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プロローグ ~ 第0話 ~

<対峙するラフトクランズ・アウルンとグランティード>

エ=セルダ「……対応が速いな、アル=ヴァン」
アル=ヴァン「エ=セルダ様……聖禁士長と言えど、 皇女殿下(おうじょでんか)の許しなくガウ=ラ・フューリアの扉を 開くこと……」
(グランティードを正面から見る)
アル=ヴァン「そして、その玉座機に乗ることは許されません」
エ=セルダ「言われずとも、承知している」
アル=ヴァン「何故です? あなたほどのお方が 何故、このような真似を……」
エ=セルダ「私は行かねばならん。 行って、真相を伝えねばならない」
アル=ヴァン「真相……同化計画の、ですか?」
エ=セルダ「いや……我らフューリーに関わる全て、だ」
アル=ヴァン「!!」
エ=セルダ「もはや猶予はない」
アル=ヴァン「血迷われたか!?  全てが明かされてしまっては、 今までの苦労は……」
アル=ヴァン「いや、幾星霜耐え忍んできた 民達の想いは、どうなるのです!?」
エ=セルダ「アル=ヴァン……私はもう、 閉じこもっていることに耐えられぬのだ」
アル=ヴァン「馬鹿な……!  あなたは聖禁士長でありながら、先帝の、そして シャナ=ミア様のご意志に背くおつもりですか!」
エ=セルダ「………」
(グランティードを正面から見る)
アル=ヴァン「その玉座機を持ち出すことが 何を意味するか、ご存じのはず!」
エ=セルダ「無論だ。 彼らへの手土産として、これ以上の物はない」
アル=ヴァン「なっ……!」
エ=セルダ「道を譲れ、アル=ヴァン」
エ=セルダ「私は、本気だ!」
【強制戦闘】
エ=セルダ[フィンカー・クリーブ]vsアル=ヴァン[オルゴン・クロー]
エ=セルダ『いざ』
エ=セルダ『フィンガー・クリーブ!』
エ=セルダ『もう一撃!』
エ=セルダ『行けい!』
(ラフトクランズ・アウルンに1300のダメージ)
アル=ヴァン『エ=セルダ様に先手を取られたか……!  だが!』
アル=ヴァン『あなたを見逃すわけには行きません……!』
アル=ヴァン『推進力を奪えば、玉座機と言えど!』
アル=ヴァン『止めてみせる!』
アル=ヴァン『捉えた!』
アル=ヴァン『これでっ!』
(グランティードに1800のダメージ)
エ=セルダ『……腕を上げたな、アル=ヴァン』

<押しあっているグランティードとラフトクランズ・アウルン>

エ=セルダ「……さすがだと言っておこう」
アル=ヴァン(エ=セルダ様には、揺らぎも迷いもない。 造反は本意か……!)
エ=セルダ「時間がないのだ……!  これ以上邪魔をするのなら、 お前でも躊躇なく倒す!」
アル=ヴァン「たとえ、師であろうと…… フューリア聖騎士団の騎士として、 ここを通すわけにはいきません!」
エ=セルダ(そうだ……お前は、それで……)
(グランティードの後方から砲撃。ラフトクランズ・アウルンは少し後退する)

〔戦域:ガウ=ラ・フューリア 格納庫最上層〕

(エ=セルダは額から出血している)
エ=セルダ「うぐうっ……がはっ……!!」
アル=ヴァン「エ=セルダ様!!」
(ラフトクランズ・アウルンがグランティードを見る。南端にラフトクランズ・カロクアラが出現)
カロ=ラン「……よくやった、アル=ヴァン。 貴様のおかげで、大逆者を処分できる」
アル=ヴァン「カロ=ラン様!?」
カロ=ラン「今の一撃にも耐えたのだ……やはり、玉座機の力は 侮れぬ。それに、我らの機体同士だと ラースエイレムは効かぬからな」
アル=ヴァン「皇女殿下の許可なく、 戦いであれを用いるなど……!」
カロ=ラン「確かに、容易く使える代物ではないが…… 貴様ら騎士の理は、我ら諜士には関係なきことよ」
アル=ヴァン「だから、背後から撃つのも厭わぬと?  卑怯な……!」
カロ=ラン「耳に心地良いぞ。 貴様ら騎士は、優位の時に そのような台詞を吐かぬ」
カロ=ラン「敗れる時、死ぬ時になって初めて、 敵を卑怯卑怯と罵るのだからな」
エ=セルダ「……真理……かも知れんな。 人は……逆境に瀕してこそ……本性が現れる」
アル=ヴァン「エ=セルダ様!」
カロ=ラン「皇家を護る禁士の長でありながら、 我が軍の要、玉座機グランティードを 独断で持ち去ろうとした罪は重い」
エ=セルダ「………」
カロ=ラン「アル=ヴァン・ランクス。 貴様の忠義、見届けてやろう。 グランティードを拿捕し、この場で師を誅せよ」
アル=ヴァン「ここで……?  事情聴取を要すると判断しますが」
カロ=ラン「目の前にいるのは大逆者だ。 それとも、貴様の忠誠は私的な恩義で 揺らぐ程度の物か?」
アル=ヴァン「………」
カロ=ラン「加えて言うが、 エ=セルダの抹殺は、総代騎士の意志でもある」
アル=ヴァン「シャナ=ミア様は?  皇女殿下は何と仰せなのです?」
カロ=ラン「そのようなこと…………む?」

