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第三の凶鳥 ~ 第23話 ~

《パリ 連邦政府・大統領府》

[連邦政府・大統領府]

グライエン「ホワイトスターが 異星人に占拠されただと?」
秘書「は、はい」
グライエン「馬鹿な……駐留艦隊は何をしていた?」
秘書「そ、それが…… 敵の戦力はこちらの予想を 遥かに上回っており……」
秘書「艦隊はヒリュウ改を除いて 全滅したようで……」
グライエン「直ちに連邦軍統合参謀本部へ連絡。 宇宙軍の総力を挙げ、異星人を撃退せよと伝えろ」
秘書「は、はい!」
(扉が開閉する・秘書が立ち去る)
ブライアン「……インスペクターか。 ついに正体を現したね」
ブライアン「だが、 これで彼らとの交渉の道が開けるかも知れない」
グライエン「何を悠長な。 異星人との話し合いなど、無駄だと言ったはずだ」
ブライアン「前例がないわけじゃない。 そうだろう、ムブハル補佐官?」
ニブハル「はて……。 私にはわかりかねますが」
ブライアン「……」
ブライアン「ともかく、 彼らとの接触を急いでくれ。 それと、バン・バ・チュンともね」
グライエン「ノイエDCと 停戦交渉を行うつもりか?」
ブライアン「ああ。 もう内輪で争っている場合じゃない」
ブライアン「バンには 振り上げた拳の降ろし所を見極めてもらおう」
グライエン「もっともな意見だ。 ならば、それは私が担当しよう」
ブライアン「ほう……伝手があるみたいだね。 蛇の道は蛇と言うことかい、グラスマン委員長?」
グライエン「私を シュトレーゼマンと同じにするな」
ブライアン「異星人に地球を売り渡すような真似は しないということか」
グライエン「そうだ。 地球圏存続のための手段は選ばん。 例えお前が反対しても、だ」
ブライアン「……」

[マオ・インダストリー]

看護士「……回復は順調ね。 これなら、明日にでも退院できるわ」
アラド「じゃあ、 メシも普通に食っていいッスか?」
看護士「ええ。でも、一人分にしてね」
アラド「も、もう一声! 三人分!」
(扉が開閉する)
ラーダ「あらあら、 今度はおなかを壊して入院するつもり?」
アラド「あ、ラーダさん」
ラーダ「検診は終わったみたいね。 じゃあ、こないだの続きをしましょう」
アラド「つ、続きって……ヨガ!?」
ラーダ「違うわ。ヒアリングよ」
アラド(ふう、助かった~)
ラーダ「じゃあ、 この間の話の続きを聞かせて」
アラド「え、ええ……」
ラーダスクールで あなた達の教育を担当していたのは誰?」
アラド「……メイガス・ケーナズっていう コンピューターです」
ラーダ「え……!?」
アラドアースクレイドルの中枢、 メイガス・ゲボの試作タイプです。 そいつが……おれ達の親の一人」
ラーダ「そ、そう……他には?」
アラド「アギラ・セトメっていうばあさんと…… クエルボ・セロ博士です」
ラーダ「!!」
アラド「ど、どうしたんスか?」
ラーダ「そ、そんな……!  クエルボ……あの人が?」
アラド「え?  ラーダさん、セロ博士を知ってるんですか!?」
ラーダ「……」
アラド「ラ、ラーダさん……?」
ラーダ「……そうよ……。 あなたの言った通り、私は彼を知っている……」
ラーダ「彼との出会いは…… 連邦軍の特殊施設の中だったわ」
アラド「……」
ラーダ「クエルボは マン・マシーン・インターフェイスの 研究を行っていて……」
ラーダ「私はその被験者だったの」
アラド「え……っ!?」
ラーダ「そして、軍内である特殊プロジェクトが 立ち上がった時……」
ラーダ「クエルボは私を被験者ではなく、 開発者として誘ってくれた。 その後、彼から色々なことを教わったわ」
アラド(も、もしかして…… ラーダさんとセロ博士って……?)
ラーダ「でも、 EOTI機関が設立された時……」
ラーダ「クエルボは自分の研究を よりよい環境で進めるために、 そちらへ行ってしまったの」
アラド「じゃ、じゃあ……」
ラーダ「ええ、彼とはそれきりよ」
アラド「……」
ラーダ「その後、戦争が始まって…… あの人がDCにいるのはわかっていたけど……」
ラーダ「まさか、 あなた達の教育を担当していたなんて……」
アラド「……」
ラーダ(クエルボ…… それがあなたの目指したものなの?)
ラーダ(人の…… それも、子供達の記憶を操作し、 戦わせる……それがあなたの……)
ラーダ(だったら、どうしてあの時…… 被験者だった私を拾ってくれたの……?)

