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燃えよ斬艦刀 伊豆基地へ向かう ~ 第27話 ~

ショーン「では、ご武運を。ダイテツ中佐」
ダイテツ「うむ、そちらもな」

《アースクレイドル》

[アースクレイドル内部]

レモン「工作員からの報告よ。 ヒリュウ改は単独で、アビアノから東へ 向かったとのことよ」
ヴィンデル「東……。 ならば、目的地は日本か」
レモン「間違いなく伊豆でしょうね。 ローズのお嬢ちゃんが言ってた“例の作戦”に 参加するんじゃないかしら?」
ヴィンデル「インスペクターへの反攻作戦…… オペレーション・プランタジネットか」
アクセル「…そのヒリュウ改に、 ベーオウルフは乗っているのか?」
レモン「多分、ね」
アクセル「多分? 確証はないのか?  W17はヒリュウ改に潜伏中だったんじゃないのか?」
ヴィンデル「W17には 次の指示を待てと伝えてある」
ヴィンデル「こちらから命令せぬ限り、 報告をしてくることはない」
アクセル「放っておいて大丈夫なのか?  …機能不全が出ているのは確かだ。 頭から信用するのはどうかと思うが?」
レモン「機能不全って、言葉遣いくらいでしょ?  それに機密通信は極力避けたいの。 …万全を期すために、ね」
アクセル「おれが直接確認する。 どうしても気になる事がある、これがな」
レモン「ちょっと、また飛び出す気なの?  こっちに来てから、アグレッシブなことねえ」
アクセル「自分で確かめなければ落ち着かないのさ。 貴様の作ったW17を信用していないわけではないが… どうも、な」
アクセル「貴様らがベーオウルフ達を引き入れようと 考えているのなら…なおさらだ」
レモン「『こちら側』では事情が違うのよ?  事実、ベーオウルフだって『向こう側』とは全く…」
アクセル「まだ“その時が来ていない”だけだと したらどうする?」
レモン「………」
アクセル「…ベーオウルフは“力”を得て変わった。 どこで得たのかまではデータにないが、常人を はるかに超えた力…」
アクセル「もしくは… 人間以外の者達が奴にはついていた」
レモン「そうね… 大破したベーオウルブズ所属のゲシュペンストには… 誰も乗っていなかった」
レモン「…解析不能の堆積物以外はね。 “何か”が搭乗していた事だけしかわからないわ」
アクセル「『こちら側』の奴が、その力を得ないとは 限らん…それを気にかけているだけだ、これがな」
ヴィンデル「……」
ヴィンデル「お前の言いたい事はわかる。 そして、例の計画について…ローズからの 連絡がまだ来ていない」
ヴィンデル「ここで 時間を稼いでおきたいところだな」
レモン「いつものパターンだけど…… まあ、仕方がないものね」
ヴィンデル「うむ」
アクセル「ならば好都合だ。おれが出る」
レモン「いいえ、不都合はあるわよ?  …ソウルゲインの修理がまだ終わっていないの」
アクセル「……」
レモン「もし、あなたが言うように、 ベーオウルフが“力”を得たとしたら… それ以外の機体で太刀打ちできる?」
アクセル「…確かに、な。 では、誰を出す気だ? 生半可な者を出しても…」
レモン「ヴォーダン・ユミルかベストだと思うけど」
ヴィンデル「調整は万全なのか?」
レモン「ええ。 今、メイガス・ゲボとお話中よ」
アクセル「…ウォーダンか。 W17しかり…レモン、貴様はどうして 不安定な物を好むんだ?」
レモン「…たまたまよ。 多少不安定でも、能力のあるものを 優先しているだけよ」
レモン「彼の実力…あなたも知っているでしょう?」
アクセル「…わかった。 奴の制御…本当に問題はないのか?」
レモン「もちろん。 彼はゼンガー・ゾンボルトであって、 ゼンガー・ゾンボルトでない……」
レモン「そのことは 彼自身が一番良く知っているもの」
ヴィンデル「……よかろう。 奴をスレードゲルミルで出撃させろ」

[???]

