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封印の予兆 地上ルート ~ 第53話 ~

《パリ 地球連邦軍 統合参謀本部》

[地球連邦軍 統合参謀本部]

(扉が開閉する)
ギャスパル「……いいタイミングだったよ、ダニエル。 車が正門をくぐっていれば、里心が付いていたな」
ダニエル「申し訳ありません、元帥。 折角のお食事会を……」
ギャスパル「構わんよ。 おかげでディケムのソーテルヌを開けずに済む」
ダニエル「ほう……何年物です?」
ギャスパル「40年だ。 ああ、それから……孫へのプレゼントを 自宅へ送りたい。手配を頼む」
ダニエル「了解しました」
ギャスパル「それで、巨大構造物とは?」
ダニエル「全長約4キロメートルの岩塊です。 本日0434、アラビア半島ナフード砂漠上に出現、 時速約40キロメートルで上昇を続けています」
ダニエル「現在対地高度は51キロメートル、 成層圏を突破した所です。オペレーション・ レコンキスタ連合宇宙艦隊からの望遠映像を出します」
(モニターオン)

[衛星軌道上のバラルの園]

ギャスパル「………」
ギャスパル「……機械仕掛けの星や剣の次は、空中庭園か。 出し物に事欠かんな」
ギャスパル「中央の建造物は……塔か?」
ダニエル「ええ」
ギャスパル「まるで、バベルの塔だ。 歴史学者や考古学者達が目の色を変えるな」

[地球連邦軍 統合参謀本部]

ギャスパル「で、今回のプロモーターは何者かね?」
ダニエル「それが……自ら名乗り出ておりまして」
ギャスパル「ほう」
ダニエル「先程、こちらへ送り付けられて来た映像を お見せします」
(モニターオン)

(バラルの神殿内)

光龍「……やあ、地球連邦軍の諸君。ハッピーかな?  僕の名は孫光龍、バラルの元締めだ」
光龍「さて、君達も知っての通り、 僕らの拠点である“バラルの園”が 満を持して浮上した」
光龍「準備に色々と手間取ってしまったけど、 そろそろ計画を実行に移したいと思ってね」
光龍「と言っても、心配することはない。 僕らバラルは地球の守護者だからね。 君達に救いの手を差し伸べようと思ってる」
光龍「無論、見返りなんていらない。 君達は黙って、バラルの神の目覚めを 待っているだけでいいんだ」
光龍「そう、もう少しの間、辛抱してもらえれば…… 君達の格が上がり、俗界桃源郷で 面白可笑しく暮らせるようになる」
光龍「それは、人間が求めてやまないユートピアさ。 もはや外敵に怯えることはない。 未来永劫、平穏に暮らせるんだ」
光龍「そうそう、バラルの神が目覚めれば、 僕らがルイーナやゲストを討伐するからね。 君達は何もしなくていい」
光龍「心穏やかに、姿勢を正して君達の存在が 昇華する時を待っていてくれたまえ」
光龍「あ、それから……バラルの園を攻撃しても無駄だよ。 どうしても信じられないと言うなら、 色々とやってみてもらってもいいけど」
光龍「ともかく、直にその時は来る。 僕らの神の下、みんなでハッピーになろうよ」
光龍「以上、バラルの園から孫光龍がお送りしました!  あははははは!」

[地球連邦軍 統合参謀本部]

ギャスパル「フン……随分と手の込んだプロモーションだ。 来年のカンヌに招待されるぞ」
ダニエル「話の一部は、情報部から回ってきた バラルの報告書と一致しています」
ギャスパル「ああ、鋼龍戦隊は彼らの構成員と 交戦していたのだったな」
ダニエル「あれだけの岩塊を成層圏にまで押しやる連中です。 先程の映像は、単なる示威ではないでしょう」
ギャスパル「どこかの暇人の狂言である可能性も捨て切れんが…… あの空中庭園は、現実として受け止めねばなるまいか」
ダニエル「ええ。 念のため、全軍へ改めて非常警戒態勢命令を 発する必要があるかと」
ギャスパル「許可する。ただし、詳細が判明するまでの間、 警戒対象はゲストとルイーナにしておきたまえ」
ダニエル「了解です」
ギャスパル「政府筋や民間には?」
ダニエル「今の所、映像を受け取ったのは我々だけのようです。 もっとも、ガイアセイバーズ側にも送付している 可能性は否めませんが」
ギャスパル「ふむ……」
ダニエル「バラルの園への対処は、いかが致しますか?」
ギャスパル「……連合宇宙艦隊は H-MAPWを持っていたな?」
ダニエル「はっ。既にシミュレーションは、 目標破壊後の状況を含め、数パターン構築済みです」
ギャスパル「では、直ちに攻撃準備。 私はヘンドリックス大統領にケースEでの 使用許可を求める」
ダニエル「了解しました」
ギャスパル(……孫光龍があの映像を送ってきた理由…… 時間稼ぎか、あるいは……)
ギャスパル(単に自分が楽しんでいるだけなのかも知れんな)

〔戦域:地球衛星軌道上〕

(アルバトロス3隻とペレグリン7隻がいる)
連邦軍艦長「ハンフリー司令、 H-MAPW1番から6番までの 装填が完了しました」
ハンフリー「うむ。目標は?」
オペレーター「依然、上昇を続けています。 現在対地高度290キロメートル」
ハンフリー「……奴らはもうこちらに気づいているはずだ。 にも関わらず、何も仕掛けて来ないとは……」
オペレーター「司令、統合参謀本部からの命令書を受信しました」
ハンフリー「こちらへ回せ。 艦長、暗証認識を行うぞ」
連邦軍艦長「はっ」
ハンフリー「………」
ハンフリー「……確認したな?」
連邦軍艦長「ええ、一致しました」
ハンフリー「よし、H-MAPWの使用許可が下りた。 直ちに攻撃を開始せよ!」
(バラルの園へH-MAPW攻撃。攻撃が当たる直前にバラルの園にバリアが張られる。 爆煙が収まると、塔から光が発せられ、地球全体が黄緑色のバリアに覆われる)


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