アンナ「エイジ」
デビッド「アンナじゃないか。いったいどうしたんだ?」
シモーヌ「エイジ、あたしたち先に
搬入に行ってるわね
ほらデビッド、いらっしゃい」
デビッド「ちょっ、なんだよシモーヌ」
シモーヌ「いいから、くるのよ」
デビッド「わかった、わかったからひっぱるなよ」
シモーヌ「じゃエイジ、あとでね」
(足音)
アンナ「…………」
エイジ「アンナ……どうしたんだ?」
アンナ「エイジ……これ、私が部屋で育てて
いた花なの。持って行ってくれる?」
エイジ「……ひな菊だね」
アンナ「覚えていてくれたの?」
エイジ「忘れはしないさ。あの時、
俺が生き残れたのも
きっとこの花のおかげだ。アンナ……
ありがとう。俺はきっと帰ってくる」
アンナ「うん……」
(暗礁空域にガンドールとネェルアーガマが出現)
アムロ「ベル、物資の積み替えは?」
ベルトーチカ「終わったわよ。ネェルアーガマには
積めるだけ積んだわ。こっちにはもう
このまま月まで帰るのに必要な
分しか残してないもの。いいんでしょ?」
アムロ「ああ。それでかまわないさ。必要に
なるとしたら連中のほうだからね」
ブライト「準備は整ったようだな」
アラン「大丈夫だ。いつでも出発できる」
デュオ「ああ。後はガンドール砲の改造が
うまくいってることを祈るだけさ」
万丈「はははっ、なにしろガンドール砲を
直接受けるわけだからね
失敗してたら大変なことになる」
甲児「頼むぜ博士」
ブライト「……では、行くとするか」
アムロ「そうだな。博士、発射の用意を」
葉月博士「うむ。ガンドール砲、発射スタンバイ」
チェーン「ガンドール砲、
発射待機状態へ
エネルギー臨界まであと1分」
アンナ「みんな……気をつけてね」
シモーヌ「アンナ、留守番よろしくね。エイジは
あたしが絶対連れて帰ってくるから」
デビッド「シモーヌ、俺はどうでもいいのかよ」
シモーヌ「あんたもエイジのついでに、
連れて帰ってあげるわよ」
ブライト「ではみんな、あとを頼むぞ」
甲児「そんじゃちょっくら行ってくるぜ。
宴会の用意して待っててくれよな」
アムロ「ああ、そうさせてもらうよ」
サイ・サイシー「帰ってきたら、オイラが
腕によりをかけた
最高の料理を食わしてやるぜ」
チボデー「そうさ。だからお前ら、
生きて帰ってこいよ」
早乙女博士「こちらでも我々の総力をあげて、
ガンドールの改造を行なう
万が一、君たちが
もどってこれなかった場合でも
こちらから迎えに行ける
可能性もある」
リョウ「ははっ、期待しないで待ってますよ」
チェーン「ガンドール砲、エネルギー臨界。
いつでもどうぞ」
シーラ「みなのご武運を祈っています」
チャム「みんな、がんばってね!」
忍「やるぜ、俺たちは。イゴール将軍、
ブレックス准将、みんな見ていてくれ」
亮「これも、運命だな」
葉月博士「……ガンドール砲、発射!」
(ガンドール砲発射、閃光)
(ネェルアーガマが出現)
レイカ「ガントールからのエネルギー供給、
停止しました
以降は通常推進に
切り替えます」
ブライト「そうしてくれ。奇妙なところへ出たな
…ここがムゲの宇宙だというのか……?」
万丈「博士の言葉通りなら、我々は
ムゲの宇宙へと入っているはずだが…」
甲児「なんだかどこもかしこも、
ゆがんでるような気がするぜ」
ハヤト「そうだな……星の見え方もおかしいか」
忍「チッ、なんて宇宙だよ、ここは」
沙羅「ああ、ここに転移したとたん、
何かゾクッときたよ」
雅人「脅かさないでよ、沙羅」
亮「いや、沙羅のいう通りだな。ここが
