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超音速の妖精 アビアノ基地に残る ~ 第20話 ~

ショーン「では、ご武運を。 ダイテツ中佐」
ダイテツ「うむ、そちらもな」

《連邦軍・アビアノ基地》

アイビス「タカクラチーフ、 火器官制システムのチェックは 終わりました」
ツグミ「ごめんなさいね、アイビス。 調整を手伝ってもらって……」
アイビス「それは構いませんが…… シルバーとゴールドって、 あの二人用の機体だったんですね」
ツグミ「ええ……そして、 プロジェクトTDの副産物でもあるわ」
アイビス「でも、 アステリオンやカリオンにはない システムが色々あるようですけど……」
ツグミ「カザハラ所長の意向で 組み込まれたものよ」
ツグミ「多分……今回の事態をある程度 予測されていたのでしょうね」
アイビス「え?  まさか、次の作戦で これを使うんですか?」
ツグミ「彼女はそのつもりよ。 まだ起動テストもしてないのに……」
アイビス「チーフはあの子が 戦うことに反対なんですね……」
ツグミ「当然よ。 一国の王女である前に、 あの子は只の子供なのよ……」
ツグミ「訓練も受けていないのに、 戦場に出すなんて……」
アイビス「でも、あの子の気持ち、 あたしにはわかります……」
ツグミ「え……?」
アイビス「自分の大切なものを 守りたい、取り戻したいという 気持ち……」
アイビス「その気持ちがある限り、 いくら周りが止めても、あの子は 戦うと思います……」
アイビス「タカクラチーフにも わかるんじゃありませんか……?」
ツグミ「……」
アイビス「だから、あたし…… あの子に協力してあげたくて……」
アイビス「……」
ツグミ「……わかったわ、アイビス」
アイビス「え……」
ツグミ「戦う意志は本人のもの……。 周囲が止められるものじゃない……」
ツグミ「それなら メカニックは最高の機体を 用意するだけだわ」
ツグミ「それがパイロットを 守ってあげる方法なんだもの」
アイビス「タカクラチーフ……」
ツグミ「そうと決まれば 調整を急ぐわよ。 手伝ってくれるわね、アイビス」
アイビス「はい!  あたし、体力には自信がありますから!」
ツグミ「そう?  じゃあ、力仕事もお願いね」

《連邦軍・アビアノ基地》

レオナ「え……? 私に008Lを?」
リン「ああ、お前に預ける。 何かと因縁のある機体だが、 次の作戦で役立ててくれ」
レオナ「でも、あの機体は社長の……」
リン「私も 戦列に加わりたいところだが、 今の状況ではそうもいかんのでな」
レオナ「……わかりました。 では、社長がお戻りになられるまで 私がお預かりします」
リン「戻る、だと……?」
イルム「フッ、お見通しってことか」
リン「イルム……」
イルム「自分の仕事が終わったら、 こっちへ戻ってくるつもりなんだろ?」
リン「……ああ」
ラーダ「社長……」
リン「今回ばかりは 人任せにするわけにはいかない……」
リン「自分の会社は 自分の手で取り戻したいのだ」
ラーダ「わかりましたわ。社長が そこまでおっしゃられるのなら……」
イルム「ま、今はお互いの やるべきことをやろうぜ、リン」
リン「ああ。 ……では、私はパリへ行く。 後のことは頼むぞ」
ラーダ「はい。どうかお気をつけて……」
イルム「自分の出番に遅れるなよ?」
リン「フ……わきまえているつもりだ」

