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関門海峡を防衛せよ リュウセイルート ~ 第7話 ~

《極東支部基地》

一般兵「おい、聞いたか?」
オペレーター「ええ。 噂じゃ、DCが北アメリカに 上陸したらしいわね…」
一般兵「沖縄も奴らの手に落ちたし… 俺達がいる本州も時間の問題だな」
一般兵「こうなったら、他支部の 連中みたいにDCへ投降するか」
オペレーター「もう遅いわよ。 佐世保の件を忘れたの?」
オペレーター「彼らはMAPWを 使って基地を破壊したのよ?」
リュウセイ「………」
リュウセイ(…お袋…クスハ…。 それに学校の連中は大丈夫かな…)
リュウセイ(いや、落ち込んでる 場合じゃねえ。俺があいつらを 守ってやらなきゃならねえんだ)
リュウセイ(もう… 佐世保みたいなことは ゴメンだからな)
ロバート「君がSRXチームの リュウセイ・ダテか?」
リュウセイ「そうだけど…あんたは?」
ロバート「俺の名はロバート。 ロバート・ハジメ・オオミヤ。 SRX計画のスタッフだ」
リュウセイ「長い名前だなあ。 ライよかマシだけど」
ロバート「なら、 ロブと呼んでもらって構わんよ」
リュウセイ「わかったぜ。 で、ロブさんよ…俺に何の用だ?」
ロバート「無類のロボット好きの 新人が入ったってこと、俺達の ラボじゃ話題になっていてね」
リュウセイ「それで、 俺の顔を見に来たってワケか」
ロバート「ああ。 ところで、どうだ? 君が乗る 試作機を見てみないか?」
リュウセイ「試作機って… もしかして、Rシリーズ!?  いいのかよ!?」
ロバート「ああ、もちろんだ」

《SRX計画ラボ》

リュウセイ「う~、寒い… これじゃまるで冷蔵庫だよ。 俺、寒いトコ苦手なんだよな」
リュウセイ「けど、何で パーソナルトルーパーの格納庫が こんな地下深くにあるんだ?」
ロバート「ま、色々とワケありでね。 さぁ、これがお前の機体だ」
リュウセイ「こ、これは…!」
ロバート「まだ第1次装甲は 取り付けられていないが…」
ロバート「これがRシリーズ第1号機… リアル・パーソナルトルーパー・ タイプ1、略して『R-1』だ」
リュウセイ「ア、アールワン…」
ロバート「どうだ、 なかなかのものだろう?」
リュウセイ「こいつは……」
ロバート「?」
リュウセイ「こいつは スーパーロボットじゃねえ…」
ロバート「ははは。 確かに、R-1の見た目は パーソナルトルーパーだが…」
ロバート「君がいうところの スーパーロボットのような馬力は あるし、同じような戦い方も出来る」
ロバート「後は君の腕次第だな」
リュウセイ「…わかったぜ。 俺、こいつを必ずものにするよ」
ロバート「それは良かった。俺達が 作ったR-1を気に入ってくれるか どうか、心配してたんだ」
リュウセイ「ふ~ん… あんたもロボットが好きなんだな」
ロバート「ああ、 ロボットは男のロマンだからな」
リュウセイ「ヘヘッ、 あんたとは気が合いそうだぜ」
リュウセイ「ま… とりあえずよろしくな、R-1」
リュウセイ「そのうち、 もっとカッコいい名前を 付けてやっからな」

《極東支部基地》

イングラム「…リュウセイを一時的に SRXチームから外せだと?」
ライ「はい。 奴にはまだ経験が足りません。 …再訓練が必要かと」
イングラム「チーム編成に変更はない。 今までも…これからもだ」
ライ「…では、 一つだけ質問させて下さい」
イングラム「何だ?」
ライ「リュウセイが SRXチームにいる理由…」
ライ「それは… 彼が自分やアヤ大尉にはない 能力を持っているからですね?」
イングラム「…その質問に 答える必要はない」
ライ「………」
(アラート)
ライ「!」