???(メイガス)「……ウォーダン……」
ウォーダン「……」
???(メイガス)「……ウォーダン・ユミル……」
ウォーダン「……」
ウォーダン「我は……」
ウォーダン「我はメイガスの剣なり……」
ウォーダン「メイガスの敵は…… 全て我が粉砕する……」

[アースクレイドル 内部]

レモン「具合はどう?」
ウォーダン「問題ない」
レモン「そう。 ……あなたの今回の任務は、 ヒリュウ改の足止めよ」
ウォーダン「ベーオウルフの処置は?」
レモン「……」
レモン「あなたは……どうしたい?」
ウォーダン「……」
ウォーダン「我が使命を阻む者は…… 全て粉砕する」
レモン「そう。 なら、あなたの好きにしなさい」
ウォーダン「……」
レモン「あなたが元に戻るか、今の人格を維持できるか… 科学者としては失格だけど、興味の方が勝っているの」
ウォーダン「……奴が現れた場合は?」
レモン「…斬りなさい。 それが…あなたがあなたになる一番の近道… もしくはまったく別の道よ」
ウォーダン「……承知」

《トルコ地区(移動中・ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ユン「艦長、 本艦はトルコ地区内へ進入しました」
レフィーナ「了解です」
ショーン「ここからしばらく先は 警戒が必要ですな」
レフィーナ「ええ…… 地中海を挟んでいるとは言え、 ノイエDCの勢力圏に近いですから」
(アラート)
ユン「偵察中のアサルト1より連絡!  本艦の針路上で敵影を確認!  こちらへ接近中とのことです!」
ショーン「やれやれ、 幸先のよろしいことで」
レフィーナ「総員、 第一種戦闘配置について下さい!」


第27話
燃えよ斬艦刀

〔戦域:市街地〕

(ヒリュウ改が出現)
ユン「本艦は目標区域へ到達。 アサルト1、2を確認」
(アルトアイゼン、エクセレン機が南側にいる)
キョウスケ「こちらアサルト1。 敵機は約30秒後にこちらと接触する」
レフィーナ「わかりました!  各機は直ちに出撃して下さい!」
(出撃準備、ヒリュウ改にアラート)
ユン「敵部隊、戦闘区域へ侵入!  識別はRPT-007です!」
レフィーナ「各機、迎撃態勢を!」
(敵機が出現)
キョウスケ「ゲシュペンストMk-II…… 前回と同じ連中か?」
量産型W「…………」
ラミア(Wシリーズの量産型か。 アクセル隊長が言った通り、本格的に 本隊が動き出しているようだな)
ラミア(私への新たな指令が ないということは…現状任務を 続行しろということか)
リョウト「この感じは……?」
マサキ「どうした、リョウト?」
リョウト「寒気が……するんだ」
マサキ「寒気?  風邪でもひいたのかよ?」
リョウト「ううん、そうじゃなくて……」
リオ「何かしら、これ……?」
タスク「ああ、ヤな感じがするぜ」
カチーナ「またそれかよ。 適当なこと言ってんじゃねえ」
ブリット「いえ……あの敵は今までの ノイエDCと何かが違います」
キョウスケ「ああ。 だが…あくまでなんとなく、だ。 …具体的に何かあるのか?」
ブリット「あのパイロット達は 人でもなく、機械でもない…… そんな感じがするんです」
キョウスケ「……」
ラミア(データによれば、念動力者は 人間の特定の思念を感知する能力に 長けているということだったな)
ラミア(だが彼ら…私も含め、 Wシリーズからそのようなものは 発せられていないはずだが)
リューネ「ひょっとして、 インスペクターのバイオロイドみたいな 連中ってこと……!?」
ブリット「そうかも……知れない」
クスハ「でも、 インスペクターの機体からは 今みたいな感じがしなかった……」
クスハ「それに、 あの敵機の向こう側には 何かがいるような気がする……」
リョウト「敵は彼らだけじゃない……?」
ラミア(そこまで察知できるというのか?  …いや、そんなことはあり得ん)
エクセレン「キョウスケ、不思議パワーを 持った不思議ハンターちゃん達が ここまで言ってるんだから…」
キョウスケ「ああ、油断はできんな。 全機、ぬかるなよ…!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

