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南極の惨劇 リュウセイルート ~ 第5話 ~

[伊豆基地 格納庫]

リュウセイ(あの時… もし、俺一人だけだったら…)
リュウセイ(俺は生きて帰ってこられたのか…?  アヤやライがいなかったら…俺は…)
アヤ「リュウ、ここにいたのね」
リュウセイ「アヤ…」
アヤ「私達に招集がかかったわ。 今から、サカエ参謀の所へ行くわよ」
リュウセイ「………」
アヤ「どうしたの?」
リュウセイ「あ、あのさ。 昨日は足を引っ張っちまったみたいで… す、すまねえ」
アヤ「…いいのよ。 私達はチームだもの… 三人で力を合わせていかなきゃ、ね」
リュウセイ「あ、ああ」
アヤ「あなたが慣れるまでは、 私とライでフォローするから…頑張って」
リュウセイ「わかった…」
アヤ「さ、行くわよ。ライが待ってるわ」

[伊豆基地 ブリーフィングルーム]

サカエ「…アヤ大尉、 ライディース少尉、リュウセイ曹長に 特別任務を与える」
サカエ「イングラム少佐、説明を」
イングラム「昨日、俺が進めている 『SRX計画』の試作機の組み上げ作業が終了した」
イングラム「以後、お前達には 機体の調整作業を手伝ってもらう」
リュウセイ「教官、質問!  そのSRX計画って…何ですか?」
イングラム「エアロゲイターに対抗するための 特殊人型機動兵器の開発計画だ」
リュウセイ「じゃあ、 俺達がテストパイロットとして乗り込むのは…」
イングラム「そう。 現在、SRX計画では『Rシリーズ』と呼ばれる 3機の試作機の開発が進められている」
サカエ「では、少佐…彼らに試作機のデータを」
(通信)
リュウセイ「こ、こいつは… パーソナルトルーパー…?  しかも、3機も…」
ライ(標準型と砲撃戦用… 残りの一機はゲシュペンストより 一回り小さいな)
イングラム「これらがお前達に いずれ与えられることになる 試作機…『Rシリーズ』だ」
サカエ「なお、今後の特別任務遂行に あたり、お前達のチームを 『SRXチーム』と呼称する」
ライ「SRXチーム…」
リュウセイ「SRXって…何の略だ?」
イングラム「それはいずれわかる。 では、お前達にスペックデータと 操縦マニュアルのファイルを渡す」
イングラム「三日以内に それらを熟読しておけ。以上だ」
リュウセイ「熟読って…。 睡眠学習機とかないのかよ?」
アヤ「寝てる間に…って奴?」
リュウセイ「そうそう」
アヤ「そんな便利な物があったら、 とっくに使ってるわよ~」
リュウセイ「……そうだよね」
アヤ「毎日、勉強会をしましょ。 わからない所があったら、私とライで教えてあげる」
リュウセイ「それって、さっき言ってた…」
アヤ「ええ、フォローよ」
リュウセイ「わかった。頼むぜ」
ライ「…今日はやけに素直だな。 どういう風の吹き回しだ?」
リュウセイ「こないだのこともあったから… お前らの足を引っ張りたくねえと思ってさ」
ライ「貴様がそんなことを言い出すとは… 明日はろくでもないことが起きそうだ」
リュウセイ「いやまあ、そう言うなよ。 SRXチームって名前もついたことだしさ、 よろしく頼むぜ」
ライ「心掛けは殊勝だが… それがどこまで続くかな」
リュウセイ「厳しいね、どうも」
ライ「まあいい。その代わり、厳しくいくぞ」
リュウセイ「お、お手柔らかに頼んます」
サカエ「…イングラム少佐、君に話がある。 レイカー司令の執務室まで来てくれたまえ」
イングラム「わかりました」

[伊豆基地内]

