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押し寄せる悪意 地上ルート ~ 第14話 ~

[転空魔城 内部]

ショウコ「……」
フォルカ「………」
ショウコ「…………」
フォルカ「……………」
ショウコ「………………」
フォルカ「…………………」
ショウコ「んああ~っ、もう我慢できない!  何か喋りなさいよっ!!」
フォルカ「……何を?」
ショウコ「ショウコをさらった理由とか、目的とか!  説明ぐらいしてくれたって、いいんじゃない!?」
フォルカ「………」
ショウコ「いったい、あなたは何者なの!?」
フォルカ「俺は修羅…… 戦うためにこの世界へ来た」
ショウコ「それって…… つまり、地球を侵略しに来たってこと……!?」
フォルカ「……そうだ」
ショウコ「……!  何のためにそんなことを……!?」
フォルカ「戦いが修羅の全てだ。 戦いのない世界で修羅は生きられん」
ショウコ「何それ?  『マグロは泳ぎ続けていないと死んじゃう』 みたいな感じ?」
フォルカ「マグロ……?」
ショウコ「あ、え~っと……サメだったっけ」
フォルカ「サメとは何だ? この世界の生き物か?」
ショウコ「知らないのに突っ込んだの!?  サメだけに、シャークに触るっ!」
フォルカ「?」
ショウコ(う、うけない……。 っていうか、ホントに知らないの……?)
フォルカ「………」
ショウコ「もういいわよ!  あなたと喋ってると疲れちゃうわ!」
フォルカ「すまん。 この世界のことは、まだよく知らなくてな」
ショウコ「ねえ、さっきから 『この世界』って言ってるけど……どういうこと?」
フォルカ「俺達はこの世界の住人ではない。 『修羅界』から来た」
ショウコ「修羅界……? 何それ?」
フォルカ「ここではない、別の世界だ」
ショウコ「それって……異次元世界か何か?」
フォルカ「……お前達から見れば、そうなる。 だが、俺達以外にも別の世界から この地へやってきたものがいる」
フォルカ「連中も俺達と同じく、 この世界を戦いで染め上げる気のようだ」
ショウコ「ちょっと待ってよ!  あなた達もその人達も、あたし達の世界を 何だと思ってんの!?」
フォルカ「……修羅は修羅の戦いをするだけだ」
ショウコ「わかんないのはこっちよ!  戦う、戦うって……そんな答えばっかじゃない!」
フォルカ「俺は修羅だからな」
ショウコ「じゃあ、友達とお喋りしたり、 美味しい物を食べたり、貯金したりとかしないの?」
フォルカ「お前の言うことは、よくわからん。 それに何の意味がある?」
ショウコ「意味あるとかないとか、 そういう問題じゃないわ!」
ショウコ「人って、 楽しみがあるから生きてけるんだよ?」
フォルカ「………」
ショウコ「………」
ショウコ(楽しむことを知らないなんて…… ないわよねえ、いくら何でも)
フォルカ「………」
ショウコ「ねえ…… あたしをさらって、どうするつもりなの?」
ショウコ「身代金目当てだったら…… うちはお金ないわよ。お爺ちゃんもお兄ちゃんも 無駄遣いばっかするから」
フォルカ「……『彼の者』がお前という存在を 必要としているらしい。だから、俺に命令が下り…… お前を捕らえ、ここへ連れてきたのだ」
ショウコ「カ、カノモノって……何?」
フォルカ「先程も言った通り…… 修羅界とは違う世界から、この世界へ訪れた者だ」
フォルカ「そして、戦乱の火種を撒いていると聞く」
ショウコ「火種って……何のことなの?」
フォルカ「わからん」
ショウコ「んもう、そればっかじゃない!  あなた、そんなんでいいの?」
フォルカ「俺は……」
ショウコ「修羅だからな、って答えも犬の卒倒!」
フォルカ「?」
ショウコ「ワンパターン、ってことよ!」
フォルカ「………」
ショウコ「戦うこと以外はどうでもいいっての?  そんな生き方、つまんなくない?」
フォルカ「……そうかも知れないな」
ショウコ(この人……何か迷ってるの……?)
フォルカ「……もうすぐ時が来る。 そして修羅が動き出し、この世界は真の闘争に 包まれる」
ショウコ「真の闘争……!?  それで、ショウコ達の世界はどうなるのよ!?」
フォルカ「この世界を……新たな修羅界とする」
ショウコ「えっ……!?」
フォルカ(そこに修羅の未来があるのなら、 俺は迷いを捨てる……)
フォルカ(だが、何故だ……?  この少女の語る言葉は俺の迷いを加速させていく……。 俺に……俺に何が起きているんだ……?)