ユン「敵機、全機撃墜!」
レフィーナ「各機は現状維持。 周辺警戒を厳に」
キョウスケ「アサルト1、了解」
カチーナ「ヘッ、 タスクやブリット達が言っていた程の 連中じゃなかったな」
ラミア(だが、妙だな。 量産型の調整やテストは すでに終わっているはず……)
ラミア(彼らの性能は あの程度ではあるまい)
カチーナ「どうだ、タスク?  嫌な予感ってのは消えたか?」
タスク「う~ん…… それがまだビミョーなんスよ」
ラッセル「クスハ少尉やリョウト少尉が 言った通り、まだ敵がいるんじゃ……」
リョウト「……」
(精神感応)
リョウト「!!」
クスハ「く、来る!?」
(ヒリュウ改にアラート)
ユン「艦直上に熱源反応! 急速接近中!  敵の増援だと思われます!」
レフィーナ「上方にEフィールドを 展開しつつ、緊急回避!!」
ユン「ああっ!  熱源から何かが射出されました!」
レフィーナ「!!」
(閃光、斬艦刀とヒリュウ改が見え、斬艦刀が突き刺さる。ヒリュウ改に爆煙)
レフィーナ「きゃああっ!!」
ショーン「被害状況は!?」
ユン「う、右舷主翼の先端が欠落!  テスラ・ドライブも損傷しました!」
レフィーナ「右舷スラスターで 艦のバランスを維持して下さい!」
マサキ「な、何だ、今のは!?」
シロ「ま、まさか、 あの大きニャ剣は……!!」
(スレードゲルミルが出現)
ウォーダン「……」
カチーナ「あ、あの野郎は!」
ラミア(なるほど……あの男が本命か)
エクセレン「わお!  ぎゅ、牛タン・魚肉…だったっけ?」
キョウスケ「…ウォーダン・ユミルだ」
マサキ「ウォーダン? 何者だ!?」
キョウスケ「見ての通り、斬艦刀を操る… 敵だ。おれ達は前にも奴と やり合ったことがある」
リューネ「斬艦刀だって!?」
シロ「じゃ、じゃあ、 あれに乗ってるのは……!!」
マサキ「まさか、 ゼンガーのおっさんか!?」
エクセレン「微妙なのよね、それが。 声とか戦い方とか、どこからどこまで ボスにそっくりなんだけど…」
ブリット「自分は信じませんよ。 ゼンガー少佐がノイエDC側に ついただなんて……」
ブリット「あの人は もうDCと決別したはずです!」
ウォーダン「……そんな覚えはない」
ブリット「!」
ブリット「なら、 どうしてL5戦役の時、自分達に 力を貸してくれたんです!?」
ウォーダン「何を勘違いしている?  俺はお前達と共に戦ったことなどない」
ブリット「なっ……!」
タスク「まさか、ゼオラみてえに 記憶を操作されてんのか!?」
クスハ「違うわ、タスク君……。 あの人はゼンガー少佐じゃない」
タスク「え!?」
エクセレン「じゃ、じゃあ、やっぱり双子!?  ウォーダン兄さ~ん!」
クスハ「それも……違うと思います」
ラミア「……」
ラッセル「で、でも、 あれが他人の空似だとは……!」
カチーナ「ゴチャゴチャ言ってる 場合じゃねえ! 奴がキョウスケに 何をしたか忘れたのか!?」
カチーナ「野郎の正体が何だろうが、 敵であることに違いはねえんだよ!」
ウォーダン「……我が使命を阻む者は 全て粉砕する……」
ウォーダン「まずは貴様からだ、 キョウスケ・ナンブ!」
(スレードゲルミルが南へ移動)
キョウスケ「お前が何者かは知らん。 …だが、立ち塞がるなら撃ち倒すだけだ」
ブリット「キョウスケ中尉!」
キョウスケ「手を抜いて勝てる相手じゃ ないのはお前にもわかっているはずだ」
ブリット「しかし!」
キョウスケ「だからこそ、全力でぶつかる。 そしてあの男の真意…いや、正体を 確かめる。ブリット、正念場だぞ」
ブリット「は、はい!」