イングラム「南極、ですか?」
レイカー「そうだ。連邦政府によって 極秘裏に準備が進められていた 例の会見が、そこで開かれる」
レイカー「もっとも、 表向きは『シロガネ』の竣工式と…」
レイカーEOTI機関の新型機動兵器のお披露目と いうことになっているがな」
イングラム「なるほど。 南極なら何が起きても二次被害は少ない、と…」
サカエ「何か起きては困るのだよ、少佐。 これは人類全体の命運に関わることなのだ」
イングラム「ですが、 お二人は会見には反対なのでしょう?」
レイカー「上が決めたことだ。従うしかあるまい」
イングラム(…EOTI機関の新型機動兵器は、 例の会見の立会人代わりだということか)
レイカー「なお、今回の出動に関しては 地球圏防衛委員会のノーマン・スレイ少将から 直々の依頼があった」
イングラム(ノーマン・スレイ… SRX計画やATX計画の立て役者の一人か)
イングラム「ところで… EOTI機関の新型に関する情報は?」
サカエ「最低限の物しか来ていない。 相変わらず手の内を見せん連中だ」
イングラム「いえ、少しは見せましたよ」
サカエ「例の飛行する人型機動兵器か?」
レイカー「そちらの方も気になるが、 今は南極の任務に専念してくれ」
イングラム「はっ。SRXチームを派遣します」
サカエ「なお、会見の詳細は極秘だ。 そのことを忘れないでくれたまえ」
イングラム「了解です」
レイカー「イングラム少佐… 万が一に備えて、この基地の地下ドックにある スペースノア級弐番艦の艤装作業を急がせておく」
イングラム「わかりました」
イングラム(司令も薄々感づいている…。 徹底抗戦派のEOTI機関が、 会見を黙って見過ごすはずがない)
イングラム(南極で何かが起きるのは確実か…)
レイカー「では…頼むぞ、少佐」
イングラム「はっ。SRXチームを 南極基地へ派遣します」

[伊豆基地内]

リュウセイ(…やれやれ、 SRXチーム初の任務が、南極行きだなんてな)
リュウセイ(教官も人使いが荒いぜ。 ま、新型機披露式典の警備任務だっつーのが 不幸中の幸いだけど)
(通信雑音)
リュウセイ「?  何だ? メールが戻ってきた…」

[伊豆基地内]

(通信雑音)
ライ(む? メールが来たか…)
ライ(検閲は通っている…。 差出人は……レオナ・ガーシュタイン)
ライ(……)
ライ(内容を読むまでもない。 俺はもう…あの家には戻らん……)
(ノック)
ライ「!」
リュウセイ「ライ、いるか?  ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

[伊豆基地 食堂]

ライ「…で、俺に聞きたいこととは?」
リュウセイ「おふくろや友達宛ての メールが送信できねえんだ。今までは検閲ありで 送受信出来てたのにさ。何でだ?」
ライ「それは俺達のパーソナル・セキュリティ・レベルが 上がったからだ」
リュウセイ「セキュリティ・レベル…」
ライ「今日、俺達はRシリーズという機密を知った。 その漏洩を防ぐため、俺達が基地から プライベートメールを送ることは禁じられる」
リュウセイ「そんな…」
ライ「軍ではよくあることだ」
リュウセイ「お前はそれでいいのかよ?  家族と連絡が取りにくくなるんだぜ」
ライ「別に…構わん。 それに、こちらから連絡を取るつもりもない」
リュウセイ「そ、そうなのか…」
ライ「とにかく…俺達は軍の重要機密に関わっている。 そして、ここが今までの日常とは 切り離された世界だということを忘れるな」
リュウセイ「あ、ああ…わかったぜ」


