…いつからだろうか?
この世界が“組み上げられ”
始めたのは。
数千、数万年前からと
言う者もいる。
始めからそうだったと
言う者もいる。
……だが、真実を知る者は
一人もいない。
確かなことはひとつだけ。
極めて近く、限りなく遠い世界
同士が、「クロスゲート」と
呼ばれる“門”で繋がっていると
いうことだけだ。
異世界の住人達の邂逅は、
大きな混乱を招き、
やがては“争い”を生んだ。
その戦いもいつしか終わり……
世界は危うくも絶妙な均衡を
保ちつつ、平穏な時を刻んでいた。
しかし…23年前。
どこからともなく落下してきた、
「飛行戦艦」と思しきものの残骸。
それが世界の歴史を
変えることになる。
…“未知なる開拓地”の歴史を。
…いつからだろうか?
この世界がそう呼ばれ始めたのは。
様々な“世界”が、
あらゆる“人”が、
そして“刻”さえも混ざり合う。
……ここが、無限のフロンティア。
ハーケン「さて、始めるとするか。
……いくぜ、アシェン」
アシェン「了解です」
ハーケン「あれから…20年、か」
アシェン「正確には23年と63日です、
ハーケン・ブロウニング艦長」
ハーケン「フッ…細かいな、アシェン」
ハーケン「…昔話は後にするか。
ともかく、ようやくこの飛行戦艦の
探索許可が下りた」
ハーケン「ここで何があったのか…
いや、何があるのか…確かめる時さ」
アシェン「わかりました。
…がんばってください」
ハーケン「ああ。
……って、お前も関係あるだろ」
アシェン「細かいですね、艦長」
ハーケン「細かくない。
いいから早いところ、そこのドアロックを
解除してくれ」
ハーケン「入り口で引っかかっては、
探索もへったくれもない」
アシェン「ラジャーなのです」
(アシェンが扉に近づく)
アシェン「……」
アシェン「…………」
アシェン「………………」
アシェン「…なんかダメです、艦長。
暗号とかすごい複雑だし、調べるのも
かなり面倒です」
ハーケン「いや、そこは細かくいけよ。
何のためにお前を連れて来たと
思ってるんだ?」
アシェン「了解。
…演算処理強化のため、特殊コードを
発動します」
ハーケン「…“あれ”か。
確かにパワーは稼げるが……」
ハーケン「OK、シンデレラ…やってくれ。
ここを開けなければ始まらん」
アシェン「了解。……では」
(アシェンから白い煙が出る)
ハーケン(熱暴走によって、一時的に性能を
アップさせる…か)
ハーケン(相変わらず不思議なアンドロイドだが、
役に立つ。だが……)
(コードDTDが発動している)
アシェン「コードDTD発動っ!
ボクにまかせときんしゃ~い!」
ハーケン「…これがなければな。
おい、アシェン」
アシェン「ん~? 何かな~?」
ハーケン「何かな、じゃない。
何のために発動したんだ、お前は」
アシェン「皆まで言わずとも了解ちゃん!
この扉をブチ破ればいいんだよね?」
ハーケン「…演算処理強化のため、と言っていた
気もするが…まあ、そういうことさ」
アシェン「ウィース、じゃあやるよん!
……ゲンブ・スパイクッ!」
ハーケン「おいおい…」
(扉が壊れて開く、アシェンから白い煙がでる。アシェンが通常モードに)
アシェン「艦長、開きましたなのです」
ハーケン「……OK、結果オーライってことだな。
さて、行こうか」
アシェン「了解です」
ハーケン(23年前のあの日……
俺とアシェンが拾われた場所、か)
ハーケン「ん?」
アシェン「どうしました? 艦長」
ハーケン「いや……どうも嫌な感じだな」
アシェン「……たしかに、
動体反応がいくつか確認できます」
ハーケン「武器の確認はしておくか…」
ハーケン「中は荒れ放題だが…
動力は生きているらしいな」
アシェン「先ほど戦闘を行った相手は、
この艦の防衛システムだと思われます」
ハーケン「働き者だな。
20年経った今でも…鉄の墓標を
守り続けているというわけ、か」
アシェン「キメるのは勝手ですが、
これからどうしますか? 艦長」
ハーケン「逃げ帰るわけにもいかないだろ?