[マオ・インダストリー 格納庫]

リオ「……く……ううっ!!」
マリオン「TPレベル、3まで低下」
リョウト「コネクター、 5番と8番に異常発生!」
マリオン「TPレベル、2まで低下。 いけませんわね、これでは……」
(念動感応)
リオ「あうっ!!」
リョウト「リ、リオ!」
マリオン「逆流現象ですわ。 ハミル博士、リンクの中止を」
カーク「ああ。サイコ・クラッチを切れ」
(システムダウン)
リオ「う、ううっ……」
カーク「リオ、テスト終了だ。 ヒュッケバインMk-IIIから降りろ」
(ハッチが開く)
リョウト「リ、リオ……大丈夫?」
リオ「ええ…… 逆流にちょっとビックリしただけ。 頭もそんなに痛まないわ」
リョウト「や、やっぱり、僕がテストを……」
リオ「なに言ってるの。 それじゃ、私の仕事がなくなっちゃうじゃない」
リョウト「でも……」
リオ「大丈夫、大丈夫。 あなたも開発に関わってる機体だもん、 信用してるわ」
リョウト「……」
リオ「リョウト君は 開発の仕事に専念したいんでしょ?  だから、テストパイロットは私に任せて」
リョウト「う、うん……」
マリオン「……ともかく、 T-LINKシステムが この有様では話になりませんわね」
カーク「だが、 問題は念動力のレベルではない」
マリオン「SRXの反省点を 生かしたとは言え……」
マリオン「T-LINKシステムを トロニウム・エンジンの出力調整にも 使うなど、無理があり過ぎです」
カーク「……」
マリオン「ガンナーだけをロールアウトさせても、 本体が使えなければ意味はありませんわよ?」
カーク「わかっている。 もう一度セッティングをやり直そう。 リョウト、手伝ってくれ」
リョウト「わかりました」
マリオン「……では、 私は自分の仕事に戻りますわ」
カーク「ビルガーの 新プランはまとまったのか?」
マリオン「ええ、装甲を増加する方向で。 今のままでは、アルトのコンセプトを 受け継いでいるとは言えませんもの」
カーク「わかった。 ただし、ビルトファルケンとの連係戦闘は……」
マリオン「もちろん、 パターンはそちらに対応させますわ」
マリオン「ただし…… 武装面は好きにさせてもらいますわよ」
カーク「いいだろう」
リオ「……じゃ、リョウト君。 私は社長の所へ行ってくるわ」
リョウト「うん……」

[マオ・インダストリー オフィス]

リン「ホワイトスターで 大規模な戦闘があっただと?」
ユアン「ええ……先程、爆発らしき光が いくつも確認されました。そして、 セレネ基地との通信も途絶えています」
リン「……!」
リオ「父様、もしかして……!?」
ユアン「ああ……例の連中かも知れない」
リン「……」
リン「常務、直ちに社員を率いて セレヴィスへ非難してくれ」
ユアン「しゃ、社長はどうされるので?」
リン「新型機や試作機を 輸送機に積み込み、ここから脱出する」
ユアン「わ、わかりました」
リオ「父様、みんなをお願いね……!」
ユアン「ああ、お前も気をつけてな。 リョウト君と一緒に社長の力になるんだぞ」
リオ「う、うん……!」