第5話
南極の惨劇

〔戦域:南極基地周辺〕

(出撃準備)
リュウセイ「ヘックション!」
リュウセイ「う~っ、 ヒーターが効かねえや」
アヤ「あなた… もしかして、ハッチを開けてるの?」
リュウセイ「ああ。 あの新型戦艦を直に見てえからな」
アヤ「写真とか撮っちゃダメよ」
リュウセイ「わかってるよ。機密だろ?」
(ハッチ閉じる)
リュウセイ「やれやれ、コックピットの中が すっかり冷えちまったよ」
アヤ「あなたって、 ホントにああいうのが好きなのね」
(シロガネを指す)
リュウセイ「まあね」
アヤ「スーパーロボット専門だと 思ってたわ」
リュウセイ「そういうわけじゃねえ。 でも、何でもいいってわけでもねえんだ」
アヤ「じゃ、他に好きなのは?」
リュウセイ「リアル系のロボットだろ、 あと戦闘機とか戦車、ヘリコプター、 戦艦、潜水艦、怪獣、怪人」
アヤ(何でもいいんじゃないの?)
リュウセイ「…ところで、ライ。 イテマエ機関の新型のデータ、 まだ回ってきてねえのか?」
ライ「イー・オー・ティー・アイ 機関だ。詳細なデータは来ていないが… 名前はわかったぞ」
リュウセイ「何て言うんだ?」
ライ「『グランゾン』…だそうだ」
リュウセイ「ふ~ん、 何か敵メカっぽい名前だね」
ライ「何をわけのわからんことを…」
リュウセイ「でもさ、 どうしてこんな所で新型のお披露目を やるんだ?」
アヤ「そうね。 伊豆とか、ラングレー基地でも いいのに」
ライ(…確かに、 大尉とリュウセイの言う通りだ)
ライ(それに、この緊迫した雰囲気… ただの式典とは思えん。まるで、 これから戦闘が始まるかのようだ)
(アラート)
ライ「む…?  グランゾンが出てくるようだぞ」
(グランゾンが地下からせり上がってくる)
リュウセイ「す、すげえ…。 悪役っぽいのは名前だけかと 思ったら、見た目もそうだぜ」
アヤ「あ、あれ… パーソナルトルーパーなの?」
ライ「外見や機体構造がPTとは 違います。おそらく、我々の 機体とは別系統のものですね」
テツヤ「艦長、 グランゾンが定位置に付きました」
ダイテツ「テストパイロットの シュウ・シラカワ博士は?」
テツヤ「すでに会見場へ入っています。 なお、現在グランゾンは 自動操縦モードで待機中です」
ダイテツ「ならば、 後は客が来るのを待つだけか」
テツヤ「ええ」
アルバート「テツヤ・オノデラ大尉、 警備は万全なのだろうな?」
テツヤ「ご覧の通り、 最善を尽くしています」
アルバート「気にいらん答えだな。 全権大使である私に何かあれば、 今後の交渉は不可能になるのだぞ」
アルバート「だから、 君達は自分の命を捨ててでも この私を守らねばならんのだ」
テツヤ「…わかっています。 そのためのスペースノア級 壱番艦シロガネです」
アルバート「フン…」
ダイテツ「アルバート・グレイ大使…」
アルバート「な、何だね? 艦長…」
ダイテツ「ここは我々に任せて、 会見場へお急ぎを」
アルバート「わ、わかっている。 彼らが現れ次第、行く」
テツヤ(…やれやれ、 何だかんだ言っても、連中と 直接会うのが怖いらしいな)
(通信)
エイタ「艦長、 基地上空に重力震反応あり!」
ダイテツ「来たか…」
テツヤ「プラチナム1より各機へ。 間もなく式典が始まる。 周辺の警戒を怠るな」
テツヤ「ただし、命令があるまで 一切の戦闘行為を禁止する」
アヤ「SRXチーム、了解」
アヤ(周辺の警戒… 敵でも現れるっていうのかしら?)
アヤ(それに… 何だか嫌な予感がする…)
(フーレが転移してくる)
