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亡者の栄光 ~ 第12話 ~

<ナグツァートとズィーガーリオン>

(浮かんでいるズィガーリオンに黒い霧のようなものがまとわりついている)
レオナ「くっ……機体が動かない……!」
(黒い霧のようなものはナグツァートから供給されいてる)
ルオゾール「ふふふ……なかなか興味深い波動をお持ちですな」
レオナ「な、何を……!?」
ルオゾール「あなたには、ヴォルクルス様の 生け贄となっていただきましょう」
レオナ「……!!」
(通信)
ルオゾール「む? シュウ様から通信が……」
(ズィガーリオンが着地する)
ルオゾール「お待たせしました、シュウ様」
シュウ「……ルオゾール、モニカの救出に成功しましたよ」
ルオゾール「おお、それはそれは。 シュウ様も生け贄を手に入れられましたか」
シュウ「……どういう意味です?」
(ズィガーリオンを見る)
ルオゾール「今し方、贄として使えそうな地上人を捕らえましてな。 この後、ヴォルクルス様復活の儀式の 予行を行おうと思いまして」
シュウ「……そうですか。 ソラティス神殿の封印の方は?」
ルオゾール「それが……思わぬ邪魔が入りましてな、 イブンめの始末には失敗しました」
ルオゾール「ですが、ソラティス神殿の封印は 破壊致しましたので、ご心配は無用です」
ルオゾール「これで五大封印の内、三つを解放致しました。 残るは二つ……ティーバとトロイアの封印です」
シュウ「ならば、私はテリウスの身柄を確保した後、 ティーバの方を片づけましょう。 あなたはトロイアの方をお願いします」
ルオゾール「わかりました。 ところで、テリウス王子の現在の居場所ですが……」
ルオゾール「バランタイン州のクサカ市付近に 潜伏しておられるという情報を手に入れましたが、 御存知でしたかな?」
シュウ「いえ。おかげで、テリウスを捜す手間が省けました。 礼を言いますよ」
ルオゾール「では、落ち合うのはトロイアで……ということに なりますかな」
シュウ「わかりました。また連絡します」

《神聖ラングラン王国 バオダ州》

[地下神殿跡(部屋)]

チカ「ルオゾール様の方も順調みたいですね、ご主人様」
シュウ「……ええ」
モニカ「………」
シュウ「どうしました、モニカ?」
モニカ「あの、シュウ様…… 先程のお話の……生け贄とは……?」
シュウ「………」
ガエン「……もう隠し通せんな、シュウ」
モニカ「え……?」
サフィーネ「モニカ、あんたはヴォルクルス様に 生け贄として捧げられるのよ」
モニカ「!! そ、それは本当ですか、シュウ様……!?」
シュウ「………」
サフィーネ「ほほほほ!  生け贄にされたあなたの恐怖が、絶望が、 ヴォルクルス様を復活させるのよ!」
モニカ「そ……そんな……」
サフィーネ「ラングランの王族であり、高い魔力を持つあんたは、 ヴォルクルス様へのこの上ない供物!」
サフィーネ「絶望に打ちひしがれた悲劇の王女、これは見物ね!  おーっほっほっほ!」
モニカ「………」
モニカ「……わかりました」
サフィーネ「!?」
モニカ「シュウ様がお望みなら…… 私は……喜んで生け贄になりましょう」
モニカ「私の命が、少しでもシュウ様のお役に立つなら……」
サフィーネ(ま、まずいわ。 これじゃ、モニカの方がポイント高いじゃないの)
サフィーネ「あ、あの、私もシュウ様のためでしたら、 生け贄でも何でもなりますわ」
チカ「サフィーネ様、 生け贄って、処女じゃないと駄目なんですよ?」
サフィーネ「うっさいわね! 心はいつも処女なのよっ!」
チカ「何だかなぁ」
シュウ「……心配しなくても大丈夫ですよ、モニカ。 あなたを生け贄にするつもりはありません」
モニカ「!」
サフィーネ「え!?」
ガエン「どういうことだ、シュウ?」
シュウ「元々、生け贄という考え自体がおかしいのです。 必要なのは、出来る限り純粋な、大きな恐怖と 絶望の感情……王族の血に拘らなくてもいいのです」
ガエン「貴様、ルオゾールの考えを…… いや、教団の信条を否定するのか」
シュウ「そういうわけではありませんよ。 効率と確実性の話です」
シュウ「心配せずとも、ヴォルクルス様の復活は 見事成し遂げてみせますよ。ただ、そのためには テリウスの協力が必要ですが」
モニカ「あの子も……?」
シュウ「そうです。姉としては、反対ですか?」
モニカ「……テリウスを危険な目に遭わせたくありません。 そして、無理強いをするのも……」
シュウ「彼が、自分の意志で決めるのであれば良いと?」
モニカ「しかし、あの子が決断するかどうかは……」
シュウ「それに関しては、私に任せてもらいましょう」
サフィーネ「締め上げて言うことを聞かせるのなら、 私もお手伝いしますわ」
モニカ「サフィーネ……!」
サフィーネ「ふふふ、あなたにも覚えがあるでしょ?  ほら、前に誘拐した時よ」
シュウ「強要は禁物です。 テリウスの意志を尊重しなければなりません」
サフィーネ「……お優しいですのね、シュウ様」
チカ「テリウス王子の居場所は、 さっきルオゾール様が言ってましたよね」
シュウ「ええ、次の目的地はクサカ市です。 サフィーネ、アルバーダ達を呼んできて下さい」
サフィーネ「わかりましたわ、シュウ様」