第23話
第三の凶鳥

〔戦域:月面マオ社周辺〕

リン「リオ、 セレネ基地からの応答はあったか?」
リオ「い、いえ……!」
リン「では、 機体の積み込み作業の方は?」
リオ「AMボクサー、ビルガー、 ブレード他各機、予備パーツ類は 解体して輸送機へ移送済みです」
リオ「残っているのは シュッツバルトの1号機、008L、 Mk-III、MAガンナーです」
リン「時間がない…… シュッツバルトは破棄。Mk-IIIを 積み込み次第、輸送機を発進させろ」
リオ「残りの2機は?」
リン「008Lには私が乗る。 AMガンナーはお前に任せるぞ」
リオ「は、はい!」
リン「さあ、作業を急げ!  彼らは必ずここへ現れるぞ!」
(シュッツバルトが出撃)
リン「シュッツバルト……?  ラーダか!?」
ラーダ「……」
リン「何故、そこにいる? 常務と 一緒に避難しろと言ったはずだ」
ラーダ「すみません、社長。 独断で機体を使わせていただきます。 始末書は後ほど」
リン「待て、その機体は……」
ラーダ「ここで破棄されるのでしょう?  でも、この機体にはまだ果たすべき 役目が残されていますわ」
リン「何……!?」
ラーダ「シュッツバルトの名の通り、 敵という風を防ぐ林に……そして、 輸送機を守る盾になります」
(敵機が出現)
リン「やはり、現れたか!」
ラーダ「社長、私が時間を稼ぎます。 早く輸送機の発進準備を!」
リン「たった一人で……!  死ぬ気か、ラーダ?」
ラーダ「ご心配なく。 そんなつもりはありませんわ」
ラーダ「それに、 社長もお気づきなのでしょう?  彼らがここへ現れた理由に……」
リン「……」
リン「……私達もすぐに出る。 それまで何とか保たせてくれ」
ラーダ「わかりました」
リン「行くぞ、リオ!」
リオ「はいっ!」
ラーダ(……ここで死ぬわけには いかない。あの人の……クエルボの 意思を確かめるためにも)
(作戦目的表示)

〈2PP〉

ラーダ(敵はマオ社に 攻撃を仕掛けようとしない……。 やはり、彼らの目的は……)
(量産型ヒュッケバインMk-IIが出撃)
ラーダ「量産型のMk-II……!  誰なの!?」
アラド「おれッス、ラーダさん」
ラーダ「アラド……!  あなた、どうして!?  それに、その機体は……?」
マリオン「私が 特別に用意しておいた物ですわ」
ラーダ「ラドム博士……!」
マリオン「アラド・バランガ、あなたに 合わせて武装を選んでおきました。 使いこなしてみせなさい」
アラド「アサルトマシンガンにナイフ、 ……確かにおれ向きだ」
アラド「でも、鉄球ってのは いくら何でも行き当たりばったり 過ぎないッスか?」
マリオン「失礼な。確かに急造品ですが、 3、4回ぐらいは使えましてよ。 それに……」
マリオン「ファルケンであんな戦い方を したあなたに、そのようなことを 言われる覚えはありませんわ」
アラド「そ……そうッスね」
ラーダ「でも、あなた……!」
アラド「大丈夫、 これでも一応スクール出身ッス」
アラド「それに、マオ社には 世話になっちまった恩があるし……」
アラド「色々と 守らなきゃならないものもあるんで」
ラーダ「……わかったわ。 あなたの力、借りるわね」
アラド「はいっ!」

〈敵機全滅〉

(鈍い感応)
ラーダ「!!」
ラーダ「アラド、敵の増援が来るわ!  気をつけて!」
アラド「え? ええっ!?」
(敵機が出現)
アラド「ホ、ホントに来た!!」
ラーダ「さすがに こちらの動きに気づいたようね。 でも……!」
(ヒュッケバイン008L、AMガンナー、輸送機が出撃)
リン「Su半径適正値、 ブラックホールエンジン出力安定。 ……起動!」
(起動)
アラド「が、元祖ヒュッケバイン!」
リン「リオ、AMガンナーはどうだ?」
リオ「G・インパクトキャノンは 一門しか使えませんが、いけます」
リン「リョウト、 社内にスタッフは残っていないな?」
リョウト「は、はい。僕達で最後です」
リン「ハミル博士、 ソースデータの処理は?」
カーク「全てラドム博士が 作成したダミーに差し替えた。 マスターはこちらにある」
マリオン「さらに、 ダミーには特製のウイルスを 仕込んでおきましたわ」
リン「フッ……いい置き土産になるな」
カーク「ああ。 これでしばらく工場のラインを 稼動させることが出来なくなる」
リン「では、これより私とリオで 正面の突破口を開く」
アラド「しょ、正面ッスか!?」
リン「そうだ。他の方面に行けば、 セレヴィスや月面施設を戦闘に 巻き込んでしまうからな」
アラド「そ、そうか……!」
リン「臆したか、アラド・バランガ?」
アラド「いえ!  正面突破、望む所ッス!!」
マリオン(ふふ、いい心がけですわね)
リン「よし……他の者は輸送機と共に このエリアから離脱しろ」
(南端を指す)
リン「いいな、何としても輸送機を 無事にあのラインへ到達させるんだ」
ラーダ「わかりました」
リオ「……リョウト君、 敵の相手は私達がするわ。 あなた輸送機をお願いね」
リョウト「う……うん。 くれぐれも気をつけて、リオ」
リオ「ええ、戦闘は任せておいて!」
リョウト「……」
リン(後は連邦軍……ヒリュウ改に 何とか接触できればいいのだが……)
(敵のヒュッケバインを指す)
リン(行くもヒュッケバイン、 阻むもヒュッケバインか。 ……つくづく因果な機体だな)
リン(だが、あれを操っている連中に 教えてやる……)
リン(凶鳥の力……その何たるかを!  我らのヒュッケバインは、 決して消えやしないことを!)
(作戦目的表示)