リュウセイ「な、何だ…あれ!?  いきなり現れやがったぞ!」
ライ「地球の物には見えん…!」
リュウセイ「!  なら、エアロゲイターか!?」
アヤ「そうだとしたら、 戦闘禁止命令が出るはずがないわ」
リュウセイ「そ、そうか…」
ライ「………」
エイタ「…AGX-04の 転移出現を確認しました」
テツヤ「あれがエアロゲイターの 戦艦か……」
アルバート「エアロゲイターではない。 『ゲスト』だ」
アルバート「何故なら、彼らは 我々にとって大事な客人だからな」
ダイテツ(そうだといいのだが)
ダイテツ「では、グレイ大使…」
アルバート「わかっている。 これよりゲストとの会談を開始する」
ライ「………」
アヤ「………」
(フーレを指す)
リュウセイ「!」
リュウセイ「お、おい、 中から人間が出て来たぜ。 やっぱ、地球の艦なのか?」
アヤ「出迎えの人もいるみたい…」
ライ(…何かの会談を しているというのか…?)
リュウセイ「なあ、 これがお披露目式典だってのかよ?」
ライ「………」
エイタ「艦長、 ゲストとの会談が始まったようです」
ダイテツ「そうか。 会談場のモニターを怠るな」
エイタ「了解」
テツヤ「それにしても… EOTI機関がよくあの条件を 呑みましたね」
ダイテツ「うむ。 ビアン・ゾルダーク博士も彼らに グランゾンを誇示しておきたいのだろう」
テツヤ「地球側の軍事技術レベルを 知らしめるために、ですか」
ダイテツ「ああ」
テツヤ「本当に この会見で地球圏の未来が 切り開けるのでしょうか?」
ダイテツ「少なくとも、 グレイ大使はそう思っているだろう」
ダイテツ(自分達の命惜しさに 地球を売る気か、特別審議会の連中は…)
エイタ「………」
エイタ「ん?」
テツヤ「どうした?」
エイタ「オブザーバーの シュウ・シラカワ博士の 姿が見当たりません」
テツヤ「何…?」
エイタ「変ですね。 博士は先程まで会談場にいたのに…」
???(シュウ)「………」
???(シュウ)「フ…… 役者は揃ったようですね…」
???(シュウ)「…では、そろそろ この茶番劇の幕を閉じることに しましょうか…」
(アラート)
エイタ「!  か、艦長、グランゾンから 高エネルギー反応が…!」
ダイテツ「!」
【強制戦闘】
???(シュウ)[ブラックホールクラスター]vsフーレ[防御]
シュウ『そんな戦艦で私達の目を ごまかそうとしても無駄ですよ』
エイタ「グ、グランゾンが AGX-04を攻撃しました!!」
テツヤ「な、何っ!?」
(ガロイガが出現)
リュウセイ「な、何だ、あれ!?」
ライ「バグス…! いや、違うぞ!」
アヤ「こちらのデータにない機体だわ!」
エイタ「04よりアンノウンが出現!  こちらへ攻撃を仕掛けて来ます!!」
テツヤ「ば、馬鹿な! 誰が グランゾンを動かしているんだ!?」
ダイテツ「…あれを動かせる者は ただ一人しかいない」
テツヤ「で、では…!?」
ダイテツ「そう、シュウ・シラカワだ。 直ちに彼を呼び出せ!」
テツヤ「了解!  エイタ、グランゾンとの回線を開け!」
エイタ「駄目です!  向こうでシャットダウンしています!」
テツヤ「!」
ダイテツ「…あの男、 いったい何を考えている?」
テツヤ「艦長! 形はどうあれ、 こちらから攻撃を仕掛けてしまった 以上、交渉は決裂です!」
ダイテツ「やむをえん。 各機に迎撃命令を出せ!」
テツヤ「了解!  プラチナム1より各機へ!  アンノウンを迎撃せよ!」
リュウセイ「く、くそっ!  戦闘が始まっちまうなんてよ!!」
(作戦目的表示)

