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いつか来るべき日のために キョウスケルート ~ 第19話 ~

《C統合軍旗艦マハト》

ビアン「…間もなく、ハガネは 我々の目前に姿を現すだろう。 そちらの方はどうだ、マイヤー?」
マイヤー「我がコロニー統合軍 旗艦艦隊は衛星軌道上で機動部隊 の降下準備を進めている…」
マイヤー「降下目標地点は 連邦政府本部があるジュネーブだ」
ビアン「ヒリュウ改の動きは?」
マイヤー「私の息子、ライディースが 乗るハガネのように…」
マイヤー「あの艦もまた、 我が旗艦艦隊へ最後の決戦を 挑んで来るだろう」
マイヤー「そして、私は 彼らに最後の試練を与えるため、 現在位置で待機するつもりだ」
ビアン「そうか」
マイヤー「フッ…もはや、互いに 生きて出会うことはないだろう」
ビアン「うむ。子らの顔を見られぬのが 心残りだが…我らは我らの願いを 次世代の若者達へ託さねばならん」
マイヤー「ああ。では、しばしの 別れだ、ビアン・ゾルダーク…」
ビアン「冥府で会おう、我が友よ」

《C統合軍旗艦マハト》

レオナ「…どういうことです、隊長!?  私にここから逃げろと!?」
ユーリア「そうではない。 新たな任務を遂行しろと言っている」
ユーリア「お前はエルピスへ帰り、 事後の処理を行え」
レオナ「お断りします…!  トロイエ隊として、総司令の おそばを離れるわけには…」
ユーリア「フッ…お前はまだ若い。 それに、名門ガーシュタイン家の 一員でもある」
ユーリア「この戦いを生き延び、 エルザム様やライディース様の お力となるのだ」
レオナ「エ、エルザム様達の…?」
ユーリア「…ここで生き残ることは 死を選ぶより辛いかも知れん。 だからこそ、その役目…お前に託す」
レオナ「…わ、私に… 生き恥をさらせと?」
ユーリア「そうだ」
レオナ「………」
ユーリア「いいな?  栄光あるトロイエ隊として… その任務、見事果たしてみせろ」
レオナ「……了解…です」

《C統合軍旗艦マハト》

ゼンガー「…総司令。ヒリュウ改が こちらへ接近しております」
マイヤー「来たか。成すべきことは わかっておるな、ゼンガー?」
ゼンガー「は。大儀のためならば、 この命…惜しくはありません」
マイヤー「フッ…。武人たるもの、 己の散り場所を間違ってはならん。 私は息子達にもそう教えてきた」
ゼンガー「総司令……」
マイヤー「よいか、ゼンガー。 お前に最後の命令を与える……」
ゼンガー「最後の……?」

《ヒリュウ改艦橋》

ユン「まもなく地球衛星軌道上… 統合軍旗艦艦隊と接触します!」
レフィーナ「では、PT各機は出撃準備を!」
キョウスケ「…了解」
ギリアム「ヴィレッタ、ラーダ…」
ラーダ「何でしょう?」
ギリアム「君達は軍人ではない。 この戦い…我々が勝利するにせよ、 敗北するにせよ…」
ギリアム「この戦争の 一つの区切りとなるだろう」
ギリアム「君達はマオ社に戻り、 今後の対策に従事してもらっても 構わんが?」
ヴィレッタ「ここまで来て、自分だけ 尻尾を巻こうとは思わないわ」
ラーダ「私もです。ここで皆さんを 置いて、月へは帰れません…」
エクセレン「わお、やる気満々ね。 …私、今夜は帰りたくないの… って感じ?」
タスク「意味違うだろ。 でも…大丈夫かよ、こんだけの数で」
キョウスケ「断言はできんが… いい勝負になるとは思う」
ブリット「どういうことです…?」
キョウスケ「統合軍の動きには、 合点のいかない部分が多い」
キョウスケ「戦争をしている… というよりは、まるでおれ達とだけ 戦いたがっているようだ」
カチーナ「気のせい…でもねえか。 ゼンガー少佐の動きだけ見てもな」
エクセレン「旗艦艦隊…つまり統合軍の 親分が率いてる部隊だものね」
エクセレン「ボスもいるだろうし… 今度こそ、どういうつもりなのか 問い詰めてみないとね」
キョウスケ「…ああ。勝負だ」


