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生まれ落ちた過ち ~ 第34話 ~

〈ヒュポクリシスのHP40%以下〉

ラリアー「まただ……まだ!!」
ティス「ラリアー、しっかりしな!」
(北端にデュミナス・プロトーンが出現)
フィオナ「な、何なの、あれ!?」
ラウル「あれがデュミナスだ!」
ラミア「ようやく現れたな……人形遣いが」
ティス「デュ、デュミナス様……!」
デュミナス「あなた達だけでは、 彼らを止められないようですね」
ラリアー「す、すみません……!」
デュミナス「準備は整いました。 ですが、目的を果たす前に 規格外の存在達を排除せねばなりません」
デュミナス「ティス、ラリアー…… お前達が召される時が来ました」
ティス「は、はい……」
ラリアー「……わかりました……」
ラウル「召されるって…… どういうことなんだ!?」
デュミナス「あの子達は 私が創り出したテクニティ・パイデス…… 言わば、私の一部……」
デュミナス「それが今、元に戻り…… 私の血肉となるのです」
ラウル「なっ……!?」
ティス「デュ、デュミナス様…… あたいとラリアーは……?」
デュミナス「私と同化し、 その存在は消えることになります」
ティス「や、やっぱり………」
ラリアー「………」
デュミナス「何をしているのです?  お前達の命は私が生み出したもの…… それを私に返すのです」
デュミナス「嫌とは言わせませんよ?  私はあなた達の創造主なのですから」
ティス「………」
ラリアー「はい……」
(ヒュポクリシスが青、テュガテールが黄色の光を発し始める)
ティス「デュミナス様…… あたい達……いい子だよ……。 言うこと……聞くから……」
ラリアー「……デスピニス…… 先に……行ってるよ……」
ラリアー「お母さん…… 僕達は……今、一つに…………」
(閃光、ヒュポクリシスとテュガテールが消える)
デュミナス「………」
(デュミナス・プロトーンが赤い光を発し始め、閃光、デュミナス・トリトンに変化)
リョウト「デュ、デュミナスが……!!」
アイビス「あ、あの子達、 自分の命を差し出したの……!?」
ツグミ「そうするように デュミナスは仕向けた……」
ラミア「創造主のために命をなげうつ…… そこに疑問の余地はない。 ……かつてのWシリーズもそうだった」
ラミア「だが…… 今感じるこの嫌悪感は……」
アクセル「ラミア……それでいい。 貴様がこれから背負うべきものだ」
アラド「くそっ……!  よくもあんな……あんな真似を!!」
ゼオラ「セトメ博士以下だわ、 デュミナス……!」
デュミナス「私はあの子達の創造主。 彼らをどう扱おうと、あなた方に 非難される筋合いはありません」
アラド「だけど! おれ達はああいうのが 一番許せねえんだよ!!」
ラトゥーニ「そう、いくら敵とは言え……」
デュミナス「私に罪悪感などありません」
ラウル「デスピニスは……!  デスピニスはどこへ行ったんだ!?」
フィオナ「ま、まさか…… ラージとミズホと一緒に デュミナスの中へ……!?」
デュミナス「あの子は今、 『鍵』を守っています」
ロア「『鍵』…… ソーディアンの次元転移装置だな」
デュミナス「ええ。時流エンジンや コンパチブルカイザーよりも確実で、 人間の思念集積体を必要とせず……」
デュミナス「創造主の所へ至る『扉』を 開くための『鍵』……」
ロア「……お前の創造主とは、 ダークブレインか?」
デュミナス「そうです」
ギリアム「………」
シュウ「………」
コウタ「ダークブレインの所へ行って、 てめえは何をする気だ!?」
デュミナス「私が何者であるか、 私は何のために造られたのか…… それを知るために」
コウタ「何!?」
フィオナ「自分の存在理由を 知らないの!?」
デュミナス「あなたは 知っているのですか?  自分が何のために存在しているのか……」
フィオナ「生きるためよ!」
ラウル「そ、即答するんだな」
フィオナ「ん~、勢いで」
フィオナ「っていうか、 あなたがツッコミ入れないでよ!」
デュミナス「生きるため…… あいまいな答えですね」
フィオナ「他にも色々あるけど、 あんたに説明する気なんてないわ!」
デュミナス「……私は知りたいのです。 私の存在意義を……」
デュミナス「ダークブレイン様は 何のために私を造られたのか…… 私の本当の役目は何なのか……」
コウタ「お前、 それを教えてもらってねえのかよ!?」
デュミナス「ええ。 私が生まれ、自我を持った時…… 私は一人でした」
コウタ「………」
デュミナス「あの方についてのデータは、 私の中にほとんど残っていない……」