〈ガロイガ全滅〉

(フーレが撤退)
エイタ「エアロゲイター、 撤退しました」
ダイテツ「グランゾンの様子は?」
エイタ「! こ、これは!!」
(グランゾンが基地中心あたりへ動き、グラビトロンカノンを発射する。シロガネ、SRXチーム以外が全滅)
リュウセイ「!!」
ライ「!」
アヤ「そ、そんな!!」
アルバート「な、何が 起きたのかね、テツヤ大尉!?」
テツヤ「グ、グランゾンが 友軍機を攻撃したのか!?」
エイタ「は、はい!」
テツヤ「馬鹿な!  あの男は我々を……!?」
ダイテツ「おのれ、 シュウ・シラカワめ…!」
シュウ「…では、最後の仕上げを させてもらいましょうか」
エイタ「グ、グランゾンが 本艦を狙っています!!」
ダイテツエネルギーフィールド展開!  いや、全砲門開け!!」
テツヤ「艦長!?」
ダイテツ「構わん、 グランゾンを攻撃せよ!」
【強制戦闘】
シュウ[ブラックホールクラスター]vsダイテツ[防御]
シュウ『ふっ……』
シュウ『…この一撃が、 新たな戦いの幕開けとなるのです』
ダイテツ『お、おのれ…!  シュウ・シラカワ……!!』
(シロガネが撃沈)
リュウセイ「シ、シロガネが!!」
ライ「馬鹿な、たった一撃で…!」
リュウセイ「う、うあ、ああ…!」
リュウセイ「き、基地やシロガネの クルーは…し、死んだのか!?」
ライ「リュウセイ!  気をしっかりもて!!」
リュウセイ「う、ううっ…!」
ライ「あいつ、混乱しているのか!?  アヤ大尉は…!」
アヤ「ど、どういうことなの!?  何故、グランゾンが味方を…!?」
シュウ「やはり… あなた達では、これぐらいの 抵抗しか出来ませんか」
リュウセイ「な…何だって!?」
シュウ「ならば、利用する価値も 利用される意味もありませんね」
リュウセイ「だ、誰だ…てめえ!?」
シュウ「ここまでです。 では、死んで下さい」
リュウセイ「!!」
アヤ「ライ、リュウの援護を!」
ライ「了解です!」

〈vs シュウ〉

[ライ]

ライ「貴様…!  この行為がどういうことに なるのか、わかっているのか?」
シュウ「もちろんです」
ライ「何っ…?  ならば、貴様は最初から…!?」

[アヤ]

アヤ「EOTI機関の人間が、 連邦軍に反旗を翻すなんて…!」
シュウ「………」
アヤ「!」
アヤ「もしかして、 あなた達はそれが目的…!?」
シュウ「さあ、どうでしょうね」

[リュウセイ]

シュウ「無駄な抵抗を…」
リュウセイ「くっ!  き、機体が思うように動かねえ!」
シュウ「おや…まだ新米の パイロットのようですね」
リュウセイ「こ、こいつ… いったい何なんだ!?」
リュウセイ「PTでも、 こないだの新型機でもねえ!  このパワーは…いったい!?」
シュウ「では… 自分の身の不幸を嘆きながら 死んで下さい」
リュウセイ「う…うああっ!!」

〈NEXT PP〉

シュウ「おや? この反応は…」
ライ「何かが…来る?」
【デモムービー『サイバスター登場』】
(サイバスターが出現)
マサキ「こ、これは…!?」
シロ「地上の部隊が…!」
クロ「やっぱり、 グランゾンのせいで……」
シュウ「おやおや、こんな所まで サイバスターが現れるとは…」
シュウ「もしかすると、 私を追いかけて来たのですか、 マサキ?」
マサキ「てめえ!  ラングランで何をしでかしたか、 忘れたとは言わせねえぞ!!」
シュウ「あの時の復讐というわけですか。 結構」
マサキ「ふざけるな! この様は何だ!?  てめえ、地上まで滅ぼす気か!?」
シュウ「まさか…今はまだ、 そんなつもりはありませんよ」
シュウ「私を利用しようとした 連中に身の程を知らしめて あげただけです」
マサキ「チッ…てめえを このまま野放しにしとく わけにはいかねえな…!」
シュウ「まったく… いつもいつも、同じことの繰り返し。 よく飽きませんね、あなたも」
マサキ「うるせえっ! 行くぜ!!」
シュウ「残念ですが、今は あなたと遊んでいる暇はありません」
シュウ「これからビアン博士と 会わなければなりませんしね」
マサキ「ビアン…?」
シュウ「では、ごきげんよう」
(グランゾンが撤退)
マサキ「あっ!  くそっ、また逃げやがった…!」
クロ「追わニャいの、マサキ?」
マサキ「………」
マサキ「…あいつの言ってた ビアン博士ってのは何モンだ?」
シロ「さあ…おいら達は地上の 情報を、まだそんニャに仕入れて ニャいから……」
マサキ「…調べてみる必要があるな」
シロ「調べるって…何をだニャ?」
マサキ「あいつが言ってた ビアンって奴のことを、だ!  行くぞ、クロ、シロ!」
クロ「わかったニャ!」
(サイバスターが撤退)
ライ「あの人型機動兵器… パーソナルトルーパーではない。 いったい何者だ…?」
リュウセイ「………」
アヤ「リュウ、 無事なの!? 返事をして!」
アヤ「リュウ!」
リュウセイ(ま、まるで… ゲームみたいに…あっけなく… やられちまった…)
リュウセイ(こ、これが… 本物の戦争だってのか…?)
リュウセイ(…本物の………)