第19話
いつか来るべき日のために

(ヒリュウ改が出現、出撃準備)
マイヤー「来たか。天かける龍… 呪われし最強の楯よ」
マイヤー「かつて、外宇宙へ旅立った ヒリュウは、我らの希望の象徴……」
マイヤー「そして、 ジガンスクードはコロニーの 住人にとって忌むべき存在…」
マイヤー「その二つが私の前に 立ち塞がる…予定どおりとは言え、 皮肉な運命よ」
レフィーナ「あれが… コロニー統合軍旗艦艦隊…!」
ショーン「さすがの規模…と 言いたいところですが、エルピスの 防衛に戦力を割いた分…」
ショーン「絶望的な数では ありませんな」
ヴィレッタ「気休めにはなる言葉ね」
エクセレン「それって結構重要よね。 病は気から…って言うし」
ブリット「意味が違うような…」
ゼンガー「…相変わらずのようだな、 貴様ら。安心したぞ」
キョウスケ「…ゼンガー・ゾンボルト。 決着をつけに来た。お前の望んだ 戦いが…これなのか?」
ゼンガー「…そうだ。 我らが通らねばならん道だ」
マイヤー「ゼンカーよ… そこまででよい。答えは己の手で つかむものだ」
ゼンガー「はっ…」
カチーナ「ゴタクはどうでもいいぜ!  勝った奴が次も戦う!  …それが戦争の真理じゃないさ!」
リリー「乱暴な物言いとはいえ… 真理ですね」
マイヤー「うむ、 彼らはそれを良く理解しておる。 選択は間違っていなかったようだな」
リリー「…はい……」
マイヤー「よいか。 この戦いの勝者こそ、地球圏の 運命を担うに相応しい者となる」
マイヤー「総員奮起せよ!  我らの大義を連邦の者達に示せ!」
キョウスケ「来るぞ!」
ヴィレッタ「作戦は?」
ギリアム「…あの艦隊は 強力な統率力の下で運用されている」
ギリアム「だが、逆にそれは頭を 潰されればもろいということになる」
ギリアム「毎度のことだが、 正面突破をかけ、マハトを狙った方が いいかも知れんな」
ブリット「了解!」
タスク「んじゃ、最後の大勝負… 命がけで挑むとすっか!」
キョウスケ「多少、 分の悪い方が賭け甲斐がある。 行くぞ…!」
ゼンガー「応! いざ勝負ッ!!」

〈vs ユーリア〉

[キョウスケ]

ユーリア「来い…!  トロイエ隊…最後の使命を果たす!」
キョウスケ「覚悟を決めているのは お前達だけではない。 …立ち塞がるなら倒すのみ…!」

[エクセレン]

エクセレン「さあ、親衛隊さん。 ここが正念場ねえ」
ユーリア「その通りだ。 …ここで決着をつける!」
エクセレン「嫌でもそうするしか ないみたいね…!」

[ギリアム]

ギリアム「…いい腕だ。 もう少し前に生まれていれば、 教導隊に選抜されていただろう」
ユーリア「フッ…。過去の栄光など、 戦場では何の足しにもならん!」
ギリアム「そのとおりだ。だが、 俺も教導隊の元メンバーとして… ひけを取るわけにはいかん!」

[ヴィレッタ]

ヴィレッタ「いい動きをする…!  親衛隊の名は伊達ではないようね」
ユーリア「こいつ… 独自に新しいモーションパターンを 作り出している…?」
ユーリア「フッ、世の中は広い。 このようなパイロットがいるとはな」
ヴィレッタ「お前こそ… 進むべき道を間違っていなければ、 死なずに済むものを」
ユーリア「私はマイヤー様の親衛隊だ!  死に場所はここ以外にない!」

[撃墜]