デュミナス「私に与えられたはずの 役目に関するデータもない…… 私がどこで生まれたのかもわからない」
デュミナス「創造主が 私に与えてくれたのは、 デュミナスという名前と……」
デュミナス「この身体や力…… エミィ・アーマー、 Gサンダーゲート……」
デュミナス「それらぐらいのものでした」
ロア(だが、俺はデュミナスの存在を 知らなかった。あれは俺との決戦の後で 奴が造りだしたものなのか……?)
デュミナス「そして、 私は自問自答を続けました」
デュミナス「私は何者なのか…… 私は何のために造られたのか…… 私が果たすべき役目は何なのか……」
デュミナス「そして、至った結論は…… 創造主ダークブレイン様にもう一度会い、 それらの答えを出してもらうことでした」
ラミア(創造主に答えを……か)
デュミナス「私は自分の機能を使って、 様々な世界へ行き……創造主を 捜しました」
アクセル「なるほど。その途中で、 おれやラウル達と出会ったということか、 こいつは」
デュミナス「そうです。 そして、あの時……時流エンジンとの 共鳴で私はこの世界へ来ました」
イルム「傍迷惑な自分探しの旅だね、 まったく」
タスク(……妙だな)
ギリアム「何故、この世界に居座った?」
デュミナス「ここには、 私が求める因子が揃っていたからです」
デュミナス「あるいは…… 私のような存在を引き寄せる何かが、 この世界にあるのかも知れません」
シュウ「なるほど……」
シュウ「ギリアム少佐、シャドウミラー、 コンパチブルカイザー、エクサランス、 ソーディアン、そして……あなた」
シュウ「それらのものが この世界に転移してきた理由は、 単なる偶然で片付けられませんからね」
ギリアム「………」
アクセル(シュウ・シラカワ、 そしてヘリオス・オリンパスも…… おれと同じく、気にしているようだな)
アクセル(偶然という言葉では 説明のつかない……今の状況を)
タスク「どうも腑に落ちねえんだよな。 デュミナス、あんたは俺達より先に 修羅の連中と接触したんだろ?」
デュミナス「そうです」
タスク「なら、 なんでソーディアンの秘密に 気づかなかったんだ?」
デュミナス「それが…… この世界で私が犯した大きな過ちでした」
デュミナス「転空魔城に関するデータが 私のメモリー内になく……」
デュミナス「ミザルが、この中枢部に 関する情報を私に開示しなかったせいも ありますが……」
デュミナス「私は転空魔城……いえ……」
デュミナス「ラディ・エス・ラディウス4と 創造主ダークブレイン様に関係があるとは 思わなかったのです」
フォルカ「何っ……!?」
コウタ「マジかよ!?  ロア、てめえは知ってたのか!?」
ロア「いや……俺もこの世界へ来て、 初めてソーディアンを見たからな」
ギリアム「ラディ・エス・ラディウス4…… それがソーディアンの本当の名か」
シュウ「ダークブレインと ラディ・エス・ラディウス4…… その二つにはどのような関係が?」
デュミナス「私にはわからない…… ヒントとなったのは、ミザルが示した “闇黒の叡智”という言葉……」
ロア「ダークブレインを指すものだな」
デュミナス「そうです。 このラディ・エス・ラディウス4は 創造主が造り出した物かも知れない……」
デュミナス「ならば、 その次元転移装置は……あの方の所へ 辿り着く『鍵』になるかも知れない……」
デュミナス「私はそう考えたのです」
リュウセイ「おいおい、 生体コンピューターっぽい割には、 随分とあてずっぽうな考えじゃねえか」
タスク「そう、それなんだよ」
リュウセイ「え?」
タスク「おめえでも それに気づくってことは…… 俺の勘は当たってるな」
リュウセイ「でも……って、オイ」
ラトゥーニ「……タスク少尉の 言っている意味がわかったわ」
ライ「ああ。おそらく、デュミナスは……」
リュウセイ「待て待て!  俺にもわかるように説明しろよ!」
デュミナス「私は 自分の存在理由を知りたい……」
デュミナス「私が何者なのか知りたい……」
デュミナス「そのためには、秩序が必要。 創造主から答えをもらうために…… 規格外の存在を排除します」
デュミナス「二度と過ちを犯さぬよう…… 私の存在を否定する者を否定します」
シュウ「フッ……やはり、あなたは……」
フィオナ「デュミナス!  あなたに答えなんか出させないわよ!」
ラウル「ああ!  ここでお前との因縁を断ち切る!」
デュミナス「私を否定する者は許さない。 お前達は私が作り出す秩序を乱す。 その存在を抹消し……」
デュミナス「長き放浪の旅に 今度こそ終止符を打ちます」
フィオナ「エターナルとライトニングは、 あなたを倒すためにラージとミズホが 作り出したもの!」
ラウル「あの二人を助け出すためにも、 ここで決着をつける!!」