[地下神殿跡(通路)]

セレーナ「さてさて、あの4人は何の話をしてるんだか」
エルマ「ボクが調べてきましょうか。 モニカ王女を救出した本当の理由が わかるかも知れませんし」
セレーナ「そんなの、すぐにバレるわよ。 記憶を失ってても、隙は見せてなかったし」
ヨン「あの……シラカワ博士の記憶は、 もう全て戻っているんじゃないでしょうか」
セレーナ(あ、その話題は……)
アルバーダ「………」
ヨン(……!)
アルバーダ「ヨン、お前……グランゾンだけじゃなく、 シュウにも興味があるのか?」
ヨン「あ……その……すみません」
アルバーダ「いや、謝る必要はねえが…… 奴に深入りするのは良くねえぜ」
ヨン「………」
アルバーダ「……腹が減ったな。 カップ・フィデウアを食うから、 湯を沸かしてくらぁ」
(足音・アルバーダが立ち去る)
ヨン「……私、余計なことを 言ってしまったみたいですね……」
セレーナ「まあ、でも、よく気づいたわよ。 なかなかの観察眼じゃない?」
ヨン「いえ、そんなことありません。 マスターからも物事をしっかり見極めろと 言われていて……」
セレーナ「マスター?」
ヨン「あっ! その、私の上司の……コードネームなんです」
セレーナ「ふ~ん……」
ヨン(いけない……つい、うっかり……)
セレーナ「ともかく、アルとシュウのことについては 詮索しないでおいてくれると助かるわ。 デリケートなのよ、ちょっとね」
ヨン(デリケート……?  もしかして、あの二人の関係って……?)
セレーナ「あ、そっち方面じゃないから」
ヨン「えっ、どうしてわかるんですか!?」
セレーナ「勘よ」
ヨン「セレーナ少尉こそ、凄い観察眼です。 アルバーダ少尉が南極事件に居合わせて、グランゾンの 攻撃で負傷した……という私の推測を見抜くなんて」
セレーナ「あらら……真面目な方面だったのね」
ヨン「は?」
エルマ「妄想していたのは、 セレーナさんの方だったようですね」
セレーナ「妄想? エルマこそ、何を考えてたのよ?」
エルマ「ボクに振って誤魔化さないで下さいよ」
セレーナ(それにしても…… 当たらずといえども遠からずよ、ヨン。 早とちりの気はあるけど、侮れないわね)
(足音)
サフィーネ「セレーナ、ヨン、エルマ。 シュウ様がお呼びよ」
セレーナ「次の目的地が決まったの?」
サフィーネ「ええ。これからテリウスを捕まえに行くのよ」
セレーナ「……OK。アルが戻って来たら、行くから」
サフィーネ「わかったわ」
(足音・サフィーネが立ち去る)
セレーナ「次は王子様救出作戦か……」
ヨン「シラカワ博士が言っていた、 モニカ王女とテリウス王子の大事な役目とは 何なのか……気になりますね」
セレーナ「ヨンの予想はどうなの?」
ヨン「……博士の最終目的がヴォルクルスの復活ですから、 やはり、それに関連することかと」
ヨン「例えば、二人が肌身離さず持っている物…… いえ、DNAデータがヴォルクルスを 封印している装置の解除に必要だとか」
セレーナ「それって……つまり、 あの二人を生け贄にするってこと?」
ヨン「……その可能性もあると思います」
エルマ「王族の人間が邪神や魔王の生け贄になる…… ファンタジー物だと、よくあるパターンですが……」
ヨン「もしかして、私達も……?」
セレーナ「だからこそ、王女様と王子様が必要となる理由を 教えてくれないのかもね」
ヨン「………」
セレーナ「まあ、私もアルも、シュウやガエン達が 素直に地上へ帰してくれるとは思ってない。 ヨンもそのつもりでいた方がいいわよ」
ヨン「は、はい……」
エルマ「……あの、モニカ王女は自分の役目のことを 知っているんでしょうか?」
セレーナ「どうかしらね。 あの子はシュウのためなら、何でもやりそうだけど」
エルマ「だからと言って……」
セレーナ「おっとりしているように見えて 割と押しが強いタイプみたいね、王女様は。 あのサフィーネが対抗心を燃やすぐらいだもんね」
エルマ「モニカ王女はシラカワ博士に騙されているという 可能性もありますが……」
セレーナ「シュウなら、女を手玉に取ることなんて 簡単だろうけど……サフィーネが言った通り、 そういうのに興味なさそうなのよね」
ヨン「テリウス王子がどのような反応を示すか…… それがヒントになるかも知れません」
ヨン「モニカ王女はシラカワ博士に救出されたことを 喜んでいましたが、彼も同じかどうかは わかりませんし」
セレーナ「そうね……」