〈vs ウォーダン〉

[キョウスケ]

ウォーダン「キョウスケ・ナンブ!  ゲシュペンストMk-IIIと共に 我が斬艦刀の錆となるがいい!」
キョウスケ「…あいにく、 アルトにはその名は付けられなかった」
キョウスケ「そして、ゼンガー少佐なら そのことを知っているはず。 ……やはり、お前は?」
ウォーダン「問答無用! 行くぞ!!」

[ラミア]

ラミア(あの男がここへ現れたのなら、 私にも新たな指令が出ているかも 知れん……)
(機密通信)
ウォーダン「……」
ラミア(……返答がない。 やはり、現状維持か)

〈スレードゲルミル出現後 4 NEXT PP〉

ウォーダン「フン…… かつて我らの部隊に辛酸を舐めさせた だけのことはあるようだな」
カチーナ「こちとら、てめえと やり合ったのは一度や二度じゃねえ!」
カチーナ「機体を乗り換えてもな、 何度か打ち合ってりゃ手の内が 見えてくるんだよ!」
ウォーダン「勘違いをするな。 貴様らと剣を交えたのは…… これが二度目だ」
カチーナ「何だと!?」
エクセレン「わお、見えてきたんじゃなぁい?  ボスとはDC戦争の時に、 何度もやってるし」
クスハ「やっぱり、あの人は……!?」
キョウスケ「記憶を操作されている可能性は 捨て切れんが…そうでないとすると」
ブリット「やはり、別人…!?」
キョウスケ(おれやクスハの予想が 正しければ、奴は……)
ウォーダン「キョウスケ・ナンブ…… いずれ、貴様らは我らにとって 脅威となる」
ウォーダン「後顧の憂いを絶つために、 ここで死んでもらうぞ!!」
(スレードゲルミルに『ど根性』)
リオ「そ、損傷個所が 修復していく……!」
タスク「な、何の手品だよ、 ありゃあ!?」
リョウト「じ、自己修復機能だ……!  エアロゲイターの中にも、あの機能を 持っている機体がいたよ」
ラミア「……」
マサキ「チッ、仕切直しか!」
キョウスケ「長引けは、こちらの不利は明白… ならば、ここが勝負所か…!」
マサキ「何をする気だ、キョウスケ?」
キョウスケ「狙いを制御系に絞る。 そこを潰せば、奴とてすぐに再生は できんはずだ」
キョウスケ「ヘビを殺すには頭を… ということだ」
マサキ「おめえが それをやるってのかよ!?」
キョウスケ「本来はサイバスターのような 速い機体に任せたいが… 奴は一直線におれを狙ってくるだろう」
キョウスケ「ならば、おれがやるしかない」
リオ「でも、制御系と言っても 正確な位置はわからないのに……!」
キョウスケ「予測では、奴はグルンガスト系の 機体…ならばコックピットは頭部だ。 まさに、ヘビを殺すには…というやつだな」
キョウスケ「…そこに賭ける」
リオ「そ、そんな! 無茶です!」
エクセレン「あちゃあ~…ここんとこ 大丈夫だったのに…悪い病気が出たわね。 やっぱし不治の病だったってことねえ」
キョウスケ「エクセレン、奴がひるんだら… 一斉攻撃を仕掛けろ。 …おれがどういう状態になっていてもだ」
エクセレン「りょ~かい。 …あいつの正体に見当がついたってこと?」
キョウスケ「ああ」
エクセレン「ふう、まあしょうがないっしょ」
エクセレン「おデート10回、お代は キョウスケ持ち。…朝までコースも 当然アリで、許してあげましょ」
キョウスケ「…5回にしろ。そんなに 金はない」
キョウスケ「…ウォーダン・ユミル。 待たせたな。おれの手札はあと一枚… クズ手か切り札か…確かめてみるか?」
ウォーダン「よかろう」
キョウスケ「ここですべて使い切る…!  行くぞッ!」