先に進むだけさ」
ハーケン「というわけで、この扉だ。
さっきみたいにサクっと頼むぜ?」
アシェン「善処します」
(アシェンが扉に近づく)
アシェン「…ダメです。これはあきまへん」
ハーケン「またお前は…。すぐに音をあげるなよ」
アシェン「いえ、この扉はカードキー式です。
先ほどのようにショートさせて開く…
ということはできません」
ハーケン「…なるほど。
ぶち破るにしても、今の装備では無理か」
ハーケン「とりあえず後回しだ。
都合よくキーが見つかるとも思えんが、
他の場所を探してみるか」
ハーケン「ん?
…おい、こいつはどういうことだ?」
アシェン「熱源反応。
どうやら人間のようです」
ハーケン「ああ、デカい奴が寝こけてやがる」
???(神夜)「…ん…もう……食べられません……」
アシェン「そこのベタな台詞を言っている人物…
身長は170cm程度です。
さほど大柄とも思えませんが?」
ハーケン「…そういう意味じゃない」
アシェン「ゲスな意味であれば、100前後と
思われます」
ハーケン「………!」
ハーケン「…アシェンよ」
アシェン「はい」
ハーケン「その言葉が聞きたかった」
アシェン「ありがとうございます」
アシェン「で、どうします? 艦長。
叩き起こしちまいましょうですか?」
ハーケン「フッ、野蛮だな。
ここはソフトタッチでだな……」
(寝てる人物が起きる)
???(神夜)「…あ、あのう……」
ハーケン「おっと…起こしちまったか」
ハーケン「OK、スリーピングピーチ。
よく眠れたかい?」
???(神夜)「え? あ、はい…おはようございます」
ハーケン「その格好からすると、君は“隣の世界”、
カグラアマハラの者か?」
???(神夜)「そうなりますね……」
ハーケン「このエリアへのドアにはロックが
かかっていたはずだ。
…どうやって入った?」
???(神夜)「ろっく? 扉の横にあった『鍵装置』を
ちょいちょいといじったら、普通に
開きましたけど…?」
ハーケン「…………アシェン」
アシェン「そういうこともあります」
ハーケン「ちっ、艦内の防衛システムがすでに
起動していた理由はこれか」
ハーケン「OK、カウガール。
こんな所で寝てたら、カゼ引くだけじゃ
済まないぜ?」
ハーケン「迷い込んだ…
というんなら、俺…いや、私めが
お送りいたしましょう」
???(神夜)「本当ですか? ありがとうございます!
感謝感激、極まりないです!」
アシェン「いわゆる送りウルフです。
お気をつけを。」
ハーケン「余計なことは言わなくていい」
ハーケン「紹介が遅れたな。
俺はハーケン…ハーケン・ブロウニング。
ケチな賞金稼ぎさ」
アシェン「そのケチに忠誠の限りを尽くす部下、
アシェン・ブレイデルでやんす」
神夜「あ、これはどうも、ご丁寧に…。
楠舞神夜(なんぶ・かぐや)と申します」
ハーケン(……ん? ナンブ……?)
(神夜に知られないように)
アシェン「艦長、データ検索をかけますか?」
ハーケン「ああ、やってくれ」
アシェン「…………ナンブ・カグヤ。
カグラアマハラに居城を持つ、
ナンブ・ファミリーの…プリンセスです」
ハーケン「ビンゴだな。
…確か捜索願いが出ていたんじゃないのか?
しかも報奨金つきで」
アシェン「その通りでございましたりします」
ハーケン「うまい話っていうのはあるもんだ。
労せずして一儲けってわけか」
神夜「急にどうしたんですか?
楽しいお話なら、私も混ぜてください♪」
ハーケン「OK、プリンセス。
とりあえず道中で話そうか。
…楽しい話というより、お金の話をな」
神夜「あ、もしかして…
気づかれちゃいました…?」
アシェン「はい。で、おいくらで?」
ハーケン「ストレートすぎるぞ、アシェン」
ハーケン「ま、そういうことだ、お姫様。
どうしてこんな所にいたのか、詮索は
しないが、ご同行願いましょうか」
神夜「……わ、わかりました」
[楠舞 神夜が仲間に加わりました。]
[貴重品 “カードキーLV1”を手に入れた]
???(WR・レッド)「…………」
ハーケン「なんだ…?
