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狡兎死して走狗煮らるるか?(後編) ~ 第5話 ~


第5話
狡兎死して
走狗煮らるるか?(後編)

〔戦域:試験場周辺〕

(南側にアルトアイゼン・ナハトとヴァイスリッターがいる)
エクセレン「……ブリット君、 大丈夫かしらん?」
キョウスケ「エジェクターの作動を 確認した。あの程度でどうにかなる ようでは困る」
キョウスケ「大口を叩いた以上、 意地は通してもらわんとな」
エクセレン「あらん、 ボスみたいなこと言うわねぇ」
キョウスケ「意地だけでは戦えんが、 それなしでは最後までいけない」
キョウスケ「ブリットも それは理解しているはずだ。 ……あいつから連絡は?」
エクセレン「まったくナッスィンよん。 上手く潜り込んだのかしらね?」
キョウスケ「そう願いたいな」
エクセレン「んじゃ、 まだしばらくは様子見?」
キョウスケ「ああ。 人質を直接確保している機体は いるか?」
エクセレン「今のところはいないけど、 あそこにいるガーリオンちゃんが クスハちゃん達の見張り役みたいよ」
(ガーリオン・カスタム“無明”を指す)
キョウスケ「奴か……厄介だな」
エクセレン「武者我亜里怨って感じ?  趣味丸出しっていうか、リシュウ先生 とかが好きそうな機体ねえ」
キョウスケ「ラドム博士もな。 それより、奴の剣…… あれはシシオウか?」
エクセレン「ええ。 テスラ研謹製のサムライソード…… リシュウ先生が作ったのよね」
エクセレン「あの我亜里怨ちゃんには ぴったりじゃない?」
キョウスケ「合う合わない以前に、 奴が何故あの剣を?」
エクセレン「さあねぇ。 でも、あんなのが出張って きてるってことは……」
エクセレン「あの試験場に 何か目当てのもの…… いわゆるお宝があるってことね」
キョゥスケ「それも相当な代物がな」
エクセレン「そうなると わからないことがあるのよねえ。 タコ坊主ちゃんのことなんだけど」
キョウスケ「あの試験場に 何があるか、ケネス司令は俺達に 教えなかった。……それか?」
エクセレン「そそ。 もしかして、嫌がらせ?」
キョウスケ「そうする意味がない。 いくらおれ達のことが 気に食わんとしてもな」
キョウスケ「この事態が 長引けば、それはそのまま 司令自身の責任問題になる」
エクセレン「そうね。 でも、のんびりし過ぎると……」
エクセレン「こっちにも ビッチリバッチリとばっちりが 来ちゃうんじゃない?」
キョウスケ「ああ。 どうあれ、面倒なことだな」
所属不明兵「……中佐、タイプCFの 起動準備が完了しました」
ロレンツォ「うむ。 グルンガスト弐式の方は?」
所属不明兵「それが…… 調整中だったらしく、特定の人間 でないと起動できないようでして…」
ロレンツォ「ふん…… 輸送機を持ってこれなかったのが 悔やまれるな」
ロレンツォ「まあいい、 弐式は諦めるとしよう。 ……迎えは?」
所属不明兵「約1時間後に 所定位置へ到達するとのことです」
ロレンツォ「では、出るぞ。 ムラタ達にもそう伝えろ」
所属不明兵「はっ」

[試験場内]

ブリット(……何とか忍び込めた。 クスハ達がいるブロックは、格納庫の先か)
ブリット「……!」
(ブリットが隠れる)
所属不明兵「おい、撤収命令が出たぞ!」
所属不明兵「人質はどうするんだ!?」
所属不明兵「室内に閉じ込めたままにしておけ!  見張りも撤収だ!」
(速い足音)
所属不明兵「む!?」
ブリット「うおおおっ!!」
(打撃)
所属不明兵「ぐあっ!!」
(所属不明兵が倒れる)
所属不明兵「な、何だ、貴様!?」
ブリット「でええい!!」
(打撃)
所属不明兵「うぐっ…!!」
(所属不明兵が倒れる)
ブリット(……こいつら、 ここから立ち去るつもりか。なら、クスハ達を 人質にしたのは脱出の時間を稼ぐためか?)
ブリット(いや、それだけじゃないはずだ。 ここに何かがあるからこそ、奴らは来た)
ブリット(そして、この答えはこの先に……!?)
(扉が開閉する)

[試験場内・格納庫]