ウォーダン「来るがいい!  キョウスケ・ナンブ!!」
(アルトアイゼンに『加速』がかかりスレードゲルミルに隣接)
【強制戦闘】
キョウスケ[切り札]vsウォーダン[斬艦刀]
(ウォーダンのカウンター発動のためウォーダンが先攻)
ウォーダン『遅い!』
ウォーダン『先手はもらった!!』
ウォーダン『はあああっ!!』
ウォーダン『斬艦刀! 一文字斬り!!』
ウォーダン『これで終わりだ! キョウスケ・ナンブ!!』
キョウスケ『ぐうッ! だが!』
キョウスケ『それで隙が出来たはずだ!』
キョウスケ『狙いは外さんぞ、ウォーダン・ユミル!』
キョウスケ『これで…お前は!』
ウォーダン『ぐうううっ……!!』
(アルトアイゼンのHP40%)
マサキ「やったか!?」
キョウスケ「直撃だ…手応えはあった。 これですぐには再生できまい…!」
ウォーダン「フ、フフフ……」
キョウスケ「!」
リューネ「あいつ、まだ生きてるの!?」
カチーナ「ば、馬鹿言え!  コックピットにモロだったんだぞ!」
ウォーダン「肉を切らせて骨を断ったか。 ……見事だ」
キョウスケ「お前は…人間なのか?」
ウォーダン「ここで 死んでいく貴様には関係のないこと!  散れ、キョウスケ・ナンブ!!」
キョウスケ「!!」
(スレードゲルミルに爆煙)
ウォーダン「むうっ!?」
(グルンガスト参式とヒュッケバインMk-IIIトロンベが出現)
ブリット「あ、あれは!?」
クスハ「グルンガスト参式……!!」
ゼンガー「……」
ウォーダン「貴様は!?」
ゼンガー「我が名はゼンガー……!」
ゼンガー「ゼンガー・ゾンボルト!  悪を断つ剣なり!!」
ウォーダン「!!」
ゼンガー「一意専心!!」
(グルンガスト参式がスレードケルミルに隣接)
【強制戦闘】
ゼンガー[参式斬艦刀]vsウォーダン[防御]
(閃光、剣戟、スレードゲルミルに爆煙)
ウォーダン「ぬううっ! 貴様!!」
ゼンガー「……」
カチーナ「ゼ、ゼンガー少佐が もう一人!?」
エクセレン「いや、あっちが本物でしょ?」
ラッセル「ク、クスハ少尉の言葉は 正しかった……!?」
カチーナ「おい!  どういうことだ、こりゃあ!?」
ゼンガー「……」
レーツェル「彼は紛れもなく 本物のゼンガー・ゾンボルトだ。 私が保証しよう」
マサキ「あ、あんたは!」
クスハ「レーツェルさん、 どうしてここに!?」
レーツェル「あの後……私はゼンガーと 合流し、参式の2号機を託した」
レーツェル「そして、彼に似た男が ノイエDCにいると聞き…… 我々で調査を行っていたのだ」
マサキ「じゃあ、 あのウォーダンって奴は何なんだ!?」
レーツェル「それは…… 本人に問うしかあるまい」
ウォーダン「……」
ゼンガー「答えてもらうぞ。 貴様は何者だ?」
ウォーダン「我が名は ウォーダン……ウォーダン・ユミル。 メイガスの剣なり」
ゼンガー「メイガスだと?」
レーツェルアースクレイドルの 中枢コンピューターの名か」
エクセレン「どうやら、 双子の兄弟ってわけじゃなさそうね」
リオ「も、もしかして、ゼンガー少佐の クローンとか……!?」
ラミア(そうではない。あの男は……)
ウォーダン「ふ、ふふふ……。 ゼンガー・ゾンボルトよ、 貴様と剣を交える機会を待っていたぞ」
ゼンガー「素性を語るつもりはなし…… 問答無用、ということか」
ウォーダン「そうだ」
ゼンガー「よかろう!  ならば、我が参式斬艦刀によって 答えを導き出すまで!」
ウォーダン「ゼンガー・ゾンボルト!  いざ勝負!!」
(作戦目的表示)