《地球近海(移動中・ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ユン「艦長、ハガネとのランデブーが完了しました」
レフィーナ「では、通信回線を開いて下さい」
ユン「了解」
(モニターオン)
テツヤ「お久しぶりです、レフィーナ艦長」
レフィーナ「ええ。 艦長職が板に付いてきたようですね、少佐」
テツヤ「いえ…… ダイテツ中佐の足下にも及びませんよ」
レフィーナ「経験を積んでいけば、大丈夫です。 私もそうでしたから……」
テツヤ「お言葉、肝に銘じます。 ところで、ヘルゲートの現在位置に ついてですが……」
レフィーナ「もう間もなく特定できるでしょう。 こちら側にも情報提供がありましたので」
テツヤ「統合参謀本部からも似たような報告が ありましたが……何故こんな早期に位置特定を?  それに、情報提供とは?」
レフィーナ「その説明をする前に…… フィリオ・プレスティ少佐はいらっしゃいますか?」
フィリオ「はい。お初にお目にかかります、 レフィーナ・エンフィールド中佐」
レフィーナ「少佐、私達はここへ来る前、 バルトール群と交戦したのですが……」
レフィーナ「その時、スレイ・プレスティが現れ、 ヘルゲートに関する情報を提供してくれたのです」
フィリオ「妹が……?」
レフィーナ「はい。 おかげで、ヘルゲートの現在位置が 絞り込めそうです」
フィリオ「スレイは、情報源について 何か語っていませんでしたか?」
レフィーナ「確か、雇い主と言っていました」
フィリオ「そうですか……」
レフィーナ「心当たりが?」
フィリオ「はい……。 おそらく、イスルギ重工のことでしょう」
ショーン「スカルヘッドの修復を行っていたのは、 イスルギとウォン重工業だと聞いておりますから……」
ショーン「その位置や仕様を知っているのは、 当然と言えば当然ですな」
レフィーナ「でも、そのイスルギが こちらに情報を渡したということは……」
フィリオ「今回の件は 彼らにとって望ましくない……というか、 不測の事態だったのかも知れません」
レフィーナ「それで後始末を私達に……」
ショーン「ついでに証拠が隠滅されれば、御の字と」
レフィーナ「え?」
ショーン「激しいですからな、我々の部下は。 ホワイトスターと同化したアインストを 破壊するぐらいに」
レフィーナ「はあ……」
ショーン「何にせよ、イスルギ側も 事態を収拾する姿勢を見せておきたいのでしょうな。 ……後々のために」
フィリオ「ええ……」
ショーン(とは言え、 彼らにとって戦乱は金の卵を産む鶏。 知っていて、放っておいたという線もありますが……)
レフィーナ「テツヤ少佐、我々へ新たな命令が下るのは もう間もなくだと思われます。すぐに次の作戦行動へ 移れるようにしておきましょう」
テツヤ「了解です。それでは」
(通信切れる)
ユン「艦長…… お話中に統合参謀本部から指令が来ました」
レフィーナ「では、ファイルをこちらに」
ユン「はっ」
(通信)
レフィーナ「………」
レフィーナ「……副長、 ヘルゲートの現在位置が特定できたそうです。 そして、本艦とハガネに攻略命令が出ました」
ショーン「我々だけで、ですか?」
レフィーナ「はい。他の艦隊は、 バルトール襲撃に備えて月やコロニーの 防衛に回るそうです」
ショーン「なるほど」
レフィーナ「私達の任務は、 ヴィルヘルム・V・ユルゲン博士をだ捕し、 ODEシステムを停止させることです」
レフィーナ「与えられた時間は12時間。 それを過ぎれば……ヘルゲートに対し、 宇宙軍が核攻撃を行うそうです」
ユン「えっ……!?  あそこには捕らわれた民間人がいるかも 知れないんですよ!?」
ショーン「上は最小限の犠牲で 事を収めるつもりですか」
ユン「そ、そんな!  それじゃ、ラミア少尉達は……!」
レフィーナ「………」
ショーン「時間が経てば経つほど、 バルトールはその能力を向上させます」
ショーン「つまり、 ラミア少尉以上の能力を持った敵が 群れを成して襲いかかってくるのです」
ショーン「並の部隊では太刀打ち出来ません。 それに、彼らが盾を使ってくる可能性もあります」
ユン「盾……!?」
レフィーナ「……捕らえた民間人を 生体コアにするということですね」
ショーン「ええ。 そうなったら、手が付けられませんぞ」
レフィーナ「だから、 今の内に核で大本を焼き尽くす……」
ショーン「そう……最小限の犠牲を払って」
レフィーナ「正しい判断でしょう。 ですが、それを容認するつもりはありません」
レフィーナ「私達は、 人の命を道具にするODEシステムとは違います。 必ず制限時間内に任務を成功させましょう」
ショーン「了解です。 それこそが、民を守るために存在する軍の あるべき姿でしょうからな」