《ブリーフィングルーム》

ダイテツ「……全員、揃っているな。 では、これよりブリーフィングを 始める。大尉、内容の説明を」
テツヤ「はっ……」
テツヤ「今回の作戦目的は、ノイエDCの 南欧方面侵攻の橋頭堡となっている リクセント公国を奪還することである」
テツヤ「まず、 作戦の第一段階についてだが……」
テツヤ「シロガネを中心とする別働隊が、 リクセント周辺に展開する 敵部隊に対し、陽動をかける」
テツヤ「その間、我々は地中海側から 同国領土内へ進行する」
ヴィレッタ「現在の リクセントの状況は?」
テツヤ「偵察隊からの情報によれば、 敵はライノセラス級を中心とした部隊を リクセント城内に展開している」
テツヤ「そこで、 我々は戦力を二つに分け……」
テツヤ「先発隊が城内の敵を外へ陽動、 その後、後発隊が敵旗艦を攻撃…… 敵部隊をかく乱する」
イルム「後発隊は誰なんです?」
テツヤ「それについては…… カイ少佐、お願いします」
カイ「うむ。後発隊の任務は フォワードとバックスの連携が 重要になることから……」
カイ「リュウセイとライにやってもらう」
ライ「了解です」
リュウセイ「じゃ、 今回は俺がフォワードだな」
ライ「ああ、任せる」
イルム「ライ、 前回のような無茶をするなよ?」
ライ「……ええ」
ヴィレッタ「リュウセイ、 私との訓練の成果を見せなさい」
リュウセイ「わかってるぜ、隊長」
カイ「……残りの者は先発隊となる。 ただし、アイビス……」
アイビス「は、はい」
カイ「お前には機体の特性を生かし、 我々が先に誘き出す敵を 可能な限りかく乱してもらいたい」
カイ「……出来るか?」
アイビス「わかりました。 ……やってみせます」
カイ「うむ。 それと、リュウセイ、ライ……お前達の 任務の詳細についてだが……」
(扉が開閉する)
シャイン「……私にも それをお聞かせ願えませんか?」
ラトゥーニ「シャイン王女……!」
ラーダ「ど、どうしてここに?」
シャイン「……」
ダイテツ「……王女、我々の話を聞いて どうなさるおつもりか?」
シャイン「お願いでございます!  どうか……どうか、私をリクセントの 奪還作戦に参加させて下さいませ!」
ダイテツ「な……」
アラド「何だってぇ!?」
ラトゥーニ「もしかして、 あの時の決意と覚悟とは……?」
シャイン「はい……。 この手で私の国を取り戻すことで ございます……」
ライ「王女……」
シャイン「ライディ様…… 私はあなたに言われた通り、 守るべき場所を守りたいのです……」
ライ「しかし、どうやって……」
シャイン「その術はあるのでございます」
ライ「術……?」
(扉が開閉する)
ツグミ「……そうです。 今からそれについてご説明します」
ラーダ「タカクラチーフ……」
ツグミ「……モニターをお借りします」
(通信)
テツヤ「こ、これは!?」
レオナ「もしや、リオンシリーズ……!?」
ツグミ「はい。 フェアリオン・タイプGと タイプS……」
ツグミ「リクセント公国からテスラ研へ 依頼があり、開発された機体で……」
ツグミ「本来は式典用として使われる 予定のものだったのですが……」
ラトゥーニ「でも、あの形は……」
アラド「ど、どうみても女の子だよな」
リュウセイ「か、可愛い……」
イルム「……さては親父の仕業だな」
リュウセイ「で、でも、 何で2機セットなんだ?」
ツグミ「それは……脳波制御装置や W-I3NKシステムを 搭載しているためです」
ラーダ「W-I3NKシステム……?」
ツグミ「はい。タイプGとタイプS…… その2機の動きをシンクロさせるための システムです」
イルム「なるほど……読めたぞ」
イルム「タイプGはシャイン王女用…… 脳波制御装置は、彼女の予知能力を 生かすためのものだ」
イルム「そして、 タイプSはラトゥーニ用……」
ラトゥーニ「え!?」
イルム「そのW-I3NKシステムとやらで タイプGをサポート……いや、 コントロールしようってんだな」
ツグミ「そ、そうです。 よくおわかりになりますね」
イルム「そりゃ、 あの親父の考えることだからな」
ダイテツ「……シャイン王女、 そのフェアリオンで我々の作戦に 参加すると言われるのか?」
シャイン「は、はい……。 厚かましいお願いと思いますが、 どうか……」
アラド「け、けど、 いくら何でも王女様を……」
シャイン「覚悟は出来ております。 私に皆様のお手伝いを させて下さいませ」
シャイン「私を逃がしてくれた 側近達や親衛隊……そして、民を 助けるためにも……どうか……」
アイビス(シャイン王女……)
ラトゥーニ(王女も私と同じで…… 自分の大切な人を助けるために……)
ラトゥーニ「……」
ラトゥーニ「……私、 フェアリオンに乗ります」
シャイン「……!」
リュウセイ「お、おい、ラトゥーニ……」
ラトゥーニ「危険なのはわかってる……。 でも、王女の気持ちもわかるの……」
リュウセイ「で、でもよ」
ラトゥーニ「フェアリオン…… そして、W-I3NKシステムが 私達のために作られたものなら……」
ラトゥーニ「私は それを使いこなしてみせる……。 シャイン王女を守ってみせる……」
シャイン「ラトゥーニ……」
ダイテツ「……」
ダイテツ「……タカクラチーフ、 フェアリオンの防御面については?」
ツグミ「ハイパー・ジャマー・システムに Eフィールド発生装置……」
ツグミ「それに、機体の運動性、 ラトゥーニ少尉の技量と シャイン王女の能力が加われば……」
ダイテツ「……良かろう。 シャイン王女、御身の参加を認めよう」
テツヤ「か、艦長!?」
カイ「……本当によろしいのですか?」
ダイテツ「現金な言い方だが、別働隊に 戦力を割かねばならぬ状態で、 奪還作戦を成功させるには……」
ダイテツ「我が隊の戦力は 少しでも多い方がいい」
カイ「……」
ダイテツ「それに、王女の決意は 並々ならぬもののようだ」
シャイン「ええ……。 リクセントの奪還は、私が果たさねば ならぬ使命でございます」
カイ「わかりました。 では、シャイン王女はラトゥーニと共に 後発隊へ加わって下さい」
シャイン「は、はい」
カイ「リュウセイ、ライ、ラトゥーニ。 お前達に王女を任せるぞ」
リュウセイ「了解!」
ラトゥーニ「はい……!」
ライ「了解です」
イルム「ライ、花道は俺達が作って おいてやる。その代わり、王女様の エスコート役をしっかり頼むぜ」
ライ「ええ」
シャイン「ライディ様……」
ライ「御身のお気持ちはわかりました。 後は……成すべきことを成すだけです」
シャイン「はい……」
ダイテツ「では、総員出撃準備にかかれ。 その後、我々はリクセントへ向かう」