〈vs デュミナス〉

[キョウスケ]

キョウスケ「自分の目的のために 多くのものを駒として利用してきた ツケ……それを払う時が来たぞ」
デュミナス「愚かな……。 人間の力で、この私の秩序を 打ち破ることなど出来ません」
キョウスケ「お前はユルゲン博士を通して 知っているはずだ……」
キョウスケ「俺達が規格外…… その中でも並外れた存在であることをな」

[エクセレン]

デュミナス「私の存在を否定するものは、 私がその存在を否定する……」
エクセレン「ラミアちゃんを利用した罪…… あなたの命であがなってもらうわよ。 ……あなたに命があるのなら、ね」

[ラミア]

デュミナス「あなたはもう用済みです。 ここで消えなさい」
ラミア「以前の私なら、 それを受け入れただろう……」
ラミア「たが、今の私は違う」
デュミナス「何が違うというのです、 W17? あなたは人ではなく、 人形……」
デュミナス「そして、 私はあなたにとって第二の創造主……」
ラミア「しかし、お前は私に役目は与えても 希望を与えはしなかった」
ラミア「私に託された希望…… 私は、それによって己を取り戻すことが 出来たのだ……!」

[リュウセイ]

リュウセイ「デュミナス! あの子達は、 お前の子供じゃなかったのかよ!?」
デュミナス「私は創造主……。 私が造ったものは全て私が自由にする 権利を持つのです」
リュウセイ「勝手なことを!  俺のお袋はいつだって俺のために 一生懸命だった!」
リュウセイ「母親の役目を 都合のいいように捻じ曲げてるお前を、 俺は許さねえ!!」

[アヤ]

アヤ「デュミナス……!  母親の名の下に、あの子達の命を 奪うなんて!」
デュミナス「私は創造主……。 あの者達は道具に過ぎません」
アヤ「なら、どうしてあの子達に 感情を持たせたの!? それがどれだけ 残酷なことか理解できないの!?」

[リオ]

リオ「親のエゴで子供達を 完全な道具にしてしまうなんて!」
デュミナス「命など、私の力があれば 幾らでも生み出せるものです」
デュミナス「重要なのは、 私の存在を守ることであり、 私が疑問を明らかにすることです」
リオ「じゃあ、私があなたが何者かを 教えてあげるわ!」
リオ「あなたは邪悪な機械の塊よ!  自分が犯してきた過ちと共に ここから消え失せなさい!」

[タスク]

タスク「お前が何であんな疑問を 持つようになったか、わかったぜ」
デュミナス「………」
タスク「ご大層な能力を持っちゃいるが、 所詮、お前は……!」

[アイビス]

