“未知なる無限の開拓地”。
エンドレス・フロンティアと
呼ばれる世界があった。
そこは、次元の壁によって隔てられた
複数の異世界同士が、「クロスゲート」
という“門”で繋がっている……
奇妙な世界だった。
機界文明が発達した世界……
ロストエレンシア。
桜と紅葉が、人と鬼が住まう和の世界……
神楽天原(かぐらあまはら)。
妖精と獣人が共存する幻想世界……
エルフェテイルとデューネポリス。
悪魔たちが舞う、天空世界……
フォルミッドヘイム。
水棲種族が静かに漂う海底世界……
ヴァルナカナイ。
様々な“世界”が、あらゆる“人”が
そして“刻”さえも混ざり合った……
未知なる無限の開拓地。
……この世界は、誰が創ったのか?
「クロスゲート」を作り出し、
世界を繋げたのは……
“アインスト”と呼ばれる、
異世界からの来訪者だった。
その巨大な存在が、いつ……
そしてどうやって来たのか
知る者はいない。
彼は自らの属する世界への帰還を望み、
「クロスゲート」を開き続けた。
長い長い時間をかけて。
その行為が、複数の世界を接合し、
エンドレス・フロンティアを
生み出すことになったのだった。
しかし、故郷へのゲートだけは
開くことができず、年月が経ち……
アインストは朽ち果てつつあった。
彼は焦り、自らが創った
エンドレス・フロンティアに
干渉をし始めた。
世界各地に、自身の体を削って
作り出した水晶体『ミルトカイル』を
ばらまき、そのエネルギーによって
「クロスゲート」を暴走させようとした。
その次元を捻じ曲げるほどの力は、
エルフェテイルの妖精族たちの
ほとんどを異世界に転移させてしまう。
さらに“ゆらぎ”と呼ばれる
次元のほころびとも結びつき
不完全ながら、さらなる異世界……
物質界をつなぐ通路をも作り出した。
その結果、めぐり合った者たち。
皮肉なことに、彼らによって
世界を“修正”し続けたアインストは
滅びることになる。
アインストの崩壊によって、
ほとんどの「クロスゲート」も
また……崩壊した。
ゲート崩壊の際に暴走した力は
次元の壁を消滅させ……
すべての世界を融合させたのだった。
こうしてエンドレス・フロンティアは
新生し、ひとつの世界となった。
各世界の住人たちは、
壁の取り払われた新しい世界で
互いに手を取り合い……
生きていくことを決めた。
だが……。
融合した世界に……
“どこにも属していなかった世界”が
混ざっていることを、知る者は少なかった。
かつての戦いのさなかで消えた、
妖精族たちの帰還も、また。
……ここが、無限のフロンティア。
新しい物語が、また始まる。
(中央にアレディとシンディがいる)
アレディ「師匠、剛錬(ごうれん)のアレディ……
アレディ・ナアシュ、馳せ参じました」
シンディ「連絡は聞いています。
報告があるとのことですね」
アレディ「はっ」
シンディ「その前に……
日々の修練(しゅうれん)……
怠ってはいませんね、アレディ」
アレディ「はい。
先ほど、日課の拳立て伏せ1000回を
こなしてきたところです」
シンディ「いいでしょう。
……強き力は強き肉体と精神に宿ります。
修練の刻(とき)を大切にするのです」
アレディ「はい、師匠……!」
シンディ「では改めて聞きましょう。
この“世界”がどうなったのか……
それはわかっていますね? アレディ」
アレディ「…………」
アレディ「我が修羅(しゅら)の国……
『波国(はこく)』は、いかなる理由かは
わかりませんが……」
アレディ「“削り分け”られ、“この世界”に」
シンディ「そう、それも戦時中に、です。
……“彼ら”がどうなったのか、
足取りはつかめたのですか?」
アレディ「いえ、まだです。
ですが、この世界が一体どこなのか……
その手がかりを見つけました」
アレディ「……姫殿、どうぞこちらへ」
(アレディが南を向き、南からネージュが歩いてくる。アレディがシンディに向き直る)
ネージュ「ネージュ・ハウゼン、
参りましてございます。
……シンディ・バード様」
シンディ「これは、ネージュ姫殿。
手がかりとは、あなたに関係が
あることなのですか?」
ネージュ「私個人に、ではなく……
私たち「妖精族」に関係があると
いうことです」
シンディ「どういうことでしょう?」
ネージュ「はい。
まだ推測の域を出ませんが、ここは……」
ネージュ「未知なる無限の開拓地。
……『エンドレス・フロンティア』」
アレディ「エンドレス・フロンティア……?」
アレディ「……!
もしや、ネージュ姫殿。
我々が今いるこの世界とは……!」
ネージュ「ええ。
おそらくは、私たち妖精族の……故郷」
シンディ「なんと……! 確証はあるのですか?」
ネージュ「ここしばらく、周辺の状況を
アレディとともに調べていました」
ジャイアント・マーカス号
ネージュ「ここから東へ向かった場所で、ドでか……
いえ、巨大な戦車を見たのです」
シンディ「巨大な……戦車?