《ノイエDC戦艦艦橋》

アーチボルド「ほう…… 連邦軍の部隊が動きを見せましたか」
NDC艦長「はっ。 このリクセント公国へ 攻撃を仕掛けるつもりのようです」
アーチボルド「当然でしょうね。 では、出迎えの準備をして下さい」
NDC艦長「了解です。 市内の民間人はいかがしますか?」
アーチボルド「そうですね…… 道路を閉鎖し、彼らを市外へ 出さないようにして下さい」
NDC艦長「それでは民間人を戦闘へ 巻き込むことになりますが?」
アーチボルド「ああ、構いませんよ。 ちょっとした手を打ちたいのでね」
アーチボルド「それに、 バン大佐からは民間の被害を 極力抑えよ、と言われています」
アーチボルド「つまり、 少しなら被害を出してもいいと 言うことですよ、フフフ……」

《ノイエDC戦艦・格納庫》

一般兵「急げ! 敵が来る前にこいつを シェルター内へ運び込むんだ!」
ユウキ「……お前達、 何をやっている?」
一般兵「はっ。アーチボルド少佐からの 特命で、コンテナを市内のシェルターへ 運んでいるのであります」
ユウキ「コンテナ? 中身は何だ?」
一般兵「自分達は 非常食料だと聞いておりますが……」
ユウキ「中を見せろ」
一般兵「そ、それは 少佐の許可がなければ……」
ユウキ「……」


