレイ「心配するな。 アイビスは脱出している」
ツグミ「スレイ……あなた……」
スレイ「結果は見ての通りだ、 タカクラチーフ」
スレイ「これでαプロトには 誰が相応しいかはっきりしたな」
ツグミ「………」
アイビス「よかった……スレイ……。 TDに戻って……くれるんだね……」
クスハ「ア、アイビスさん!」
アイビス「撃墜……されるのは 慣れてる……からね……」
アイビス「打撲……ぐらいは したけど……大丈夫……だよ……」
スレイ「………」
アイビス「スレイ…… これで……気が済んだでしょ……」
アイビス「一緒に……帰ろうよ……。 あたし達はさ……プロジェクトTDの 仲間なんだから……」
スレイ「………」
アイビス「やっぱり……あたし…… あんたにかわなかったけど…… いつか……絶対に……」
アイビス「星の海を…… 飛んで見せる……よ……。 あんたと一緒に……」
アイビス「だから……帰ろうよ……」
スレイ「アイビス……」
レーツェル「スレイ…… 君の方こそ、これで判っただろう」
レーツェル「何故、フィリオが 君ではなくアイビスを選んだかを」
スレイ「……!」
レーツェル「ナンバー01で あることのみに固執する君と さらなるゴールを目指す彼女……」
レーツェル「どちらが星の海を往くに 相応しい者かは一目瞭然だ」
スレイ「黙れ!」
アイビス「スレイ……」
スレイ「どうやら、あくまでも 私の存在を認めない気だな……」
スレイ「ならば、私は別のやり方で 私の力を証明するまでだ……!」
アイビス「待って、スレイ!」
スレイ「アイビス!  今日からお前は私の敵だ!」
スレイ「次に会った時には 生命を懸けての勝負だ!  それまでに腕を上げておけ!!」
(スレイ機が北へ移動)
アイビス「スレイ!」
スレイ「………」
(スレイ機が撤退)
アイビス「スレイーッ!!」
クスハ「スレイさん……」
レーツェル「……行ってしまったか」
ツグミ「………」
連邦兵「どうします、タカクラチーフ?  01を追いますか?」
ツグミ「………」
連邦兵「タカクラチーフ?」
ツグミ「あ……ごめんなさい。 その……」
レーツェル「……カリオンの あの速度には追いつけん。 アイビスを回収しよう」
連邦兵「了解です」
(レイディバードがアイビスのいる位置まで移動し回収のため一度着陸、離陸後アラート)
ツグミ「な、何なの!?」
連邦兵「こちらへ 接近してくる機体を感知しました おそらく、インスペクターです!」
ツグミ「!」
(インスペクターが出現)
ツグミ「囲まれた!?」
レーツェル「出撃するぞ、クスハ」
クスハ「は、はいっ!」
レーツェル「タカクラチーフ、 我々が突破口を開くまで 何とかもたせてくれ」
ツグミ「わ、わかりました……!」
(ヒュッケバインMk-IIIトロンベとグルンガスト弐式が出撃)
レーツェル「クスハ、前回の例もある。 油断をするな」
クスハ「本命が来るかも 知れないってことですね……!?」
レーツェル「そうだ。行くぞ!」
(作戦目的表示)

〈敵機12機以下〉

(アラート)
レーツェル「!」
連邦兵「こちらへ高スピードで 接近する機体あり!!」
ツグミ「な……何、これ?  こんな速度を出せる機体が あるなんて……!」
レーツェル「インスペクターか?」
クスハ「違います、あれは……」
(サイバスターが出現)
レーツェル「サイバスター……!」
ツグミ「あれが……魔装機神!?」
クスハ「マサキ君!」
マサキ「よう、久しぶりだな!」
シロ「クスハ、元気だったニャ?」
クスハ「シロちゃん……!」
クロ「マサキ、シロ、ノンキに 挨拶してる場合じゃニャいって」
マサキ「おっと、そうだった」
マサキ「取り込み中だろ?  手助けするぜ」
クスハ「で、でも……」
マサキ「異星人の話は知ってる。 それに、そのつもりで こっちへ来たからな」
クスハ「……ありがとう、マサキ君」
マサキ「なあに、いいってことよ」
シロ「マサキ、 敵がこっちに向かってくるニャ!」
マサキ「わかってる!  行くぜ、シロ! クロ!」
クロ「OKニャ!」

