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厭客再来 ~ 第23話 ~

[回想:砂漠]

アルベロ「フォリア!!」
フォリア「う、ううあ……」
アルベロ「な、何故、俺を……!?」
フォリア「そ……そんなの……決まってるじゃねえか…… あんたがクライウルブズの隊長である以前に……」
フォリア「俺の親父……だからさ……」
アルベロ「……!!」
フォリア「親父……ヒューゴ…… 早く……逃げ……ろ……」
アルベロ「フォリア!!」
ヒューゴ「フォリアァァァァァァァッ!!」
(閃光)

[クロガネ 艦内(個室)]

ヒューゴ「!!」
ヒューゴ「ゆ、夢か……」
ヒューゴ「チッ……また同じ夢を見るようになっちまった……」
ヒューゴ「ぐ!?」
ヒューゴ「う、うぐっ……薬が切れたか……」
(通信)
アクア「ヒューゴ、いる? 話があるんだけど」
ヒューゴ「く、うう……薬を……」
アクア「どうしたの? ねえ、ヒューゴ?」
ヒューゴ「後で……行く……」

[クロガネ 艦内(通路)]

アクア「ヒューゴ、また顔色が悪いわよ?」
ヒューゴ「……何でもない」
アクア「ねえ、医務室へ行ったら?」
ヒューゴ「大丈夫だ。で、話とは何だ?」
アクア「あなた、レーツェルさんと話してた時、 ツェントル・プロジェクトのトーチカ1に いたことがあるって言ってたわね」
ヒューゴ「ああ」
アクア「それって、どこにあるの?」
ヒューゴ「何故、そんなことを聞く?」
アクア「私、ハワイのトーチカにしか行ったことないし…… トーチカ1の場所は機密事項だって言われて、 どこにあるか教えてもらってないの」
ヒューゴ「俺もトーチカ1の所在地は知らん」
アクア「え? だって、そこにいたことがあるって……」
ヒューゴ「それは昔のトーチカ1だ。 事故が起きたせいで、今は廃棄されているがな」
アクア「事故……?」
ヒューゴ「イェッツトに破壊されたのさ」
アクア「!」
ヒューゴ「当時、ツェントル・プロジェクトの連中は 奴を飼い慣らせず、暴走させてしまった」
ヒューゴ「その後、クライウルブズ達に追撃命令が出たが…… 結果はお前も知っての通りだ」
アクア(生き残ったのはアルベロ・エスト少佐と ヒューゴだけ……その後、イェッツトは カイ少佐達が倒した……)
アクア「……前にも聞いたけど、 ツェントル・プロジェクトは 何のためにイェッツトを……?」
ヒューゴ「兵器として応用するつもりだったようだが、 詳しくは知らん」
アクア「まさか、プロジェクトでは 今もイェッツトの研究を……?」
ヒューゴ「……かも知れんな」
アクア「ね、ねえ…… 私達は正しいことをやってるのよね……?」
ヒューゴ「正しいこと?」
アクアアインストインスペクターみたいな敵から 地球を守る……ツェントル・プロジェクトも そのために……」
ヒューゴ「ミタールもそんなことを言っていたが、 建前だろうな」
アクア「建前って……じゃあ、あなたは?」
ヒューゴ「………」
ヒューゴ(俺は……復讐だ)

[クロガネ 格納庫]

ラミア「あそこのハンガーにあるのは…… アクセル隊長のソウルゲインですね」
レーツェル「ああ。彼が消えた後、我々が回収したのだ」
カイ「あの事件の報告書は読んだ。 コウタとアクセル・アルマーが正体不明の敵と戦い、 次元の扉に吸い込まれたのだな」
レーツェル「ええ。キョウスケ中尉とリュウセイ少尉、鋼龍戦隊、 シャイン王女、そして、ゼンガー達の消失も あれと何らかの関係があると考えていますが……」
カイ「個々別々に理由が存在しているのかも知れんぞ。 異なる世界の扉を開ける方法は、 一つだけではないのだからな」
レーツェル「確かに」
カイ「ラ・ギアスから来たマサキは別として、 シャドウミラーやアインスト、修羅、 そして一連の消失事件……」
カイ「時が経つにつれ、境界の変事が頻発し…… 特にここ最近はその間隔が狭まって きているように感じる」
カイ「これは何か大きな異変の前触れではないのか。 そんな気がする……」

[クロガネ 艦内(休憩室)]