[ハガネ ブリーフィングルーム]

マサキ「ヘルゲートに核をブチかますだぁ!?  冗談じゃねえ! 捕まった人間を見捨てる気かよ!」
アヤ「だから、 それは時間切れになった場合の話よ」
リョウト「……統合参謀本部は、 ヘルゲートに捕らえられている人達が 既に死亡していると判断したのでしょうか?」
ライ「そうかも知れんな」
イルム「敵の本拠地が判明しているんだったら、 多少の犠牲を払ってでも早めに潰す。エアロゲイターや インスペクターとの戦いから学んだ教訓だな」
リオ「だからと言って、 ラミア少尉やクスハ達を見捨てるなんて…… そんなこと、絶対に出来ません!」
イルム「猶予があるだけマシさ。 それに、上がその気なら とっくに核やH-MAPWを撃ってるよ」
リオ「……!」
アヤ「イルム中尉の言う通りね……」
リュウセイ「だったら、今出てる待機命令は何なんだ?  俺達にヘルゲートへ突撃しろって言ったくせに、 何で止めてるんだ?」
エクセレン「う~ん…… ヘルゲートとODEシステムを壊すか否か…… 上の方でまだもめてるって考えるべきかもね」
リュウセイ「え?」
エクセレン「要するに、 ODEシステムがもったいないってことで、 今回の作戦に反対してる人がいるんじゃない?」
リュウセイ「そんな馬鹿な……」
ライ「少尉の言う通りかも知れん。 最初に出た命令は、ユルゲン博士のだ捕と システムの停止……破壊命令じゃない」
リュウセイ「………」
イルム「ヘルゲート……いや、スカルヘッド自体が 相当うさん臭い経緯で作られたみたいだし……」
イルム「政府の偉いさんの中に あれの今後の利用価値を見出した奴が いてもおかしくはないな」
ブリット「最悪の場合、 作戦中止命令が出るかも知れない、と?」
イルム「上とユルゲン博士の間で、 交渉が成り立つんならな」
リオ「それじゃあ、 クスハやラミア少尉達はどうなるんですか?」
イルム「死亡していると判断されたら、 それまでだろうな」
マイ「それまでって……」
イルム「ヘルゲートへ核が撃たれて、ジ・エンド」
マイ「……!」
ブリット「そんな風に クスハやラミア少尉達が見捨てられるなんて…… 自分は絶対に納得がいきません」
リオ「そうです。 みんなはまだ生きてます。必ず……」
リュウセイ「……必ず助け出してみせるさ」
マサキ「ああ。 作戦中止命令が出ても、俺は行くからな」
リューネ「あたしも付き合うよ」
セルシア「………」
アイビス「大丈夫ですよ、セルシアさん。 あたしも……ううん、ここにいるみんなが マサキと同じ気持ちです」
(扉が開閉する)
ギリアム「……みんな、揃っているな」
カイ「今からヘルゲート攻略作戦の ブリーフィングを始める」
リシュウ「……心して聞けい」
ブリット「せ、先生!  先生も作戦に参加されるんですか?」
リシュウ「うむ。乗りかかった船じゃからのう」
カイ「……紆余曲折はあったが、 先程、統合参謀本部で最終決定が下された」
カイ「これより、 ハガネとヒリュウ改はヘルゲートへ突撃し、 ODEシステムを停止させる」
リョウト「破壊ではなく、停止なんですね?」
カイ「そうだ。 その後、捕らわれた人々を救出する」
マサキ「ヘッ、 あんたらの上も少しは話せるじゃねえか」
ライ「ODEシステムの停止方法については?」