《極東支部司令部》

オペレーター「下関より、 関門海峡付近の海域にDC所属らしき 戦闘原潜を探知したとの報告あり!」
オペレーター「目標は、 日本海側から瀬戸内海方面へ 向けて、海中を進行中!」
レイカー(妙だな…何故、彼らは 我々に発見される危険を冒してまで 関門海峡を突破するのだ?)
レイカー(本州へ攻撃するなら、 太平洋側から侵攻するか、航空戦力を 使用した方が得策なはず…)
レイカー(別の目的を持っているのか… あるいはオトリか?)
ハンス「レイカー司令、ここは セオリーどおり、駆逐艦と潜水艦、 対潜攻撃機による攻撃を…」
ハンス「いや、 いっそのこと海峡の出口を 機雷で封鎖しましょう」
サカエ「馬鹿なことを。そんな真似を すれば、海軍の作戦行動に支障を きたすどころではすまんぞ」
ハンス(…そうなった方が 私にとって都合が良くなるのだがな)
レイカー「…敵の原潜には、 アーマードモジュールが 搭載されている可能性が高い」
サカエ「! まさか、潜水艦を 人型機動兵器の母艦にするなど…」
レイカー「可能性がないとは 言い切れん。敵原潜の迎撃は 航空戦力とPTを主体にする」
レイカー「本基地と小松から 要撃機を出撃させろ。再編成した カイ少佐のPT隊もスクランブルだ」
オペレーター「了解!」


第7話
関門海峡を防衛せよ

〔戦域:関門海峡〕

イルム「何てこった…関門橋は すでに爆破された後かよ。これじゃ、 トンネルの方もアウトか…」
カイ「敵の原潜は、まだ完全に 関門海峡を越えていないようだな」
イルム「ええ。電撃作戦がお得意な 連中にしては動きが遅いですね」
イルム(もしかして… 俺達が出てくるのを待っていたのか?)
カイ「残りの機体も出撃しろ! なお、 水中の戦闘原潜へ攻撃を仕掛ける 場合は実弾系の兵器を…」
カイ「また、 万が一の場合に備えて修理装置と 補給装置を装備しておけ!!」
(味方機が出撃)
カイ「各機へ! 今回の作戦目的は 敵原潜の侵攻阻止だ! ただし、 原潜の撃沈は禁ずる!」
リュウセイ「何で?」
ジャーダ「アホか、お前は!  原潜の原子炉に何かあったら タダじゃすまねえだろうが!」
リュウセイ「そ、そうか…」
ガーネット「冗談キッツいわね、 あの子。大丈夫なの?」
ジャーダ「あいつ…確か、 佐世保の時にもいた奴だったな」
ジャーダ「まァ、早とちりで 物事を深く考えてなさそうな所は お前に似てるけどな」
ガーネット「まあね」
ガーネット「…って、今、あたしを さらっとバカにしたでしょ!」
ジャーダ「だから、 早とちりだって言ったんだよ」
カイ「貴様ら、作戦中だぞ!  くだらん私語はやめんか!!」
ジャーダ「す…すみません、少佐」
カイ「いいか! 敵原潜へ 速やかにダメージを与えろ。 そうすれば動きを止められるはずだ」
カイ「だが、目標がこの海域を突破、 あるいは目標を撃沈した場合は 作戦失敗だ。それを忘れるな!」
イルム「了解!」

