???(エミィ)「よくも……!」
ラリアー「君をここで失うわけには
いかない! 撤退するよ!」
???(エミィ)「………」
???(エミィ)「……わかった……」
(ヒュポクリシスとGサンダーゲートが撤退)
コウタ「あっ! 待ちやがれ!!」
レーツェル「追うな、コウタ。
お前の機体は整備中だったのだろう?」
コウタ「う……」
レーツェル「ここでいたずらに
力を消耗すべきではない。
全機、帰還せよ」
エイタ「艦長、
アズマ博士を乗せたカッターが接舷しました」
テツヤ「では、博士を艦長室までご案内しろ」
エイタ「了解です」
キサブロー「コウタ」
コウタ「爺ちゃん……!
爺ちゃんもハガネに来てたのか」
キサブロー「うむ。レーツェルさんに呼ばれての」
リュウセイ「……あの爺さん、誰なんだ?」
リオ「さあ?」
マイ「きっと、ロボットを作ってる博士だ……」
リオ「何でそう思うの?」
マイ「リュウに観せてもらったアニメで、
ああいう感じの人が出てたから」
リオ「……リュウセイ君、程々にしとかないと
アヤ大尉が怒る……いえ、泣いちゃうわよ。本気で」
リュウセイ「そ、そうだネ」
イルム「うっ……やっぱり。
アズマって名前から、そうじゃないかと
思ってたが……」
リオ「中尉、あの方をご存じなんですか?」
イルム「いや、まあ……」
キサブロー「おお!
お主、イルム……イルムガルトじゃな!?」
イルム「え、ええ……。
お久しぶりです、アズマ博士」
コウタ「何だ、爺ちゃんと知り合いだったのかよ?」
キサブロー「うむ。
イルムの父親、ジョナサン・カザハラとは
古くからの友人でな」
キサブロー「ワシはちっこい頃のイルムの面倒を
何度か見たことがあるんじゃ」
イルム「そ……その節はどうも」
キサブロー「それにしても、
泣き虫で甘えん坊だったお主が、
こんなに立派になっとるとはのう! ワハハハ!」
イルム「そ、それを言うなって!」
リュウセイ「へ~え……イルム中尉が、ねえ」
リオ「あはっ、中尉にも可愛い頃があったんですね」
イルム「……小さい時は誰だってそうでしょうが」
キサブロー「それだけではないぞい。昔は……」
イルム「ストーーップ!
それ以上は俺のイメージが崩れるから!」
キサブロー「いや、別にワシは……」
イルム「艦長に呼ばれてるんでしょ!
さあ、行った行った!」
キサブロー「うむ。
コウタ、お主もついてこい」
コウタ「わかったぜ」
(足音・コウタとキサブローが立ち去る)
リュウセイ「……そうだ、マイ……
例の件、俺からラトゥーニに頼んでみるわ」
マイ「え? でも……」
リュウセイ「昔、あいつのデータのおかげで
助けられたことがあるからな。
きっといいアドバイスをくれるよ」
マイ「そ、そう……」
テツヤ「アズマ博士……
わざわざご足労いただき、申し訳ありません」
キサブロー「いやいや。
ワシもあの黒い戦闘機のことは
気になっておったからな」
キサブロー「話の前に……
ほれ、土産の雷おこしじゃ。皆で食うてくれい」
レーツェル「ありがとうございます。
……で、博士はあれをご存じなのですか?」
キサブロー「いや……ワシも初めて見た」
ゼンガー「フォルカ、お前は?」
フォルカ「俺も知らん。あれは修羅の物ではない」
ヴィレッタ「リュウセイも言っていたが、
カイザーとディテールが似ていた……。
同じ技術で作られた物では?」
キサブロー「その可能性は高いじゃろう。
しかし……」
キサブロー「ワシがロアから託されたのは、
コンパチブルカイザーとロア・アーマーだけでの。
あの戦闘機の話は聞かされておらなんだ」
コウタ「でも、ロアはあれを知ってるみてえだぜ?」
カイ「コウタ、彼と話は出来んのか?」
コウタ「それが……あの黒いのを見て、
すげえショックを受けたみてえでよ。
それから、ずっと黙り込んじまってるんだ」
カイ「ふむ……」
キサブロー「……一つ、心当たりがある」
テツヤ「何ですか?」
キサブロー「コンパチブルカイザーの背部には、
接続部のようなものがあっての。
一応、それを活かす形で修理をしたんじゃが……」
コウタ「もしかして……あの戦闘機は
コンパチカイザーとドッキングすんのか?」
キサブロー「あり得る話じゃ」
ヴィレッタ「リュウセイの予想は、
的外れではなかったということね」
コウタ「………」
キサブロー「ロアは、今のコンパチブルカイザーは