カイ「それに関しては、 フィリオ少佐とタカクラチーフから 説明してもらう」
フィリオ「……ODEシステムには、 マスターコアが存在しています」
フィリオ「データによれば、 その位置はヘルゲート中心部…… ユルゲン博士もそこにいると思われます」
ツグミ「博士がシステムの開発者であり、 オペレーターである以上……ODEシステムと “同化”している確率は低いでしょう」
リューネ「だから、捕まえて…… システムを停止させろって言うの?」
ツグミ「それがベストですが…… 他にはODEシステムとヘルゲートのジェネレーターを 遮断するという方法もあります」
フィリオ「いずれにせよ、 皆さんがヘルゲートの中枢へたどり着けば、 状況に応じて我々が指示を出します」
ギリアム「……タイムリミットは 作戦開始から3時間後。それを過ぎれば……」
ギリアム「我々の後方にいる艦隊が、 ヘルゲートに対し、核攻撃を敢行する」
イルム「……やれやれ、その保険は生きたままか」
ブリット「ですが、チャンスは与えられました」
キョウスケ「……まとめて吹き飛ばすのは、 勝負を投げるのと同じだ。 ここは勝ちにいくぞ」
イルム「毎度のこととは言え、 もう少し余裕のある勝負をしたい所だけどな」
アイビス「こんな時にレーツェルさんや ゼンガー少佐達がいてくれたら……」
リシュウ「アイビス…… 誰かに頼る弱さは己が剣を曇らせるぞ」
ツグミ「先生の言う通りよ、アイビス。 私達にヘルゲートの情報を知らせてくれた スレイのためにも頑張らないと」
アイビス「うん……。 あたし……もう弱音は吐かないよ」
フィリオ「そうだよ、アイビス。 あきらめからは何も生まれない。 それをどんな時も忘れないでくれ」
アイビス「うん……」
ツグミ(フィリオ……。 あなたもそのボロボロの身体で 戦うと言うのね……)
フィリオ「セルシア。 僕達はハガネで敵の動きの解析を行おう」
セルシア「わかりました、フィリオ少佐。 よろしくお願いします」
カイ「全員、直ちに機体へ搭乗しろ」
リュウセイ「了解!」
キョウスケ「………」
エクセレン「ん? どうしたの?  普段からムッツリ顔なのに、 よりムッツリな顔しちゃって」
キョウスケ「大きなお世話だ。これは生まれつきだ」
キョウスケ「……ODEシステムの中枢。 つまりそこには……ラミアがいる」
キョウスケ「だが、システムを停止させることを 最優先するならば……」
エクセレン「は~い、そこまで。 ……ちょっと、らしくないんじゃない?」
エクセレン「そんなことじゃ、 賭博黙示録キョウスケの名が泣くわよん?」
キョウスケ「今回は、 懐に飛び込めれば勝ちという戦いじゃない。 勝つためには……代償が必要になる可能性がある」
キョウスケ「それも、取り返しのつかないものをな」
エクセレン「ふふ……私の時は? キョウスケ。 そんなにウジウジ悩んだりした?」
キョウスケ「……あの時は、ああするしかなかった」
エクセレン「そういうこと。 その結果、私はここにこうしているわけ」
エクセレン「つまり、今は賭け時じゃないってことよ。 ……その時が来たら、あなたは止めても大勝負に いっちゃうんだから。ね?」
キョウスケ「フッ……そうだな。 つまらんことを言った。……いくぞ」
エクセレン「はいは~い。 とりあえずは……ラミアちゃんのとこまで たどり着かなきゃね」