〈敵機全滅〉

シロ「マサキ、 こっちに何かが向かってくるニャ!」
マサキ「敵か!?」
シロ「デ、データにはニャい奴だニャ!」
マサキ「何っ……!?」
シロ「は、速い!  おいら達の所へ来るニャ!!」
マサキ「!!」
(シルベルヴィントが出現後、サイバスターと交差し、サイバスターに爆煙)
マサキ「くうっ!!」
クスハ「マ、マサキ君!!」
マサキ「チッ、かすめられたか!」
ツグミ「あ、あの機体も…… 何てスピードなの……!?」
アギーハ「ふふふ、こんな所で 風の魔装機神に出くわすなんて……」
アギーハ「残り物には福があるって本当だね。 ヴィガジに感謝しなきゃ」
マサキ「てめえ、何者だ!?」
アギーハ「あたいはアギーハ。 インスペクターさ」
マサキ「!!」
アギーハ「あ、そうそう。 付け加えとくと、裏のリーダーね♥」
シロ「裏? 表は誰ニャ?」
クロ「シロ、突っ込むトコは そこじゃニャいでしょ」
アギーハ「ねえ、あんた達…… シュウ・シラカワを 捜してるんでしょ?」
マサキ「! 奴を知ってんのか!?」
アギーハ「ま、話だけはね。 前に色々とやってくれちゃったからさ」
アギーハ「もっとも、 あの事件はあたい達にとっちゃ 都合が良かったんだけど」
マサキ「何……!?」
レーツェル(事件……?  もしや、南極事件のことか?)
シロ「ど……どういうことニャんだ、 マサキ!?」
マサキ「そいつは こっちが聞きてえぐらいだぜ……!」
アギーハ「さ、細かい話は抜きにして…… あんた、シュウ・シラカワの居場所を 知らないかい?」
マサキ「それも こっちが聞きてえぐらいだ!!」
アギーハ「あっそ。やっぱりね」
シロ「異星人が シュウに何の用ニャ!?」
アギーハ「あらあら、ネコちゃん…… 細かい話は抜きって言ったでしょ」
シロ「ニャ……!!」
マサキ「こうなったら、力ずくでも わけを聞き出してやるぜ!」
アギーハ「ふふふ…… レディの扱いが下手ね、ボク」
アギーハ「そんなんじゃ、 あたいのダーリンみたいな シブい男になれないわよ♥」
マサキ「こ、この!  ふざけやがって!!」
クロ「ニャ、ニャんか調子狂うわね。 ホントに異星人ニャの?」
マサキ「どのみち、 あいつを何とかしなきゃここを 突破できねえんだ! 行くぞ!!」
アギーハ「ふふふ、そうはいかないよ」
(南側にガロイガが多数出現)
クスハ「ああっ!」
マサキ「まだいやがったのか!」
アギーハ「ま、こっちも仕事だからね。 持って帰るものは持って帰らないと」
アギーハ「でも、 その前にあんたと遊んであげるよ」
マサキ「何っ!?」
アギーハ「シルベルヴィントと サイバスター……どっちのスピードが 上か、ハッキリさせときたいからね」
マサキ「……!」
(レイディバードを指す)

[輸送機・機内]

ツグミ「アイビス、どこへ行くの!?」
アイビス「この輸送機に動かせる機体が あるなら……それで出撃する……!」
ツグミ「無茶を言わないで!  死にに行くようなものよ!!」
アイビス「ここにいたって、結果は同じだよ!」
アイビス「だったら、 あたしは自分自身の力を出し切りたい!」
アイビス「星の海を往く……!  そのためだったら何も怖くない!」
ツグミ(ナンバー01であることに 固執したスレイ……)
ツグミ(そして、宇宙を翔ぶことに 全てを懸けるアイビス……)
ツグミ(フィリオ……あなたは……)
アイビス「お願い、タカクラチーフ!  あたしを出撃させて!」
ツグミ「……アイビス、これを見て……」
(ハッチ開閉)
アイビス「これはガーリオン……!?  いや、違う……」
アイビス「まさか、αプロト……!」
ツグミ「そうよ。 その名は『アステリオン』。 あなたにこの機体を託すわ」
アイビス「タカクラチーフ……」
ツグミ「私には、これが正しい選択かは わからない……だけど……」
アイビス「ありがとう、チーフ!  あたし、絶対にやるよ!」
ツグミ「え……!」
アイビス「この機体は TDのみんなの夢の結晶なんだ……。 だから、やるんだ……!」
ツグミ「アイビス……」
アイビス「絶対にやってみせるよ!」

