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アグレッシブ・デコイ ~ 第8話 ~

《神聖ラングラン王国 ラングラン州》

[シュテドニアス軍 ソディウム級移動要塞 ブリッジ]

ザンボス「ふん、地上人の空中戦艦か」
ギボン「カンツォート・ジョグ少佐達が接触した艦と 型が違うようです。報告では、ヌエット海方面へ 立ち去ったとか」
ザンボス「なら、新顔はこっちに来ねえな」
ギボン「しかし、二隻とも ラングラン側についているのは厄介ですね……」
ギボン珠付きの方には、あのサイバスターが同行している そうですし、ジョグ少佐の第102特殊工作小隊も 手を焼いたとのことです」
ザンボス「ま、ラセツ大佐は あの小僧のことを買っているようだが…… 俺から見りゃ、まだまだ若造よ」
ザンボス「俺達デオ・シュバイルと肩を並べるには、 ラングランの王女を捕まえるぐらいの 功績を挙げてもらわんとな」
ギボン「彼女達はサイバスターの操者と縁が深いようです。 珠付きと共にここへ現れるかも知れませんよ?」
ザンボス「その時は、王女を人質として利用するまでよ。 上手くやってサイバスターを入手できりゃ、大手柄だ」
ザンボス「そうなりゃ、ザムジードをろ獲したジェスハ将軍に 大きな顔をされずに済むってもんよ」
ギボン「ですが、フェイル軍が王都奪還に向けて 動いているという情報もあります」
ザンボス「ハッ、ラングランの残党に何が出来る。 まあ、万が一、王都周辺の友軍が押されるような 事態になったら……」
ザンボス「俺達で人質を使って、巻き返してやるさ。 あの双子は、フェイルロード王子の実妹だからな…… 効果覿面よ」
ギボン「そんなことをして、 後々で問題にならないでしょうか……?」
ザンボス「ふん、戦争で正義を得るのは勝者なんだよ。 それに、ラセツ大佐から王女達をここに留め置き、 状況に応じて利用しろと命じられている」
ギボン「……了解です」
ザンボス「あと、クリストフ一味はどうなった?  地上人の傭兵……シアンとか言ったか、 奴が接触したんだろう?」
ギボン「その後、グランゾンは確認されていませんが…… 友軍がリストン州で紅蓮のサフィーネと 交戦したそうです」
ザンボス「リストン州か……ここから離れているな」
(アラート)
兵士「中佐、レクス隊が所属不明機と接触! 数は4、 ガディフォールと地上人の人型兵器だそうです!」
ザンボス「ふん、ガディフォールならラングラン軍だろうが。 たった4機で仕掛けてくるとは、身の程知らずめ。 さっさと捻り潰せと伝えろ」
兵士「了解!」
ギボン「中佐、他の敵部隊がいるかも知れません。4機なら、 レクス隊の半分で充分でしょう。残りとキシル隊は 別方面からの敵機侵入に備え、温存すべきかと」
ザンボス「いや、レクス隊全機で敵を叩かせろ。 俺達に刃向かっても無駄だということを 徹底的に教えてやれ」
ギボン「ですが、もし、敵の目的が 王女達の救出だとしたら……」
ザンボス「なら、奴らの指揮官は頭と運が悪いな。 奴らが囮だと言うのなら、数が少な過ぎる。 そして、ここにいるのはデオ・シュバイルだ」
ザンボス「並の部隊じゃ、俺達を出し抜いて 王女達を連れ出すことなど出来んわ」
ギボン「とは言え、念のために 教会周辺の警戒態勢を強化した方がいいかと」
ザンボス「もちろんだ。 何人たりとも侵入させるんじゃねえぞ」


第8話
アグレッシブ・デコイ

〔戦域:町周辺〕

(シュテドニアス軍は出撃済み。南東端で出撃準備。敵部隊を見回す)
アルバーダ「こっちの数を見て、なめて掛かってくると思ったが…… そこそこの熱烈歓迎じゃないの」
ガエン「逆に言えば、俺達で奴らを速やかに撃破すれば、 本隊は浮き足立つだろう」
エルマ「でも、あれだけの戦力をこちらへ回せるのなら…… 教会周辺の敵機の数は、もっと多いってことですよね。 シラカワ博士、一人で大丈夫でしょうか」
アルバーダ「何言ってんだ、 あいつは単機で鋼龍戦隊を敵に回した男だぜ?」
セレーナ「サフィーネは別の意味で心配みたいだけどね」
アルバーダ「お姫様を助け出すってんなら、白馬の王子様だがな。 あいにく、奴が乗ってるのは蒼い魔神だ」
セレーナ「じゃ、私達は手下の小悪魔?」
アルバーダ「女はともかく、男でそれは勘弁してくれ」
エルマ「皆さん、敵機が散開しますよ!」
アルバーダ「よし、野郎共、暴れるぜ!  奴らがビビって、増援を出すぐらいにな!」
(作戦目的表示)

〈敵機15機以上撃墜〉

(セレーナ機に警告シグナル)
エルマ「敵機接近! 2時方向より真っ直ぐ!  シュテドニアス軍の魔装機です!」
セレーナ「こっちの狙い通り、増援を送り込んで来たわね」
(北東端にシュテドニアス軍が出現)
アルバーダ「おうおう、いい食い付きっぷりじゃねえか」
セレーナ「敵の指揮官は、結構単純な奴かもね」
ヨン「でも、あれ以上の数が来たら、弾薬が……」
(アルバーダ機に通信)
アルバーダ「ん? 白馬の王子様からか」
シュウ「……アルバーダ、私は今から教会へ接近します」
アルバーダ「どうだ、歓迎されそうか?」
シュウ「突破はさほど難しくなさそうですね。 少し前に魔装機が10機ほどそちらの方へ 向かいまいたので」
アルバーダ「そいつらは、もう目の前に来てるよ」
シュウ「すみませんが、もう少し時間稼ぎをお願いします」
アルバーダ「了解だが、こっちは品切れになりかねない。 適当な所で切り上げて、合流地点へ向かうぜ」
シュウ「わかりました。健闘を祈ります」
アルバーダ「ああ、任せな」
ガエン「……アルバーダ、向こうの首尾は?」
アルバーダ「今から突入するとさ。 俺達はもうひと頑張りだ、抜かるなよ!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

アルバーダ「よし、こっちへ出張って来た奴は片付いたな。 現戦域から離脱して、合流地点に向かうぞ」
ヨン「あの……今からシラカワ博士を援護しに行かなくて 本当にいいんでしょうか?」
セレーナ「そうね……様子を見に行った方がいいかも」
ガエン「いや、その必要はない。俺達は自分の務めを果たした。 後は、合流地点に向かえと命令されている」
セレーナ「あら、素直じゃない」
ガエン「命令には従う。それだけだ」
セレーナ(ふ~ん…… シュウにはかなりの反感を持ってると思ってたけど)
アルバーダ「今回のミッションはここで終わりじゃねえんだ。 弾薬は温存しなきゃならねえ。さっさとずらかるぞ」
セレーナ「わかったわ」
ヨン「……了解です」
アルバーダ(さて、お膳立てをしてやったんだ…… しくじるんじゃねえぞ、シュウ)


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