[地下神殿跡(部屋)]

アルバーダ「……こっちが気になるのは、王子自身の意志だ。 救出作戦と誘拐じゃ、意味合いが変わってくるからな」
セレーナ「せっかく連れ出しても、逃げようとするのなら 面倒だしね」
サフィーネ「あの軟弱王子に、私達に逆らう気概なんてないわ」
アルバーダ「にべもねえ言い方だな」
サフィーネ「四の五の言わせず、強引にさらってくればいいのに」
シュウ「サフィーネ、先程私が言ったことを忘れたのですか?  あくまでも彼が自主的についてきてくれなければ なりません」
セレーナ(ふ~ん……その点は私達と同じなんだ)
アルバーダ「で、王子様は素直に従ってくれそうなのか?」
モニカ「昔から面倒なことを嫌う子でしたから……」
アルバーダ「じゃあ、説得込みかよ。 それは、王女様がやってくれるのか?」
シュウ「いえ……私がテリウスと直接会って、話をします」
アルバーダ「ほ~う、あんたがね……」
ガエン「また単独で動く気か?」
シュウ「その方がいいでしょう。 テリウスがどういう情況下にいるか、まだ不明ですが、 あなた達には囮役をお願いしようと思っています」
アルバーダ「王子のボディーガードか、監視役を 上手く引き剥がせってか?」
シュウ「ええ。今頃、王都周辺では ラングラン軍とシュテドニアス軍が 戦闘しているでしょうから……」
シュウ「ブルクセン州やバランタイン州は、 手薄になっているかも知れません」
セレーナ「だったら、いいんだけどね」
シュウ「ともかく、クサカ市へ赴き、 テリウス関連の情報を収集しましょう」
サフィーネ「わかりましたわ」
アルバーダ(さて……これでお前の真意が垣間見えるか、 シュウ・シラカワ……)

<味方機が草原を疾走>

チカ「皆さん、もう少しでバランタイン州に入りますよ」
アルバーダ「ここまでは何とか無事に来られたか…… なんて話をすると、敵が出て来るんだよな」
セレーナ「やめてよ、縁起でもない」
アルバーダ「クサカ市まではまだまだ距離があるんだ、 誰とも遭遇しねえとは……」
(警告シグナル)
エルマ「レーダーに感あり! 0時方向、レンジ4!  高熱源体多数!」
アルバーダ「ほ~ら、見ろ」
セレーナ「威張ることじゃないでしょ」
エルマ「どうやら、待ち伏せされていたみたいです」
アルバーダ「この距離なら、逃げ切れるな」
シュウ「伏兵はアーマードモジュール…… しかも、地球連邦軍ではないようですね」
アルバーダ「なら、ノイエDC残党か。 先を急ぐ旅だ、スルーしようぜ」
シュウ「いえ、向こうの様子が気になりますね。 今の所、こちらと戦うつもりはないようですが」
ガエン「ならば、離脱すべきだ」
シュウ「彼らは、散開する素振りを見せていない…… もしかして、私と話をしたいのかも知れません」
アルバーダ「何でそう言える?  あんたにとっちゃ、元仲間かも知れねえが…… 俺達はそうじゃねえんだぜ」
セレーナ「ヌエット海で会ったトーマスっていう男のこと、 忘れたの?」
アルバーダ「あんた……まさか、あいつらを スカウトする気じゃねえだろうな?」
シュウ「不服なら、あなた達は離れていて下さい」
(ネオ・グランゾンが加速する)
ガエン「待て、シュウ!」
セレーナ「どうするの、アル?」
アルバーダ「仕方ねえ、追うぞ!」