〔戦域:荒地〕

アギーハ「さあ行くよ、坊や!」
マサキ「!」
クスハ「マサキ君!」
マサキ「来るな!  あいつは俺に任せて、 お前らは輸送機を守れ!」
アギーハ「ほらほら!  よそ見してんじゃないよ!!」
【強制戦闘】
アギーハ[高周波ソード]vsマサキ[ディスカッター]
(アギーハの攻撃は避ける、マサキの攻撃は当たる)
マサキ「どうだ!!」
アギーハ「アハハハ……ハハハハ!」
マサキ「!?」
アギーハ「さすがだよ、坊や。 風の魔装機神ってのは、 伊達じゃないみたいだねえ」
アギーハ「どうやら、あたいは あんたを甘く見てたようだ…… 次は本気で行くよ!」
マサキ「お決まりの台詞を 言いやがって!」
アギーハ「だったら、かわしてみな!  さっきみたいにさ!」
(アギーハに『加速』、シルベルヴィントがサイバスターに隣接し、サイバスターに爆煙)
マサキ「何っ!?」
アギーハ「まだまだ!!」
(シルベルヴィントがサイバスターの回りを周りながら、サイバスターに爆煙)
クスハ「マ、マサキ君!!」
マサキ「チッ、やるじゃねえか!!」
アギーハ「ほらほら、坊や。 どうしたのさ?」
マサキ「調子に乗るな!  勝負はまだこれからだぜ!!」
シロ「マ、マサキ!  さっきの攻撃で左のウィングが やられたニャ!」
マサキ「何!?」
シロ「これじゃ、 バランスが上手く取れニャいし、 スピードも出ニャいよ!」
アギーハ「心配はいらないよ、 もう片方も壊してやるからさ!」
マサキ「くっ、この……!」
クスハ「た、助けに行かなきゃ!!」
レーツェル「弐式では あの2体の速度に追いつけん!  私に任せたまえ!」
アギーハ「あんたは お呼びじゃないんだよ!」
レーツェル「!」
(ミサイル飛来、ヒュッケバインMk-IIIトロンベのいた所に爆煙、ヒュッケバインMk-IIIトロンベは避ける)
アギーハ「ハッ、いい腕じゃないか!  けど、出鼻はくじいたよ!」
レーツェル「うぬっ……!」
アギーハ「さあ坊や、観念しな!」
マサキ「ふざけんな、誰が!」
レーツェル「いかん、あのままでは!」
(通信)
レーツェル「何だ? 輸送機から?」
ツグミ「レーツェルさん、指揮官機を 何とかひるませて下さい!」
レーツェル「何をするつもりだ!?」
ツグミ「説明している暇は ありません! お願いします!」
レーツェル「……承知した!」
レーツェル「ターゲット・インサイト!  撃て、トロンベよ!」
(ミサイル飛来、シルベルヴィントに爆煙)
アギーハ「!?  あんたの相手は後でしてやるよ!!」
レーツェル「……それまで お前が無事ならな」
アギーハ「何!?」
ツグミ「システム・オールグリーン!  テスラ・ドライブ、ETOL!!」
ツグミ「速度、高度このまま!  ハッチ開放!」
(ハッチ開放、アステリオンが出撃)
マサキ「何だ!?」
クスハ「ガーリオン……!?」
レーツェル「いや、違う」
クスハ「え!?」
レーツェル「……星への翼、はばたくか」
アギーハ「ハハッ、 まだ新型を隠してたとはね!」
アギーハ「けど、 あたいのシルベルヴィントには 追いつけやしないよ!」
ツグミ「相対速度・距離算出!  データ、アステリオンにロード!」
(データ送信)
ツグミ「今よ、アイビス!」
アイビス「やってみせる!」
【強制戦闘】
アイビス[ソニックブレイカー]vsアギーハ[防御]
アイビス「やった!?」
アギーハ「このシルベルヴィントを 捉えるとはね……!」
アギーハ「だけど、浅いんだよ!!」
ツグミ「アイビス、 相手はバランスを崩したわ!」
ツグミ「すぐにスプリットS!  続いて、マニューバーRaMVs!」
アイビス「く……ううっ!!」
ツグミ「!?  機体を制御しきれていない!?」
アイビス「な、何とか…… やってみせるよ……!」
マサキ「チャンスだ!  先に仕掛けるぜ!!」
アイビス「え!? 先!?」
マサキ「行くぞ、アギーハ!!」
アギーハ「!!」
(サイバスターがシルベルヴィントに隣接)
【強制戦闘】
マサキ[アカシックバスター]vsアギーハ[防御]
マサキ『こいつは、さっきのお返しだ!』
マサキ『くらいやがれ、アギーハ!』
アギーハ『こいつ、シルベルヴィントに』
アギーハ「チッ、バランサーが!!」
アイビス「す、凄い……!  あの速度……!」
マサキ「何をぐずぐずしてやがる!  次はおまえの番だ!」
アイビス「え!?」
ツグミ「そうよ、アイビス!  ターン後、マニューバーRaMVsを!」
アイビス「わ、わかった!」
【強制戦闘】
アイビス[マニューバーRaMVs]vsアギーハ[防御]
アギーハ「くっ! 推進系まで!!」
マサキ「これでおあいこだぜ、 アギーハ!」
アギーハ(チッ……!  今の状態じゃ、あの2機には ちょいと手こずりそうだね……!)
アギーハ(下手をすりゃ、 後の任務に支障が出ちまう)
アギーハ(それに、奴らを逃がしたのは ヴィガジのミスだ。これ以上、奴の 尻ぬぐいをする義理はないね……!)
マサキ「オラ、どうした!?」
アギーハ「サイバスター、それに新型!  この勝負、ひとまず預けるよ!」
(インスペクターが撤退)
アイビス「やった……やったよ……!」
ツグミ「アイビス……!」
マサキ「ヘッ……即席にしちゃあ、 悪くねえ連携だったな」
アイビス「……!」
マサキ「……俺の名前はマサキ。 マサキ・アンドーだ。あんたは?」
アイビス「アイビス・ダグラス……」
マサキ「あんたが奴の隙を突いてくれて 助かった。礼を言うぜ」
アイビス「こ……こっちこそ……」
クスハ「マサキ君……アイビスさん……」
マサキ「とりあえず、これで一段落か」
レーツェル「マサキ、 我々はここを離脱し、ヒリュウ改と 合流するが……君はどうする?」
マサキ「状況が状況だからな。 俺も一緒に行くぜ」
レーツェル「そうしてもらえると、 こちらも助かる」
アイビス「……」
(通信)
フィリオ「アイビス……」
アイビス「通信……!?  いや、違う……レコーダーに残された メッセージ……?」
フィリオ「君がこのメッセージを 聞いているということは、 一つの壁を超えたのだと思う」
フィリオ「おめでとう、アイビス」
アイビス「フィリオ……」
フィリオ「アイビス…… 君は『流星』というあだ名を 嫌がっているようだけど……」
フィリオ「流星は 闇に落ちていくんじゃない……」
フィリオ「流星は 夜を切り裂いて飛んでいるんだ」
アイビス「流星は夜を切り裂く……」
フィリオ「アイビス…… 僕は、君が流星になる日を 信じているよ」
(通信切れる)
アイビス「フィリオ……」
レーツェル「……行くぞ、アイビス」
アイビス「は、はい」