《ヘルゲート》

[ヘルゲート内部 (収容所)]

ゼオラ「う、ううっ……!」
ゼオラ「!!」
ゼオラ「か、身体が動かない!」
ゼオラ「こ、ここはどこ!? 他のみんなは!?」
クスハ「う……」
ゼオラ「クスハ少尉!!」
ラトゥーニ「………」
ゼオラ「ラト! しっかりして!!」
ラトゥーニ「ゼ、ゼオラ……?」
アラド「う、う~ん……」
ゼオラ「アラド! 起きて、アラド!!」
アラド「も、もう腹一杯…… でも、焼きソバならまだ……」
ゼオラ「バカ! なに寝ぼけてんのよ!!」
アラド「!? こ、ここはどこだ!?」
クスハ「私達、どうなったの……!?」
ラトゥーニ「あ、あれを見て……!」
アラド「ゲ! バ、バルトール!?」
(ゆっくりハッチが開く)
クスハ「ハッチが……!」
ラミア「………」
ゼオラ「ラ、ラミア少尉!!」
ラトゥーニ「バルトールに取り込まれて……!?」
ラミア「……お前……達……」
ラミア「……ここ……から……逃げ……ろ……」


第14話
押し寄せる悪意

〔戦域:ヘルゲート周辺宙域〕

(ハガネとヒリュウ改は出撃済み、出撃準備、バルトールが出現)
タスク「出てきたぜ!  ウジャウジャとゴキブリみたいによ!」
レオナ「あれがヘルゲート…… 敵の本拠地!」
(ヘルゲートを見る)
マイ「あそこにラトゥーニ達が 捕らえられているのか」
カイ(アラド達がバルトールへ 乗せられていなければいいが……)
レフィーナ「……ユン、 バルトールから生体反応は?」
ユン「検出されていません。 無人機だと思われます」
レフィーナ「この期に及んで、まだ……」
フィリオ「バルトールが 生体コアを必要とするのは、 初期段階だけの話かも知れません」
レフィーナ「どういうことです?」
フィリオ「ある一定量のデータを 収集・蓄積し、最適化した後……」
フィリオ「マスターコアから バルトール各機へ転送すれば いいわけですから」
ショーン「なるほど……」
リュウセイ「あのバルトールが無人だと わかっただけでも、気が楽だぜ」
マサキ「ああ。 アラド達はまだヘルゲートの中に いるってことになるからな」
リュウセイ「よし……!  こうなったら、徹底的にやってやる!」
ギリアム「各機へ。 ODEシステムによって、敵の戦闘能力は 時間の経過と共に向上していく」
ギリアム「つまり、時間が経てば経つほど、 データが集まれば集まるほど、 彼らは“賢く”なっていくのだ」
タスク「じゃあ、ここで手間取ったら、 益々ヤバいことに……」
カチーナ「タスク。 怖じ気づいたんなら、あたしが鉄拳で 気合を入れてやろうか?」
タスク「いやいや!  どんなにバルトールが手強くても、 中尉のお仕置きよりはマシッスよ!」
レオナ「そんな軽口が叩けるようなら、 大丈夫ね」
カチーナ「仕掛けるぞ、野郎共!  人形共にあっさり先を読まれるような 攻撃をするんじゃねえぞ!」
ラッセル「は、はいっ!」
テツヤ「これより 本艦とヒリュウ改はヘルゲートに対し、 正面突破を仕掛ける!」
エイタ「突入ポイントのデータを 各機に転送します!」
(突入ポイントを指す)
アイビス「ハガネとヒリュウ改が あの地点にたどり着けばいいんだね!」
テツヤ「内部での作戦行動時間を 考慮すれば、7分で突入ポイントへ 到達するのが望ましい」
テツヤ「各機は 本艦とヒリュウ改の針路上の 敵機を排除しろ!」
ブリット「待っていてくれ、みんな!  今、助けにいく!!」
カイ「教導隊はまだこれからだ。 必ず取り返す……俺の部下達を!」
エクセレン「さて、と。ここからね」
キョウスケ「……ああ、 なんとしても引きずり出す」
キョウスケ「ヴィルヘルム・V・ ユルゲン……お前のジョーカーをだ。 その上で、おれ達が勝つ……!」
(作戦目的表示)