〈スレードゲルミルのHP40%以下 or グルンガスト参式などが現れてから AFTER 4 TURNS EP〉

ウォーダン「むうっ……!  マシンセルの修復速度が……」
ウォーダン「やはり、 ゲシュペンストMk-IIIのあの一撃で…?」
(スレードゲルミルに通信)
ウォーダン「!  本隊からの撤退命令か。 ならば、任務完了だ」
(スレードゲルミルが東へ移動)
ゼンガー「どこへ行く、ウォーダン!?」
ウォーダン「この勝負、預けるぞ。 ゼンガー・ゾンボルト…… そして、キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「……!」
ウォーダン「さらばだ!」
(スレードゲルミルが南に移動し消える)
ラミア(退いたか……)
カチーナ「結局、何だったんだ?  あの野郎は……!」
ブリット「アルトの攻撃を受けた後で あそこまで戦えるなんて……」
リョウト「うん…… 人間業とは思えないよ……」
エクセレン「もしかして、サイボーグちゃん… …とかだったりしてね?」
ラミア「……」
ゼンガー「……無事か、キョウスケ」
キョウスケ「ええ……何とか」
ゼンガー「ならば、よし。 ……行くぞ、レーツェル」
レーツェル「承知した」
レフィーナ「どこへ行かれるんですか、 エルザム少佐!?」
レーツェル「我らは我らでノイエDCの 動向調査を行うつもりだ。それに……」
レーツェル「今の私は レーツェル・ファインシュメッカー。 ……エルザムではない」
レフィーナ「も、申し訳ありません。 人違いだったようですね」
タスク「いや、そんなワケねえって!」
ショーン(天然ですからな、艦長は)
ゼンガー「キョウスケ、 奴は……いや、奴が所属する部隊は またお前達の前に現れるだろう」
ゼンガー「くれぐれも油断するな」
キョウスケ「……了解」
ブリット「ゼンガー少佐……」
ゼンガー「また会おう、ブルックリン。 それまでに剣の腕を上げておけ」
ブリット「は、はい!」
ゼンガー「では、さらばだ」
(グルンガスト参式とヒュッケバインMk-IIIトロンベが撤退)
エクセレン「突然出てきて、一刀両断して、 言葉足らずの言動をして、激励の言葉を 残して、突然帰る…」
エクセレン「う~ん…どこをとっても、 間違いなく完璧に本物のボスね」
ショーン「その判断基準は どうかと思いますが……」
ショーン「クスハ少尉とキョウスケ中尉の 読みは的中しましたな」
キョウスケ「……」
キョウスケ(奴と…… 奴が所属する部隊とはいったい?)
ラミア(……ついに ゼンガー・ゾンボルトと出会ったか、 ヴォーダン・ユミル……)
ラミア(いや……W15)

[ヒリュウ改 ブリッジ]