それは我々が戦っていた“彼ら”の
兵器ではないのですか?」
ネージュ「それは違います、シンディ様。
少なくとも、この国に攻め込んで
きていた者たちではございません」
ネージュ「3年前、私たち妖精族が次元を越え、
この『波国』へたどり着く以前に、
見た覚えがあるのです」
ネージュ「私の国……
エルフェテイルを襲った戦火の中で」
ジャイアント・マーカス号
アレディ「戦(いくさ)……。
つまり、あれは敵側の兵器であると?」
ネージュ「ええ。
エルフェテイル侵攻のために使われた物と
同じ……もしくは同型のものよ」
ネージュ「あの戦争の直後……私たちは突然、
この国へ飛ばされたから、
その後のことはわからないけど」
シンディ「どうしてあなた方、妖精族が我々の国に
瞬転して来たのかは不明としても……」
シンディ「その戦車は、ここがどこであるのか…
手がかりになり得ますね」
シンディ「ネージュ姫殿。
その戦(いくさ)とは、どのようなもの
だったのでしょう?」
ネージュ「…………」
ネージュ「『10年戦争』……」
ネージュ「魔族たちの住む世界……
フォルミッドヘイムからの一方的な
宣戦布告により、戦いは始まりました」
ネージュ「その名の通り、
10年に渡って戦争は続いたのです。
私も手に槍を持ち、戦いましたわ」
ネージュ「相手が何のために戦争を起こしたのか、
その理由もわからず……
ただ戦うしかなかったのです」
ネージュ「悲しい思い出しかございません……」
アレディ「ネージュ姫様……」
シンディ「ひとつ……よろしいですか?」
シンディ「なぜ戦いを悲しむのです…?
争いによって、人は進化してきました」
シンディ「進化は“神化”へと至る道。
生き残った強き者が、真道を進む。
そのために……」
ネージュ「あなた方「シュラ」の一族は
そうお考えかもしれませんが、
争いを望まない者も数多くいるのです」
アレディ「…………」
シンディ「いいでしょう。
……その戦(いくさ)は、
どのような結末を迎えたのですか?」
ネージュ「一方的に始まった戦争は……
また一方的に終戦を迎えました」
アレディ「一方的に……ということは、
再び敵側から、ですか?」
ネージュ「そう、フォルミッドヘイムから、
「王の戦死により、フォルミッドヘイムは
敗北を認め、手を引く」……と」
ネージュ「フォルミッドヘイムの
特殊任務実行部隊リーダー……
エイゼル・グラナータからの宣言でした」
シンディ「王の首級を挙げたのならば、
それはあなた方、妖精族の勝利のはず」
アレディ「そうですね。
一方的、という表現は正しくないのでは?」
ネージュ「誰が敵国の王を討ったのか……
わかっていないのよ」
アレディ「え……?」
ネージュ「戦争は、私たち妖精族が劣勢だった。
我が軍は、フォルミッドヘイム側まで
攻め込めてはいなかったはずなの」
ネージュ「敵側には、異世界の技術で作られた
ド強……強力な機動兵器もおりましたし」
アレディ「機動兵器というと、我ら修羅が
使役する『羅刹機(らせつき)』の
ようなものですか?」
ネージュ「そうね。
3メートルほどの、鋼鉄の人型兵器よ」
ネージュ「私たちも『妖精機(ようせいき)』という
同様の人型兵器を使っていたんだけど……
数が少なかったの」
ネージュ「私の専用機も、
今はどこにあるのかわからない……」
ネージュ「でも、もしここが
エンドレス・フロンティアならば……!」
シンディ「…………」
シンディ「ありがとうございます、ネージュ姫殿。
お話はわかりました」
シンディ「私からも、
あなた方に伝えておくことがあります」
アレディ「なんでしょうか、師匠」
シンディ「たった今、話に出た『羅刹機』、
……アルクオンのことです」
アレディ「……! 何かあったのですか?」
ネージュ「アルクオン?
何の事をおっしゃっておりますの?」
アレディ「我々の前にいるのが、アルクオンです」
ネージュ「このドでかい像がそうなの?
どう見ても石じゃなくて?」
シンディ「ここにあるのは、
アルクオンをかたどった石像です」
シンディ「羅刹機アルクオン。
修練者たちが集う、この『覇龍の塔』の
守護神にして、最強の羅刹機……」
シンディ「この塔の最上階に安置されています」
シンディ「……いえ、今は安置“されていた”と
いうのが正しいでしょう」
アレディ「まさか師匠……!
アルクオンがこの塔から!?」
シンディ「…………」
シンディ「あれをご覧なさい」
(部屋の西側に黒いミルトカイル石がある)
アレディ「む……?
黒い水晶……いや、宝石ですか?
あそこにあんな物はなかったはずですが」
ネージュ「あれは……ミルトカイル石(せき)!?」
アレディ「ご存知なのですか? ネージュ姫殿。
もしや、あの石はあなたの国に?」
エスピナ城
ネージュ「私たちがエンドレス・フロンティアから
転移する直前……突然、エスピナ城を
覆ったものに似ているの」
ネージュ「いえ、でも……色も形状も違う。
これは一体……」
アレディ「師匠、この宝石のようなものは、
どこから?」
シンディ「どこからかはわかりません。
ただ、出現したのはつい先日のことです」
シンディ「いかなる手段を用いても、
砕くことができない……未知の物質」
アレディ「アルクオンの件、関係があるのですか?」
シンディ「察しの通り、
アルクオンがこの塔から抜け出し、
行方がわからなくなりました」
シンディ「この黒い鉱石のようなものが
現れたと同時に、です」
アレディ「そんな……!