リム(クリス)「わあ、あの雲に島……いかにも南の海って感じ」
ゼオラ「輸送機に乗ってる時もそうだったけど、 景色を見るのが好きなのね」
リム(クリス)「うん、珍しくて。 私、子供の頃からずっと南極にいたから」
アラド「え? そうなの?」
ラトゥーニ「じゃあ、南極の外に出たのは……」
リム(クリス)「今回がすっごく久しぶり」
アラド「ずっと氷の世界に閉じこもってたのか。 おれだったら、耐えられねえ……」
リム(クリス)「でも、退屈はしなかったよ。 お父さんやお兄ちゃんが一緒だったし……」
リム(クリス)「リ・テクには変わった人が多いけど、 優しくしてくれたし。あと、お父さん達の 研究を手伝ったりしていたの」
ラトゥーニ「研究……遺跡関連の?」
リム(クリス)「ええ、お兄ちゃんのエール・シュヴァリアーに 搭載されてるシュンパティア……あれのテストをね」
アラド「シュンパティア?」
ラト「エール・シュヴァリアーの マン・マシーン・インターフェース…… パイロットの脳波とリンクするらしいの」
アラド「じゃあ、T-LINKシステムみたいなものか?」
ラトゥーニ「概念は近いけど、念動力のような特殊能力は 必要ないって……」
ゼオラ「でも……どうして、リムが シュンパティアのテストを……」
リム(クリス)「それは、私が一番最初にあれを動かしたから……」
ラトゥーニ「……!」
ゼオラ(ジョッシュさんが言ってたように、 リムも実験台にされてたってこと……?)
アラド「へえ、凄いんだな。 じゃあ、リムもエール・シュヴァリアーを 操縦できるのか?」
リム(クリス)「あれはお兄ちゃんにしか動かせないけど、 私も訓練を受けてたから……」
リム(リアナ)(駄目よ、クリス。喋り過ぎ)
リム(クリス)「ご、ごめん……」
アラド「ごめんって? どうして、謝るの?」
リム(クリス)「あ、何でもない、何でもないのよ」
(アラート)
ゼオラ「!!」
アラド「何だ!?」

[クロガネ ブリッジ]

クルト「レーツェル様、 こちらへ高速飛行物体が接近中です」
レーツェル「警告を発して来たか?」
クルト「いえ」
レーツェル「ならば、連邦軍ではないか……」
クルト「もしや、インスペクターでしょうか?」
レーツェル「彼らが頭上からこちらを見ているとすれば、 もっと近い所に手勢を転移させてくる」
レーツェル「警告を出し、 それでも接近してくるようであれば、攻撃せよ。 我らは機乗して、待機する」
クルト「了解しました」


第23話
厭客再来

〔戦域:小島付近〕

(ベガリオンと多数のマスカレオンが出現)
クルト「レーツェル様、目標群が警告を無視し、 レンジ3へ侵入しました」
レーツェル「了解した。各機、直ちに出撃を!」
(出撃準備)
ヒューゴ「奴らの機体…… 伊豆で俺達を襲った連中と同じだな」
アクア「こんな所にも現れるなんて…… 結構、行動範囲が広いのね」
アラセリ「フッ、我らは運がいい。地上へ戻って来て すぐにクロガネと相見えるとはな」
所属不明兵「隊長、回収艦から連絡が来ました。 合流ポイントの変更を要請して来ています」
アラセリ「了解した。我々で彼らの目を引き付け、 その間に別働隊と回収艦を接触させる。 こちらの迎えの準備を忘れるなと伝えろ」
所属不明兵「はっ」
アラセリ「目の前の連中は、ボーナスだ。 上手くやれば、データにさらなる箔が付く」
アラセリ「機体のことは、もう気にしなくていい。 連邦でも解析は進んでいるだろうからな。 ……稼げよ」
所属不明兵「もちろん、そのつもりです」
アラセリ(フッ……欲に目がくらんだ連中は、盾になる)
スレイ(……あの中にアイビスはいないようだな)
ゼオラ「あの戦闘機、カリオンに似てる……!」
ラトゥーニ「緋色の機体……もしかして」
レーツェル「シリーズ77、ベガリオン…… あれが作られていたとは……!」
(ベガリオンに通信)
スレイ「!」
レーツェル「レーツェル・ファインシュメッカーだ。 その機体に乗っているのは、スレイ・プレスティ…… 君なのか?」
スレイ「………」
アラセリ「なるほど、顔見知りだったな。 どうする? ここは私に任せて、後退するかね?」
スレイ「相手が何者であろうと、交戦データを収集する…… それがスポンサーの要求だ。 任務の遂行に私の個人的事情など、関係ない」
アラセリ「よかろう、プロフェッショナルだ」
スレイ(アイビスをアルテリオンから引きずり降ろし、 私が兄様のプロジェクトTDを完遂させる……)
スレイ(そのためには、イスルギ重工だろうと何だろうと 利用するまで……!)
アクア「……ねえ、ゼオラ。 あの緋色の機体のパイロット、 知り合いなの?」
ゼオラ「正確に言えば、知り合いの知り合いですけど。 でも、レーツェルさんは……」
レーツェル「……応答なしか」
カイ「レーツェル、単機ならともかく、 あれだけの敵機がいる以上……」
レーツェル「わかっています。迎撃しましょう」
(作戦目的表示)

〈vs アラセリ〉

[カイ]

カイ「こいつ、他の機体と動きが違うな」
アラセリ「特殊戦技教導隊の隊長機か。 いい交戦データを得られそうだな」

[ヒューゴ]

アラセリ「初見の機体だ……お手並み拝見といこうか」
ヒューゴ「そう簡単にデータが取れると思うなよ!」

[ジョッシュ]

アラセリ「ふふふ、私は運がいい。 何機もの新型機と巡り会えるとはな」
ジョッシュ「データ取得はお互い様かも知れないが…… 命まで渡すつもりはない!」

〈vs スレイ〉

[ラトゥーニ]

ラトゥーニ「速度も運動性もカリオンを上回っている……!」
スレイ「いい腕をしている。 このベガリオンの相手に相応しいぞ……!」

[レーツェル]

スレイ(レーツェル・ファインシュメッカー…… あなたであっても容赦はしない!)
レーツェル「あくまでアイビスとの決着にこだわるか。 フィリオ亡き後も……いや、だからこそか」

先に撤退したのは
アラセリ スレイ


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