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神の牢獄 宇宙ルート ~ 第54話 ~

[ヒリュウ改 ブリッジ]

レフィーナ「ち、地球が光の膜に……!」
ショーン「……ルイーナのアートルム・エクステリオルが 展開された時と様子が違いますな……!」
レフィーナ「え、ええ……それに、地球が見えていますし……」
ショーン「南極ではなく、中近東辺りの上空から 光が広がったように見えましたが……」
レフィーナ「では、ルイーナの仕業ではない……?」
ショーン「しかし、あのようなことが出来るのは、 彼らぐらいでは……」
レフィーナ「ともかく、状況を把握しましょう。 ユン、まずハガネとの交信を試みて下さい」
ユン「は、はい」
レフィーナ「副長、オペレーション・レコンキスタ連合宇宙艦隊の 集結ポイント方面へ向かいます」
ショーン「了解です。何事もなければいいのですが……」
ユン「艦長、地上との交信は不可能です。 EAの類ではなく、あの光の膜が原因だと 思われます」
レフィーナ「その点はアートルム・エクステリオルと 同じだということですか……」
ショーン「もしや、地上への降下も……」
(アラート)
ユン「2時方向、俯角10より オペレーション・レコンキスタ連合宇宙艦隊が接近!  何者かと交戦中のようです!」
レフィーナ「もしや、ゲストと……!?」
ショーン「集結ポイントから、かなりずれていますな。 敵に押されているのでは?」
レフィーナ「救援に向かいます。総員、第一種戦闘配置!」


第54話
神の牢獄

〔戦域:衛星軌道上周辺宙域〕

(中央にアルバトロス1隻とペレグリン3隻がいる所に、スナピルが多数出現。南西端にいたペレグリンが爆発)
オペレーター「サンダラー、轟沈!」
ハンフリー「残存友軍艦艇は!?」
オペレーター「本艦とヴェネラブル、ガスコーニュです!」
ハンフリー「この短時間で ここまでの損害を被るとは……!」
(アルバトロスに警告シグナル)
オペレーター「ヒリュウ改、接近!  0時方向、仰角10より真っ直ぐ!」
(ヒリュウ改が出現)
レフィーナ「ブレイブリー・アークへ。 鋼龍戦隊司令、レフィーナ・エンフィールド大佐です。 これより貴隊を援護します」
ハンフリー「オペレーション・レコンキスタ連合宇宙艦隊司令、 ハンフリー・イネス大佐だ。来援に感謝する。 当方は現在位置にて、敵群への反撃を再度試みる」
レフィーナ「貴艦の状況では、危険と判断します。 直ちに戦域外へ待避を」
ハンフリー「ここでバラルを食い止めねば、被害が他所に及ぶ。 双方の戦力を以て、敵を掃討すべし」
レフィーナ「敵はバラルなのですか?」
ハンフリー「そうだ。地球を覆っている光の膜も 彼らが発生させたものだ。バラルの園と 呼ばれる巨大構造物からな」
レフィーナ「バラルの園……!」
ハンフリー「事情は後で説明する。 今は力を合わせ、敵の迎撃を」
レフィーナ「了解です」
ショーン(ふむ。宇宙軍きっての石頭も柔軟になったものですな。 嫌味の一つや二つ、覚悟しておりましたが……)
レフィーナ「各機は直ちに出撃!  ブレイブリー・アーク他2艦を死守せよ!」
(出撃準備)
ショウコ「地球がバリアみたいなものに包まれてる……!」
テュッティ「あれがバラルの仕業だと言うの……!?」
イルム「アートルム・エクステリオルと違って、 地球が見えるのがまだ救いか」
ミチル「二回も地球がバリアで覆われるなんて…… どないなっとんねん、ホンマ」
コウタ「ルイーナもバラルも、やることが大げさ過ぎるぜ」
ロア「コウタ、独自に調べたいことがある。 OGセンサーの機能に若干制限がかかるが、いいか?」
コウタ「構わねえが、何を調べるんだ?」
ロア「確証が得られれば、後で教える」
ヴィレッタ「……ギリアム、0時方向に窮奇王がいるわ。 あれを早急に抑えねば、艦隊が全滅しかねない」
ギリアム「わかっている。 ゴースト1より各機へ。特機は窮奇王を攻撃。 その他の者は艦隊の援護に回れ」
(作戦目的表示)