〈敵機1機撃墜〉

カチーナ「まずは1匹!」
タスク「けど、こないだ交戦した時よりも 動きが良くなってるッスよ!」
ラッセル「こ、これが “賢く”なるということなのか……!」
キョウスケ「……」
エクセレン「ねえ、キョウスケ。 あいつらの動きって……」
キョウスケ「似ている。あいつに……」
ライ「同感だ。 回避パターンに見覚えがある」
キョウスケ「……アサルト1より スティール2へ」
キョウスケ「データリンクで そちらにも奴らのパターンデータが 行っているはずだ。調べてくれ」
エイタ「スティール2、了解!」
タスク「……ヤな予感がする」
レオナ「ええ。 私の予測が正しければ、あれは……」
エイタ「結果が出ました!  特殊戦技教導隊から提出された モーション・パターン……」
エイタ「ケースCA、 ファイルB51-L221の 一連データとの適合率、94.3%!」
テツヤ「そのデータの作成者は?」
エイタ「ラミア・ラブレス少尉です!」
テツヤ「!!」
エイタ「多少のアレンジが入っていますが、 バルトールのモーション・パターンは、 少尉のものである確率が高いです!」
リュウセイ「な、何だって!?」
レフィーナ「生体反応がないのなら、 ラミア少尉がバルトールに 乗っているわけではない……」
ショーン「とは言え、彼女が ODEシステムに取り込まれて しまったのは確実でしょう」
ラッセル「じゃ、じゃあ、 自分達はラミア少尉と 戦っているのも同然……!?」
ラッセル「しかも、あのバルトール全てが 少尉の動きを……!」
キョウスケ「……」
タスク「ヤ、ヤな予感、大的中~ん」
カチーナ「何いってやがる!  奴らの動きはラミアのものかも 知れねえが、ラミア本人じゃねえ!」
レオナ「幾らデータが反映されようと、 本人ではない以上、柔軟な対応は 出来ないはず……」
レオナ「そこを突けば、勝機はあるわ」
ラッセル「し、しかし、この状況で そんな戦い方が……! 相手は エース級の能力を持ってるんですよ!」
カチーナ「ちっ…… だらしねえな、ウチの男共はよ!」
カチーナ「あたしは、てめえらを ラミアのコピーごときに負けるように 仕込んだつもりはねえ!」
カチーナ「特訓を思い出せ!  てめえらだって一級品のパイロットだ!」
ラッセル「カチーナ中尉……!」
カチーナ「伊達に 地獄を見てきてねえはずだろうが!」
タスク(……見なくていい地獄も あったけど~)
カチーナ「どうなんだ、ラッセル!?」
ラッセル「や、やります、中尉!  自分には中尉の特訓を耐え忍び……」
ラッセル「もとい!  やりぬいた自信があります!」
カチーナ「その調子だ。 教導隊のようにはいかねえが、 あたしらにはあたしらの戦い方がある!」
カチーナ「そいつを あの人形共に見せてやりな!」
ラッセル「了解っ!!」
タスク「ラッセルがその気なら、 俺も負けちゃあいられねえ!」
レオナ(さすがです、中尉。 乱暴な言葉でしたが、隊の士気は 上がりました)
レオナ(この勢いがあれば、 無機質なコピーデータ相手に 遅れを取ることはないはず……!)
エクセレン「……言うこと なくなっちゃったわね、キョウスケ」
キョウスケ「だが、やることは変わらん。 あの地獄門をこじ開け、ラミア達を 助け出す……!」