ユーリア「フッ… これでいい、これで…」
ユーリア「…我がトロイエ隊は いつまでも総司令のおそばに……」
ユーリア「レオナ…お前は 新しいトロイエ隊の隊長となって…」
ユーリア「エルザム様…そして、 ライディース様をお助けするのだ…」

〈vs ゼンガー〉

[キョウスケ]

キョウスケ「ゼンガー!」
ゼンガー「もはや言葉では語るまい!  俺を倒した先に、お前の求める答えが ある…!」
キョウスケ「…そんな 先のことに興味はない…!」
キョウスケ「目の前にいる敵を 撃ち貫くのみ…!」
ゼンガー「フフ…ハハハハ!  そうだ…! それだからこそ、 俺はお前を選んだ!」
ゼンガー「ここで一度、 幕引をしようぞ、キョウスケ!」
キョウスケ「一度だと…!?」

[エクセレン]

エクセレン「さて、と。 覚悟はよろしくて? ボス」
ゼンガー「そんなものは お前達の敵にまわった時から 出来ている」
ゼンガー「お前の方はどうなのだ?」
エクセレン「そりゃね。 恋する乙女はいつでも陰腹を 切ってるものよん」
ゼンガー「腹をくくる、の 間違いだ…と言っておく」
エクセレン「わお、 じゃ、いきましょか。 もっと話していたいけど、ね」
ゼンガー「ままならんのが戦争だ。 行くぞ…!」

[ブリット]

ブリット「ゼンガー隊長っ!  あなたを倒せば…その先に、あなたが しようとすることが見えると!?」
ゼンガー「…自分自身で確かめろ。 俺はそんなに甘くはない」
ブリット「なら、 俺のことも甘く見ないで下さい!  いつまでも泣き言は言いません!」
ブリット「あなたを倒し、 自分自身の目で確かめる!」
ゼンガー「…その闘志、本物だな。 強くなった、ブルックリン…!」

[タスク]

タスク「ここでケリを つけさせてもらうぜ!!」
ゼンガー「これは区切りにすぎん。 人類はまだ全てを賭けてはおらん」
タスク「そんなの、 知ったこっちゃねえが…」
タスク「勝負師の端くれとして、 この戦い…勝ってみせるっ!!」

[ギリアム]

ギリアム「ここまではお前の… いや、お前達の目論見通りか」
ゼンガー「知らんな…!  昔からお前は深読みをしすぎだ。 あのエルザムよりもな」
ギリアム「それが 俺をここまで生き残らせてきた」
ゼンガー「…そうだったな。 ならば読み切ってみせろ。 …俺の真意をな」

[ヴィレッタ]

ヴィレッタ「出来れば、これで 最後にしておきたいところね」
ゼンガー「ほう…いい動きだ。 何者か、俺は知らんが… ATXチームも良い兵を得たな」
ヴィレッタ「………」

[カチーナ]

カチーナ「あたしは 七面倒くさいことは嫌いでね!」
ゼンガー「兵士とはそういうものだ」
カチーナ「どいつもこいつも ガタガタ言いすぎさ。あんたもな」
カチーナ「これは戦争。 …なめんじゃねえよ!」
ゼンガー「直観的にこの戦争の意味を 理解しているようだな。 …よかろう、来い…!」

[ラッセル]

ラッセル「さすがに…速い…!」
ゼンガー「恐れるな! 憶するな!  俺相手にそのザマでは、この先の戦い で勝ち残ることなど出来ん!」

[ラーダ]

ラーダ「この戦いに…この戦いの先に、 あなたが示そうとする道が…?」
ゼンガー「俺はそれほど優しくはない!  自らその道を切り開こうとする者に のみ、勝利の女神は微笑む!」

[レフィーナ]

レフィーナ「ここで勝負です、 ゼンガー少佐…!」
ゼンガー「正直、 ここまで優秀な艦長になるとは 思っていなかったぞ」
レフィーナ「ここで負ければ、 優秀でも愚かでも…関係ありません。 勝ちます!」
ゼンガー「良かろう! 来いっ!!」

ゼンガーを
撃墜した 撤退させた


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