<グランティードの目が光り、振り向く>

〔戦域:ガウ=ラ・フューリア 格納庫最上層〕

(グランティードがラフトクランズ・アウルンの方を向き、攻撃。 その後、ラフトクランズ・カロクアラの方を向き攻撃)
カロ=ラン「ぬうっ!」
エ=セルダ「ここは行かせてもらう!  二つの星の民のために!」
(グランティードが北端まで高速で移動し撤退)
カロ=ラン「奴め、まだあのような動きを……!」
アル=ヴァン「私が追います!」
カロ=ラン「待て、迂闊に外へ出るな」
(ラフトクランズ・アウルンが北端まで高速で移動し撤退)
カロ=ラン「アル=ヴァンめ、先走りおって……」
(ラフトクランズ・カロクアラに通信)
???(グ=ランドン)「首尾はどうか、カロ=ラン」
カロ=ラン「……仕損じた。 手応えはあったが、玉座機は外へ…… そして、アル=ヴァンがそれを追った」
???(グ=ランドン)「何だと……?  何故、彼奴がそこにいたのだ?」
カロ=ラン「騒動に気づき、先回りしたようだ」
???(グ=ランドン)「エ=セルダはアル=ヴァンに事実を話したのか?」
カロ=ラン「いや……彼奴は事情を知らぬ様子」
???(グ=ランドン)「ふん、弟子の行く末を考えたか」
カロ=ラン「かくなる上は、私もエ=セルダを追おう」
???(グ=ランドン)「いや、こちらの手の内を必要以上に 知られるわけにはいかぬ」
カロ=ラン「だが、グランティードとラフトクランズ・アウルンが 外界へ出てしまった」
???(グ=ランドン)「構わん。エ=セルダは深手を負ったのだろう?」
カロ=ラン「ああ、間違いなくな」
???(グ=ランドン)「では、玉座機に乗っておれば、長くはあるまい。 仮に、あれが彼奴らの手に渡ったとしても、 操ることなど出来ぬ」
カロ=ラン「だが、エ=セルダの同化計画は……」
???(グ=ランドン)「紛い物に何が出来ようか。 玉座機の主たる皇女は、我らの下にいるのだ」
???(グ=ランドン)「それに、あれが外界に出たのなら、 我らが表立って動く理由の一つとなろう」
カロ=ラン「確かに……シャナ=ミア様に もう一押し出来るか」
???(グ=ランドン)「事を知り、騒ぎ始めた者もいる。 貴様にはそやつらを……特に、禁士達を 抑えてもらう必要がある」
???(グ=ランドン)「後は配下に任せ、戻れ。 アル=ヴァンには、私から直々に命令を出す」
カロ=ラン「……わかった」

〔戦域:アシュアリー・クロイツェル月本社周辺〕

(敷地外すぐの所にカレイツェドとグラシドゥ=リュが3機いる。 アシュアリー・クロイツェルの西側と東側に爆煙)
ソ=デス「……これで粗方終わったか。 だけど、つまらない任務だったな……」
ソ=デス「どいつもこいつも、 ただ死んでいくだけだったしねぇ」
(カレイツェルに警告シグナル)
ソ=デス「ん? この反応は……」
(南側にグランティードが出現)
エ=セルダ「ま……間に合わなかったか……!!」
ソ=デス「何だ、僕を止めに来たのか?  堂々と玉座機でやって来るなんて、 いい度胸してるよ」
ソ=デス「僕なんか、正体がバレないよう こんな機体に乗ってるのにさ」
エ=セルダ「お前は、カロ=ランの部下の……!」
ソ=デス「ああ、そうさ。 そして、お前も殺していいって言われてる」
エ=セルダ「……!!」
(グランティードから通信)
エ=セルダ「応答してくれ、誰か生存者は……!」
(アシュアリー・クロイツェル本社の建物を指すが反応はない。グランティードに雑音)
エ=セルダ「くっ……ならば、生体反応を……!」
ソ=デス「僕はさ……人殺しって、あまり好きじゃないんだ」
エ=セルダ「何……!?」
ソ=デス「人間はすぐに死んでしまう。長持ちしないからね。 でも、機動兵器に乗ってると、狙い所さえ 考えれば、そう簡単には死なない」
ソ=デス「相手が玉座機と聖禁士長様なら、尚更さ!  クハハッ!」
エ=セルダ「まだだ……!  私はまだ、倒れるわけにはいかん……!」
(作戦目的表示)

