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理想、ついえて アーク

〈ヨーロッパ・オランダ辺り〉

クワトロ「グレスコ総督が……死んだだと?」
甲児「ああ、なんかみんなで大騒ぎしてたぜ。 一応敵軍の親玉だろ?
 ざまぁみろって感じだよな」
弓教授「なんでも各地の中継局を通じて 全地球圏規模で
 放送が行われているそうだよ」
エイジ「グレスコが……」
アンナ「エイジ……」
クワトロ「ふむ……問題はこれが状況に どう影響してくるかだな……」

(銃撃音)
デビッド「お、始まっちまってるぜ」
デュオ「あーやだやだ。 こんな盛大な葬式みたことないぜ」
ルー「ちょっとぉ、もっとボリューム大きくして くれないと、聞こえないじゃない」
カトル「あ、はい、今あげます」

ル・カイン「……全兵士諸君、私はここに、 亡き父の遺志をつぎ
 帝国と地球人のための 理想国家の建設に
 努力することを誓うものである」

カミーユ「なにが理想なものか、ル・カインめ!」
ファ「カミーユ……」
ル・カイン「ロアン・デミトリッヒ、 トレーズ・クシュリナーダ、ここへ」

デビッド「あの野郎!! 裏切り者の ブタ野郎が、のうのうとしてやがるぜ」
アンナ「ロアン……」
シモーヌ「…………」
エイジ「…………」

ル・カイン「諸君、この者たちは地球人で ありながら、実にすぐれた者たちだ
 これからの私は地球人であろうとも すぐれている者はわけへだてなく
 登用することにした。それでこそ はじめて、理想的な国家が
 建設できると気づいたからだ。私の 理想はこのようにして実現される
 とろこで、ロアン・デミトリッヒ、 地球には火がすべてのものを
 浄化するという、言い伝えが あるそうだな?」
ロアン「はい」
ル・カイン「諸君、まさに今がそのときだ。 古きもの、悪しきものは
 炎に焼かれて浄化される。 トレーズ・クシュリナーダ」
トレーズ「はい。すべて閣下のご命令のまま、 反乱分子のせん滅作戦
 および主要都市、コロニーの 再建計画が整っております」
ル・カイン「諸君、聞いての通りだ。 古きものよ! 悪しきものよ!
 新しきもの、理想なるものの誕生 のため、炎の洗礼を受けよ!!」
(銃撃音)

デュオ「……なぁ、それってまさか……」
リョウ「ああ、奴ら徹底的にやるつもりだな」
「今となっては抵抗組織の中では 俺たちがいちばん戦力がある
 連中の最大の標的は 俺たちだと考えて間違いないだろう」
ハヤト「どれだけの数が攻めてくるのか、 見当もつかんな」
大作「それじゃあ…… 僕たちはどうなるんですか!?」
カトル「……さすがに…… 勝てないかもしれませんね」
銀鈴「…………」
「ちきしょう! 冗談じゃないぜ!  そう簡単にやられてたまるかよ!!」
(扉が開く)
アンナ「……エイジ?」
エイジ「艦長たちに伝えてくるよ」
(扉が閉じる)

〈ニューヨーク〉

シャピロ「……お前はどう思う、ルーナ?」
ルーナ「はい、ル・カイン様は地球人と 共存なさるおつもりのようですわね」
シャピロ「ふ……愚かな。それは、 ムゲゾルバドス帝国の
 支配下にある星として、 正しいあり方かな?」
ルーナ「もちろん、違います」
シャピロ「グレスコ閣下が病気で お亡くなりになったとのことだが?」
ルーナ「不審なこと、このうえありません」
シャピロ「ふむ……アステロイド基地に 連絡はつけられるな、ルーナ?」
ルーナ「ル・カインの手の者が 通信施設を押さえておりますが
 可能でありましょう」
シャピロ「フフフフフ、いずれすべてが この俺の前にひざまづくことになる
 百鬼一族のグラー博士を お呼びしてくれ、ルーナ。丁重にな」
ルーナ「はい、シャピロ様」