タスク「……それにしても 驚いたッスね~」
カチーナ「エルザム少佐の変装にか?」
タスク「いや、そっちじゃなくて」
レフィーナ「え……?  やはり、あの人はエルザム少佐だったのですか?」
タスク「だから、そっちじゃなくて」
クロ「レフィーナ艦長…… 気づいてるのか、気づいてニャいのか どっちニャの?」
ショーン「素ボケなのは確実ですな」
レフィーナ「ふ、副長?」
タスク「あ、あの…… 話持ってかないでもらえます?」
ブリット「……何にせよ、 ゼンガー少佐が敵に回ったわけじゃなくて良かったよ」
キョウスケ「だが… 代わりにまた一つの謎が出てきたな」
マサキ「ああ。 ウォーダンがゼンガー少佐の 偽者だってことはわかったが……」
マサキ「何であそこまで あのオッサンに似てるのかがわからねえ」
リオ「あの人、ゼンガー少佐の クローンなのかしら……?」
ショーン「その可能性は否めませんな」
キョウスケ「それに、ウォーダンが アルトをゲシュペンストMk-IIIと 呼んだことも気になる」
リョウト「ゲシュペンストMk-III…… ある意味、アルトアイゼンの 本当の名前ですね」
キョウスケ「ああ。 だが、今あれをそう呼ぶ者はいない」
エクセレン「そうねぇ…生みの親のラドム博士も、 今はアルトって呼んでるくらいだし…」
カチーナ「ま、あたしらでゴチャゴチャ 言ってても仕方がねえ」
カチーナ「ウォーダンの正体が何なのか、 そいつを調べるのはゼンガー少佐達に 任せようぜ」
ショーン「そうですな」
(通信)
ユン「艦長、アビアノ基地司令部より 暗号電文が入りました」
レフィーナ「内容は?」
ユン「ハガネ隊がリクセント公国の 奪還に成功したようです」
エクセレン「わお! やるじゃない!」
シロ「これで王女様も一安心だニャ」
マサキ「ああ」
エクセレン「さすがは ラトちゃんや色男さん達ってことね」
ショーン「タスク少尉、 レオナ少尉に向こうへ行ってもらった 甲斐があったようですな」
タスク「まったくッス」
カチーナ「これで ノイエDCの勢いも弱まるだろうぜ」
レフィーナ「ええ……。 私達も自分の任務を果たすため、 伊豆へ急ぎましょう」

《アースクレイドル》

[アースクレイドル 内部]

???(ミツコ)「……そうですか。リクセント公国が……」
ヴィンデル「そのせいで ノイエDCはヨーロッパ侵攻の 足がかりを失った」
???(ミツコ)「まあ、私達にとっては 大きな問題ではございませんわね」
ヴィンデル「うむ…… かえって都合がいいぐらいだ」
???(ミツコ)「例の件に関しては、 私から直接バン大佐に伝えますわ」
ヴィンデル「了解した。 ところで、ミッション・ハルパー 決行の日は決まったのか?」
???(ミツコ)「まだですが…… オペレーション・プランタジネットの 前になるようですわ」
ヴィンデル「妥当な線だな」
???(ミツコ)「その頃、ハガネと ヒリュウ改は伊豆基地にいるはず……」
ヴィンデル「伊豆を抑えるのは誰だ?」
???(ミツコ)「ケネス・ギャレット少将です」
ヴィンデル「あの男か……問題ではないな」
???(ミツコ)「いずれにせよ、 あなた方シャドウミラーにとっては チャンスですわよ?」
ヴィンデル「言われるまでもない」
???(ミツコ)「では、最後に……。 彼らとの交渉の糸口が見つかりそうですわ」
ヴィンデル「何? 本当か?」
???(ミツコ)「ええ。 上手くいきましたら、ご連絡します。 ……それでは、ごきげんよう」
(通信切れる)
レモン「…美しいバラにはトゲがあるって言うけど、 あのお嬢ちゃんは別格ね」
ヴィンデル「彼女のような存在は、 時に腐敗の原因となるが……」
ヴィンデル「新たな世界を 生み出すための力の源にもなる」
ヴィンデル「だが、 大抵の者は不相応の権力を望み、 自滅するが……彼女は違う」
レモン「そうね。 あの子、根っからの商売人だもの」
レモンプロジェクトTDだって、 その実は売り込み手段の一つでしょ。 ……彼らに対しての」
ヴィンデル「だろうな」
レモン「ある意味、純粋なのよ。 だからこそ、私達もある程度までの 手の内を見せられる」
レモン「切り札は別にしてね」
ヴィンデル「ああ。 ローズが彼らとの接触に成功すれば、 我らが望む世界はより確実なものとなる」
レモン「……ええ」
ヴィンデル「では、 我らも日本へ向かう準備をしよう」
レモン「その前に…… 私達の足を手に入れない?」
ヴィンデル「足だと?」
レモン「そ。トライロバイトは虎の子だし、 ライノセラスやキラーホエールじゃ、 今後の作戦に対応しづらいでしょ」
レモン「私達の足として望ましいのはスペースノア級… シロガネなんていいんじゃないかしら?」