[輸送機・機内]

クスハ「じゃあ、マサキ君は シラカワ博士の手掛かりを得るためにテスラ研へ?」
マサキ「ああ。 もしかしたら、あいつがあそこへ 現れるんじゃないかと思ってな」
シロ「でも、ここへ来るまでに メチャクチャ時間がかかったニャ」
クロ「うん……地球を3周ぐらいしたニャ」
クスハ「え、ええっ!?」
ツグミ「す、すごい航続距離と 連続稼動可能時間なのね……」
マサキ「……あんた、 クロとシロを見ても驚かねえんだな」
ツグミ「ええ、あなた達のお話はクスハや 所長達から聞いていました」
ツグミ「だから、とても光栄です……」
マサキ「いや~、 そこまで言われると照れちゃうぜ」
ツグミ「クロちゃん、シロちゃん、 あなた達みたいな可愛いネコちゃんの ナビゲーターに会うことが出来て」
ツグミ「今度、ゆっくりお話を聞かせてね」
クロ「わかったニャ」
マサキ「何だ、俺じゃねえのかよ」
クスハ「ツグミさんは アーマードモジュールのシステム 開発担当者なの。だから……」
マサキ「ふ~ん。 ……ところで、シュウの野郎は テスラ研に現れなかったのか?」
クスハ「ええ……」
マサキ「エルザ…… じゃなかった、レーツェルさんよ。 あんたはあいつの居場所を知ってるか?」
レーツェル「いや…… DC戦争後、彼とは会っていない」
マサキ「そうか……。 また振り出しに戻っちまったな」
クスハ「マサキ君……」
マサキ「ああ、気にしなくていいぜ。 これは俺の個人的な問題だからな」
マサキ「それに…… お前らと一緒に行動してれば、 奴が向こうから現れるかも知れねえ」
シロ「ヒリュウやハガネに乗ってた方が 情報も集めやすいニャ」
マサキ「ああ。 今はインスペクターとノイエDCを 何とかしなくちゃならねえ」
(通信)
アイビス「こちらコックピット。 ヒリュウ改を確認しました」
ツグミ「え? 本当?」
アイビス「はい、 向こうとの連絡も取れました。 今から着艦します」
クスハ「良かった……これで……」
レーツェル「……どうやら、 私の役目は終わったようだな」
クスハ「え……?」
レーツェル「私は所長からの依頼で、 参式の2号機をある男に届けねばならないのだ」
レーツェル「ここで失礼させていただく」
ツグミ「で、でも、あなた一人だけでは……」
レーツェル「心配することはない。 後のことは頼むぞ、タカクラチーフ」
ツグミ「はい」
クスハ「あの、レーツェルさん……」
レーツェル「何かね?」
クスハ「色々とありがとうございました。 どうかお気をつけて……」
レーツェル「ああ。 では、諸君……また会おう」