[地球連邦軍伊豆基地 司令室]

サカエ「司令! 南極基地でシロガネが!!」
レイカー「…わかっている」
サカエ「こ、これは…!?」
レイカー「彼らの声明放送だ。 先程から、全世界に向けて流されている…」
サカエ「な、何ですと…!?」

[中継映像]

ビアン「…もはや、人類は逃げ場を失った!」
ビアン「我々に必要な物は、方舟ではなく… 異星人に対抗するための剣なのだ」
ビアン「本日ここで、我々EOTI機関は 『ディバイン・クルセイダーズ』として新生し、 地球圏の真の守護者となることを宣言する!」
ビアン「そして、腐敗した地球連邦政府を粛清し、 異星からの侵略者を退け、この宇宙に 地球人類の主権を確立するのだ!」

[地球連邦軍伊豆基地 司令室]

レイカー「ついに本性を現したか、 ビアン・ゾルダーク…」
イングラム「………」
レイカー「イングラム少佐、どう思うかね?」
イングラム「ビアン・ゾルダーク博士 率いるEOTI機関…」
イングラム「いえ、 ディバイン・クルセイダーズによる 実質上の宣戦布告だと考えます」
レイカー「ならば、 グランゾンや君達が接触した機動兵器は…」
イングラム「ええ… 彼らがこの日のために用意した物だと 見て間違いないでしょう」
サカエ「た、たかだか一組織の勢力で 我々連邦軍全てを敵に回すつもりなのか!?」
レイカー「イングラム少佐、 君はどう思うかね?」
イングラム「EOTI機関… いえ、ディバイン・クルセイダーズが保有する技術は、 我々の数年先を行っています」
イングラム「単独飛行が可能な、あの機動兵器のように」
レイカー「………」
イングラム「彼らの戦略は、 あれを主軸とした新機軸のものになるでしょう」
レイカー「ISA… 『空母の役割を果たす戦艦と、そこに搭載された 人型機動兵器による電撃戦』…か」
イングラム「ええ。 敵の駒は空戦特化型の機動兵器… 陸戦型のパーソナルトルーパーで対抗するのは困難です」
イングラム「ましてや、 こちらの駒…ゲシュペンストの数は少ない。 ISAが実現できるのも、現状では一隻だけです」
レイカー「敵が潜水母艦や航空母艦を保有していたら、 我々が劣勢に陥るのは必至か」
イングラム「おそらく」
レイカー「………」
イングラム(ビアン・ゾルダーク… お前の決断は、ある意味正しい)
イングラム(人類がエアロゲイターに打ち勝つには、 その方法しかない。少なくとも、今の内はな…)

[中継映像]

ビアン「…今後の地球圏に必要なものは、 強大な軍事力を即時かつ的確に行使できる政権である」
ビアン「だが、それは人民を恐怖や独裁で 支配するためのものではない」
ビアン「我々は守るべき対象である人民に対して 刃を向けるようなことはせん」
ビアン「ディバイン・クルセイダーズの意志を理解し、 地球圏と人類の存続を望む者は、沈黙を以て その意を示せ」
ビアン「意義ある者は力を以て その意を示し、我らに立ち向かうがいい」

[連邦軍病院内]

クスハ「…これから戦争になるんでしょうか…?」
看護士「だ、大丈夫よ。 私達が戦争に巻き込まれることはないわ」
医師「…そうとは限らんよ」
看護士「え?」
医師「異星人なんてものが本当に存在し、 地球を襲うというのなら…これからの戦いは 誰にとっても他人事じゃない」
クスハ(そうよ…幕張の時だって…)
クスハ(………)
クスハ(リュウセイ君… あなたは今、どこで何をしているの…?)


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