ムゲの宇宙に間違いないだろう」
アーク「なぜそう思うんだ、亮?」
亮「何か気配が満ちている。
ひどく邪悪な気配だ」
ブライト「そうか……ここがムゲの宇宙だとすれば
どこから敵がくるかわからん
全員、警戒を怠るな」
(ブラックアウト)
(ムゲ城が出現)
ムゲ帝王「…………」
デスガイヤー「帝王様?」
ムゲ帝王「今……我らの宇宙の……
風が乱れた」
デスガイヤー「と申されますと?」
ムゲ帝王「現れおったな」
デスガイヤー「なんと!?」
ムゲ帝王「生き物は自らの生きうる
空間をわきまえてこそ
生きのびることができるのだ。
おのれをわきまえぬ、愚か者どもめ」
デスガイヤー「それでは地球人が、奴らが
この世界に入りこんでいると?」
ムゲ帝王「うむ。だがその勢いもここまでのこと。
奴らはこの宇宙のすべてが
この私自身であるということを、
すぐに思い知るであろう」
デスガイヤー「ではあれを、あの戦法を!?」
ムゲ帝王「うむ。貴様も獲物どもを、
思う存分にかわいがってやれ
デスガイヤー、闘技場は
どこを選ぶ?」
デスガイヤー「闘技場は……
ぜひとも“赤い宇宙”を」
ムゲ帝王「ふむ、“赤い宇宙”とな?
いいだろう。我が宇宙に眠る
悲しき魂どもよ、このムゲゾルバドスの
声に応えよ!」
(ムゲ城が揺れる)
デスガイヤー「おぉぉっ!」
ムゲ帝王「ゆけ、デスガイヤー!
“赤い宇宙”へ!!」
(ブラックアウト)
(ネェルアーガマが出現)
ブライト「な、なんだ!?」
(ネェルアーガマが揺れる)
忍「うわぁぁっ!」
沙羅「ちっ、はなから歓迎パレードは
期待してなかったけどさ、こいつは……」
(閃光)
(ネェルアーガマが出現)
ブライト「こ、これは……」
忍「くそっ、いったいここは
どこだってんだよ!?」
沙羅「まるで……まるで地獄だね。
死神たちが
パーティーでも始めそうだよ」
デュオ「ははっ、俺はこんなところじゃ
パーティなんかしたくないけどな」
亮「たどり着いた……ようやく
たどり着いたところが、この地獄か」
万丈「まわりには誰もいないようだね」
ギャリソン「さようですな」
甲児「なんだよ、どうなってんだ?」
沙羅「地獄を見るために戦ってきたんじゃ
ないってのは、間違いないことさ」
リョウ「どうなんだ、ギャリソン?」
ギャリソン「お手上げでございますな。
まったくエネルギー反応がございません」
デュオ「なんてこったぁ」
沙羅「まさか連中、人をこんなところへ
招待しておいて
自分たちだけ天国でのんびりして
いるなんてこと、ないだろうね」
アラン「……なんだ……?」
ギャリソン「これは……エネルギー反応が
多数感知されましたぞ」
忍「ああ、どうやらおいでなすったようだな」
(敵機が出現)
忍「ヤツか……」
沙羅「あいもかわらず、好きにはなれない
ご面相だね」
デスガイヤー「いよいよ来たな。地球人どもよ、
俺はこの日を待っていたぞ!
地球での、あの敗北!
あの屈辱を晴らすためになぁ!」
沙羅「冗談じゃないよ! よくも
そんな勝手なことがいえたもんだね」
万丈「ああ、屈辱を晴らすのは僕たちの
方だ。今こそお前たちムゲゾルバドス
を倒し、地球圏の平和を
とりもどす! みんな、行くぞ!」
(ダイターン3とダンクーガが出撃、出撃ユニット選択)
万丈「世のため人のため地球圏の
平和のため、ムゲゾルバドス帝国の
野望を打ち砕くダイターン3。
この日輪の輝きを恐れぬのならば
かかってこい!」
忍「おお、やぁぁぁぁってやるぜっ!!」
デスガイヤー「威勢だけはいいようだな。今!