《スペリオル湖(ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

(扉が開閉する)
リューネ「マサキ! 元気だった?」
マサキ「リューネ……!  お前、この艦に乗ってたのかよ?」
リューネ「うん、まあ……色々あってね」
マサキ「ふ~ん」
リューネ「って、他に何か言うことないの?」
マサキ「他に言うことぉ?」
リューネ「ほら…… しばらく見ない内に綺麗になったな、とかさ」
マサキ「おう、そう言やしばらく見ない内に……」
リューネ「見ない内に?」
マサキ「太ったんじゃねえか?」
リューネ「なっ……!  あたしは毎日トレーニングしてるよ!  そんなことあるもんか!」
ショーン「やれやれ、 女性に対して一番言ってはならぬことを……。 修行が足りませんな」
レフィーナ「……何にせよ、 彼らと無事に合流できて幸いでした」
ショーン「ええ」
クスハ「レフィーナ艦長……ヒリュウは どこへ向かっているんですか?」
レフィーナ「南欧のアビアノ基地です。 そこにはハガネやシロガネもいますよ」
クスハ「じゃあ、 ブリット君やキョウスケ中尉達と会えるんですね?」
ショーン「そうです」
ツグミ「あ、あの……」
ショーン「あなたは……プロジェクトTDの ツグミ・タカクラチーフですな?」
ツグミ「は、はい。 あの……今後、テスラ研はどうなるのですか?」
ショーン「何とも言えませんな。 インスペクターの襲来によって、 北米方面軍はもとより……」
ショーン「統合参謀本部の方も かなり混乱しているようですので」
ツグミ「そう……ですか……」
レフィーナ「タカクラチーフ?」
マサキ「お、おい! 大丈夫かよ?」
ツグミ「ごめんなさい……。 少し疲れたようで目まいが……」
ショーン「無理もありません。 クスハ少尉、彼女を医務室へ」
クスハ「は、はい。 ツグミさん、こちらへ……」
ツグミ「ありがとう、クスハ……」

[ヒリュウ改 医務室]

クスハ「……落ち着きました? ツグミさん」
ツグミ「ええ……。 ありがとう、クスハ……」
ツグミ「……」
クスハ「ツグミさん… フィリオ少佐のことを考えておられるんですか……?」
ツグミ「……わかる……?」
クスハ「ええ……」
ツグミ「私ね……テスラ研を発つ時……」
ツグミ「フィリオから託されたTDに 全てを投げ打つ覚悟を決めたの……」
ツグミ「でもね……こうして フィリオと離れ離れになり、 スレイも去った今……」
ツグミ「これからどうすれば いいのか……わからなくなって……」
クスハ「……」
ツグミ「……」
クスハ「でも……ツグミさんには アイビスさんがいるじゃありませんか」
ツグミ「アイビスが……?」
クスハ「私には…… 宇宙飛行士に必要なものが何なのか よくわかりませんけど……」
クスハ「アイビスさんは いつか必ず宇宙を飛ぶと思います」
ツグミ「クスハ……」
クスハ「あの人なら、いつかきっと……。 そんな気がするんです」
クスハ「だから、頑張って下さい。 アイビスさんを信じて……」
ツグミ「……」
ツグミ「もしかすると私…… あまりに近くにいてアイビスのことが 見えてなかったのかも知れない……」
クスハ「じゃあ、あの人を……」
ツグミ「……まだ、わからない……。 わからないけど……」
ツグミ「あの人が……フィリオが信じたのだもの」
ツグミ「私もアイビスに懸けてみるわ……」
クスハ「ツグミさん……」
ツグミ(フィリオ……あなたと再び会える日まで アイビスは私が預かります……)
ツグミ(だから…… 絶対に……絶対に死なないでね……)