第20話
超音速の妖精

〔戦域:リクセント城周辺〕

NDC艦長「アーチボルド少佐、 敵艦1、第3防衛網を突破!  ハガネです!」
アーチボルド「フッ、 そういう用途の艦とは言え、 正攻法で飛び込んで来るとは……」
アーチボルド「ハガネの艦長は 馬鹿正直な男のようですね」
アーチボルド「しかし、 ここへは踏み込ませませんよ。 各員、迎撃準備」
NDC艦長「はっ」
アーチボルド「そうそう…… 封鎖の方は万全でしょうね?」
NDC艦長「ええ、 民間人は市内にとどまっています」
アーチボルド「結構」
カーラ「少佐、どうして民間人を 市外へ避難させないの!?」
アーチボルド「ああ、それは…… いざという時、彼らが僕達の盾に なってくれるからですよ」
カーラ「冗談じゃない! 戦争は あたし達でやれば済むことだろ!」
アーチボルド「カーラ君、 これはゲームじゃないんですよ?」
アーチボルド「あ、でも…… 僕にとっちゃ、そうですけど」
カーラ「!」
アーチボルド「どうしても 民間人に情けをかけたいのなら、 全力で敵を倒して下さい」
アーチボルド「そうすれば、彼らが 盾になることもないんですから。 ねえ?」
カーラ「くっ! あんたは!!」
ユウキ「……カーラ、 いい加減にしろ」
カーラ「で、でも!」
ユウキ「戦場での情けは 己の死を招くぞ」
カーラ「あ、あんたまで そんなことを言うなんて……!」
ユウキ「もうお前は 綺麗事では済まない段階まで 踏み込んでしまっている」
ユウキ「そして、 それは自分で選んだ道のはずだ」
カーラ「だ、だけど、 あたしは……あたしみたいな 境遇の人を増やさないために……!」
ユウキ「それも綺麗事だ。 今は敵の迎撃に専念しろ」
ユウキ「結果的に、それが民間人への 被害を抑えることになる」
カーラ「わ……わかったよ」
NDC艦長「少佐、 ハガネが侵入してきます!!」
(ハガネが出現、出撃準備)
ダイテツ「スティール2より各機へ。 別働隊を突入させるため、城内の ランドグリーズを城外へ誘き出せ」
ダイテツ「ただし、こちら側は 城内へ進入してはならん」
ダイテツ「この作戦は時間勝負だ。 5分以内に必ずランドグリーズを 城外へ誘導し、撃破せよ」
カイ「了解!  ……各機へ。聞いての通り、標的は 射程の長いランドグリーズだ」
カイ「相対距離に留意し、 上手く奴らを城外へ誘い出せ」
レオナ「では、 下手に前進しない方がいいですね」
カイ「ああ。 焦っていきなり奴らの射程圏内へ 飛び込むような真似をするなよ」
レオナ「了解」
アラド(敵の大将がアーチボルドなら、 ユウキ少尉やリルカーラ少尉も あそこにいるかも知れねえ……)
アラド(正直言って、あの人達とは やり合いたくねえけど……)
アラド(リクセント公国を 取り戻すためには、 戦わなくちゃならねえ……!)
イルム「それじゃ、 早々に王女様の花道を作るとするか」
ラーダ「ええ、 私達で敵を引きつけましょう」
ツグミ「アイビス、くれぐれも 突っ込み過ぎないように」
アイビス「了解……!」
ダイテツ「全機、攻撃を開始せよ!」

〈3PP〉

テツヤ「スティール2から各機へ!  タイムリミットまで、あと3分だ!」
テツヤ「ランドグリーズ全機を こちらへ引きつけ、撃墜しろ!」

〈3EP〉

アーチボルド「ふふふ、 さしものハガネも城内には 入れないようですね」
ユウキ(本当にそうか……?)
アーチボルド「皆さん、 その調子で頑張って下さい。 あの艦を沈めれば大金星ですよ」