〈タウゼントフェスラーが南へ〉

(アラート)
リョウト「こ、これは!?」
リオ「どうしたの、リョウト君!?」
リョウト「き、機動兵器らしき 熱源反応がこっちに!!」
リオ「!!」
(グレイターキンが出現)
リョウト「う、うわああっ!!」
アラド「しまった、輸送機に!!」
メキボス「……やれやれ、 こっちの方はこのザマかよ」
メキボス「やっぱり、 人形共にゃキツかったか。 危うく取り逃がすところだったぜ」
リン「みんな、輸送機を守れ!!」
メキボス「ん? あの機体は……」
(ヒュッケバイン008Lを指す)
メキボス「なるほど、あれが元祖か。 話には聞いていたが、上手く あのサイズにまとめたもんだ」
メキボス「未開地の野蛮人とは言え、 そういう所はさすがだな」
リオ「リョウト君! 早く逃げてっ!!」
リョウト「!!」
メキボス「おっと、そうはいかねえぜ」
(タウゼントフェスラーに爆煙、タウゼントフェスラーが着地する)
リョウト「うあああっ!!」
リオ「リョ、リョウト君っ!!」
リョウト「う、ううっ……!」
リオ「リョウト君! ハミル博士!  ラドム博士っ!!」
(通信)
メキボス「……ま、そう騒ぐなって。 スラスターを狙っただけだ」
リオ「!?」
ラーダ「つ、通信……!?」
リン「お前は何者だ!?」
メキボス「俺の名はメキボス。 ゾ……じゃねえ、 『インスペクター』だ」
リン「インスペクター……!?」
メキボス「ああ、 『ゲスト』ってことでもいいぜ。 とりあえず」
リン「何だと!?  ならば、お前は……!?」
カーク「……異星人か」
メキボス「ああ、 お前達から見ればそうなるな」
リオ「い、異星人……!  もしかして、エアロゲイターとは 別の!?」
リン「ああ……」
メキボス「元祖ヒュッケバインの 開発に関わっただけあって、 心当たりがあるようだな?」
リン「……」
メキボス「色々と 大変だったそうじゃねえか、 そいつの片割れの起動実験は」
メキボス「ま、基地一つを 吹っ飛ばしただけで済んだのを 幸運に思うんだな」
カーク(やはり、あの事故は……?)
マリオン「……どういうことですの?  ハミル博士」
カーク「……」
メキボス「それじゃ、 その輸送機の中身をいただこうか」
リオ「!」
アラド「も、もしかして、 連邦軍の部隊をさらってたのは あんた達かよ!?」
メキボス「ああ、そうだ」
リオ「いったい何のために!?」
メキボス「まぁ、その内わかるさ」
メキボス「それより…… 素直にお前達の機体を渡せば、 特別に命は助けてやってもいいぜ?」
メキボス「こっちとしても、 優秀な兵器の開発者は 欲しいところなんでな」
リオ「え……!?」
リョウト「……!」
メキボス「どうだ、 そんなに悪い話じゃないだろう?」
リン「……断る。お前達に 私達の機体を渡すつもりはない」
メキボス「そうかよ。じゃあ、 力ずくで持ってくことにするぜ」
リン「みんな、奴に集中攻撃をかけ、 輸送機から引き離せ!」
リオ「は、はい!」
リン「リョウト!  ハミル博士とラドム博士を連れて 機から脱出しろ!」
リョウト「で、でも、 Mk-IIIやビルガーは!?」
リン「後で輸送機ごと回収する!  お前達はセレヴィスへ避難しろ!」
リョウト「そ、そんな……!」
リオ「早く行って、リョウト君!  Mk-IIIは必ず守ってみせるから!」
リョウト「リ、リオ……!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