[アースクレイドル 内部]

NDC幹部「……現在 我が軍の戦線はアフリカ北部沿岸まで 後退しつつあります」
バン「リクセント公国の奪還で 連邦軍を勢いづかせたか……」
バン(だが、彼らとて これ以上の攻勢はかけられまい)
バン(インスペクターが次の動きを 見せてもよい頃だからな)
バン「……北部戦線は サマ、ムータ両基地を中心にし、 戦力の立て直しを図らせろ」
バン「他の戦線は現状維持…… 連邦軍、及びインスペクターの襲撃に備えるのだ」
NDC幹部「はっ」
(通信)
一般兵「バン大佐…… ヴィンデル隊より出撃許可の要請が来ております」
バン「作戦目的は?」
一般兵「アフリカ北部の友軍の 支援だそうです」
バン「……」
NDC幹部「前回に続き、 また独自の作戦行動か……」
NDC幹部「バン大佐、 いくら彼らがノイエDCの立役者とは言え……」
NDC幹部「これ以上好き勝手に させておいてよろしいのですか?」
バン「……」
NDC幹部「それに、彼らが使用する ゲシュペンストMk-II……エルアインス……」
NDC幹部「さらにスレードゲルミル…… どれも出所が不詳な機体ばかりです」
NDC幹部「しかも、 スレード以外にも数種の特機が 確認されており……」
NDC幹部「第5プラントでは、 我々の知らぬ人型機動兵器が 量産されているとの噂もあります」
バン「……わかっておる。 だが、今はあえて彼らを泳がせておくつもりだ」
NDC幹部「し、しかし……」
バン「ヴィンデル大佐から提供される戦力は、 我々にとって重要……」
バン「それに、彼の真意がどうあれ、 我が軍の不利となる行動を とっているわけではない」
NDC幹部「バン大佐はヴィンデル大佐を 信用なさっているのですか?」
バン「……」
(扉が開閉する)
一般兵「バン大佐、 スレイ・プレスティを連れて参りました」
バン「うむ、ご苦労」
スレイ「……プロジェクトTD所属、 スレイ・プレスティです」
バン「バン・バ・チュン大佐だ。 お前がもたらしたカリオンは、 シリーズ77の機体だな?」
スレイ「ご存じなのですか?」
バン「うむ、βプロト……。 そして、αプロトのこともな」
スレイ「……」
スレイ(旧DCの幹部クラスなら、 プロジェクトTDのことを 知っていてもおかしくはないが……)
スレイDC戦争後に開発された βプロトとαプロトを 知っているということは……)
スレイ(やはり、イスルギ重工側から 情報が漏れていたようだな)
バン「スレイ・プレスティ、お前が ノイエDCに参加する目的は何だ?」
スレイ「北米を占拠した敵異星人を 掃討することです」
バン「ほう……。 だが、それならば連邦軍で戦うと言う 選択肢も選べたであろうが」
スレイ「連邦のやり方では 時間がかかり過ぎます……」
スレイ「私は一刻も早く 北米を敵異星人の手から 取り返したいのです」
スレイ(そう、兄様のためにも……)
バン「……いいだろう。 その志は我らと同じようだ。 ノイエDCへの参加を認める」
バン「また、機体提供の功績もある…… 略式であるが、少尉に任官する」
スレイ「ありがとうございます」
バン「それで、以後の処遇だが……」
スレイ「……バン大佐、僣越ながら 自分の希望を述べさせていただいても よろしいでしょうか」
バン「何だ?」
スレイ「ノイエDCが 北米のインスペクターを討つ時が来たら……」
スレイ「是非、 自分をその攻撃部隊にお加え下さい。 それも……最前線の」
バン「良かろう……覚えておく」
スレイ「ありがとうございます」
スレイ「……」
スレイ(待っていて下さい、兄様……。 兄様は必ず私が助け出します……)
スレイ(そのためなら私は…… 汚名にも耐え、どんな手段も 辞さないつもりです……)
スレイ(だから…… あと少し……あと少しだけ待っていて下さい……)


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