〈4PP〉

テツヤ「スティール2から各機へ!  タイムリミットまで、あと2分!」
テツヤ「ランドグリーズ全機を 城外へ誘き出し、撃墜しろ!」

〈ランドグリーズ全機撃墜〉

ユウキ(やはり、妙だな。彼らは何故、 こちらへ踏み込んでこない?)
ユウキ(いったい、何を企んでいる?)
アーチボルド「多少の損害が 出たようですが、何とかハガネを 食い止められたようですね」
アーチボルド「じゃ、 僕達も打って出ましょうか。 それでチェックメイトです」
アーチボルド「機動部隊の発進を……」
(アラート)
一般兵「少佐!  0時方向から接近する機体が!!」
アーチボルド「なるほど、別働隊が いたんですか。外周の部隊に さっさと撃墜させて下さい」
一般兵「だ、駄目です!  突破されます!!」
アーチボルド「!」
(フェアリオンが出現)
アラド「来たか、ラト!」
ラトゥーニ「突破成功……!  W-I3NKシステム、異常なし」
イルム「王女様、 花道は作っておきましたよ」
シャイン「ありがとうございます、 皆さん……!」
シャイン「それに、 リクセントのみんな……!  私、戻って参りましたわ!」
アーチボルド「な……何ですか、 あれは?」
カーラ「お、女の子ロボ!?」
ユウキ「新型の リオンシリーズなのか?」
NDC艦長「迎撃だ! 迎撃しろ!!」
(精神感応)
シャイン「!」
シャイン「来ます、ラトゥーニ!!」
ラトゥーニ「W-I3NKシステム、 ダブルモード! シンクロ!」
(フェアリオンの周りに爆煙フェアリオンも動く)
カーラ「あ、あの距離でかわした!?」
シャイン「ラトゥーニ、 あの戦艦の足を止めます!  あれをやりますわよ!」
ラトゥーニ「はい!」
【強制戦闘】
シャイン&ラトゥーニ[ロイヤルハートブレイカー]vsNDC艦長[防御]
カーラ「な、何!? 今の動き!?」
NDC艦長「お、おのれ!  弾幕を張れ! 奴らを逃がすな!」
シャイン「! ラトゥーニ!!」
ラトゥーニ「フィールド展開! 回避!  間に合わせてみせる!」
NDC艦長「撃て! 撃ち落とせ!!」
(R-1が出現)
NDC艦長「! 新手か!?」
リュウセイ「させるか!  G・リボルヴァー、 ランダムシューーッ!!」
(ライノセラスに爆煙)
NDC艦長「ぬおおっ!!」
ラトゥーニ「リュウセイ……!」
リュウセイ「……やれやれ、 やっと追いついたぜ」
リュウセイ「これじゃ、どっちが エスコート役だかわかりゃしねえ。 なあ、ライ?」
(R-2パワードが出現)
ライ「……」
アーチボルド「おや、あれは……」
ライ(アーチボルド・グリムズ…… 奴はあの艦にいるはずだ)
アーチボルド「フッ……道理で 見かけないと思っていたら、 お守り役をやっていたとはね」
ラトゥーニ「リュウセイ、 私達はこのまま突撃するわ」
リュウセイ「お、おい、 露払いは俺達に任せろって!  王女さんもいるんだぞ!」
ラトゥーニ「大丈夫……そのための W-I3NKシステムだもの。 シャイン王女は私が守ってみせる」
シャイン「頼みますわよ、 ラトゥーニ!」
ラトゥーニ「はい……!  目標、敵旗艦……フル・ブースト!」
(フェアリオンがアーチボルト機へ接近)
カーラ「は、速い!!」
アーチボルド「ですが、 こちらの陣形の中央に飛び込んで くるとは……ただの勇み足ですね」
リュウセイ「くっ、 あれじゃ挟み撃ちになっちまう!」
リュウセイ「ライ、お前は先に行け!  目の前の連中は俺が引きつける!」
ライ「!」
リュウセイ「アーチボルドとの ケリもつけてえんだろ!?  ここは俺に任せて、先に行け!」
ライ「だが、それでは フォーメーションが……」
リュウセイ「俺がバックスに回る!  その代わり、ラトゥーニと王女さんの フォローを忘れんじゃねえぞ!」
ライ「お前……!」
リュウセイ「いいから、行けってんだ!」
ライ「……すまん、リュウセイ」
(ライに『加速』、R-2パワードが城内へ移動)
アーチボルド「なるほど、 大将首狙いというわけですか」
アーチボルド「いやはや、 盛り上げてくれますねえ…… ライディース君?」
ライ「アーチボルド・グリムズ……!」
アーチボルド「諸々のリベンジと 言うわけですか……いいでしょう」
アーチボルド「楽しいショーを見せて いただいたお礼に、義姉上の所へ 送って差し上げますよ」
(エルアインスが出現)
ライ「そんなもので俺達の行く手を 阻めると思うな」
シャイン「ライディ様の おっしゃる通りですわ!」
アーチボルド「!」
カーラ「あ、あの機体…… ホントに女の子が乗ってるの!?」
アーチボルド「もしや……」