貴様たちをこの赤い地獄の
地の底へ、永遠の苦しみの
中へ沈めてくれる! いくぞぉ!!」
(閃光)
忍「なんだ!? なんかおかしいぜ。
今、体が自由にならなかった」
亮「俺もだ。軽い金縛りに
あったみたいだ」
雅人「まさかあいつ、なんか新しい術を!?」
忍「くそぉっ、体が重いぜ」
沙羅「……まさか……
この宇宙が何かを……?」
ヒイロ「状況は不利……か」
トロワ「ああ……どうやら俺たちの気力が
低下しているようだ」
忍「くっそぉっ!! またかよッ!?」
デスガイヤー「クククッ」
(味方の気力-30)
(爆発)
ブライト「やったか!?」
ビューティ「本当にやっつけたの?」
(デスガイヤー復活、『集中』『ど根性』がかかる)
デスガイヤー「ハハハハッ、さぁこい。だが、
何度来ても同じことだ」
ブライト「なんだと!?」
ギャリソン「お待ちください。このままでは
あの敵には勝てません
まともに戦ってもこちらのパワーを
吸い取られるだけでしょう」
レイカ「なんですって!?」
ギャリソン「どうやらこの“赤い宇宙”の
中では
そのような仕組みになって
おるようですな」
マリア「そんなぁ! じゃあ、あたしたち
どうやって戦えばいいの!?」
デスガイヤー「ククククッ、この宇宙にいる限り、
貴様らに勝利はない!」
デューク「……どうやら命を捨てる覚悟で
挑むしかないようだな」
甲児「待ってくれよ大介さん! みんな
オレたちが帰るのを待ってんだぞ!」
亮「いや……待っていてくれるからこそ、
ここで命をかけられるのかもしれん」
エイジ「それだけの価値はあるということか……」
デビッド「エイジがいなけりゃ火星でなくしてた
命だ。俺はなんでもやるぜ」
タケル「デューク、何をすればいいんだ!?」
デューク「よしみんな、まずはもう1度、
ヤツを倒すんだ!」
デスガイヤー「フハハハッ、何度やっても
同じことよ!」
デューク「いまだ!! ヤツのふところに
飛びこむんだ!」
(アークがデスガイヤーに重なる)
アーク「くっ……デスガイヤー、これで最後だ!」
デスガイヤー「なんだと!? な……なんということを!!
エ、エネルギーがぁぁぁぁーっ!!」
(爆煙×2、デスガイヤーが爆発、閃光)
ブライト「終わったか……」
(閃光)
レイカ「こ、今度はなに!?」
(閃光、赤い宇宙が夜のように)
沙羅「“赤い宇宙”が……
消えていく……」
(ムゲ帝王等が出現)
ビューティ「な……なぁに、あれ!?」
ギャリソン「ムゲゾルバドスの城……ですかな」
ブライト「やっと敵の本拠地を突きとめたと
いうことか。みんな、よくがんばってくれた
これが最後だ。全力で
あの城を叩く!」
ムゲ帝王「愚か者たちが。この私の宇宙の
聖域に踏みこみ
そして私を怒らせてしまったことを、
後悔させてやろう。なぜなら……
お前たちが絶対者と考え、
そして時には理想の姿とする
“神”こそが、この私だからだ」
忍「ちいっ! なんだってんだ、こいつは!?」
亮「なんて威圧感だ……
まるで奴の存在自体が
圧力を持っているようだぜ……」
沙羅「この世界、この宇宙そのものが、
あたしたちを押しつぶそうと
してるってことかい……だけどさッ!」
ムゲ帝王「愚かな……わが悪霊のえじきとなれ!」
(ムゲ帝王に『気合』気力+30)
ムゲ帝王「この私を相手に、よくやる。だが……」
(『ど根性』『気合』気力+10がかかる)
忍「なんだと!? くっ……くっそぉぉーっ!!」
忍「くっ……奴の後ろに悪霊が
うずまいてるってんなら、俺は祈るぜ
力を借りるぜ。あの戦いの中で、
死んでいった人たちの力をな!」
沙羅「ああ……あたしも祈るよ……シャピロ、
あんたの力も貸しておくれ!!」
(閃光)
ムゲ帝王「ぬぅ、この力……この力はなんだ!?