ブリット「!! あ、あれはっ!?」

〔戦域:試験場周辺〕

(通信)
キョウスケ「む……」
ブリット「こちらブリット!  キョウスケ中尉、聞こえますか!?」
キョウスケ「ブリットか。 無事だったようだな。 ……状況は?」
ブリット「奴らは 人質を部屋に閉じこめ、 逃走する気です!」
ブリット「それと、 格納庫の中に見慣れぬ機体が!  発進態勢に入っています!」
キョウスケ「何……?」
エクセレン「キョウスケ、あれ!」
(ヴァルシオン改・タイプCF他が出現)
ロレンツォ「……同志諸君、 ロレンツォだ。見ての通り、 タイプCFの起動に成功した」
ロレンツォ「地上部隊は撤収。 人質はそのまま室内に閉じこめておけ」
ロレンツォアーマードモジュール隊は 広範囲ASRSの準備が終わるまで その場で待機せよ」
ムラタ「……俺がATXチームの 相手をしてやってもいいのだがな。 どうにも食い足りん」
ロレンツォ「最優先すべきは このタイプCFの移送だ。 彼らを倒すことではない」
ムラタ「始末する好機かも知れんぞ?  奴らはマイヤーを倒した 仇敵なのだろう?」
ロレンツォ「私の目的は…… 仇討ちではない」
エクセレン「わ~お…… 団体さんのお目見えよん」
キョウスケ「ブリットが言っていた 機体は……あれか」
(ヴァルシオン改・タイプCFを指す)
キョウスケ「該当データはなし…… どうやら当たりを引いたようだな」
エクセレン「お宝って奴ね。 まったく、こういうとこで ヘンな運を発揮しないでよね」
キョウスケ「おれのせいにするな。 望んでこうなったわけでは……」
(通信)
キョウスケ(通信……?  これは……教導隊か?)
キョウスケ「……頃合だな」
エクセレン「何の?」
キョウスケ「何をしにきたんだ、 お前は」
エクセレン「やーねぇ、 わかってるわよ。ホントよ?」
キョウスケ「……本命が姿を現した。 ブリットの無事も確認できた。 次は奴らの出方を見るぞ」
エクセレン「オッケ~イ。 ……と言っても、向こうさんの 反応はだいたい予想できるけどね」
(アルトアイゼン・ナハトとヴァイスリッターが少し基地側へ移動)
所属不明兵「中佐、敵機が動きました!」
ロレンツォ「ふん……」
(通信)
ロレンツォ「ATXチームに告ぐ。 私はDCのロレンツォ・ディ・ モンテニャッコだ」
キョウスケ「!」
エクセレン「モンデニャンコちゃん?  いやん。どこモミモミして欲しい?  ニクキュー?」
ロレンツォ「……モンテニャッコだ。 肉球などない」
エクセレン「あら、 渋いお声の割にはノリがいいのね」
キョウスケ「……ATXチーム、 キョウスケ・ナンブ中尉だ。 用件は何だ?」
ロレンツォ「お前達も知っての 通り、こちらには人質がいる」
ロレンツォ「そちらが 直ちに武装解除するのであれば、 彼らの命は保証しよう」
エクセレン「名前以外は普通ねぇ。 続きは『ケーサツには知らせるな』 ってトコかしらね」
キョウスケ「そうなると、 次に出てくる要求もわかるな」
エクセレン「そうね。 は~い、ニャンコ先生…… 身代金はハウマッチ?」
ロレンツォ「我らの目的は金ではない。 このヴァルシオン改・タイプCFだ」
キョウスケ「ヴァルシオン改……!?」
エクセレン「ええ~、マジ!?  見た目が全然違うじゃない!?」
ロレンツォ「こいつは量産移行型…… 宙間戦闘用に強化した機体でな」
エクセレン「DCの遺産、ってワケね。 さしずめ、イスルギ重工が 確保してたってとこかしらん?」
ロレンツォ「……我らは この機体が手に入りさえすればいい。 無駄な戦闘をするつもりはない」
キョウスケ「人質の命と交換…… つまり、このまま見逃せと?」
ロレンツォ「そうだ。 悪い話ではあるまい」
キョウスケ「………」
ロレンツォ「それとも、 人質を犠牲にし、我らと戦うか?」
キョウスケ「………」
キョウスケ「そちらの要求を呑もう。 ……エクセレン」
エクセレン「ま、 ここはしょうがない……か」
ロレンツォ「賢明な判断だ」
ムラタ「………」
ブリット「あのカスタムタイプさえ 抑えれば、クスハ達を……!  だけど、Mk-IIは……」
ブリット「いや、待てよ。 ここにはあれがあるはずだ。 クスハと一緒に……」
キョウスケ「……エクセレン、 わかってると思うが、動くなよ」
エクセレン「了解よん。 ……一眠りしちゃおうかしら。 この後もあることだし」
キョウスケ「好きにしろ。 ただし、時が来たら叩き起こすぞ」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