同業者…ってわけじゃなさそうだが…」
神夜「あら? この人……
アシェンさんと同じ“からくり”の人?」
ハーケン「…なに?」
アシェン「そのようです」
???(WR・レッド)「ターゲット…
コードナンバー……確認。
攻撃開始」
ハーケン「話し合うつもりはないらしいな。
…OK、アンノウン。勝負してやるさ…!」
【WR・レッド×2との戦闘】
(コードDTD発動中)
アシェン「う~ん、やっぱ話になんないよね~」
ハーケン「熱暴走モードを使っても無理か。
…1ランク上のカードが必要らしいな」
アシェン「ちょっと、
もう一枚くらい挟まってんじゃないの!?」
神夜「な、なにがですか……?」
ハーケン「アシェン、プリンセスに無礼を働くな。
…ま、それを調べるのは楽しそうでは
あるが…」
ハーケン「OK、ガールズ。
とりあえず『ツァイト』に戻るぞ」
アシェン「はいな~」
神夜「『つぁいと』…? なんですか?」
ハーケン「ツァイト・クロコディール…
俺達の家みたいなもんさ。
…だいぶポンコツだがな」
ハーケン「お送りするついでに
ご案内いたしますよ、プリンセス」
神夜「あ、はい…よろしくお願いしまぁす!」
ハーケン「…………」
ハーケン(さっきの赤いアンドロイド……
妙に気になるな…。なんだ…?)
(ハーケン達が立ち去った後、扉が開き、ピンク色のアンドロイドが出てくる)
???(カルディア)「…………」
ハーケン「よう、戻ったぜ。リィ副長」
リィ「おお、ご無事でしたか、艦長。
首尾はいかがで?」
ハーケン「まあまあ、だな。
痛んではいるが、艦の動力は生きてるし、
無愛想な連中にも絡まれた」
ハーケン「……先は長そうだぜ。
ああ、これ、おみやげだ」
神夜「ど、どうもこんにちは」
リィ「ほほう! これは上玉…!
ハッキリ言って、うまそうですな」
神夜「え、ちょ、ちょっと!」
アシェン「おみやげというのは、たとえ話です。
駅前でケーキを買ってきた、みたいな
感覚で話さないでください」
リィ「なんだ、そうじゃないのか?
久々に生きた肉っていうのも…」
ハーケン「副長、ゲストを怖がらせるなよ。
それに、この娘は……」
???(鞠音)「間違いなく国際問題になりますわ。
自重していただけませんこと?」
ハーケン「そういうことだ、副長。
…それにしてもマリオン博士、
ラボから出てくるなんて珍しいな」
神夜「まりおん……?
あの、あなたはもしかして……」
鞠音「お察しの通りです、楠舞神夜姫。
私は澄井鞠音(すみい・まりおん)…
神楽天原の出身ですわ」
鞠音「正確には、エルフェテイルの妖精族と
神楽天原の人間とのハーフですが」
アシェン「そのため、年齢不詳です。
性格のゆがみ方からして、それなりに
高齢と思われます」
鞠音「…メンテの時に、
誤って分解しますわよ、アシェン」
(コードDTD発動)
アシェン「ん~? な~に~?」
リィ「まさかプリンセス・カグヤとは。
…先ほどは失礼を。
この艦の副艦長、リィ・リーです」
神夜「よ、よろしくお願いします…
食べないでくださいね?」
リィ「ご安心を。
そこらの賞金首なんぞより高い
報奨金がかかっているお方ですからな」
神夜(…報奨金がかかってなかったら、
どうなってたのかしら…)
鞠音「そうそう、艦長。
賞金首といえば、情報がひとつ」
ハーケン「珍しいじゃないか、
博士が賞金首に興味を持つとは。
こりゃ相当な大物かな?」
ハーケン「隣の“ドロシー”か、
“シレーナ海賊団”あたりに、
とうとう賞金でもかかったか?」
鞠音「いいえ、新顔ですわよ。
……名を“ファントム”」
神夜「え……? ふぁんとむ……?」
ハーケン「亡霊、か。
どんな奴なんだ? 博士」
神夜「あの…それって、真っ黒い鉄の鎧みたいな
「からくり」のことですか?」
鞠音「姫はご存知のようですわね。
神楽天原の“伝統攻芸・戦術からくり”に
近い存在…」
鞠音「黒い金属製のボディを持つ、
パーソナルトルーパーですわ」
ハーケン「パーソナルトルーパーだって?