第12話
亡者の栄光

〔戦域:草原〕

(北側で出撃準備)
チカ「ご主人様、敵機が来ますよ!」
シュウ「ここに至るまで仕掛けて来ないということは…… 私の読みが当たったようですね」
アルバーダ(俺達が一緒にいることを承知の上で シュウと接触するってのか。目的は何だ?)
シュウ「皆さん、こちらから攻撃してはなりませんよ」
モニカ「わかりましたわ、シュウ様」
(ガーリオン、バレリオン、ランドリオンなどが出現)
オレグ「……どうやら、こちらの意図を理解しているようだ」
ノイエDC兵「しかし、あれは本当に グランゾンなんでしょうか……!?」
オレグ「ラテル・アクロスから回ってきた情報が正しければな。 あれがグランゾン以上の力を持っているのなら、 我らにとっては喜ばしいことだ」
ノイエDC兵「ですが、シラカワ博士は連邦の犬共を 引き連れています。大尉の申し出に 応じるでしょうか……?」
オレグ「それはやってみなければわからんさ。 各機、命令あるまで攻撃するなよ。連邦の連中にもだ」
ノイエDC兵「はっ!」
アルバーダ「セレーナ、ヨン、奴らは銃を下げちゃいねえ。 油断するなよ」
セレーナ「了解」
ヨン「は、はい」
(ネオ・グランゾンに通信)
チカ「ご主人様、向こうから通信が入って来ました!」
シュウ「つないで下さい」
(通信がつながる)
オレグ「こちらはノイエDCのオレグ・ナザロフ大尉だ。 確認する。その機体に乗っているのは、 シュウ・シラカワ博士か?」
シュウ「ええ。あなたは、私に話があるのでしょう?」
オレグ「……ああ、そうだ」
シュウ「あなたの仰りたいことは、 だいたいの見当が付きますよ」
オレグ「何……?」
シュウ「なので、失礼だと思いますが…… こちらから話を切り出させてもらいます」
オレグ「……いいだろう」
シュウ「オレグ大尉…… あなた達の力を私に貸していただきたいのです」
オレグ「!」
アルバーダ(あ~あ、言いやがったよ)
シュウ「事が済めば、私が地上へ帰して差し上げましょう」
オレグ(まさか、そう来るとはな……)
シュウ「どうです?」
オレグ「事とは何だ? 何を企んでいる?」
シュウ「私が崇める神……この世界を破壊によって浄化し、 再生させるヴォルクルス様の復活です」
オレグ「神……!? 復活だと? 正気か?」
シュウ「ええ、もちろん」
オレグ「………」
シュウ「ああ、ご心配なく。 あなた達をヴォルクルス様の生け贄として 捧げるような真似はしませんよ」
アルバーダ「……!」
セレーナ(こっちの疑問にも さりげなく答えてくれたってわけ……?)
オレグ「………」
アルバーダ(当然の反応だな。 いきなり神だの、世界の再生だの言われちゃ……)
オレグ「いいだろう。 ただし、こちらから条件がある」
シュウ「地上へ戻り、ディバイン・クルセイダーズの復興に 手を貸せ……ですか?」
オレグ「……そうだ、話が早いな」
アルバーダ(おいおい、マジかよ)
シュウ「何故、私を?  DC復興の旗印が必要なら、ビアン博士の一人娘、 リューネ・ゾルダークという適任者がいますよ」
オレグ「あの女は仇敵である鋼龍戦隊に荷担し、 我らノイエDCと刃を交えた。 総帥の忘れ形見とは言え、その罪は許し難い」
シュウ「私も鋼龍戦隊に協力したことがありますが」
オレグ「それは、一時的に目的が一致したからだろう?  現に、今は奴らと行動を共にしていない」
シュウ「ええ……先程述べた通り、 私にはやらなければならないことがありますからね」
オレグ「その話は後だ。 博士には責任を取ってもらう必要がある」
シュウ「………」
オレグDC戦争でのアイドネウス島決戦…… 博士はその場に居合わせながら、 ビアン総帥を救えなかった」
シュウ「その責任を取って、彼の遺志を継げと?」
オレグ「そうだ。 総帥の右腕とも言われた博士とグランゾンならば、 新たなDCの旗印となれる」
シュウ「申し訳ありませんが、DCとの縁は既に切れています。 そう、ビアン博士が亡くなられた時点でね」
オレグ「何を言う!  あの時、博士が総帥を救っていれば、DCは……」
シュウ「ビアン博士が私に望んだのは、戦いの行く末を 見届けることでした。むしろ、私は自発的に マサキ達との決戦の場に赴いたのですよ」
アルバーダ(そうだったのか……)
オレグ「だからと言って!」
シュウ「ビアン博士は、強大な軍事力を以て 地球圏を堅固に統一するべく行動していましたが……」
シュウ「同時に、自分を倒すほどの力を持った者達が現れれば、 彼らに地球圏の未来を託すつもりでもありました」
オレグ「ならば、残された我々はどうしろと言うのだ?  連邦軍の犬共に命乞いをし、腐敗し切った 体制に迎合しろとでも?」
シュウ「ビアン博士の真意は、母星を護り得る力を構築し、 来たるべき星間戦争の中で地球人類の主権を 確立すること……」
シュウ「あなた達は戦うべき相手を見極め、与えられた力を 然るべき場所で振るうべきだったのです。例えば…… エルザム・V・ブランシュタインのようにね」