今、アルクオンは操者を持たぬはずです。
どうして……」
ネージュ「操者を持たないってどういうこと?」
シンディ「羅刹機は、操者の“覇気”……
すなわち気力によって力を得て、
自ら思考し、動く機兵です」
シンディ「逆を言えば、ふさわしい覇気を
持たぬ者には扱えないのです」
ネージュ「気合で操る兵器……ってことですか。
では、誰も操っていないそのラセツキは、
どうしてここを去ったのでしょう?」
シンディ「……考えられることはひとつだけです」
シンディ「アルクオンを呼び覚ますだけの強い覇気、
もしくはそれと同等の力が、この世界に
存在するということです」
アレディ「そのような覇気を持つものが、
この世界に……?」
シンディ「私は、あの黒い鉱石が関係していると
考えています」
アレディ「もしや、あの黒石から発せられている
“力”によってですか?」
シンディ「感じていましたか、アレディ。
……あの石はただの鉱物ではありません。
“生きて”いるようなのです」
ネージュ「生きていて、
不思議なパワーを持っている……」
ネージュ「あれがもし、本当にミルトカイル石で、
ここがエンドレス・フロンティアだと
したら……」
ネージュ「私たちがかつて波国に飛ばされ……
今また、戻って来たこととも
関係があるかもしれませんわ」
シンディ「…………」
シンディ「剛錬のアレディよ。
あなたに命じることがあります」
アレディ「はっ、なんでしょうか? 師匠」
アルクオン
シンディ「羅刹機アルクオンを追うのです」
シンディ「そして、あなたの覇気で……
アルクオンの操者となりなさい」
アレディ「私が……!?」
アレディ「いえ、あの羅刹機は師匠にこそ
ふさわしい機兵です!
私の未熟な覇気では、とても……」
シンディ「あなたは幼き頃から覇皇拳を学び、
私が機神拳を教えました」
シンディ「今のあなたは、確かに未熟でしょう。
……しかし、未熟なだけです」
シンディ「あとは磨けばいいのです。
ひたすらに修練を積みなさい、アレディ。
剛錬の二つ名に恥じぬように」
アレディ「はいっ……! 師匠!」
ネージュ「あの~、とってもいいお話の後に
申し訳ありませんが……
私のお願いも聞いていただけますかしら?」
シンディ「これは失礼を、ネージュ姫殿」
ネージュ「ここがエンドレス・フロンティアならば、
私も旅立たなければなりません」
エスピナ城
ネージュ「私の国……エスピナ城がどうなったのか、
確かめなければ」
ネージュ「それで……
できれば、護衛のシュラの方などを
付けていただければ……と」
シンディ「なるほど。
確かに、道中は危険かもしれません。
どのような者たちをご所望ですか?」
ネージュ「そうですねえ……。
全員イケメンなことは前提として……」
ネージュ「頼れる感じのお兄さんタイプですとか……」
ネージュ「憂いを秘めた、無口なタイプですとか……」
ネージュ「ちょっとかわいい、
弟みたいなタイプですとか……」
ネージュ「そのあたりを
取り揃えていただいたりしますと、
道中がド楽しく過ごせそうですわ♪」
シンディ「…………」
シンディ「なるほど……
ご安心ください。適任の者がおります」
シンディ「アレディ。アルクオンを追い、
かつネージュ姫殿を故郷の城まで
送って差し上げなさい」
アレディ「はい、わかりました」
ネージュ「へ? あら?」
ネージュ「シンディ様?
頼れるお兄さんとか、かわいい弟とかは?」
シンディ「アレディは、まだ未熟とはいえ、
頼りになる修羅です」
シンディ「修練に行き詰まり、己の限界に
憂うこともあります」
シンディ「年齢は17歳……姫殿にとっては、
弟くらいと言えなくもないでしょう」
シンディ「それに、師匠の私が言うのも何ですが、
なかなか「いけめん」であると思います」
ネージュ「…………」
アレディ「師匠、「いけめん」とは……?」
シンディ「端正な顔立ち、という意味です」
アレディ「そんな、私など……
まだまだ修練が足りません」
ネージュ「え~、あの~……」
シンディ「まだ、何か?
よろしければ、覇皇拳と機神拳の
使い手もご紹介いたしますが」
ネージュ「……いえ、もういいです。
ごめんなさい」
シンディ「はい」
アレディ「では、お話も済んだようですし……
師匠、行ってまいります」
ネージュ「いまいち釈然としませんが、
私も一緒に出ましょう」
シンディ「休息が必要ならば、
いつ戻って来てもかまいません」
シンディ「それから……
これは餞別(せんべつ)です」
シンディ「傷薬など、いくつか用意しておきました。
持って行きなさい」
アレディ「感謝します、師匠。
では……!」
シンディ「あなた方の頭上に、
死凶星が輝かぬことを」
アレディ「はい……!」
ネージュ「今までのシュラの方々のご尽力、
妖精族を代表してお礼を申し上げます」
アレディ「羅刹機アルクオン……
私が必ず、ここへ連れてまいります…!」
ネージュ・ハウゼンが仲間になった!
シンディから 回復アイテムを受け取った。
シンディ「気を抜くことなく修練を積みなさい。
厳しい修練を経てこそ、
淀みない破棄はその診に宿るのです」
シンディ「もし休息が必要ならば、
ここで休んでいくとよいでしょう」
どうしますか?