完全ではないと言っておった」
キサブロー「それは……本来あるべきパーツが
欠けておるという意味じゃったのかも知れん」
レーツェル「だとしたら、
何故それがデュミナスの手中に?」
レーツェル「そして、
コンパチブルカイザーを攻撃した理由は?」
キサブロー「ワシにも詳しいことはわからん。
だが……」
キサブロー「ロアには宿敵がおる。
異次元の扉を開き、様々な世界の支配を
目論む邪悪な存在だと言う」
ヴィレッタ「………」
ゼンガー「もしや……デュミナス?」
コウタ「親分、それは違うぜ。
ロアはあいつを知らねえみたいなんだ」
ゼンガー「ならば、修羅王……?」
フォルカ「いや。
コウタの赤い機神は、この世界へ来て初めて見た」
フォルカ「修羅王もあれや黒き翼の詳細は
知らないだろう」
キサブロー「ふむ……。
デュミナスがあの黒い戦闘機を手に入れたのは
偶然なのか……」
キサブロー「それとも、
ロアの宿敵と何らかの関係があるのか……」
コウタ「………」
コウタ「俺達であれこれ推測してても仕方がねえ。
ロアに聞くのが一番はええよ」
テツヤ「しかし……今、彼とは話せないんだろう?」
コウタ「このままずっと黙りってわけじゃあるめえ。
今度、あいつが口を開いたら、聞き出してやる」
キサブロー「そう……じゃな」
フォルカ「………」
フォルカ「コウタ、キサブロー……。
お前達に伝えておかねばならないことがある」
コウタ「何だよ?」
フォルカ「ショウコを必要としていたのは、
修羅ではない。デュミナスだ」
コウタ「!!」
フォルカ「デュミナスが
ミザルにショウコの拉致を依頼し……
俺が実行した」
コウタ「な、何のためにだよ!?」
フォルカ「それは……わからん」
キサブロー「………」
カイ「では……今、彼女はソーディアンではなく、
ヘルゲートにいる可能性が高いのだな?」
フォルカ「ああ……。
俺は……ショウコがデュミナスの下へ
送られると知って、彼女を逃がそうとした……」
コウタ「………」
フォルカ「結果は……お前も知っての通りだ。
……すまん」
コウタ「いや、もういいんだ。
ショウコの居場所を教えてくれて、ありがとよ」
コウタ「ソーディアンじゃなく、
ヘルゲートだったら、コンパチカイザーでも行ける。
デッカイドーってのがねえからな」
レーツェル「コウタ、それは……」
コウタ「わーってるよ。
一人で行くな、ってんだろ?」
レーツェル「いや……
デッカイドーではなく、絶界宝だ」
コウタ「そっちかよ!」
テツヤ「……何にせよ、
デュミナス達が再び動き始めたということですね」
レーツェル「ああ。
話を聞いている限りでは、彼らと修羅は
一枚岩ではない……」
レーツェル「そこを突けば、
我らが優勢に転ずるきっかけが出来るかも知れん」
カイ「その前に、戦力を揃えねばならん」
レーツェル「ええ、あの時の決戦と同レベルの。
……テツヤ少佐、我らはこれからテスラ研へ
行くのだが、同行できるか?」
テツヤ「ケネス司令の許可が出れば」
カイ「また難癖を付けられそうだな」
テツヤ「例の結界を破る方法の目処がついたと言えば、
文句は言わんでしょう」
テツヤ「それに、我々が今回の事態を収拾すれば、
あの男の手柄にもなりますし」
レーツェル「では……」
テツヤ「ええ。
ヒリュウ改のレフィーナ艦長にも連絡を入れます」
テツヤ「今、あの艦はウェーク島基地にいますから、
太平洋上で我々と合流するよう要請しましょう」
レーツェル「了解した」
キサブロー「……コウタ、ワシは浅草へ帰る。
ジャーダやガーネット達のこともあるし……
やらねばならん仕事が残っておるでの」
コウタ「わかったけど、
コンパチカイザーの整備はどうすんだ?」
キサブロー「ワシの方からテスラ研のジョナサンへ
カイザーの整備マニュアルを送っておく。
向こうで見てもらうとええ」
コウタ「ああ」
キサブロー「頑張るんじゃぞ、コウタ。
そして、ショウコを助け出し、浅草へ帰ってこい」
キサブロー「その時は宮古寿司の特上を取って、
お祝いパーティじゃ」
コウタ「ヘヘッ……
その話を聞いたらドケチのショウコが
怒り出しそうだぜ」
キサブロー「くれぐれも……気をつけてな」
コウタ「おう、爺ちゃんも。
必ず家に帰るぜ。ショウコと一緒にな……!」
ケネス「……結界を破る方法に目処がついただと?