《パリ 連邦政府・大統領府》

[連邦政府・大統領府 議事室]

ニブハル「現在、ラングレーを始めとする 北米方面軍基地の約9割が インスペクターに制圧されております」
ニブハル「なお、残存部隊は 南米及び大西洋方面へ撤退中です」
ブライアン「インスペクターの様子は?」
ニブハル「各基地を中心とした地区を 封鎖していますが、他方面へ侵攻する 素振りは見せていません」
ニブハル「ただし、勢力圏内へ近づく者、 圏外へ脱出しようとする者に 対しては攻撃を仕掛けています」
ブライアン「都市部の状態は?」
ニブハル「大規模な攻撃を 受けた地区はほとんどありませんが、 各ネットワークが寸断され……」
ニブハル「日を追うごとに 混乱が激化しているようです」
ブライアン「……もう猶予はないね。 彼らと連絡は取れそうかい?」
ニブハル「様々な方法で コンタクトを試みておりますが、返答はありません」
ブライアン「ふうん……以前とは違うみたいだね」
ニブハル「……」
ブライアン「だけど、諦めるわけにはいかない。 何とかして突破口を見つけてくれたまえ」
ニブハル「承知致しました。 それで、次のご報告ですが……」
ニブハル「連邦軍統合参謀本部から インスペクターへの反攻作戦案が 提出されております」
ブライアン「ほう……作戦名は?」
ニブハル「『オペレーション・プランタジネット』です」

《地球連邦軍極東方面軍伊豆基地》

[伊豆基地 司令室]

レイカー「……先程、ヒリュウ改から報告があり、 SRX計画の機体の引きあげに成功したそうだ」
レイカー「しかし、もはや状況は予断を許さない。 今後の戦いはL5戦役以上のものとなるだろう……」
ケンゾウ「……」
レイカー「故に我々は一刻も早く 戦力を整えなければならん」
ケンゾウ「わかっております。 現在、我々はR-3とR-GUNの T-LINKシステムを改修中です」
レイカー「例の ツインコンタクトを行わせるためか。 では、R-GUNには彼女を?」
ケンゾウ「その予定です」
レイカー「そうか……。 その後の様子はどうなのだ?」
ケンゾウ「自我の状態は以前とほぼ同じ…… しかし、過去の記憶を失っています」
レイカー「……ホワイトスターにいた時のこともか?」
ケンゾウ「おそらく」
レイカー「……」
レイカー「彼女をR-GUNに 乗せて大丈夫なのだろうな?」
ケンゾウ「選択の余地はありません。 SRXがさらなる力を発揮するためには……」
ケンゾウ「アヤと彼女の T-LINKツインコンタクトが必要なのです」
レイカー「……」

[不明]

???(マイ)「……う、うう……!」
???(レビ)「……お前は……」
???(マイ)「うう……!」
???(レビ)「お前は…… そんな所で何をしている……?」
???(マイ)「……だ、誰……?」
???(レビ)「……私はお前……お前は私……」
???(マイ)「……し、知らない……私はお前など……!」
???(レビ)「……忘れているだけだ…… 私はお前……お前は私……」
???(マイ)「……知ら……ない……!」
???(レビ)「思い出せ…… 自分が何者なのかを……思い出せ……」
(念動感応)
???(マイ)「うっ! ああっ!!」
???(レビ)「思い出せ……自分が何者なのかを……」
???(レビ)「そして…… 我が下に帰れ……ジュデッカに……」
(念動感応)
???(マイ)「ああああっ!!」
???(レビ)「我は……ジュデッカ…… そして……お前は……」
???(マイ)「う、ううう……あああ……!」
(念動感応)
アヤ「マイ……! マイ!!」
???(マイ)「ア、アヤ!!」
???(レビ)「…………!」

[伊豆基地 医務室]