メキボス「さあて、 ウォーミングアップは終わった。 そろそろ本気で行くとするか」
アラド「ゲ! マ、マジ?!」
メキボス「ま、そう心配するな。 しばらくは楽しませてもらうからよ」
リオ「くっ、ふざけたことを!」
ラーダ「社長……!」
リン「連邦軍はこちらの状況に 気づいているはずだ……」
リン「援軍が来る可能性は低いが、 今はそれに賭けるしかない……!」
リン「みんな、 敵機の駆動系を集中的に狙え!  奴の動きを止め、時間を稼ぐんだ!」
ラーダ「は、はい!」
リオ(リョウト君、何やってるの!?  早く輸送機から脱出して!)
マリオン「……二人共、 脱出の準備が整いましたわよ」
リョウト「……」
カーク「どうした?」
リョウト「僕は……残ります」
マリオン「あなた、正気ですか?  ここに残って何をするおつもり?」
リョウト「……Mk-IIIを起動させます」
マリオン「この緊急時に?  今のタイプLはT-LINKシステムが 安定しなければ……」
リョウト「システムを 一時的に切り離します。そうすれば、 援護ぐらいは出来るはずです」
マリオン「何を馬鹿なことを。 あなた、ここでMk-IIIを 失ってもいいとおっしゃるの?」
リョウト「しかし、みんなを 助けなければ、それより大切なものを 失ってしまいます!」
マリオン「……」
カーク「……」
カーク(出力の調整次第で機体は動く。 それに、リョウトも適格者の素質を 持っている……)
カーク(後はSRXの時と 同じケースが発生するかどうか……。 危険だが、賭けてみる価値はあるか)
リョウト「後は僕が何とかします。 お二人はセレヴィスへ行って下さい」
カーク「……今のタイプLで戦うのなら T-LINKシステムをサブに回し、 OSを切り換える方がいい」
マリオン「切り離しは無し……ということ ですわね。でも、その方法だと時間が かかってしまいますわよ」
カーク「私がサポートに入れば、 短縮できる」
リョウト「ハミル博士……!」
カーク「私としてもMk-IIIを 彼らに渡すわけにはいかんのでな。 ……マリー、お前は先に行け」
マリオン「言ったはずですわよ、 あなたにそう呼ばれる理由は もうないとね」
カーク「……そうだったな」
マリオン「でも、二人より三人。 私もお手伝い致しますわ」
リョウト「え……!?」
カーク「……いいのか?」
マリオン「あなたと同じで、ビルガーや アルト、ヴァイス用の予備パーツを 彼らに渡すつもりはありませんわ」
リョウト「ラドム博士……」
マリオン「さあ、あなたは 早くMk-IIIにお乗りなさい。 即席で仕上げますわよ」
リョウト「は、はいっ!」

〈vs メキボス〉

[リン]

リン「お前達の狙いは 新型機だけではあるまい……」
リン「私の会社の工場も 手に入れるつもりなのだろう?」
メキボス「そうさ。 お前達の機体をいただくだけじゃ、 なかなか数が揃わねえからな」
メキボス「今後は 工場で一気に大量生産ってわけだ」
リン「それがお前達のやり口か……!」
メキボス「他にもあるぜ。 種を蒔き、刈り取る……一部の連中は 気づいてたみたいだけどな」

[アラド]

メキボス「量産型のヒュッケバインは 間に合ってる。お前はここで死にな」
アラド「いや!  おれは間に合ってないしょ!?」

[ラーダ]

メキボス「旧式に用はねえ。 死んでもらうぜ」
ラーダ「そうはいかない……!  輸送機は守ってみせるわ!」

[リオ]