→休息する
休息しない
シンディ「あなた方の頭上に、
死凶星が輝かぬことを」
シンディ「戦いの中に生き、戦いの中で死す」
シンディ「それは修羅が背負った、逃れ得ぬ
争覇の宿業(そうはのしゅくごう)……」
シンディ「しかし、戦乱のさなか……
我々がこの未知なる無限の開拓地に
飛ばされたこと……」
シンディ「無感情だったあなたの心に変化を与えた、
美しき妖精の姫……」
シンディ「よどみない覇気によってしか
操ることができない、羅刹機アルクオン」
シンディ「アレディ……
今回の旅で、あなたが修羅として
往くべき道を見つけなさい」
シンディ「そしてその道を見つけたなら……
あなたはこの“覇龍の修練”を
乗り越えることができるでしょう」
(奥の龍像の目が赤く光り、龍玉が割れる)
(覇龍の塔からアレディ達が出てくる)
ネージュ「ちょっとアレディ?
ひとつ訊いてもよろしいかしら?」
ネージュ「……この可憐でド儚い、私の護衛が
あなた一人というのは、どういうこと?」
ネージュ「しかも、
ラセツキを追いかけるついでになどと!」
アレディ「そう申されましても……ネージュ姫殿。
これは我が師、シンディ・バードが
決めたことです」
アレディ「私は、与えられた自分の使命を
果たすだけです」
アレディ「そして、
これも互いに良い修練になると思います」
ネージュ「…………」
ネージュ「でもまあ……あなたがこの数年間、
がんばっていたのは事実」
ネージュ「別に、特にあなたがいいというわけでは
ありませんが、護衛の件……
最後まで投げ出さないようにね?」
アレディ「おまかせください。
この剛錬のアレディ、この命に代えても、
まっとうして見せます…!」
(西の砂漠に入るとジャイアント・マーカス号らしきものが煙を上げて止まっている)
ネージュ「さっそく出ましたわね、ニャンコタンク!」
ネージュ「……やっぱり、似ておりますわね」
ネージュ「『10年戦争』で、エルフェテイル西部を
襲ったフォルミッドヘイムの機動戦車……
ジャイアント・マーカス号に」
アレディ「む? 完全に停止しているようですね。
以前見た時は、かなりの速度で
走行していましたが……」
マーカス・タウン
アレディ「それにしても、変わった兵器です。
背中に見えるのは……街ですか?」
ネージュ「戦時中は、軍事基地だったんだけど……
ここから見る限り、ちょっと違うみたい」
ネージュ「戦車の顔も、ずいぶんドかわいく
改造されてるような気がしますわね」
アレディ「確認してみますか? ネージュ姫殿」
アルクオン
ネージュ「いいの?
え~と、マルプオンを追わなくても?」
アレディ「アルクオンです。
……今、あの羅刹機のその足取りは、
まったくわからない状態です」
アレディ「足で探すしかありません。
そしてこれもまた、修練になります」
ネージュ「……疲れる生き方ですこと」
ネージュ「でもまあ、お言葉に甘えて、
ジャイアント・マーカス号モドキを
調べるとしましょうか」
地面には、イカリのマークが 描かれている。
アレディ「この先に進む前に、
猫の形をした巨大戦車を調べましょう」
アレディ「これは……
ずいぶんと荒れ果てていますね」
アレディ「……しかし……」
ネージュ「どうしたのかしら? アレディ」
アレディ「どこも破損箇所が新しいようです」
ネージュ「……先客がいるってことね」
アレディ「そうなりますね。
立ち塞がるガレキは打ち砕きつつ、
奥へ進んでみましょう」
アレディ「む……?」
アレディ「……ネージュ姫殿、気をつけてください」
ネージュ「え? 急にどうしたの?」
アレディ「…………」
アレディ「何者かの気配……いえ、覇気を感じます。
おそらく、修羅です」
ネージュ「シュラって、あなたがそうじゃなくて?」
アレディ「お忘れですか?
……我々がこの世界に瞬転する前に、
争っていた者たちのことを」
ネージュ「…………」
ネージュ「そうか、敵のシュラ……
え~と、デルマでしたっけ?」
アイスベルク監獄
アレディ「ゲルダです。
『アイスベルク監獄』獄主(ごくしゅ)、
ゲルダ・ミロワール」
ネージュ「そういえば、そのゲルダ一派って
どうなったのかしらね?」
ネージュ「私たちがこの世界にやって来て、
もう数ヶ月」
ネージュ「それまでは、結構
攻めてきてたんじゃなかったかしら?」
波国
アレディ「正確には、師匠の守る『覇龍の塔』を
我が物にすべく、挑んできていたのです」
アレディ「我々以外の修羅たちの気配……
つまり、彼女らもこの世界に来ている
可能性があります」
アレディ「もしそうならば、ゲルダ・ミロワール……
“凍鏡(とうきょう)のゲルダ”」
アレディ「そして、その部下の“あの男”とも、
雌雄を決せねばなりません」
ネージュ「“あの男”……?
ほらほら、アレディ。
ま~たウジウジと悩むんだから」
ネージュ「もし出てきたら、
ドぶっ飛ばしてあげればいいのよ♪」
アレディ「…………」
アレディ「そうですね、これも修練です。
戦場へ足を踏み入れましょう」
ネージュ「よろしくてよ?
久々に私の槍……フェイスレイヤーの
パワーをごらんあれ♪」
【獣羅・先遣隊、下級修羅兵(男)との戦闘】
アレディ「今の修羅兵、そして獣羅(じゅうら)……
やはりゲルダの手の者たちですね」
ネージュ「……ということは、
この戦車をこんなにしたのは、
私たちと敵対していたシュラってこと?」
アレディ「わかりませんが、考えにくいことです。
この破壊……大きな力を持つ者が
駆け抜けていったような印象を受けます」
アレディ「……そう、
上級の羅刹機が暴れまわったような」
ネージュ「ラセツキ……!