(呼び出し音)
ロレンツォ「む? これは……」
ムラタ「新たな客か」
(教導隊が出現)
カイ「待たせたな、キョウスケ、 エクセレン」
エクセレン「へ?  な、なに……? もう朝?」
キョウスケ「本当に寝てたのか、 お前は」
エクセレン「だって~、ここんとこ ずっとヘビーローテだしぃ……」
カイ「応答しろ、キョウスケ」
キョウスケ「聞こえます、カイ少佐」
ロレンツォ「ほう…… 新型のヒュッケバインを 投入してきたか」
ロレンツォ「あれも 手に入れたいところだが…… 二兎を追うのは危険か」
ライ「あの機体は……?」
エクセレン「ヴァルシオンの 量産移行型らしいわよ、色男さん」
ライ「何……!?」
リョウト「そんな物が どうして連邦軍の試験場に!?」
エクセレン「色々と訳ありみたい。 ……厄介事に巻き込まれないと いいけどね」
カイ「ライとラトゥーニは左右へ展開。 リョウト、リオはバックアップに回れ」
リオ「了解!」
カイ「キョウスケ、人質は?」
キョウスケ「ガーリオンの カスタムタイプが抑えています」
カイ「……ラトゥーニ、敵機の 熱源反応を洗え。人質を直接確保 している機体がいるかどうか調べろ」
ラトゥーニ「了解」
(通信)
カイ「……こちらは 特殊戦技教導隊、カイ・キタムラだ。 直ちに武装解除し、投降しろ」
ロレンツォ「ATXチームの次は 教導隊か。ご大層な対応だな」
カイ「ここへ来たのは成り行きでな。 さっさと武装を解除しろ」
ロレンツォ「それはこちらの 台詞だ。人質の命が惜しくば、 我らの道を開けよ」
ライ「あの男は確か……!」
リオ「誰だかご存じなんですか、 少尉!?」
ライ「ああ。 元々はコロニー統合軍にいた男だ。 以前、顔を見たことがある」
カイ「……ラトゥーニ、どうだ?」
ラトゥーニ「人質を直接確保している 機体はいないと思われます」
カイ「了解した。 キョウスケ、突撃して あのガーリオンを抑えろ」
キョウスケ「了解。 エクセレン、援護しろ。寝ぼけて おれに当ててくれるなよ」
エクセレン「努力するわ~♥」
ロレンツォ「……返答は如何に?」
カイ「貴様らと取引する気は……」
(ガーリオン・カスタム“無明”の傍で爆煙)
ムラタ「ぬうっ!?」
(試験場の西側にグルンガスト弐式が出現)
ブリット「クスハには…… 手出しさせない……っ!」
エクセレン「わお!  ブリット君、ナイスタイミング!」
ロレンツォ「何故、 あのグルンガストが 動いている!?」
ブリット「こ、この違和感……!  クスハ用に調整されたT-LINK システムのせいか……!?」
ブリット「だけど、セッティングを やり直す時間はない……!」
ムラタ「もしや、先程の ヒュッケバインのパイロットか?」
ブリット「カイ少佐!  あのガーリオンは自分が抑えます!」
カイ「了解した!  各機、メインターゲットは ヴァルシオンだ! 仕掛けろ!」
ロレンツォ「……グルンガストが 動くとはな。人質はもう役に 立たんか」
ロレンツォ「各機へ。 広範囲ASRSの展開準備が 整うまで、しばらくかかる」
ロレンツォ「それまで敵機を このヴァルシオンへ近づけるな」
ムラタ「承知した」
ブリット「ここから 動くわけにはいかない!  奴を引きつけるためにも!!」
(作戦目的表示)

〈vs ロレンツォ〉

[キョウスケ]

キョウスケ「逃がさん……!」
ロレンツォ「今、貴様に構っている 暇はない。総司令の仇と言えどな」

[エクセレン]

エクセレン「その危ないオモチャ…… 持って行ってもらっちゃ困るのよね。 え~、ニャン子ちゃん?」
ロレンツォ「……モンテニャッコだ。 キッチリ覚えておけ」
エクセレン「はいは~い。 ニクキューはないってこともね」

[ライ]