メキボス「命乞いをしても、 もう遅いぜ!」
リオ「誰がそんなことするもんですか!  あなたにMk-IIIは渡さないわよ!」

〈グレイターキンのHP80%以下 or グレイターキン出現から5 NEXT PP〉

メキボス「……そろそろ飽きてきたな。 終わりにするか」
アラド「ゲ! も、もうちょっと 楽しんでいかねえッスか!?」
メキボス「そう言って、 助けが来るのを待ってンだろ?  ……駄目だな」
アラド「や、やっぱり?」
カーク「……リョウト、 こちらの作業は終了した」
カーク「だが、システムから 多少の逆流が出ると思われる。 覚悟しておけ」
リョウト「わかっています」
カーク「……ラドム博士、 火器管制の方は?」
マリオン「終わりましたわ。 基本装備は使えるはずです」
カーク「よし。 ハッチを開けるぞ、リョウト」
リョウト「はい。 ヒュッケバインMk-III、 起動します!」
(起動)
リオ「! 輸送機のハッチが……!!」
(ヒュッケバインMk-IIIが出撃)
メキボス「ん? あれは……」
リョウトトロニウム・エンジン、 クォータードライブ…… 火器官制、オールグリーン」
ラーダ「マ、Mk-IIIが……!!」
リン「誰が乗っている!?」
リオ「も、もしかして、リョウト君!?  リョウト君なの!?」
リョウト「そうだよ、リオ」
リオ「ど、どうして!?  あなたはもう……!」
リョウト「……」
リョウト「……ターゲット、ロック。 マルチトレースミサイル、発射!」
(ヒュッケバインMk-IIIからグレイターキンにミサイル発射、グレイターキンに派手な爆煙)
メキボス「!? 味な真似を!」
リョウト「続けて行くよ!」
(ヒュッケバインMk-IIIがグレイターキンに隣接、念動感応)
リョウト「!!」
リョウト「くあっ!!」
リオ「リョウト君!?」
ラーダ「も、もしかして、 T-LINKシステムが!?」
リョウト「くっ! う、うう……!!」
リョウト「うあああああっ!!」
【強制戦闘】
リョウト[ファングスラッシャー]vsメキボス[防御]
メキボス「……どうやら、 最新型のヒュッケバインらしいな」
アラド「あ、あれ……戦闘とかは まだ無理だったんじゃ……?」
リオ「リョ、リョウト君!」
リョウト「う、うう……!  ね、念の逆流が……」
マリオン「ハミル博士……!  あれが多少の、ですの?」
カーク「……」
リオ「無茶よ、リョウト君!  逃げてっ!!」
リョウト「い、嫌だ……!」
リオ「!?」
リョウト「みんなを置いて、僕だけ 逃げるわけにはいかない。僕にだって 守らなきゃならないものがある……」
リョウト「それに、ここで 戦わなきゃ男じゃないよ……!」
リオ「リョ、リョウト君……!」
メキボス「フッ、 カッコをつけてくれるじゃねえか。 だがな!」
【強制戦闘】
メキボス[フォトンビーム砲]vsリョウト[防御]
(ヒュッケバインMk-IIIのHP40%)
リオ「リョウト君!!」
リョウト「う、ううっ……!  機体が……!!」
リョウト「機体が動かない……っ!」
メキボス「はて、そこまで 痛めつけた覚えはないんだが…… 操縦系のトラブルか?」
リョウト「く、くそっ!」
メキボス「ま、何にせよちょうどいい。 その機体をいただくぞ」
リン「させるか! リオ、援護しろ!」
リオ「は、はいっ!」
メキボス「おおっと、邪魔はさせねえぜ」
(ミサイル飛来、AMガンナーに爆煙)
リオ「きゃああっ」
リョウト「リ、リオッ!!」
メキボス「心配すンな。 あっちの機体も持ち帰るつもり だからな、壊しゃしねえよ」
メキボス「もっとも、 中身の方は保障できねえが」
リョウト「!!」
メキボス「さあ、 お前も下手な真似をするなよ。 自分の命が惜しかったらな」
リョウト「く……くそっ!  動け、動いてくれ、Mk-III!!  動いてくれっ!!」
メキボス「ま、気持ちは わからんでもないが、無理すンな」
メキボス「それに、 世の中そう都合よくはいかねえぜ?」
リョウト「頼む! 動いてくれ、 ヒュッケバインMk-III!!」
リョウト「リオやみんなを 助けなくちゃいけないんだ!」
リョウト「僕とお前はこんな所で 終わるわけにはいかないんだっ!!」
(少し長い感応)
リョウト「!!」
(コンピュータの起動、リョウトに『気合』)
メキボス「何!?」
アラド「マ、Mk-IIIが!!」
リン「動いた……!!」
マリオン「出力が上がっていく……!  これはいったい!?」
ラーダ「ま、まさか!?」
カーク(……起動したか、 あのシステムが)
リョウト「う……うああああっ!!」
メキボス「!!」
(ウラヌス・システムの起動)
【強制戦闘】
リョウト[グラビトン・ライフル]vsメキボス[防御]
リオ「リョウト君!!」
マリオン「システムが 切りかわっている……!?  これは……ウラヌス?」
マリオン「しかし、 あれはT-LINKシステムの 補助だったはずでは……!?」
カーク「……」
メキボス「チッ、 やってくれるじゃねえか!」
リョウト「まだ終わりじゃない!  この出力ならいけるっ!」
メキボス「何だと!?」
リョウト「リオッ!!」
リオ「!?」
リョウト「ガンナーとドッキングする!  コントロールをこっちに!!」
リオ「ま、まさか、 いきなりあれをやるの!?」
リョウト「ああ、そうだ!」
リオ「無茶よ!  まだ一度もテストを……!」
リョウト「いいから、 僕の言う通りにするんだ!  コントロールを渡せ!!」
リオ「リョ、リョウ……!?」
リオ「わ、わかったわ!  ガンナー、ドッキングモードに!!」
(ヒュッケバインMK-IIIとAMガンナーがドッキングしてヒュッケバインガンナーが出現)
メキボス「何をするつもりだ!?」
リオ「ドッキング、コネクト完了!」
リョウト「行くよ、リオ!!」
リオ「わかったわ、リョウト君!!」
【強制戦闘】
リョウト[フルインパクト・キャノン]vsメキボス[防御]
アラド「す、すげえ……!」
メキボス「くっ、 推進系がやられたか!」
リン「! 動きが止まった!?」
リン「ラーダ、アラド!  今の内に輸送機を!」
ラーダ「はい!」
(タウゼントフェスラーの周りにヒュッケバインガンナー以外の味方機が集まり、 タウゼントフェスラーを含めた味方機が全機撤退)
メキボス「……やれやれ、 してやられたぜ。ちょいと連中を 甘く見過ぎちまったようだ」
メキボス「こりゃ、 ムーンクレイドルを手に入れても、 大目玉を食らっちまうだろうな」