〈3EP〉

テンザン「やーれやれ… 自分の母国に攻め込むってのは、 あんましいい気分じゃねえな」
アヤ「あ、あの機体は!」
ライ「やはり、現れたか…」
ジャーダ「あの新型…マジで 飛行機に手足がついてんのか。 あんなのでよく飛べるもんだ」
ラトゥーニ「…やはり、DCの アーマードモジュールは戦闘原潜を 母艦にしているのね…」
テンザン「さあて…出撃を遅らせた分、 暴れさせてもらうぜ!!」
テンザン「ん? あの機体は…」
(リュウセイ機を見る)
テンザン「間違いねえ。 あの動きは…こないだの奴か!」
(テンザン機がリュウセイ機の傍へ移動)
リュウセイ「!? こいつは!」
テンザン「さ~て、あの時から どれぐらいの経験値がたまったか… この俺が確かめてやるぜ!」
リュウセイ「てめえ… やっぱり、あの時の!」
テンザン「それに、リオンの テスト機を落としてくれた 礼もさせてもらわなきゃな!」
【強制戦闘】
テンザンvsリュウセイ
テンザン「かわした!? あいつ、 やるようになりやがったな」
リュウセイ「そう簡単に 落とされてたまるか!」
テンザン「へへへ、 いいぜ…お前。気に入った」
テンザン「こういう緊張感は さすがにバーニングPTじゃ 味わえねえからなあ」
リュウセイ「何っ!? てめえも あのゲームをやっていたのか!?」
テンザン「ほほう…奇遇だな。 ゲーマー上がりのパイロットが 連邦軍側にもいるなんてな」
テンザン「お前、 名前は何ていうんだ?」
リュウセイ「リュウセイ・ダテだ!」
テンザン「リュウセイ…?  はて、どっかで聞いたような…」
テンザン「ああ、思い出した。 こないだのバーニングPTの大会で 日本一になった奴だっけ」
テンザン「けど、そいつは 俺が決勝大会に出なかった おかげだってこと、理解しとけよ」
リュウセイ「! まさか…てめえは テンザン・ナカジマか!?」
テンザン「ご名答!  ま、お前とはバーニングPTじゃ 対戦出来なかったからな」
テンザン「その分、今から 本物のゲームを楽しもうぜ」
リュウセイ「ふざけんな!  こっちはてめえみたいに 遊びで戦ってるんじゃねえ!!」
テンザン「何言ってんだ。 お前も俺と同類だっての」
リュウセイ「!」
テンザン「どうせ、本物のロボットに 乗りたくて軍に入ったんだろうが」
リュウセイ「!」
リュウセイ「…ああ、 確かに俺も最初はそうだったさ…」
リュウセイ「だがな、ゲーム感覚で 命のやり取りなんて出来るか!  てめえなんかと一緒にすんな!!」
テンザン「ま~た、 カッコつけちゃって。戦争もゲームも やることは一緒だっての」
テンザン「ただ違うのは、本当に 死人が出ちまうことだがな」
リュウセイ「うるせえ!  てめえみたいにふざけた奴を 放っておいたら…」
リュウセイ「俺の仲間達が苦しんだり、 悲しんだりすることになるんだっ!」
テンザン「お、いいねえ、そういうの。 ライバル同士って感じで戦いが 盛り上がるってモンだ!」
(テンザンが敵機の南東側へ後退)
テンザン「さあ、仕切り直しだ。 俺を止めたけりゃ、ここまで来な!」
テンザン「でなきゃ、もっと多くの 人間が死ぬことになるぜ!」
リュウセイ「くそっ、 てめえの好きにやらせるか!!」

〈vs テンザン〉

[ライ]

テンザン「さあて、 今回もお相手頼むぜ!」
ライ「そこをどけ。貴様と 遊んでいる時間などない…!」

[アヤ]

アヤ「あなた、 DC側の兵士だったのね!?」
テンザン「ま、そういうこった。 連邦が俺達の敵じゃないっての、 本当だったろ? お姉さん」
アヤ「ふざけないで!」

[カイ]

カイ「アーマードモジュールの 性能を見せてもらおうか!!」
テンザン「お前の命と引き換えに、 ってんなら構わねえぜ!」
カイ「若造が!  貴様とは年季が違うわ!!」

[イルム]

イルム「こいつ… こないだの時のパイロットか!?」
テンザン「!?」
イルム「てめえにゃ、輸送機を 襲われた借りがあるからな…。 今、そいつを返させてもらうぞ!」

[ラトゥーニ]

テンザン「何だ、子供かよ!?」
ラトゥーニ「………」

[ジャーダ]

テンザン「わりぃけど、 あんたらみたいな雑魚じゃ 俺の相手はできねえぜ!」
ジャーダ「バカヤロウ!  そういう台詞は俺と戦ってから 言いやがれ!!」

[ガーネット]

テンザン「ヘッ、 腕前はそこそこだろうが… 動きが雑で、隙も多いな!」
ガーネット「!  誰がソコツで大雑把だってぇ!?」
テンザン「誰も そんなこと言ってねえっつうの!」

[撃墜]

リュウセイ「テンザン!」
テンザン「ま、しょうがねえ。 今後の勝負を盛り上げるための 訓練ってことにしとくぜ」
リュウセイ「て、てめえ!  どこまで遊び気分で…」
テンザン「時間稼ぎは出来たし、 腹も減ったし…一足お先に 帰らせてもらうとするか」
テンザン「じゃあな、リュウセイ。 次も命のやり取りって奴を 楽しもうぜ」
(テンザン機爆発)
イルム「あいつ…!?」
ライ「もしや… こちらの部隊はオトリで、 別働隊が太平洋側から…?」
カイ「各機へ! 速やかに 敵戦闘原潜の進行を阻止しろ!」

〈vs キラーホエール〉

[1機目のHP3200以下]

カイ「よし、引き続き 残る一隻の進行を阻止しろ!!」

[2機目のHP3200以下]

アヤ「カイ少佐、 目標が海域より撤退しました」
カイ「よし、これで作戦終了だ」
(通信)
イングラム「カイ少佐、 新たなDCの戦闘原潜が 熊野灘沖で発見されました」
カイ「何だと!?」
イングラム「目標は現在、 伊豆半島方面へ向けて進行中です。 至急、極東支部への帰還を」
ライ「やはり、こちら側の 原潜はオトリだったのか…!」