〈戦艦がヘルゲートに近づく〉

(バルトールが4機出現)
ライ「敵の増援か……!」
マサキ「4機ぐらい増えたって、 屁でもねえぜ!」
(ブリットに精神感応)
ブリット「うっ!」
イルム「どうした、ブリット!?」
ブリット「あ、あのバルトールに クスハが乗っています!」
イルム「何っ!?」
ラーダ「あの子の念を感じたの!?」
ブリット「は、はい!  かすかにですが……間違いありません!」
ラーダ「念を感じられるということは…… あの子は自我を保っている……」
ラーダ「ODEシステムに 取り込まれたわけじゃない……!?」
フィリオ「……!」
エイタ「艦長!  あのバルトールからクスハ少尉の PBS反応が!」
テツヤ「ブリットが言ったことは事実か。 なら、残りの3機にも……!?」
クスハ「………」
ブリット「クスハ!  俺の声が聞こえるか!?」
クスハ「………」
ブリット「気絶して…… いや、眠らされているのか!?」
ユン「艦長! 残り3機のバルトールから、 アラド、ゼオラ、ラトゥーニ3名の PBS反応が検出されました!」
レフィーナ「や、やはり……!」
アラド「………」
ゼオラ「………」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「ラ、ラトゥーニ…… アラド、ゼオラ……!」
ショーン「やはり、 その手を使って来ましたか……!」
(アラド、ゼオラ機がハガネに、ラトゥーニ、クスハ機がヒリュウ改に隣接、攻撃後もとの位置へ戻る)
ブリット「こ、こちらに攻撃を!!」
ラーダ「機体ごと操られているの……!?」
リューネ「フィリオさん!  どうすれば助けられるの!?」
フィリオ「彼らがODEシステムに 取り込まれていないのであれば、 救出方法は簡単だ」
フィリオ「バルトールを行動不能にし、 コックピットブロックを排除すればいい」
タスク「と言われても、あのバルトールは メチャすばしっこいワケで……」
エクセレン「じゃあ、 おとなしく落とされる?」
タスク「それもカンベン。 ……やるしかないッスね」
リシュウ「専心あるのみ、じゃな。 成せば成る、成さねば成らぬじゃ」
ブリット「は、はい!」
エクセレン「……っていうか、 ラミアちゃんだけいなくない?」
キョウスケ「……ここにいなければ、 考えられる場所はひとつしかない」
エクセレン「ヘルゲート……!」
キョウスケ「まだ先がある。 クスハ達を助ければ、嫌でも最後には あいつを出さなければならなくなる」
エクセレン「了解。 その上で……総取りってわけね」
セルシア「でも、気をつけて下さい。 機体を破壊してしまっては、 元も子もありません」
カチーナ「寸止めにしろってか。 オーライ、タスク相手で慣れてっからな」
レオナ「カチーナ中尉、 ブレイクポイントはかなり微妙です。 くれぐれも気をつけて下さい」
カチーナ「言われるまでもねえ。 失敗しましたじゃ、済まないからな」
カイ「アラド達の救出と ヘルゲートまでの到達…… 両方ともやり遂げるぞ!」
ブリット「了解です!」
リュウセイ「みんな、 もうしばらくの辛抱だ!  すぐに助け出してやるからな!」
(作戦目的表示)

〈敵機10機以下〉

(バルトールが出現)
リオ「ま、まだ出てくるの!?」
ヴィレッタ「ヘルゲートでは、相当数の バルトールが製造されているようね」
エクセレン「こうなったら とことんまで付き合うんだから!」
キョウスケ「だが、 もたもたしてはいられん……!  速攻をかけるぞ!」

〈vs クスハ〉

[いずれかの味方]