アヤ「マイ、しっかりして! マイ!」
マイ「アヤ………」
アヤ「ひどくうなされていたわ……。 大丈夫……?」
マイ「……夢を見た……」
アヤ「夢……? どんな?」
マイ「……よく覚えてない……」
アヤ「……」
マイ「でも、もう平気だ……。 アヤが呼んでくれたから……」
アヤ「マイ……」
マイ「アヤの声を聞くと…… アヤが傍にいてくれると……心が安らぐ……」
マイ「アヤが一緒なら……大丈夫……。 だから……」
アヤ「ええ……一緒にいるわ。 あなたは……私が守ってあげる」
アヤ「あなたは 私のたった一人の妹だもの……」

《地球連邦軍南欧方面軍 アビアノ基地(ハガネ)》

[ハガネ 艦長室]

テツヤ「……艦長、 テツヤ・オノデラ大尉であります」
ダイテツ「うむ、入れ」
(扉が開閉する)
テツヤ「報告します。 本艦のトロニウム・バスターキャノンモジュールが アビアノに到着しました」
ダイテツ「ようやく修理が終わったか」
テツヤ「ええ、 これでハガネは本来の姿に戻れます」
ダイテツ「その前に、 本艦の総チェックを行う。 艦首の交換作業はそれからだ」
テツヤ「はっ」
ダイテツ「ところで、ヒリュウ改は?」
テツヤ「1825……約1時間後に このアビアノ基地へ到着します」
ダイテツ「そうか…… 何とか無事にこちらまで来られたようだな」
テツヤ「はい。 昨日今日とノイエDCに動きが 見られなかったのが幸いでした」
テツヤ「やはり、彼らも インスペクターの次なる行動に 備えているのでしょうか?」
ダイテツ「バン・バ・チュンの言葉を 信じれば、ノイエDCの最終的な敵は 地球侵略を目論む異星人だ」
ダイテツ「ここで内乱を拡大するような 真似はせんと思うが、今の彼らには 不明瞭な点が多い」
テツヤ「例のゲシュペンストと…… アルブレードですね」
ダイテツ「うむ。もしかしたら、 ノイエDCにはもう一つの意思が 存在するのかも知れん……」

[アビアノ基地 格納庫]

エクセレン「なるへそ。 じゃ、マーサはクスハちゃん達とアメリカで 合流したってわけね」
マサキ「…マーサを定着させようとすんな」
リューネ「マオ社の新型機や プロジェクトTDの機体も 何とか持ってこられたし……」
リューネ「これで ようやく肩の荷が下りたよ」
エクセレン「プロジェクトTDって…… あのマリオンって機体の?」
リョウト「カリオンですよ、少尉。 ちなみに、ラドム博士やハミル博士、 リン社長もこちらへ来てます」
マサキ「……で、 そのカリオンは色々あって 持ってこられなかったんだが……」
マサキ「アステリオンは アイビスが頑張ったおかげで、無事だったんだ」
エクセレン「アステリオンねえ。 何が何でもリオンって付けようってのね。 んじゃ、そろそろレザ…とか、アク…とか」
キョウスケ「ところで、テスラ研からの 積み荷はもう二つあったようだが……あれは?」
マサキ「ああ、 ツグミがゴールドとかシルバーとか 言ってたけど……」
リョウト「まだ僕達も 見せてもらってないんです。 依頼主に会うまではって……」
キョウスケ「依頼主?」
リオ「何でも、リクセント公国の シャイン・ハウゼン王女だそうです」
エクセレン「わお、そうなの?  じゃ、ちょうどいいんじゃなぁい?  今、王女様はこの基地にいるわけだし」
マサキ「でも、あれ…… どんな機体なんだろうな?」
リューネ「さあ……」

[アビアノ基地]

ツグミ「……シャイン王女、 これがそちらからご依頼のあった 『フェアリオン』のデータです」
シャイン「ありがとうございます。 早速、拝見させていただきますわ」
(通信)
シャイン「!? こ、この形は……!」
ツグミ「あ、あの、それは…… カザハラ所長の独断で、 それらしい外見であるべきだと……」
ツグミ「しかも、フィリオ少佐まで 所長の意見に賛同してしまって……」
ツグミ「二人して テスラ・ドライブの改造どころか、 予定外のシステムまで……」
シャイン「……」
ツグミ「私、 格好は気に入ってるんですけど…どうでしょうか?」
シャイン「……」
ツグミ「やっぱり、やり過ぎ……」
シャイン「いえ、さすがカザハラ所長と フィリオ少佐でございますわ」
ツグミ「では……?」
シャイン「めっちゃイケて… いえ、大変気に入りました。 すぐに組立て作業を始めて下さいませ…!」
ツグミ「え……!?  ま、まさか、王女……」
シャイン「はい。 私には……やらねばならぬことがございますので」