〈vs バイオロイド兵〉

[エ=セルダ]

エ=セルダ「私の邪魔を……するな!」

〈vs ソ=デス〉

[エ=セルダ]

ソ=デス「つまらない任務だと思ってたけど、 ここに来て良かったよ」
ソ=デス「こういう機会でもなきゃ、 大戦の英雄と遊ぶことなんて 出来ないからねぇ」
エ=セルダ「そんな機体で、グランティードを 止められると思っているのか……!」
ソ=デス「それは、お前も込みで 万全な状態だったらの話だろ!」
ソ=デス「カロ=ラン様からは、すぐに殺せと言われてるけど、 少しは楽しませてもらわなきゃ!」
エ=セルダ「くっ、外道が……!」

[撃墜]

ソ=デス「ちっ、死に損ないのくせに……!  こんな拾い物の機体じゃ、さすがに玉座機とは 遊べないか……!」
エ=セルダ「消えよ、下郎!」
ソ=デス「嫌だね!  目覚めて間もないのに、死ぬのは御免さ!」
ソ=デス「でも、聖禁士長様は時間の問題だね!  クハハハッ!」
(カレイツェドが撤退。他の敵機が撤退)
エ=セルダ「う……ぐっ……」
(グランティードがアシュアリー・クロイツェルの敷地内へ移動)
エ=セルダ「誰か……生き残っていないのか……」
(グランティードに警告シグナル。グランティードが西を向く)
エ=セルダ「! 生体反応が、二つ……!」
(グランティードが西の建物の側へ移動し、建物を持ち上げる)
エ=セルダ「ここか……!」
(グランティードが隣接した建物内にカティアがいるらしい)
カティア「あ……うう……」
エ=セルダ「私の声が聞こえるか……?」
カティア「! 嫌ぁぁぁっ!!」
エ=セルダ「君は……カティアか。 落ち着きたまえ……私だ」
カティア「セ、セルドアさん……!?」
エ=セルダ「ああ、そうだ……君の隣にいるのは……?」
カティア「メルアです……。 でも……気を失っていて……」
エ=セルダ「そう、か……」
カティア「お……お父さんとお母さんが…… み、みんなが……瓦礫の下に……」
カティア「ど、どうして……こんなことに…… わ、私達は……何も……」
エ=セルダ「彼らがここまでやるとは……。 私に油断があった……すまない……」
カティア「彼ら……?」
エ=セルダ「……そこを動くな。君達を助ける」
カティア「で、でも、テニアは……」
エ=セルダ「ここで生き残っているのは……君達だけだ。 すぐに追っ手が来るだろう……。 今から、君達をこの機体に乗せる……」
カティア「追っ手って……どうして……?  何故……私達が……?」
エ=セルダ「君の両親も私も…… 正しいと信じたことを行ってきた……」
カティア「じゃあ……何で私達が……こんな……」
エ=セルダ「それを許せない者達がいるのだ……。 さあ、早く……グランティードに……」
カティア「グラン……ティード……」
エ=セルダ「ああ……今、ハッチを開ける」
(ハッチが開き、カティア達がグランティードに乗り込む)
カティア(な、何なの、ここ? 結構広い…… それに、あの座席……)
カティア(上にあるリング…… 確か、ベルゼルートのコックピットにも 似たような物が……)
エ=セルダ「カティア、後ろに座るんだ……」
カティア「! セルドアさん、その怪我は……!!」
エ=セルダ「大丈夫だ……心配はいらない……」
メルア「う……ううん……」
カティア「メルア……」
メルア「こ、ここは……」
メルア「!? お母さん! お父さん!  どこ!? どこにいるの!?」
カティア「メルア、落ち着いて!」
メルア「カ、カティアちゃん……!  お母さんとお父さんは……みんなは……!?」
カティア「………」
エ=セルダ「カティア、メルア…… 今から君達を……地球へ送り届ける……」
メルア「えっ、私達だけ……!?」
エ=セルダ(連邦軍の警戒網をくぐり抜けられるかどうか、 わからんが……今の私に出来ることは……)
エ=セルダ(すまない……みんな……)
(グランティードが撤退)


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