アイビス「あの子達にとって あんたは母親だった! その想いを あんたは踏みにじった!」
デュミナス「想い……?  そのようなもの、私の秩序の中には 必要ありません」
アイビス「あんただって、 結局はダークブレインのために 戦っているんでしょ!?」
アイビス「あの子達の気持ちが わかるはずだよ!」
デュミナス「私は あの子供達のような道具とは違います」
アイビス「わからずや!  だったら、あたしがあんたに痛みを 教えてあげるよ!」
アイビス「あの子達は心に その何倍もの傷を負ったんだからね!  覚悟しなよ!!」

[カイ]

デュミナス「あなた達は、 私の秩序を乱す存在です。 故に、消去します」
カイ「フン…… 全知全能を気取るかと思ったが、 随分と単純な理屈だな」
カイ「ヘルゲート戦の雪辱、 ここで果たさせてもらうぞ!!」

[ギリアム]

ギリアム「デュミナス、 お前と俺が求める答えは、 ここにはない……」
デュミナス「あなたの疑問は、 何なのです?」
ギリアム「ラディ・エス・ラディウス4と ダークブレインの関係……」
ギリアム「だが、ゲートを開いてまで その答えを引き出すつもりはない!」

[ゼンガー]

ゼンガー「ヘルゲートでの敗戦を乗り越え、 我らはここまで来た……!」
デュミナス「ですが、結果は同じ…… 答えは間もなく出るでしょう」
ゼンガー「それを見届けることなく、 貴様は滅び去ることになる!  剣と化した我らの意思によって!」

[レーツェル]

レーツェル「我思う、故に我在り。 昔の賢人の言葉だが…… お前はその思索の方向性を間違った」
デュミナス「それは、 私の疑問が明らかになってから わかること……」
レーツェル「お前が望む答えと 導き出される答え……はたして、 それは同一のものなのか?」
デュミナス「………」

[ラウル]

ラウル「俺達はお前と関わって、 この世界へ来た……!」
ラウル「エクサランスの時流エンジンが、 この争いの一端となってしまったんだ!」
デュミナス「ならば、消去するがいい…… あなた達の存在ごと、その『鍵』を」
ラウル「ライトニングは、 もう『鍵』なんかじゃない!  お前を倒すための力だ!」
ラウル「俺はこいつを使って、 仲間達とこの世界を救ってみせる!!」

[フィオナ]

フィオナ「あたし達のせいで、 あなたをこの世界へ呼び込んで しまった……!」
フィオナ「でも、あたしまでもが ここへ転移したのは、この事態を 収拾するためだと思っているわ!」
デュミナス「勝手な思い込みですね」
フィオナ「あなた程じゃないわよ!  時流エンジンを巡る戦いは、 これで終わらせてやるから!!」

[フォルカ]

フォルカ「デュミナスよ…… この転空魔城に、新たな災いを 呼び込むつもりか」
デュミナス「あなたにとっては災い…… ですが、私にとっては福音です」
フォルカ「俺達はもうお前の力を 必要としていない!」
フォルカ「そして、 お前に修羅の新たな未来を 否定させるわけにはいかない!」

[コウタ]

コウタ「ダークブレインなんぞを 呼び出させてたまるか!」
デュミナス「そうでしょう…… あのお方は、あなたの宿敵なのですから」
ロア「……急げ、コウタ。 一刻も早く、ダークブレインをこの世界へ 呼び込む因子を抹消しなければならん」
コウタ「ああ、わかってる!  デッカイドーごとデュミナスを 葬り去ってやるぜ!!」

[アクセル]

デュミナス「あなたは…… 私の転移に居合わせた者ですね」
アクセル「最後の、だ」
デュミナス「………」
アクセル「貴様はもう転移など出来ん。 自らが生み出した混沌もろとも ここで消滅してもらう……!」

[撃墜]

デュミナス「……違う…… これは私が求めていた……答えでは……」
デュミナス「答えを得るまで…… 存在を否定……されるわけには……」
ラウル「終わりだ、デュミナス!!」
デュミナス「答え……答えを…… 創造主に……私は……」
(デュミナス・トリトンが撤退)
フィオナ「転移した!?」
ラウル「ま、まだあんな力が 残っていたのか!?」
ロア「次元転移装置の所へ行ったか!  奴はダークブレインを呼び出す気だ!  追え、コウタ!」
コウタ「ああ!」
レフィーナ「全機、突撃!  デュミナスを追うのです!!」


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