《L5宙域(移動中・輸送機)》

[輸送機・機内]

ラーダ「社長、月面からの離脱に成功しました」
リン「敵の追撃は?」
ラーダ「ありません。 セレヴィスも無事のようです」
リオ「ほ、本当ですか!?」
ラーダ「ええ……。 異星人の攻撃を受けていないわ」
マリオン「しかし、 マオ社は彼らに占拠されてしまいましたわね」
リン「ああ。 彼らの目的は我々の機体と我が社の工場を 手に入れることだった」
リン「おそらく、 今頃はムーンクレイドルも……」
アラド「インスペクターに 襲われてるって言うんですか!?」
リン「そうだ」
カーク「マオ社はまだしも、 あたらの方は手の打ちようがないな」
リン「ああ。彼らはクレイドルの プラントを使い、地球側の兵器を 量産するつもりだろう」
マリオン「武器を現地調達するなどと…… セコい異星人ですわね」
リョウト「……」
リオ「リョウト君、大丈夫……?」
リョウト「う、うん……」
マリオン「それにしても、 あの状態のMk-IIIがガンナーとの ドッキングどころか……」
マリオン「フルインパクト・キャノンまで 発射するなんて」
カーク「……」
マリオン「どうやら、 あのシステムは火事場の馬鹿力を 誘発するためのものらしいですわね」
リョウト「え……?」
カーク「……私はMk-IIIの再調整をしてくる」
(扉が開閉する・カークが立ち去る)
マリオン(……逃げましたわね)
リョウト(あのシステムって…… T-LINKシステムのことなのか?)
リオ「……リョウト君」
リョウト「何?」
リオ「助けてくれてありがとう、 あなたがMk-IIIで出なかったら、 今頃私達は……」
リョウト「そ、そんな……。 僕はただ無我夢中でやっただけさ。 それより…怒鳴ったりしてごめん」
リオ「ううん、気にしないで。 それに……あれはあなただからこそ 出来たのかも知れない」
リョウト「そんなことはないよ。 リオやみんながいてくれたからさ」
リオ(でも…リョウト君、カッコ良かった)
リョウト「リオ……僕はこれからもMk-IIIに乗るよ」
リオ「え? でも、あなたは……」
リョウト「もうそんなことを言ってられない……」
リョウト「異星人は マオ社やムーンクレイドルだけでなく、 地球やコロニーも狙うはずだ」
リョウト「だから、僕も戦う。 DC戦争L5戦役の時のように……」
リョウト「そして、 僕の大切なものを守るために」
リオ「リョウト君……」
リョウト「それに、Mk-IIIは 自分が開発に加わった機体だし…… 最後まで面倒を見たいんだ」
リオ「わかったわ……」
(通信)
ラーダ「! これは……」
リン「どうした?」
ラーダ「ヒリュウです!  ヒリュウから通信が入っています!」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