この私の、この私の宇宙を
私の力を押しもどすだと!?」
(閃光)
ムゲ帝王「なにっ!? うぅぅあぁぁぁぁぁーっっ!!」
(爆発、閃光)
タケル「……ムゲを倒したのか……?
……本当に!?」
(轟音、揺れ)
ブライト「くっ……」
(轟音、揺れ)
甲児「おい、なんかまずいんじゃないのか!?」
亮「ムゲの宇宙の最後だ。
奴が死ねば、奴の宇宙も……」
忍「ちっ、俺たちも一緒にってわけかよ。
…………まぁいいさ
ムゲ野郎は俺たちが倒した。
これで地球が救われるってんなら……」
沙羅「でもさ……こんなんじゃ、あたしたち、
勝ったなんていえないね……」
ブライト「とにかく全員帰還してくれ。
まだ最後と決まったわけじゃない」
(揺れ)
レイカ「えっ……これは!?」
ギャリソン「なんと、新しい反応が
出現いたしましたぞ!」
(アヴィ=ルーが出現)
アヴィ=ルー「そう……まだ最後じゃないヨ。
まだ、アタシがいるからネ」
ブライト「貴様は……やはりムゲの
仲間だったのか!?」
アヴィ=ルー「そんなことはどうでもいいのサ。さあ、
わざわざこんなところまでアンタたちを
見にやってきたんだ。
まだ終わらせてもらっちゃ困るヨ」
アヴィ=ルー「すごいネ……まさかもうここまでに
なってるなんて……」
タケル「くっ……やっぱりダメなのか!?」
(轟音、揺れ)
アヴィ=ルー「……いけないネ……ムゲの宇宙は
もうダメみたいだ。アンタたち
こんなところで空間の裂けめに
飲みこまれて死ぬんじゃないヨ
それじゃあ、面白くないからネ……」
(爆発)
ブライト「わざわざ我々を
やるまでもないということか……」
ギャリソン「確かに……結局、帰るすべは
見つかりませんでしたな」
ブライト「まだあきらめたわけじゃない! 全機、
急いでもどれ! 発進するぞ!」
レイカ「艦長、発進って……どこへ!?」
ブライト「どこだっていい!
とにかく、動くんだよ!」
アーク「くっ……」
ビューティ「気がついた?」
アーク「どうやら……
まだ生きているみたいだな……」
エルリッヒ「……これが生きているといえるならば、
だが……」
デュオ「ここがあの世じゃないってんならな。
でもよ、まわりを見てみろよ
何にもないんだぜ?」
アーク「何も……ない? 俺たちは
もとの世界にもどれたわけじゃないのか」
リョウ「ああ……これでは
あの世のほうがマシかもな
あの世ならまだ俺たちの
宇宙のはずだからな」
ギャリソン「葉月博士がおっしゃられていた、
我々の宇宙へもどれない状態
ということのようですな。時間の
流れすら、私どもの宇宙とは
違うかもしれません」
雅人「それがわかったからって、
俺たちには何にもできないけどね」
忍「生きてるだけ、上等さ」
アラン「そう思う。ガンドールの
改造が終われば
仲間たちが迎えに来てくれる
かもしれん。いまはただ、待つしかない」
ヒイロ「連中がくるまで
生きていられればの話だがな
そう長い間生きているだけの
物資はないはずだ」
シモーヌ「ヒイロ、あんたなんでそんな
悲観的な見方しかできないのよ」
ヒイロ「現実的なだけだ」
デュオ「やだやだ。こういう時は
もっと楽天的な奴と
一緒にいたいもんだぜ」
マリア「たとえば甲児や忍みたいな、ね」
亮「フッ、論理的な人間よりも、
忍たちのような
単純なおつむがありがたいとはな」
万丈「ははははっ。まあとにかく、
待つしかできないというのは事実だ
とりあえず腹ごしらえでも
しようじゃないか」
トロワ「正論だな」
甲児「そうしようぜ。なぁに、のんびりしてりゃ
そのうち連中が来てくれるさ
大丈夫だよ、大丈夫」
デュオ「そうそう、そういう言葉が
聞きたいんだよな」
沙羅「違いないね。じゃ
みんなで食堂にでも行くかい」