ちょっとアレディ、それってまさか……」
アレディ「ゲルダ一派の兵たちがここにいる理由も、
それならば説明がつきます」
アルクオン
アレディ「彼女が『覇龍の塔』を狙っていた理由は、
塔の最上階に安置されていた……
アルクオンなのですから」
ネージュ「いきなりド本命に当たるとは、
運がいいことね、アレディ」
アレディ「まだわかりません。
……この目で確かめるのみです。
行きましょう」
このスイッチを押せば、
先程通った場所に戻る道が
作れそうだ。
スイッチを押しますか?
→はい
いいえ
(南の通路に橋ができる)
先程通った場所と
道が繋がった。
スイッチはすでに押されている。
(エンジンが壊れて黒煙が上がっている)
ネージュ「あっ! なになに!?」
アレディ「ここは……動力室のようですね」
ネージュ「ドひどい有様ですこと……。
これがこの戦車が止まってた理由ね」
アレディ「…………」
アレディ「まだ、覇気が残っています。
この破壊が行われたのは、
ほんの少し前と考えられます」
ネージュ「じゃあ、この先に……?」
アルクオン
アレディ「はい……おそらくは、あの羅刹機が」
ネージュ「あなたの目的、
いきなり果たせそうじゃない?」
アレディ「うまくいくといいのですが」
アレディ「準備を整えて、
この動力室を抜けてしまいましょう」
(中からキュオンが出てくる)
???(キュオン)「ぶはあ~~! で、出られた~!」
???(キュオン)「あのまま、カサカサになるまで
出られないかと思っちゃった……」
アレディ「………!?」
???(キュオン)「あ! キミのその服!
さっき暴れてたロボットの仲間だね!」
キュオン「このキュオン・フーリオンが
退治しちゃうんだから!」
アレディ「さっき暴れていた……ろぼっと……!?」
ネージュ「なんか出てきましたわね。
もしかして、埋まってたってことかしら?」
キュオン「そりゃ埋まるよ!
あんな大暴れ、止めようがないよ!」
アルクオン
アレディ「キュオン殿……とおっしゃいましたか。
その者は、赤と黒の体躯(たいく)に、
白い長髪ではありませんでしたか?」
キュオン「そうそう! 武器は持ってなくて、
パンチとキックで大暴れ!」
キュオン「それで、キュオンは崩れてきた
ガレキに生き埋めになっちゃって……」
アレディ「…………」
ネージュ「……アレディ?」
アレディ「師匠から譲り受けたこの鎧……
名を轟魔(ごうま)」
アルクオン
アレディ「これはアルクオンの外装を
元に造られたものだと聞いています」
ネージュ「……ってことは、
この魔女っ娘が見たロボットって……」
アレディ「はい。
他の特徴も含めて、間違いなく……
羅刹機アルクオン」
ネージュ「そうと決まれば、
やることはひとつじゃないかしら?」
ネージュ「ド締め上げておやりなさい!」
キュオン「ちょっと!
なんか知らないうちにキュオンを
締め上げる話になってる!」
キュオン「……っていうか、キミたち誰!?」
ネージュ「あなたが敵か味方かもわからないのに、
自分の素性を明かせるわけがないでしょ?」
キュオン「う……。ずるい!
キュオンは名乗っちゃったのに!」
ネージュ(……とはいえ、このジャケット、
どこかで見たことがあるような……)
キュオン「でも、あのロボットに関係あるんなら、
間違いなく敵でしょ!」
キュオン「もう決めた!
侵入者はやっつけちゃうからね!」
ネージュ「受けて立ってもよろしくてよ!
アレディ、シュラの眼力で、
この娘の弱点を見抜いておやり!」
アレディ「…………」
アレディ「……尾てい骨から出ている
尾(お)を握れば、あるいは……!」
キュオン「………っ!」
キュオン「し、しっぽはダメ~! 力が抜けちゃう!」
キュオン「う、うう~……。
キュオンの弱点を一瞬で見抜くなんて……
シュラ……恐ろしいやつ!」
ネージュ「ほ~っほっほっほ!
わかったらお話しなさい?
知っていることは全部よ、全部!」
アレディ「この惨状を作り出した機兵のこと……
教えていただけないでしょうか?」
キュオン「…………」
キュオン「うるさいうるさ~い!
こンの無駄出し! 爆発チョンマゲ!」
ネージュ「む、むだだし!?」
アレディ「ば、ばくはつチョンマゲ……!」
キュオン「ここで引き下がるほど、
キュオンは甘くないんだから!」
アルクオン
キュオン「逆にやっつけて、あのロボットのことを
教えてもらうからね!」
【キュオン・フーリオンとの戦闘】
キュオン「も~! 痛ぁ~いっ!」
キュオン「埋まるし、殴られるし、突かれるしで、
もう散々だよ!」
アレディ「勝つには勝ちましたが、この力……
やはり只者(ただもの)では
ないようですね」
ネージュ「魔族で、そのジャケット……
あなた、フォルミッドヘイムの
オルケストル・アーミーじゃないかしら?」
キュオン「う……」
フォルミッドヘイム
アレディ「オルケストル……。
それはもしや、妖精族の方々が
戦っていたという……」
キュオン「え!? よ、妖精族!?