レフィーナ「皆さん、よくご無事で……」
リン「そちらも。 ホワイトスターで大規模な戦闘が あったようだが……」
リン「敵はインスペクターか?」
レフィーナ「ええ……」
ギリアム「駐留艦隊はほぼ壊滅……。 その後、セレネを初めとする 月面軍の基地が同時に攻撃された」
リョウト「やはり、空間転移による奇襲で……?」
ギリアム「ああ。 現在はムーンクレイドルを含め、 音信不通になっている」
リン「そうか……」
ラーダ「他の月面都市はどうなのでしょうか?」
ショーン「インスペクターの攻撃は 受けておらぬようですが……」
ショーン「彼らに制圧されたと見て 間違いないでしょうな」
リオ「じゃ、じゃあ、父様達は……!」
ショーン「おそらく、インスペクターの手中に……」
ラーダ「……」
リオ「……父様……みんな……」
ショーン「どうやらインスペクターは 兵士以外のものを極力現地調達する つもりのようですから……」
ショーン「生産力のある月面都市や そこに住む人間に対し、必要以上の 手出しはしないでしょう」
リオ「じゃあ……?」
ショーン「ご無事だと思われます。 後はどうやってあの方達を救出するか、 それを考えましょう」
リオ「は、はい……!」
リン「……レフィーナ艦長、 ヒリュウ改はこれからどうするのだ?」
レフィーナ「コロニーへ向かい、 L4宙域軍と合流する予定です」
リューネ「あそこはまだインスペクターの攻撃を 受けてないみたいだからね」
リューネ「あたし達も行って、 月やホワイトスターの奪還作戦に 参加するつもりだよ」
ギリアム「そのことなのだが……」
ギリアム「レフィーナ艦長、 ヒリュウ改は地球へ向かっていただきたいのです」
レフィーナ「え……?」
リューネ「まさか、このまま尻尾を巻いて 逃げろって言うの?」
ギリアム「いや、そうではない。 おそらく、インスペクターの次の目標は地球……」
ギリアム「そして、彼らは マオ社同様、テスラ・ライヒ研究所を 占拠しようとするはずだ」
リューネ「あそこで作ってる機体を 手に入れるために?」
ギリアム「ああ」
ショーン「ふむ……テスラ研の機体を インスペクターに奪われ、量産されでも したら厄介なことになりますな」
ギリアム「ええ。ケースEの発令で 警戒態勢が強化されているとは言え、 連邦軍の苦戦は必至……」
ギリアム「テスラ研の防衛に 手が回らぬ恐れがあります」
ショーン「故に、我々で開発中の機体を ピックアップしろと……」
ギリアム「ええ、後々のために」
ショーン「しかし、この位置からでは 到底間に合いませんぞ?」
ギリアム「実は、 テスラ研の機体引きあげに関しては 既に私の方で手を打ってあります」
ギリアム「しかし、最悪の事態に 備えるためにも、ヒリュウ改には 北米へ向かっていただきたいのです」
レフィーナ「……わかりました」
リン「では、我々もそれに同行しよう」
レフィーナ「しかし、あなたや博士達を 戦闘に巻き込むわけには……」
リン「まだ調整が必要な機体もある。 出来れば、艦内で作業を続けたい。 それに、いざという時は……」
ラーダ「ま、待って下さい。 社長の身に何かあったら大変です」
リョウト「そ、そうです。 マオ社の将来のためにも…… 戦闘は僕達に任せて下さい」
リン「……わかった」
ヴィレッタ「……ギリアム少佐、 あなたはどうするの?」
ギリアム「すまんが、別行動をとらせてもらう。 ゲシュペンストの再強化プランを実行するために。 ……そして、調べねばならないこともある」
ヴィレッタ「……」
レフィーナ「では、針路変更…… 本艦はこれより地球へ向かいます」

《ホワイトスター》

[ホワイトスター 内部]

ウェンドロ「ふうん…… マオ・インダストリーのラインは 使えないのかい?」
メキボス「ええ。 制御装置にウイルスが仕込まれていました。 復旧にはしばらくかかりそうです」
ウェンドロ「彼らの機体データは?」
メキボス「全てダミーでした」
ウェンドロ「彼らも なかなか味な真似をしてくれるね」
ウェンドロ「まあいい、 新型機は彼らの調整が済んでから 手に入れることにしよう」
ウェンドロ「それで、ムーンクレイドルの方は?」
メキボス「そちらは問題ありません。 すぐにでも生産に入れます」
ウェンドロ「では、 すぐに兵器の量産を開始してくれ」
メキボス「了解」
(通信)
ウェンドロ「さて…… これで足場は固まった。 作戦を次の段階へ進めようか」
ヴィガジ「各機の転送準備は 既に終了しております」
ウェンドロ「攻撃対象地区は北米。 まず、ラングレー基地を始めとする敵軍事施設……」
ウェンドロ「そして、 テスラ・ライヒ研究所を抑えるんだ」
ヴィガジ「はっ」
ウェンドロ「あと…… シュウ・シラカワとグランゾンの 行方も調べておいてくれ」
ヴィガジ「了解。直ちに出撃します」

『ブーストハンマー』を入手した。


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