オレグ「……やはり、そういう認識か。 俺もバン大佐に従い、オペレーション・ プランタジネットに参加したのだぞ」
シュウ「………」
オレグ「その結果、大佐と多くの同胞を失った。 代わりに得たのは屈辱と……この顔の傷だ」
オレグ「だが、連邦軍はインスペクターやアインストを 駆逐したのは自分達だと喧伝し、 俺達の功績を封殺した」
シュウ「体制側の者達がそうするのは当然だと思いますが」
オレグ「連邦の脆弱さ故だよ。 そうやって人心を掌握しなければ、 土台が揺らぐからだ」
シュウ「穿った見方ですね」
オレグ「支配する者とされる者……それが入れ替わらなければ、 世界は変わらん。新西暦の時代に入り、連邦政府が 誕生しても、大枠は同じだったのだからな」
アルバーダ(……ま、その通りか)
オレグ「そして、旧西暦時代から大国に虐げられてきた者達…… 逆境の中で不屈の信念と闘志を育み続けた者達こそが、 アインストのような人外の敵を打ち砕く力を有する」
オレグ「連邦に飼い慣らされた軟弱な犬共では、 ビアン総帥が予期した大規模な星間戦争を 勝ち抜くことなど出来ん」
アルバーダ(犬、か……)
オレグ「不屈の闘士達を統べるのは、敢然と連邦政府に 反旗を翻した我らDC……栄光あるディバイン・ クルセイダーズをおいて他にないのだ」
シュウ「なるほど、一理ありますが…… DCは既にその役目を終えています」
シュウ「あなた達は、亡者の栄光にすがっているだけですよ」
オレグ「亡者……そうだ。同胞達の死を無駄にしないためにも DCをあるべき姿で再生させる」
オレグ「そして、腐敗した連邦を打倒し、 軍事政権を樹立した後で、異星人や人外の敵を屠る」
オレグ「それを成し遂げるには、 博士とグランゾンの存在が必要なのだ」
シュウ「今、連邦と戦っている余裕などありませんよ。 インスペクターが捲土重来を期すべく行動を…… いや、次はゲストが来るでしょうから」
セレーナ(ゲスト……?)
アルバーダ(あいつ……何を知ってやがんだ?)
ヨン「………」
オレグ「……俺はラ・ギアスに召喚されたことを 好機だと思っている。ここでは俺達も連邦の者も 異邦人だ。体制側から追われずに済む」
アルバーダ「俺達は連邦軍なんだけどな」
オレグ「ああ、鋼龍戦隊の者が この地に来ていることも知っているさ」
オレグ「だが、連中がカークス軍と敵対するなら、 バックアップを得て公明正大に戦うことが出来る」
アルバーダ「てめえらはカークスについてんのか。 だが、奴に正義や大義があるとは限らねえぜ?」
オレグ「ヴォルクルス教団に協力している貴様らに 言えることか。この世界では、俺達が追う立場だ」
アルバーダ(そりゃ、ごもっとも)
シュウ「あなた達は、この地で力を蓄えるつもりですか?」
オレグ「そうだ。 カークス将軍の考えはビアン総帥と似ている…… 信任を得れば、俺達の目的に理解を示すだろう」
アルバーダ「おいおい、将軍をけしかけて 地上侵攻でもさせる気かよ?」
オレグ「そこまで上手く事が運ぶとは思わんが…… この世界の人間が地上への不干渉を唱えながら、 ある程度の興味を持っているのは事実だろう」
オレグ「現に、魔装機や魔装機神の操者候補として、 地上から召喚された者がいるぐらいだからな」
アルバーダ「そうかい。結局はシュウだのカークスだの、 他力本願ってわけだ」
オレグ「何とでも言え。 大願成就のために手段は選んでいられん」
オレグ「シラカワ博士、もう一度問うぞ。 DC再興に協力する気はあるか?」
シュウ「ありません。 こちらからの依頼も取り下げましょう」
オレグ「そうか……なら、行くがいい」
シュウ「ほう、私達を見逃すと言うのですか?」
オレグ「ああ。 博士が事を成し遂げた後で、もう一度返事を聞く」
シュウ「それまであなたが生きていればの話ですがね」
オレグ「俺は死なんさ。DCを復興させるまでは 泥をすすってでも生き延びる」
サフィーネ「……何だか意外な展開ね。 てっきり、一戦交えるものだと思ってたけど」
ガエン「無用な争いが避けられるなら、 それに越したことはない」
オレグ「だが……連邦の犬共は別だ。ここで殺す」
アルバーダ「……やっぱ、そう来たか」
セレーナ「自分達の目的をペラペラ喋ってたから、 怪しいと思ってたわよ」
アルバーダ「しょうがねえな。先に行ってくれ、シュウ。 ここは俺達で何とかする」
シュウ「………」
アルバーダ「何やってんだ、さっさと行けよ」
シュウ「いえ……この状況を招いたのは私ですから、 お付き合い致しますよ」
オレグ「何だと……? 博士は、その連中を 単に利用しているだけではないのか?」
オレグ「それに、奴らは付き従う振りをして、 命を狙っている可能性もあるだろうが」
アルバーダ(いちいち痛い所を突いてきやがるぜ)
シュウ「彼らは……私にとって、大事な仲間ですよ」
アルバーダ「!」
ヨン「えっ……」
サフィーネ「シュウ様……」
セレーナ(まさか、シュウがあんなことを……)
シュウ「彼らに手を出すと言うのなら、私もお相手しましょう」
オレグ「チッ! 各機、攻撃を開始しろ!」
(作戦目的表示)