[アビアノ基地 ブリーフィングルーム]

ブリット「そうか…… マオ社だけでなく、テスラ研も インスペクターに……」
クスハ「ごめんなさい……。 カザハラ所長やリシュウ先生を 一緒に連れてこられなくて……」
イルム「そう暗い顔すんなって。 あの親父のことだ、俺達が助けに 行くまで何とか保たせるよ」
クスハ「で、でも……」
イルム「異星人にテスラ研の 新型機を奪われるよりはマシさ」
リン「そうだ。所長の判断と お前達の行動は間違っていない」
リン「後はどうやって彼らを救い出すか、だ」
イルム「ああ。落ち込んでたって、 何の得にもなりはしないからな。 前向きに考えようぜ」
ブリット「リン社長やイルム中尉の言う通りだ。 所長や先生達を助け出す機会は必ず来る……」
ブリット「その時に全力を尽くそう」
クスハ「うん……」
イルム「それよか、ブリット。 久々にクスハに会ったんだ…… 詰めの甘さをリカバーしとけよ」
ブリット「え? リ、リカバーって……」
イルム「いつぞやエクセレンが言ってた話だよ」
ブリット「あ……!」
クスハ「何のことなの? ブリット君」
ブリット「い、いや、別に。 何でもないよ、ははははは」
クスハ「?」
イルム(やれやれ、そっちの方もちったあ前向きに 考えた方がいいんだけどな)

[ヒリュウ改 格納庫]

タスク「……こいつが リオンシリーズの最新型か」
レオナ「ええ。 確か……アステリオンという名よ」
タスク「アステリオン……」
タスク「じゃ、分身して音速の蹴りとか ブチかますのかな?」
アイビス「あの……あたしの機体に何か……?」
タスク「もしかして、 君がこいつのパイロット?」
アイビス「は、はい!  プロジェクトTD所属、 アイビス・ダグラス……」
アイビス「特殊プロジェクトの テストパイロットであるため、 階級はありません……!」
タスク「そんなに堅くなることねえって。 歳もそんなに違わなさそうだしさ」
タスク「俺、タスク・シングウジ。 いや~、新メンバーに君みたいな 可愛い子がいてラッキーだなぁ」
アイビス「え……その…… 可愛いって……あたし……え……」
タスク(っと、ヤベぇ。 レオナの前でついうっかり……)
レオナ「……タスク」
タスク(き、来たぁ~)
レオナ「少し彼女と話がしたいの。 二人だけにしてもらえないかしら」
タスク「? あ、ああ……」
(扉が開閉する・タスクが立ち去る)
アイビス「あの……あたしに何か?」
レオナ「あなた……プロジェクトTDの所属と おっしゃられましたね?」
アイビス「は、はい……」
レオナ「スレイ…… スレイ・プレスティは今どちらに?」
アイビス「スレイとお知り合いなんですか?」
レオナ「ええ…… 私はレオナ・ガーシュタイン。 以前はコロニー統合軍にいました」
レオナ「そして、DCの所属だった 彼女とは、模擬戦で何度か手合わせをしています」
アイビス「……」
レオナ「彼女の宙間戦闘技術は 群を抜いていましたから……」
レオナ「一時は トロイエ隊に転籍するという話もあったのですが…」
アイビス「トロイエ隊って…… あのエリート部隊の……」
レオナ「ええ。 でも、彼女はその話を断ったのです」
レオナ「自分はプロジェクトTDの テストパイロットであり、 そのナンバー01だと言って……」
アイビス(スレイ……)
レオナ「彼女は……スレイ・プレスティは 今、どこに?」
アイビス「スレイは…… あたし達の下を去りました……」
レオナ「え……?」
アイビス「詳しい事情は あたしにもわかりません……」
アイビス「ただ、スレイは 最後にあたしのことを敵だと……」
レオナ「そう……」
アイビス「レオナさん…… あなた、スレイのライバルだったのかも 知れないけど……」
アイビス「あたしにも スレイに負けられない理由がある……」
レオナ「……」
アイビス(そう…… あたしは強くなりたい……)
アイビス(星の海を往くための強さ……)
アイビス(フィリオ……あたし…… 夜を切り裂く流星になるよ……!)

『グルンガスト2号機』を入手した。


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