シャイン「私の国を返していただきます!  覚悟なさいませ!」
アーチボルド「やれやれ、 本当に楽しいショーですね。 王女自らご出陣なさっていたとは」
シャイン「民と国を守る…… それが私の戦い。ですから、 私は戦に身を投じる決意をしました」
アーチボルド「……それが 何を意味するかおわかりですか?」
シャイン「己と他人の血を 流すということでございましょう?  その覚悟は出来ています……!」
カーラ「……!」
アーチボルド「ほう」
シャイン「この赤いフェアリオンは その証! 私の国と民を脅かす者に 容赦は致しませんわ!」
アーチボルド「高貴なる者の務めと いうわけですか。結構」
アーチボルド「そうとなれば、 今が切り札の使い時……ですかねえ」
シャイン「え!?」
アーチボルド「プリンセス・シャイン、 そしてハガネの皆さん……」
アーチボルド「直ちに戦闘を中止し、 武装解除をしてもらいましょうか」
ダイテツ「何……!?」
リュウセイ「ふざけんな!  そりゃこっちの台詞だ!!」
アーチボルド「おや、いいんですか?  市内にいるリクセントの国民が 爆死することになっても」
リュウセイ「!!」
シャイン「ど、どういうことですの!?」
アーチボルド「ここより南の数ヶ所…… 民間人の集まっている所に 爆弾を仕掛けてありましてね」
アーチボルド「今すぐ抵抗を止めて いただかないと……ボン、ですよ?」
シャイン「ほ、本当なの!?」
アーチボルド「ええ。実は僕…… そっちの方が専門だったんですよ。 ねえ、ライディース君?」
ライ「貴様……!」
レオナ(確かに、 あの男ならやりかねない……!)
カーラ「少佐!  あんた、最初からそのつもりで!?」
アーチボルド「言ったでしょう?  民間人は僕達の盾だとね」
ユウキ「少佐、 バン大佐の命令をお忘れですか?」
アーチボルド「現場の判断ですよ、 ユウキ君。この地を失うわけには いかないでしょう?」
ユウキ「……」
アラド「ユ、ユウキ!?  やっぱり、ユウキ少尉が……!!」
ユウキ「! アラドか!?」
カーラ「あ、あんた、生きてたの!?」
アラド「え、ええ……!」
アーチボルド「おやおや…… 死んだと思っていたあなたが、 そんな所にいるとは」
アーチボルド「今回は 本当に驚くことが多いですね」
アーチボルド「でも、 あなたがそちら側へついていても、 どうにもなりませんよ」
アラド「く、くそっ……!」
アーチボルド「さあ、どうなさいます?  プリンセス・シャイン」
シャイン「う、うう……!」
テツヤ「艦長……!」
ダイテツ「……」
アーチボルド「やはり、 信じておられないようですね。 なら、証拠を見せねばなりませんか」
レオナ「待ちなさい、 アーチボルド・グリムズ!」
アーチボルド「そう言って、 ここを狙い撃つ気でしょう?」
アーチボルド「でも、 結果は同じことになりますよ」
レオナ「……!」
ヴィレッタ(起爆装置を破壊しても 無駄だと言うことか……!)
アーチボルド「さて…… 私に起爆スイッチを押させますか?  それとも、あなた方が押しますか?」
レオナ「くっ……!」
カイ「おのれ、卑怯にも程がある!!」
アラド「く、くそっ!  どうすりゃいいんだよ!?」
アーチボルド「ふふふ…… そう、その反応……いいですねぇ。 ふふっ……ふ……はははは……」
ライ「!?」
アーチボルド「あ~っはははははは!」
レオナ「!!」
アーチボルド「では、 証拠をお見せ致しましょう!  話はそれからです!」
シャイン「ま、待って!!」
アーチボルド「待ちませんよ!  あはははははは!!!」
(通信)
アーチボルド「ははは……は?」
カーラ「ば、爆発しない……!?」
ユウキ「……」
アーチボルド「どういうことです!?」
一般兵「き、起爆システムにバグ発生!  爆破できません!」
アーチボルド「な……!?」
ライ「! もしや、起爆装置が 作動しないのか?」
ラトゥーニ「そうみたいです」
シャイン「なら、チャンスですわ!  ラトゥーニ、ライディ様!」
アーチボルド「やれやれ…… 人質作戦は失敗に終わりましたか」
ユウキ「……正攻法でいく。 この地はお前達には渡さん。 ノイエDCの理想のためにな」
ライ「いいだろう……来い!」
アーチボルド(……なるほど、 そういうことですか)
アーチボルド(ならば、退き際を 見定めなければならないようですね)
ダイテツ「各機、突撃!  敵旗艦に狙いをしぼれ!!」
(作戦目的変更)

HP70%以下にしたのは
ユウキ機 カーラ機 アーチボルド機


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