ライ「その様子では、オペレーション SRWには参加していなかった ようだな、ロレンツォ中佐……!」
ロレンツォ「む? 何奴?」
ライ「俺の名はライディース。 ライディース・F・ ブランシュタインだ」
ロレンツォ「ブランシュタイン!?  貴様、もしやマイヤー総司令の!」
ライ「……そうだ。 中佐、ヴァルシオンを奪って 何をするつもりだ?」
ロレンツォ「総司令の息子とは言え、 連邦に与する貴様にそれを教える 義理などないわ!」

[リョウト]

リョウト「あなた達はDC戦争を 繰り返すつもりなんですか!?」
ロレンツォ「……私は 世界の有り様を変えたいだけだ。 戦争ではなく、革命なのだよ」

[リオ]

ロレンツォ「連邦が ヒュッケバインを量産するのなら…… 我らはこのヴァルシオンを!」
リオ「そんなことさせないわよ!」

[カイ]

カイ「ロレンツォ!  貴様の目的は何だ!?」
ロレンツォ「それを貴様に 教える必要などないわ!」

[ラトゥーニ]

ロレンツォ「貴様らに このヴァルシオン改を止めることは 出来んぞ」
ラトゥーニ「あの機体…… 大出力のスラスターを装備してる。 離脱時にそれを使われたら……」

〈vs ムラタ〉

[ブリット]

ムラタ「奴め、動かんな。 機体の不調か……あるいは、 身を挺して俺を止める気か」
ブリット「さっきの雪辱を…… 晴らすっ!!」
ムラタ「惜しいな。 あまりのんびり相手はしてやれん」

〈5PP or グルンガスト弐式のHP20%以下〉

ムラタ「さすがは準特機型…… しぶといな」
ブリット「う、うう……!  奴相手にこのシステムの不調は 大きすぎる……!」
ムラタ「その足運び…… 本調子でないのが悔やまれるな」
ムラタ「先程の情動に任せた剣の方が マシだったやも知れんぞ、 ヒュッケバインのパイロット!」
ブリット「………」
ブリット「……頼む、弐式。 力を貸してくれ……!」
ブリット「俺達の目的は…… 一つだろ……!?」
ブリット「クスハを…… お前の主を助けるんだ……!」
ブリット「弐式……応えろ…… 奴を……!」
ブリット「あのガーリオンを倒す!  奴の剣を叩き折るんだ!!」
(鈍い感応、グルンガスト弐式が反応)
ムラタ「ぬうっ!?」
ブリット「うおおおおお!!」
(ブリットに『気迫』『ど根性』)
ムラタ「この気迫…… 装甲越しに伝わってきおるわ。 奴に……何が起きた?」
ブリット「勝負は……まだこれからだ!  ガーリオンのパイロット!!」
ムラタ「調子が戻ったというわけか。 面白い……貴様のその気概ごと 斬り捨ててくれるわ」

〈vs ムラタ〉

[キョウスケ]

ムラタ「アルトアイゼン…… ふふ、手応えがありそうだな」
キョウスケ「見かけ倒しでないことは ブリットを落とした手並みで 証明済みか」
キョウスケ「……来い……!」

[エクセレン]

ムラタ「あの青二才と同じく、 一刀で斬り捨ててやるわ」
エクセレン「カモン、サムライ!  スシ、テンプーラ、スッキヤーキ!  ……な~んてね」

[ライ]

ムラタ「曰く付きのヒュッケバインを 量産するとは、連邦も酔狂だな」
ライ「酔狂なのは、貴様の機体の方だ」
ムラタ「ふふ……この“無明”を 見てくれだけで判断するでない」

[リョウト]

リョウト「あの機体、 何故シシオウブレードを!?」
ムラタ「無論……人機を斬るため」

[リオ]

リオ「何なの、あのガーリオン……!  武者か侍のつもり!?」
ムラタ「ふふふ……俺は単なる人斬りだ」

[カイ]

ムラタ「教導隊のカイ・キタムラか。 相手にとって不足なし」
カイ「貴様ら、ヴァルシオンを奪って 何をする気だ?」
ムラタ「DCの再興とでも 思っておくがいい」
カイ「何……!?」
ムラタ「俺はロレンツォの目的には 興味がないのでな」

[ラトゥーニ]

ラトゥーニ「あのガーリオン、 特機なみの装甲を……!」
ムラタ「そのような柔な機体で、 この“無明”を倒せると思うなよ」

状況選択

ガーリオン・カスタム『無明』のHPを40%以下にした
6EPになった


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