キミ……妖精族のコなの!?」
ネージュ「…………」
ネージュ「あなたの正体がわかったところで、
私も名乗りましょう」
エルフェテイル
ネージュ「私はネージュ……ネージュ・ハウゼン。
かつてエルフェテイル北部を治めていた、
ハウゼン家の姫よ」
キュオン「キュオンたちが戦ってた……
エルフェテイルのお姫サマ!?」
ネージュ「その通り! 頭(ず)がド高くてよ!」
キュオン「か……帰って……きたんだね!」
ネージュ「……え?」
キュオン「か、帰ってきたんだ……!
あの戦争のあと、行方不明になった
妖精族の人たちが!」
キュオン「世界が融合して……
妖精族の人たちが帰ってきた!
よかった……よかったよ!」
ネージュ「ちょ、ちょっとお待ちになって。
どうして、オルケストル・アーミーの
あなたが喜んでおりますの!?」
アレディ「それに、今……“世界が融合”した、と?
ここはエンドレス・フロンティアという
世界ではないのですか?」
キュオン「ん~、いろいろあって、
前とはちょっと違うけど、基本的には
エンドレス・フロンティアだよん♪」
マーカス・タウン
キュオン「ちょっとややこしいから、
詳しいことは、この戦車の背中にある
マーカス・タウンで話そうよ」
スイーツ
キュオン「いいスイーツの店を知ってるんだよね♪」
ネージュ「スゥゥウイ~ツ!
なんと、胸がドときめく言葉……!」
ネージュ「シュラの国の方々は、
みんな質素な食生活でしたから……」
アレディ「強い肉体を維持するためには、
食事制限は非常に重要なことです」
シンディ
アレディ「師匠も、甘味はひと月に一度と
厳しく管理されていました」
アレディ「……ですが、今はそんな話を
している場合ではありません」
アレディ「アルクオンがこの先に進んだのならば、
その街も危ないということになります」
ネージュ「あ! お店が壊されるんじゃないかしら!」
キュオン「こうしちゃいられない!
街はこの先すぐのところだから、
キュオンも一緒に行くよ!」
アレディ「ありがとうございます、キュオン殿。
では、急ぎましょう……!」
キュオン・フーリオンが支援に加わった!
(マーカス・タウンへの階段にアルクオンがいる。アレディ達が近づくとアルクオンが振り返る)
アレディ「やはりそうだったか……!
この姿は……まさしく羅刹機アルクオン!」
アルクオン「…………」
ネージュ「ほんとね。
ハリュウの塔で見た石像にそっくり!」
キュオン「そうそう、こいつだよ!
エンジンを壊して、キュオンを埋めたの!
この埋めロボ!」
アルクオン「…………」
ネージュ「ノーリアクションね」
ネージュ「ほら、アレディ! ちゃっちゃと
覇気を満タンにしてあげなさい?」
アレディ「覇気とは、
そういうものではありませんが……
とにかくやってみましょう」
アレディ「…………」
アレディ「我が覇気に応えよ……!
漆黒(しっこく)の羅刹機、アルクオン」
アレディ「我が命に従い、
おまえがいるべき場所へと帰るのだ!」
(アレディから覇気が立ち昇る)
キュオン「なんか、すごい力を感じる……!
シュラって、何者なの?」
ネージュ「私たち妖精族が転移した世界……
そこの住人よ」
ネージュ「戦うことが生きがいという戦闘種族。
……まあ、ちょっとド物騒な人たちね」
キュオン「妖精族が戻ってきたとして……
今度はその物騒なシュラの人たちが、
こっちに来ちゃったってこと?」
ネージュ「私が知っているシュラの方々は、
みんないい人ですけどね。
……変わっているとは思うけど」
アルクオン「…………」
アレディ「アルクオン、なぜ応えない!」
アルクオン「…………」
キュオン「アレディ、もっと気合入れなきゃ!」
ネージュ「男ならドーンと決めなさい!」
アレディ「くっ……
まだ修練が足りないのか……!」
???(ヘイムレン)「……甘いねえ」
(アレディとネージュが振り返る。南側からヘイムレンが歩いてくる)
???(ヘイムレン)「これはこれは……剛錬のアレディ。
アレディ・ナアシュ君じゃないか」
ネージュ「…………!?」
???(ヘイムレン)「おっと、これは失礼を。妖精の姫様」
ヘイムレン「僕はヘイムレン・シルバート。
“操音(そうおん)のヘイムレン”と
お呼びください」
ヘイムレン「アルクオンは僕たちがいただくよ?
アレディ君」
ヘイムレン「……あの羅刹機は、
我々にこそふさわしいと思うのでねえ」
アレディ「……やはり、この世界へ瞬転していたか。
操音のヘイムレン」
ネージュ「仲のいいお友達……
という感じではないようね。どなた?」
アレディ「ネージュ姫殿は会ったことが
ありませんでしたね」
アレディ「この修羅こそ、
我らと敵対する“凍鏡のゲルダ”……
その右腕と呼ばれる男です」
キュオン「シュラってのにも、色々いるんだね。
ちょっといいオトコじゃない?」
ヘイムレン「照れるねえ、小悪魔クン?」
ヘイムレン「お褒めに預かり恐縮だけど、
ちょっと無粋なことを言わせて
もらおうかねえ」
ヘイムレン「……羅刹機アルクオン。
こちらに引き渡してもらいたいのさ」
アレディ「なに……?」
ヘイムレン「その羅刹機は、真に剛(ごう)なる者……
そして業(ごう)を負う者にしか
従ってはくれない」
シンディ
ヘイムレン「君のお師匠さん、シンディ・バード……
“影業(えいごう)のシンディ”ならば
わからないけれど……」
ヘイムレン「アレディ君、今の君では足りないねえ」
アレディ「…………」
ヘイムレン「ちなみに、ふさわしい人が
もう一人いるんだけど……わかるかい?」
ゲルダ
アレディ「……ゲルダ・ミロワール。
おまえの主(あるじ)か」
ヘイムレン「ご名答。あの方がご所望なのでねえ」
アレディ「ヘイムレン……
ここで我々が羅刹機を奪い合い、
戦うことに何の意味がある?」
アレディ「今の我らは、異邦をさまよう流浪の民。
元の世界に……修羅の国へ戻る方法を
探すことが先決のはず」
ヘイムレン「ほほう、これは驚いた。
僕たち修羅が“死合う”ことに、
理由が必要なのかい?」
アレディ「…………」
ヘイムレン「甘くなったものだねえ、アレディ君?
