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宇宙の呼ぶ声 アーク

〈梁山泊〉

ブレックス「諸君、すでに知らされている者も 多いと思うが、
 現在の我々のおかれた状況を あらためて説明しておく
 まずムゲゾルバドス帝国軍だが、 現在地上から撤退中だ」
カミーユ「百鬼一族や、 ミケーネはどうなんです?」
ブレックス「うむ、一部残存兵がいるが、 これはかつての我々と比べても
 規模の小さいものといっていいだろう」
アムロ「地上はOZがおさえつつある、 ということか……」
ブレックス「次に宇宙だ。こちらはまだ、 帝国軍が多く残っている
 中心は月面基地、 それからアステロイド基地だな」
シモーヌ「でも帝国がコロニー駐留部隊を 引き上げてるってことは
 宇宙もほとんどOZがおさえたって ことじゃないんですか?」
ブレックス「そうだ。つまり、 もはやOZが帝国軍を
 排除するのは確実ということだ。 その後、連中はその矛先を、
 同じ地球人に対して 向けてくるだろう」
甲児「なんだ。ってことは、オレたちは結局 OZを相手にするってわけか」
ブライト「ああ、今のところはそう想定している 帝国軍を排除したOZは
 まず宇宙において軍備の増強に 取りかかるのは間違いない」
「へっ、さすがに連中も 帝国とこんだけやりあってりゃ
 かなり厳しいってわけだ」
アーク「……でもOZが力をつけていくのを、ただ 見ているだけというわけにはいかないな
 僕たちも宇宙へ上がった方が いいのかもしれない」
ブレックス「正解だな。何しろ 今の我々にできるのは、ゲリラ的に
 敵をかく乱することくらいだ。 まずは、OZが地球圏を
 完全に支配できるだけの 戦力を整えるのを
 少しでも遅らせることが重要だ」
チボデー「OK、そうと決まれば、 さっそく宇宙へ……って、待てよ、
 俺たちゃどうやって宇宙へ 行くんだ?」
クワトロ「すでに手配はしてある。 帝国軍部隊が駐留していたが
 先のOZとの戦闘で 今は使われていない
 古い発射基地が存在する。 これを利用させてもらう」
カミーユ「でも、そんなの使えるんですか?」
ブレックス「大丈夫だ。帝国の 侵略以前にその基地で
 活動していた者たちに、 連絡がついている
 彼らがきてくれる手はずに なっているのだ」
「なるほど」
ブライト「よし、出発は2日後の早朝だ 各自準備を整えておけ」
甲児「ちょっと待ってくれよ。オレたちが 宇宙へ行くのはいいとしても
 今ここに残っている准将や 中条長官や、博士たちは
 どうするんだ? それに撤退中とは いえまだ帝国軍も
 それにドレイクだっているじゃないか」
ブレックス「我々は地上に残り、少しでも 君たちのバックアップができるよう
 いろいろと動いてみるつもりだ。 サンクキングダムの件もあることだしな
 残存する帝国軍とドレイクに ついては、万丈くんともう一隻の
 オーラシップで対応するつもりでいる」

アムロ「やぁリョウ、どうしたんだ?  このところ、あまり見かけなかったが」
リョウ「新ゲッターの訓練ですよ。 それより紹介します、車弁慶です」
ベンケイ「よろしく頼んます。 よぉ、それよりも少し休ませてくれよ
 もう腹がへって これ以上は動けないぜ」
ハヤト「しょうがない奴だな。 リョウ、食事にしよう
 そのかわり午後からまた訓練だ」
ベンケイ「わかったよ」
アムロ「いったい何をやってるんだ?」
リョウ「ベンケイの奴がすぐにでも戦えるように 訓練しているんですよ
 技も覚えさせなきゃならないし、 つきあうこっちも大変ですよ」
甲児「なんだ、中条長官が 自信ありげだったから
 さぞかしすげぇ奴かと思ったら、 てんでダメなんじゃねぇか」
ハヤト「だが適応力は高いし、 耐久力は
 俺たちよりも上かもしれん。 確かにゲッターには向いているな」
甲児「へぇ。よし、じゃあ ここはひとつ、この甲児さまも
 特訓に協力してやるぜ」
さやか「最初の頃は、甲児くんもちゃんと マジンガーを動かせなかったものね」
甲児「なんだよ、よけいなこというなよ、 さやかさん」
リョウ「ははははっ。じゃ甲児くん、 あとで来てくれよ」

ルー「ブライト艦長、 あたし考えたんですけど、
 もうあたしたちって 地球解放戦線とかカラバとか
 関係なくなっちゃった わけじゃないですか」
ブライト「そうなるな」
ルー「名前、必要だと思いません?」
ブライト「名前? いったい何のだ?」
ルー「あたしたちの部隊の名前ですよ」
ブライト「いらんだろう、そんなもの」
ルー「えーっ」
アムロ「いいじゃないかブライト。士気が 高まるかもしれないし、俺たちは
 これから世界中に、俺たちの 存在をアピールしていく必要もある」
ルー「さっすがアムロさん。 そうなんですよ艦長」
ブライト「わかったよ。好きにしろ」

ルー「ってわけで、あたしたちの部隊の 名前を決めたいと思うんだけど」
甲児「はいはい! オレ、いいのがあるぜ」
シモーヌ「なによ?」
甲児「“兜甲児と仲間たち”っての イカスだろ」
シモーヌ「…………」
甲児「なんだよ」
さやか「まったく、ほんとにしょうがないわね。 だいたいイカスはないんじゃない?」
鉄也「みんな、バカはほっとこうぜ」
「そうだな……獣戦機隊はどうだ」
沙羅「そりゃ、あたしたち4人のことでしょ!」
「ちっ、いってみただけじゃねぇかよ」
シモーヌ「まったく、このバカコンビはねぇ……」
デビッド「なら“ソーラー・ファング”はどうだ?  こいつならバッチリだぜ」
ファ「へぇ、いい感じじゃない」
デビッド「だろ? こいつはな、 ある革命運動の
 有名なゲリラ部隊の名前を 借りてきたものでな」
ボス「ふんふん、それで、 どういう意味なんだわさ」
デビッド「意味はだな、太陽のき……」
雅人「うわあぁぁーっ! ストップ! ちょっと、 いくらなんでもそりゃまずいよ、デビッド」
デビッド「あ、やっぱり?」
ルー「もー、みんなちゃんと考えてよね」

(扉が開閉する)
ブライト「なんだお前たち、まだやってたのか。 決めるならさっさと決めろ
 宇宙に出る準備だって しなくちゃならんのだぞ」
ルー「それはわかってるんですけど……」
ベルトーチカ「ねぇアムロ、何かいい名前はないの?」
アムロ「そうだな…… “マーチウィンド”というのはどうかな」
ベルトーチカ「マーチウィンド……三月の風?」
ルー「音は悪くないと思うんですけど……」
アムロ「意味もちゃんとあるさ
 『三月の風、四月の雨 五月の花を咲かせるために』
 むかし聞いたことのある詩でね。 その詩のタイトルなんだよ」
ジュン「マーチウィンド…… 花を咲かせるための風、かぁ」
シモーヌ「へぇ、いいんじゃない?  どう、アーク?」

アーク選択

それでかまわない
気に入らない


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