その話、本当なのだろうな?」
テツヤ「ええ。
ですから、独自の行動を取ることをお許し下さい」
ケネス「クロガネと共にか。
今、彼らをだ捕するための部隊を
送り込もうと思っていた所だ」
テツヤ「彼らは我々の協力者であり、貴重な戦力です」
ケネス「フン。
で、倒せるのか? 修羅やデュミナスを?」
テツヤ「それは……まだ何とも言えません。
しかし、尽力するつもりです。
地球圏の人々のために……」
テツヤ「そして、司令の名誉と功績のために」
ケネス「………」
テツヤ「今、自分がこうしていられるのは
司令のおかげだと思っています。本来なら、
解任されてもおかしくありませんから」
ケネス「フン……
身の振り方がわかってきたようだな、少佐」
テツヤ「はっ。
自分は、これからも司令の下で働きたいと
思っております」
ケネス「いいだろう。貴様の好きにするがいい」
ケネス「ただし、必ず結果を出せ。
ヘルゲート攻略作戦のような無様な真似は許さん」
テツヤ「肝に銘じます」
ケネス「では、以上だ」
(通信切れる)
テツヤ「ふう……」
エイタ「上手いじゃないですか、あのタコの扱い」
テツヤ「ああでも言わんと、許可は下りんからな」
エイタ「まあ、わかりやすい人ですからねえ」
テツヤ「それよりも……
これからは今まで以上に忙しくなるぞ」
エイタ「タコ親父の命令で
あっちこっちへ行かされるよりはマシですよ」
エイタ「ただ……
ダイテツ艦長のお墓参りに行けなくなったのが
心残りですけど」
テツヤ「行くさ。
ヘルゲートを破り、ソーディアンを叩き折った後でな」
ラトゥーニ「え……?
R-1とART-1の連携攻撃パターン……?」
リュウセイ「ああ。同じ系統の機体だし、
飛行形態への変形をパターンに組み込めば、
いい感じのヒット&アウェイになると思うんだ」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「戦いはこれから厳しくなる一方だしな。
少しでも強い攻撃パターンを編み出したい」
リュウセイ「それに、
マイは格闘戦がちょっと苦手だから、
それを克服させてえんだ」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「モーション・パターンは
一応俺が組んでみたんだけど……
見て、意見を聞かせてくれねえかな」
ラトゥーニ「そのパターンを使うのは、
リュウセイとマイなの……?」
リュウセイ「ん? ああ、そのつもりだけど……」
ラトゥーニ「……!」
(速い足音・ラトゥーニが走り去る)
リュウセイ「お、おい!
どこへ行くんだよ、ラトゥーニ!」
リュウセイ「ラトゥーニ……」
デュミナス「そうですか……あの2体が接触しても……」
ラリアー「はい」
デュミナス「彼女は、
コンパチブルカイザーに対して何か?」
ラリアー「僕達が刷り込んだ以上の
敵意を持っていました……」
ティス「ショウコ・アズマが?」
ラリアー「ううん……彼女の意識は消してあるんだ。
多分、エミィ・アーマーの影響だと思う……」
デュミナス「Gサンダーゲートと
コンパチブルカイザーは、元々一つのものだったと
思っていましたが……」
デュミナス「彼女が敵意を抱いているとなると、
私の予想は間違っていたのかも知れません……」
デスピニス「では、本当の関係は……?」
デュミナス「わかりません……。
あのお方は、あの二つについて
詳しいことは教えてくれなかった……」
デュミナス「私はただ、あれらを授けられただけ……。
いえ、気づいた時には私の下にあった……」
デュミナス「予測は出来ても、
正しい答えはわからない……」
デスピニス「デュミナス様……」
デュミナス「わからない……不明……」
ラリアー「デュミナス様……?」
デュミナス「私にはわからない……。
あのお方が何のために私を造られたのか……」
デュミナス「私はいったい何なのか……」
デュミナス「もしかしたら……
私は創造主に捨てられただけなのかも知れない……」
デュミナス「あのお方は……
私を必要としていなかったのかも知れない……」
ティス「そ、そんなことありません!」
デスピニス「私達には、デュミナス様が必要です」
ティス「そう……
あたい達はデュミナス様のために……」
ラリアー「デュミナス様がいなければ、
僕達は生まれていませんでした……」
デュミナス「ありがとう……
ティス、デスピニス、ラリアー……」
デュミナス「私は自分の存在意義を知るために……
『門』を開き、創造主と会いに行きます」
デュミナス「今度こそ……
間違うことなく創造主の下へ……
答えを見つけ出すために……」