3年前……そのお姫様が来るまでの
君は、そんな男ではなかったはずだけど?」
ネージュ「え? どういうこと?」
アレディ「…………」
ヘイムレン「僕は震えたよ。
14歳の子供が、ここまでできるのか……
とねえ」
ヘイムレン「お師匠さんの教えが良かったのか……
いや、ただ単に子供ゆえの残酷さ
だったのかな?」
ネージュ「アレディ……?」
アレディ「言うな、ヘイムレン」
キュオン「え!? ってことは……
アレディって今17歳!?
な~んだ、若造じゃん!」
ヘイムレン「その通り。
……だからこそ、若い芽はつんで
おきたいというのもあるんだよねえ」
ヘイムレン「我々の計画の……邪魔になるからさ」
アレディ「“計画”……?」
ヘイムレン「おっと、おしゃべりはここまでにしよう。
アルクオン君も退屈そうだよ?」
アルクオン「…………」
ネージュ「話を聞いているのかしら?
……どういうつもりなの?」
キュオン「ただ暴れるだけのロボットじゃないんだ」
アレディ(アルクオン、何を迷う? 何を求める?
そして何のために覇龍の塔を出た……?)
ヘイムレン「アルクオンは、
決めかねているのかもしれない」
ヘイムレン「僕とキミ……どちらの覇気が、
操者としてふさわしいかをねえ……!」
アレディ「……いいだろう、操音のヘイムレン。
剛錬のアレディ、相手になる!」
アレディ「勝ったものがすべてを得る。
……羅刹機アルクオンは、私が持ち帰る!」
ヘイムレン「いいじゃないか、アレディ君!
そうこなくてはねえ!」
【ヘイムレン・シルバート、獣羅・先遣隊、羅刹機リトスとの戦闘】
ヘイムレン「これは……予想外だったねえ。
お姫様たちがこんなに強いとは……」
キュオン「ふふ~ん、
オルケストル・アーミーを
なめちゃダメだよん!」
ネージュ「お気に召しましたら、
もっとドすんごいアレコレを
見せて差し上げますけど?」
ヘイムレン「遠慮しておきますよ、妖精の姫。
……アレディ君のようになっても
困るのでねえ」
アレディ「なに……?」
ヘイムレン「3年前より、
技のキレは段違いに鋭くなったよ」
ヘイムレン「だけど、
今のキミには、あの頃のギラついた……
禍々しいまでの覇気がない」
ヘイムレン「アルクオンは、
そんなキミを選んでくれるかな?」
アレディ「…………」
ネージュ「ほら、ボヤボヤしないの! アレディ!」
アレディ「はい……!」
(アレディとネージュがアルクオンに向き直る)
アレディ「漆黒の羅刹機、アルクオンよ!
我が覇気に応えよ!」
アルクオン「…………」
(アレディから覇気が立ち昇るが、
アルクオンがマーカス・タウンの方を向いてから消える)
ネージュ「え! 逃げましたわよ!?」
アレディ「アルクオン! なぜだ!」
ヘイムレン「どうやら、この場にいる全員……
漆黒の羅刹機のお眼鏡には
かなわなかったようだねえ」
ヘイムレン「それとも……
我々よりも、もっと強い力を持つものが、
この先にあるのか……かな」
アレディ「私たちよりも……強い力!?」
マーカス・タウン
キュオン「この先へ向かったよ!?
上はすぐにマーカス・タウン……
街が大変なことになっちゃう!」
ネージュ「すぐに追いかければ間に合いそう!
ド急ぎましょう!」
ヘイムレン「おっと!
その役目は、僕が一番乗りと
させてもらおうかな」
ヘイムレン「君たちには、少しおとなしくしていて
もらおうかねえ」
(アレディ達がヘイムレンの方を向く。
ヘイムレンが笛を奏でると、アレディ達が金縛りになる)
アレディ「しまった!」
ネージュ「な、なに!? 今の笛で……体が!?」
キュオン「し、しびれるぅ~!」
ヘイムレン「そういうことだよ。
油断したねえ、アレディ君」
ヘイムレン「ひどくやられて、
いつもの力は出ていないけれど、
今はこれで十分さ」
ヘイムレン「では、お先に失礼するよ。
……また会う機会もあるだろうけどねえ」
(ヘイムレンがマーカス・タウンの方へ立ち去る)
ネージュ「な、何なの? 今の……」
アレディ「不覚をとりました……!