〈6PP or 窮奇王以外の敵機全滅 or 窮奇王のHP50%以下〉

(ヒリュウ改にアラート)
ユン「高速物体接近! 3時方向、俯角20より真っ直ぐ!  魚型のクストースです!」
レフィーナ「!」
(北端にケレンが出現)
ユウキ「クストース……俺達を助けに来たわけではあるまい」
ランシャオ「ご主人様、あれが例の巨大構造物方面から 飛来したとなると……」
ヤンロン「やはり、バラルに与するものか」
ギリアム「ゴースト1より各機。 我らにとって、これがクストースとの 初の本格的な戦闘となる」
ギリアム「彼らの力は未知数だ。ぐれぐれも油断するなよ」
(作戦目的表示)

〈窮奇王のHP30%以下〉

(窮奇王が撤退)
ユン「窮奇王、戦域から離脱して行きます!」
ショーン「……思っていたより、あっさりと引き揚げましたな」
レフィーナ「まだ魚型のクストースが残っています。 ブレイブリー・アーク他2艦を死守するように」

〈ケレンのHP50000以下〉

(他の敵機が残っていると撤退。ケレンが撤退)
ユン「敵、全機後退しました。 残敵の反応、ありません」
レフィーナ「友軍艦は?」
ユン「3隻とも健在です」
レフィーナ「では、全周警戒を厳となせ。 ユン、ブレイブリー・アークに連絡。 ハンフリー司令に今後の指示を仰ぎます」
ユン「了解です」

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

ギリアム「オペレーション・レコンキスタ連合宇宙艦隊からの 情報と、私やヴィレッタ達の推測をまとめた上での 話だが……」
ギリアム「浮上したバラルの拠点、“バラルの園”から 発生したバリアは、ルイーナの結界以外の空を 覆い尽くし、現在も維持されている」
ギリアム「その強度はH-MAPWの直撃に耐える程であり…… アートルム・エクステリオルと同じく、 地球への進入を阻んでいる」
ギリアム「おそらく、地上から宇宙に出ることも 容易ではないだろう」
ライ「では、空間転移による移動は……?」
ギリアム「その内、ゲストによって証明されるだろうが…… 不可能だと考えている」
カチーナ「じゃあ、H-MAPW以上のパワーを ぶつけりゃいいんじゃねえか?」
ギリアム「試す価値はあると思うが…… バラルの園に住まう孫光龍という人物は 無駄だと言い放ったそうだ」
マサキ「単なるハッタリじゃねえのか、それ」
ヴィレッタ「だとしても、バラルの園を浮上させ、 あのようなバリアを展開した力を侮るのは禁物ね」
ギリアム「ああ……地球は人知を超えた術で 再び封印されてしまったと考えられる。 現に地上との交信は全く不可能だからな」
ギリアム「おそらく、孫光龍は地球に住まう人々の逃げ場を なくした上で、総人尸解計画を遂行するつもりなのだ」
コウタ「……あのさ、バラルのバリアのことで ロアが話してえって言ってるんだが……」
ギリアム「わかった。そこのモニターを使ってくれ」
コウタ「おう。 ……ロア、出て来てくれ」
(モニターオン)
ロア「………」
ミオ「えっ、何々?」
マサキ「あいつがロア…… 異世界から来た奴で、コンパチカイザーと ロア・アーマーの本来の持ち主だ」
ミオ「普段はどこにいるの?」
コウタ「ロア・アーマーのクリスタルの中さ。 でも、こうやって会話することも出来る」
ミオ「ふ~ん……何だかファミリアみたいだね」
ショウコ「あ、それ言えてるかも」
ロア「……話を始めてもいいか?」
コウタ「ああ、頼む」
ロア「俺は、バラルのバリアを通して地球を見た時、 違和感を覚えた」
ロア「そして、OGセンサーで調べた結果…… ある物が消えていることに気づいたのだ」
コウタ「何なんだ、それ?」
ロア「都市や連邦軍の基地だ。 ただし、その全てが消えているわけではないが」
カチーナ「まさか、バラルにやられちまったのか!?」
ロア「その可能性もあるが…… まるで画像を加工したかのように いくつもの都市や基地が綺麗に消えていた」
ザッシュ「何故、そのようなことが……」
ロア「理由はわからんが…… 俺達の目には、本来あるべき姿の地球が 映っていない可能性が高い」
ショウコ「そ、そんな……!」
イルム「……消えた都市や基地に何か共通点はあるのか?」
ロア「その通りだが…… たくさんあり過ぎて、逆に絞り込めん」
ヤンロン「しかし、そこにはバラルの意図が介在しているはずだ」
レオナ「ロア、あなたの考えは?」
ロア「確証はないが、俺達に対する何らかのメッセージ…… 警告ではないかと思う」
アヤ「警告……」
ミチル「バラルに逆らったら、 街や基地が消えてまうで……ちゅーことか?」
リューネ「だったら、全部消すんじゃないの?  その方がわかり易いし」
ロア「ミチルの考えは的外れではない。 そういう類のメッセージだろう」
コウタ「何だかよくわからねえが、 バラルが思ってた以上にとんでもねえ連中なのは 確かだな」
マサキ「これから俺達はどうするんだよ?」
ギリアム「それについては、レフィーナ大佐達が協議中だ。 では……各員、持ち場に戻ってくれ」
タスク「……はああ~、今度は地球から放り出される側に 回っちまったか」
アヤ「ところで、アイビス……イルイは見つかったの?」
アイビス「ううん……」
ショウコ「ショウコ達も捜したんですけど……」
ツグミ「艦内映像もチェックしましたが、 それらしい姿は見当たらず……」
アイビス「部屋の中で突然消えてしまったとしか……」
アヤ「そんな……」
アイビス(イルイ……どこへ行ったの……?)