(精神感応)
ブリット「!!」
マイ「!!」
アヤ「こ、これは……!?」
ブリット「クスハの念じゃない……!」
リュウセイ「別の思念……!?」
マイ「巨大な……暗い影が見えた……!  何だ、いったい……!?」

[HP10%以下]

クスハ「きゃあっ!!」
ブリット「クスハ!?」
クスハ「ブ、ブリット君……!」
ブリット「正気に戻ったのか!」
クスハ「わ、私、いったい……?」
ブリット「身体は……大丈夫なのか!?」
クスハ「う、うん。このバルトールに 乗せられてただけみたい……」
ブリット(じゃあ、さっきの強力な念は 何だったんだ……!?)
クスハ「ブリット君?」
ブリット「いや、何でもない。 ハガネから回収機を出してもらう。 それまで待っていてくれ」
クスハ「うん……わかったわ」
(クスハ機が撤退)

〈vs アラド〉

[いずれかの味方]

アイビス「は、速い……!  前よりスピードアップしてるよ!」
ツグミ「前回の交戦時の 125%……! パターンも アレンジされているわ!」
ラーダ「カイ少佐、これは……」
カイ「アラドが操縦しているわけではな なさそうだな」
カイ「ならば、 まだODEシステムには……!」

[HP10%以下]

アラド「う、うわっ!!」
ラーダ「アラド!」
アラド「ラ、ラーダさん……!  お、おれは……!?」
ラーダ「良かった……正気に戻ったのね」
アラド「そ、そっか。 おれ、バルトールに乗せられて……」
ラーダ「身体は大丈夫? 頭は痛くない?」
アラド「強いて言えば……腹減ったッス」
ラーダ「なら、大丈夫ね。 回収機をそちらに回してもらうから、 もう少し待ってて」
アラド「了解ッス」
(アラド機が撤退)

〈vs ゼオラ〉

[いずれかの味方]

エクセレン「あらら?  ラミアちゃんにゼオラちゃん…… どっちのパターンデータでもない?」
キョウスケ「こちらでも確認した。 理由はわからんが……」
キョウスケ「ゼオラ達は ODEシステムに取り込まれている わけではないということになるな」

[HP10%以下]

ゼオラ「ううっ!!」
カイ「ゼオラ! 俺の声が聞こえるか!?」
ゼオラ「カ、カイ少佐!?」
カイ「やはり、 ODEシステムには取り込まれて いなかったようだな」
ゼオラ「え、ええ……。 ここに乗せられていただけのようで……」
カイ「よし……回収機をそちらに回す。 もうしばらく待て」
ゼオラ「は、はい!」
(ゼオラ機が撤退)

〈vs ラトゥーニ〉

[いずれかの味方]

アヤ「あのバルトールは、 こちらの動きを読んでいる……!」
アヤ「でも、 相手の予測を上回りさえすれば!」
マイ「待ってて、ラトゥーニ……!」
リュウセイ「すぐに その操り人形から解放してやる!」

[HP10%以下]

ラトゥーニ「ううっ……!!」
マイ「リュウ、ラトゥーニが!」
リュウセイ「正気に戻ったのか!?  ラトゥーニ、聞こえるか!?」
マイ「返事をして……!」
ラトゥーニ「リュウセイ……マイ……!」
リュウセイ「ラトゥーニ、大丈夫か!?  動けるか!?」
ラトゥーニ「う、うん……」
マイ「良かった……」
リュウセイ「今、そっちに回収機を 回してもらうからな。少しの間、 待っててくれ」
ラトゥーニ「うん……」
(ラトゥーニ機が撤退)

〈クスハ、アラド、ゼオラ、ラトゥーニの収容を完了した〉

エイタ「4人が乗ったバルトールの 回収完了!」
テツヤ「よし! ヘルゲート内部への 突入ポイントへ急ぐぞ!」
(作戦目的表示)

〈7PP〉

エイタ「タイムリミットまで あと1分です!」
テツヤ「機関、最大戦速!  何としても時間内に突入ポイントへ!」

指定ポイントに到達したのは
ハガネ ヒリュウ改


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