ヘイムレンの笛の音は、魔性の調べ」
アレディ「人の心のスキに入り込み、
精神を意のままに操る力があるのです。
“操る音”……それが二つ名の意味です」
キュオン「あ~、びっくりしたよん。
うるさい方の“騒音”じゃなかったんだ」
ネージュ「アレディ、彼はあなたのことを
よく知っているようだったけど……
いわゆるライバルってやつなのかしら?」
アレディ「…………」
アレディ「いつか倒さねばならぬ相手。
……それだけです」
キュオン「ちょっと! キメてる場合じゃないよ!
追っかけなきゃ!」
アレディ「そうですね。行きましょう……!」
(アレディ達が歩き出し、ネージュは階段前で立ち止まるがアレディはそのまま進む)
ネージュ(アレディの過去……か)
ネージュ(少しだけ……気になりますこと)
(ネージュも立ち去る)
キュオン「は~い、
ここがマーカス・タウンだよん!」
アレディ「これは……なんと立派な街だ。
戦車の上にこんなものがあるとは……」
キュオン「ここはね、以前あった『10年戦争』で
住む所をなくしちゃった人とか……」
キュオン「生き残った妖精族の人たちが、
住む街なんだよね」
ネージュ「え……!? どういうことかしら!?」
ネージュ「この戦車は間違いなく、
ジャイアント・マーカス号……」
エルフェテイル
ネージュ「エルフェテイル西部の侵攻に使われた、
フォルミッドヘイムの巨大兵器」
ネージュ「どうして、
そんなことをするのかしら?」
ネージュ「それに、私たちが戻ってきたと聞いた時の
あなたの喜びようもド不可解よ?」
キュオン「…………」
???(カッツェ)「それは……
アタシの方から説明しましょうかねェ」
ネージュ「…………!」
アレディ「獣羅……?
いや、違う……あなたは何者ですか?」
カッツェ「アタシはカッツェ……
この街の代表ってトコロよ?」
アルクオン
アレディ「カッツェ殿、この街に
白髪の黒い機兵が入り込んだはず。
……ご存知ありませんか?」
ヘイムレン
キュオン「あと、ピエロみたいなカッコした、
ちょっとイケメンの悪いヒトも、
このマーカス・タウンに入ったんだよ!」
カッツェ「見ての通りよ? 街は平穏そのもの」
キュオン「え?」
アルクオン
カッツェ「まあ、まったく問題が
なかったわけではないけどねェ。
……その白い髪のロボットなら見たし」
アレディ「その機兵は、今どこに!?」
カッツェ「…………」
カッツェ「それにしてもアナタ……
その若さで……すごいカラダを
しているのねェ……」
アレディ「は……?」
カッツェ「鋼のような筋肉……
特にその腹筋がステキ……!」
カッツェ「近年まれに見る“上玉”じゃないの」
アレディ「この方は何を……。キュオン殿?」
キュオン「あ、このヒトはね、
男の子が大好きなんだよ♪」
アレディ「そ、そんな軽く……! そして馬鹿な!」
カッツェ「ウフフフフ……
ウソかホントか……教えてア・ゲ・ル」
ネージュ「ふう……
そろそろ説明していただけるかしら?」
ネージュ「フォルミッドヘイム、
特殊任務実行部隊
オルケストル・アーミー副長……」
ネージュ「……カッツェ・コトルノス」
カッツェ「…………」
アレディ「この方が……敵組織の副官!?」
アルクオン
カッツェ「質問に順番に答えると……
白髪のロボットは、もうこの街から
去っているわ」
ヘイムレン
カッツェ「緑髪のボウヤも、それを追いかけてね」
アレディ「ヘイムレン……逃がしたか」
ネージュ「何もせずに去ったってこと?
じゃあ、何のためにここに来たのかしら?」
カッツェ「何もされなかったワケじゃないのよねェ。
……あのロボットに、持って行かれた
モノがあるのよ」
キュオン「持って行かれた?」
黒いミルトカイル石
カッツェ「……研究中の
“黒いミルトカイル石の結晶”をね」
覇龍の塔の黒いミルトカイル石
アレディ「ミルトカイル石……
覇龍の塔で見た、あの黒石のことですね」
ネージュ「どうしてそんな物がここに?」
カッツェ「あの黒石が現れたのはつい最近のこと。
……それまで、赤と青のタイプは
確認されているんだけどねェ」
エスピナ城
カッツェ「赤いミルトカイル石は、
かつてエスピナ城の妖精族たちを
どこかへ飛ばしてしまった……」
ネージュ「…………」
カッツェ「そんな力を持った石の、
新しいやつが出てきちゃったら……
これは調べておくべきでしょ?」
アレディ(それを奪った……?
アルクオン、何が目的なんだ?)
ネージュ「では次の質問の答え……の前に、
ここは暑くて仕方ありません」
ネージュ「どこかドゆっくりと話をできる場所は
ございませんの?」
ネージュ「良いスイーツのお店があるとか
聞きましたけれど?」
キュオン「そうそう!
喫茶『スイート・ガイズ』つてお店だよ♪」
カッツェ「ウフフ……
そうね、いつまでも立ち話もナンだし……
ご案内しましょうかねェ」
カッツェ「エルフェテイル北部……
ハウゼン家の姫、ネージュ・ハウゼン様?」
ネージュ「…………」
カッツェ(妖精族たちの帰還、異邦人シュラ……。
そして黒いミルトカイル石)
カッツェ(さらには、
“正体不明の敵”の件もある……)
カッツェ(新しいエンドレス・フロンティアに、
間違いなく何かが起ころうとしているな)
カッツェ(貴様はどう動く?
フォルミッドヘイム新王……エイゼル)