《極東支部基地》

ジャーダ「三島市が爆撃を 受けたってのはホントですか!?」
イングラム「ああ。別働隊の DC戦闘原潜から出撃した 敵アーマードモジュールが…」
イングラム「こちら側の要撃機を 振り切って、東海地区へ侵入…」
イングラム「三島市への ピンポイント爆撃を行った後、 すぐに撤退した」
ジャーダ「しかし、 何で三島なんスか? あそこは 普通の街で、軍の施設もないし…」
イルム「戦略上の重要拠点でもない。 どうせなら、この伊豆基地を 攻撃すりゃ良かったものを…」
ジャーダ「それ以前に、九州を 抑えられた時点で日本の半分近くは MAPWの射程に入ってますよ」
イルム「まあな」
イングラム「…佐世保と 三島への爆撃は、我々に対する DCの意思表示かも知れん」
ジャーダ「意思表示って…どんな?」
イングラム「伊豆を始めとする 各基地、そして日本の主要都市を…」
イングラム「いつでも 攻撃出来るという意思表示だ」

《極東支部基地》

リュウセイ(あのテンザンが パイロットになってたなんて…)
リュウセイ(けど、あいつも バーニングPTの腕を見込まれて スカウトされたとしたら…)
リュウセイ(何でDCなんかに?)
ガーネット「ねえ、 ちょっといいかな?」
リュウセイ「え……?」
ガーネット「ん? 何見てんの?」
リュウセイ「い、いや、その… 目のやり場に困ってさ」
ガーネット「ああ、 あたしの服のこと? 気にしないで。 こういう格好、好きなんだ」
リュウセイ(気にするなって 言われると、余計に気になるよなあ。 特に胸の所とか…)
ガーネット「ところで、あんたに 聞きたいことがあるんだけど」
リュウセイ「何だ?」
ガーネット「あんた、ゲームの腕を 見込まれてPTのパイロットに なったって…ホント?」
リュウセイ「ああ…。 それがどうかしたのかよ?」
ガーネット「悪い意味じゃないけど、 ちょっとずるいなって思ってね」
リュウセイ「ずるい?」
ガーネット「あたし達、戦闘機からの 機種変更願を出して、PT操縦の 訓練もやってるんだけど…」
ガーネット「なかなかPTに乗る機会が なくってね。だから、すぐに機体を もらえたあんたがうらやましいの」
リュウセイ「…なぁ、俺の他にも バーニングPTがきっかけで パイロットになった奴、いるのか?」
ガーネット「さあ…。 聞いたことないわね、そんな話」
リュウセイ(じゃあ、 テンザンはいったい…)
ガーネット「でも、いいよね。 あたしもゲームをやってれば、 すぐにPT乗りになれたかも…」
リュウセイ「…よかねえよ」
ガーネット「?」
リュウセイ「ゲームで民間人から パイロットを選んで殺し合いを させるなんて…冗談じゃねえ」
ガーネット「でも、あんたは あのテンザンって奴みたいに戦いを 楽しんでるわけじゃないでしょ?」
リュウセイ「ああ…だけど、あいつと 出会ってなかったら、今頃俺も…」
ガーネット「じゃ、聞くけど… あんたは何のために戦ってんの?」
リュウセイ「………」
リュウセイ「俺は… テンザンと会って、戦う理由を 見つけたような気がする……」
ガーネット「………」
リュウセイ「俺は、 あいつみたいな奴から…」
リュウセイ「人の命を何とも 思ってない連中から、みんなを 守らなきゃならねえんだ…!」

《極東支部司令部》

サカエ「我が方の戦力では…」
サカエ「潜水艦と航空兵器の 機動力を併せ持つDC部隊に 対処しきれません」
レイカー「………」
サカエ「しかも、 アーマードモジュールの 母艦となる戦闘原潜は…」
サカエ「DCがEOTを導入して 建造したと思われるステルス艦で、 探知は困難です」
サカエ「このままでは、広島や大阪を 始めとする主要都市、各基地が 容易に攻撃を受けることに…」
レイカー「…人型機動兵器と その母艦を組み合わせた運用概念は 我々側にも存在している」
レイカー「しかも、 DCを上回る形でな」
サカエ「…それは、 スペースノア級万能戦闘母艦の ことでありますか?」
レイカー「そうだ。 だからこそ、彼らは壱番艦の シロガネを南極で破壊し…」
レイカー「弐番艦が存在する この伊豆基地を牽制しているのかも 知れん…」


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