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ハンフリー「……では、我々はヘブンゲートへ向かうが、 そちらはどうするつもりだ?」
レフィーナ「今の所、クストースや超機人はバラルの園に 接近しない限り、動きを見せないようです。そして、 地球への帰還方法に目処が立たぬのであれば……」
レフィーナ「我々もオペレーション・レコンキスタに 参加させていただきたいと思っています」
ハンフリー「だが、貴官の本来の任務は……」
レフィーナ「後顧の憂いを断つためにも……月を奪還するためにも、 ここでゲストとの決着を付ける必要があると考えます」
レフィーナ「司令さえよろしければ、 我々を補充戦力としてお使い下さい」
ハンフリー「しかし、統合参謀本部の許可を得ねば……」
ショーン「地上との交信は不可能ですし、 我々は軍籍を剥奪されている身ですが……」
ハンフリー「……そうだな。では、貴官の申し出を受け入れよう。 ただし、地球に異変が起きた場合は、 本来の任務に戻ってもらうぞ」
レフィーナ「了解しました」

《パリ 地球連邦軍 統合参謀本部》

[地球連邦軍 統合参謀本部]

アルテウル「とんだ失態だったな」
ギャスパル「こちらからの攻撃がきっかけとなったかも知れんが…… いずれ、バラルはああするつもりだったのだろう」
アルテウル「言い訳として受け取っておこう。 それで、用件は?」
ギャスパル「バリア展開と共に南極の結界の直径が縮小し、 その高度を増した」
ギャスパル「こちらでは、南極上空が遮断されることを防ぐため、 そのように変形したと見ている」
ギャスパル「また、バラルを警戒してか、 ルイーナの動きが沈静化しつつある。 これは我が方にとって、好機と言えよう」
アルテウル「なるほど……催促というわけか」
ギャスパル「ああ。オペレーション・アイスブレイカーへの 参加を急いでもらいたい」
アルテウル「こちらにも都合が色々とあるのだが……いいだろう。 ただし、条件が一つある」
ギャスパル「何だ?」
アルテウル「ハガネをこちらに引き渡せ」
ギャスパル「引き渡すも何も、 彼らは今、我々の管轄下ではないのだがな」
アルテウル「ふん……では、言い方を変えよう。 そちらの方でもハガネを追撃するのだ。 ただし、接収は我らの方で行う」
ギャスパル「随分と都合のいい話だが…… 我らの方にも体面というものがある」
ギャスパル「逮捕と引き渡しは 我が方だけに任せてもらいたい」
アルテウル「今更、体面などと…… 鋼龍戦隊の追撃を取りやめろと言うのか?」
ギャスパル「そういうことだ」
アルテウル(フッ、鎌を掛けて来たか……。 お互い様だがな)
アルテウル「……よかろう。では、以上だ」
(通信が切れる)
ダニエル「元帥、本気ですか……!?  ハガネをガイアセイバーズに引き渡すなどと……!」
ギャスパル「これは化かし合いだよ。 さて、奴がどう出て来るか……」

《グランド・クリスマス》

[グランド・クリスマス 基地内部(執務室)]

ニブハル「……本命はナフード砂漠でしたね」
アルテウル「フッ……自分でも恐ろしいぐらいに 事が上手く運んでいるよ」
ニブハル「あの空中庭園にバラルの神が鎮座しているのであれば、 あれもまた……」
アルテウル「いや、まだわからんよ。 南極に存在している可能性もある」
ニブハル「しかし、あそこにはルイーナが……」
アルテウル「彼らの王が目覚めるようであれば、 バラルの神が動くだろう……それはそれでいい」


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