〈vs オレグ〉

[シュウ]

オレグ「その頭脳を以てすれば、 容易にDC再興が成し遂げられるものを!」
シュウ「買い被り過ぎですよ。 それに、DCとの縁は切れていると言ったはずです」
オレグ「だが、地上世界での出来事に全く無関心というわけでは あるまい! その証拠に、インスペクター事件以後も 地上へ現れているだろうが!」
シュウ「確かに……地上で清算しなければならない 因縁はありますね」

[サフィーネ]

サフィーネ「ふふっ……シュウ様に振られちゃって、可哀想ね」
オレグ「俺はまだあの男の説得を諦めたわけではない……!」
サフィーネ「無駄よ。DCの再興なんかより、 ヴォルクルス様を復活させることの方が よっぽど大事なんだから」

[ガエン]

ガエン「貴様らの方こそ、さっさと立ち去ればいいものを」
オレグ「それはこちらの台詞だ! 貴様に用はない!」

[アルバーダ]

アルバーダ「世界の大枠が変わってねえって話、理解できるぜ」
オレグ「体制に尻尾を振る犬が何を言うか!」
アルバーダ「……噛み付き損なったのさ、俺の場合はな」
オレグ「何だと……!?」

[セレーナ]

オレグ「貴様らがシラカワ博士に同行している目的は何だ?」
セレーナ「そっちみたいに気前良く 教えるわけにはいかないわよ」

[ヨン]

オレグ「少しでも犬共の数を減らしておかねばな……!」
ヨン(先を見据えて動いているようだけど…… 私達はともかく、アーマードモジュールで グランゾンを相手にするなんて無謀だわ)
ヨン(志は高いけど、目先のことに囚われがちな人ね……)

状況選択

ガーリオンのHPを9000以下にした
敵機を10機以下にした


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