おい、アシェン、そいつは確か……」
アシェン「隣の世界…エルフェテイルにおいて、
3年前に終結した『10年戦争』……」
アシェン「その時に確認された、
中型戦闘用ロボットの総称です」
ハーケン「おいおい…
まさか、また戦争じゃないだろうな?」
鞠音「可能性はゼロではありませんわね」
鞠音「ファントムは戦時中に確認された
“ナハト”、“アーベント”と同タイプ
とのことでしてよ」
ハーケン「ちっ…
厄介なことにならなきゃいいがな」
リィ「む? なぜ、カグラアマハラの姫さまが、
この国で確認されたファントムのことを
知っておられるので?」
神夜「私たちの国では、あのからくりを
“黒き亡霊”と呼んでいます」
神夜「ここ最近、何度か現われているんです。
…犠牲者も出てしまってます…」
神夜「こちらの世界に来たのは、
楠舞家の“しきたり”で旅をしていたのも
ありますけど……」
神夜「黒き亡霊の足取りを調べる意味も
あったんです」
ハーケン「なるほど。できたプリンセスだ。
…だが、国にとっては、それで行方不明に
なられちゃたまらんな」
アシェン「そりゃ報奨金かけてでも捜すでしょう。
それで、我々のようなハイエナが
食いつく、と」
リィ「では艦長、仕上げです。
金に換えてきてください」
ハーケン「まあ俺が直接行くつもりだったが、
みんな上司である俺をこき使いすぎだぜ。
もう少し、敬う気持ちってやつをだな…」
リィ「まだまだ、ハッキリ言って、
“ダディ・ジョーン”には及んでないって
ことですよ、二代目」
神夜「だでぃ……?」
アシェン「まったくです。キザなだけではダメです」
ハーケン「おまえは敬え。
…まあいい、じゃ、行って来るぜ」
リィ「ああ、その“ダディ”から、先ほど
通信がありまして」
リィ「「顔を出せ」…とのことです」
ハーケン「ふう、どいつもこいつも…」
鞠音「艦長」
ハーケン「なんだ、まだ何かあるのかよ?」
鞠音「賞金首のファントム…
連れて来ていただけませんこと?」
ハーケン「……は?」
鞠音「これまでの記録を分析すると、
異世界の技術がふんだんに使われた、
かなり興味深い機体…」
鞠音「ふふふ……ゾクゾクしてきますわ。
分解して、また組み立てたいのです」
ハーケン「それじゃ、賞金に換えられないだろが…。
わかったよ、見つけたら努力はするさ」
リィ「では…ご武運を、艦長。
今度は食えるお土産を頼みますよ」
鞠音「あと、ファントム」
ハーケン「OK、わかった、わかったよ」
アシェン「エネルギー反応。
…ゲートが不安定になっているようです」
ハーケン「…またか。
ここの『クロスゲート』は、相変わらず
安定しないな」
神夜「くろすげーと……
ああ、『交鬼門(こうきもん)』の
ことですね」
神夜「でも、どうしてここの門は、
閉じてしまっているんでしょう?」
アシェン「クロスゲートは、未だ謎の部分が
多かったりいたしまするのです」
アシェン「そもそも、どうして各世界が
すべて共通のゲートで繋がっているのか
ということからして謎です」
ハーケン「だから、
どうしてご機嫌ナナメなのかも謎なのさ」
神夜「謎が謎を呼ぶこと極まりないですね。
そして、そんな不安定な世界で
暮らしている私たちって…」
ハーケン「OK、シンキング・ピーチ。
深く考えても仕方がない。
どの道、俺たちには関係ないことさ」
ハーケン「レクチャーは終わりだ。
続きは旅の途中ということでな」
アシェン「とりあえずは
“ダディ”の所に向かいましょう」
ハーケン「…そうだったな。面倒な話だ」
神夜「だでぃ…?
さっき、戦艦の中でも言ってましたけど、
どなたのことですか?」
ハーケン「ん、まあ……オヤジだな。
元賞金稼ぎで、今ではこの国唯一の街…
トレイデル・シュタットの代表サマさ」
神夜「ハーケンさんのお父様?」
神夜「それはご挨拶をしておかねば
なりますまいです!」
ハーケン「……勘違いされるからやめてくれ」
アシェン「そうです。
それに、男の方から出向くのが普通です」
ハーケン「フッ、
俺はそんな一般論に縛られはしないがな」
ハーケン「ともかく、トレイデル・シュタットは、
次の鉄橋を渡ればすぐだ。
サクサク済ませようぜ」