ル・カイン「ロアンか、どうした?」
ロアン「はっ……実は……」
ル・カイン「通信施設が帝国の 兵士によって襲撃されただと?」
ロアン「はっ、すでに鎮圧しております。 どうやらアステロイドへ向けて
 送信したようです。 首謀者は現在調査中ですが
 まずは報告をと思いまして」
ル・カイン「…………もうよい。調査は続行せよ」
ロアン「はっ?」
ル・カイン「もうよい! さがれ!」

ル・カイン「……およそ理想というものを持たぬ 愚か者どもめ……
 アステロイド前線基地から 将軍どもを呼んだか……」
ジュリア「…………」
ル・カイン「すぐれた者によるよりよき指導、 それに従う無垢なる従順……
 私の理想とした国家の建設は 夢で終わらせはせん……」
グレスコ(支配とは力だ……)
ル・カイン「……父上! あなたが悪い!  幼き日より帝国の誇りを
 持ちつづけるようにいい続けてきたのは 父上、あなたです!
 ……あなたではありませんか……」
ジュリア「ル・カイン様……」
ル・カイン「ジュリア……祈ってくれ。 父のために祈ってくれ」
ジュリア「…………」
ル・カイン「祈れ、祈ってくれ。祈るのだ!
 我が父のために祈れ!
 お前が聖女と呼ばれるのならば 父のため……そしてこの私のために
 祈ってくれ。すぐれた者に加護が あるように……己の父を手にかけた
 哀れな男のために……祈ってくれ!」

ロアン「なんの用だい、こんなところに 呼び出して。僕は忙しいんだよ」
アーサー「ロアン、今まで敵に従うフリをして、 ひとりでがんばってきて
 つらかっただろうな。でも僕にだけは 本当のことをいってくれていいんだよ」
ロアン「なんのことだい?」
アーサー「またまた。僕にはわかってるんだよ。 みんなル・カインの信頼を得るための
 お芝居なんだろう?」
ロアン「僕は帝国の方がすばらしいと 思ったからそうしているだけだ
 用っていうのがそれだけなら、 僕はもう行くよ」
アーサー「待ってくれよ、ロアン!」
ロアン「相手が僕だったからよかったものの、 誰かに聞かれたら銃殺刑ものだよ
 もう僕の前に顔を見せないでくれ。 いいね」
アーサー「ロアン、ロアンッ!!」

〈ヨーロッパ〉

(アルビオンで西に移動し、メキシコの辺りまで移動)
デュオ「聞いたかよ、奴ら ついにおっぱじめたって話だぜ?」
カミーユ「くそッ帝国め!!」
アムロ「落ち着くんだカミーユ。 少し休んでおいた方がいい」
カミーユ「今にも敵がくるかもいれないのに、 できるわけないでしょう!!」
アムロ「カミーユ」
カミーユ「整備……手伝ってきます。 その方が気がまぎれますから」
(扉が開閉する)
デュオ「チェッ、男のヒステリーはみっともないぜ」
アムロ「そういうふうにいうものじゃない。 みんな、つらいんだよ」
アムロ「そういえば、 アークはどうしたんだ?」
デュオ「俺は見てないぜ」
ドモン「……奴なら暗い顔して うろつきまわってたようだぞ」
アムロ「そうか……。ドモン、すまないな。君には その……別の目的があったというのに」
ドモン「まったくだ。だが、この程度のことで やられてしまうならば、
 しょせんは俺もその程度でしか なかったということだ。それに……
 奴の手がかりがない以上は、やはり あんたたちに頼るしかないのも
 また事実。気にしてもらう 必要はない」

アーク(帝国の……大部隊…… これで、終わってしまうのか?
 俺は……なんにもできずに…… 俺は……)
(足音、扉が開閉する)
レラ「あっ……
 なんだ、あんたか。 機体の整備はやんなくてもいいの?」

アーク選択

レラと話をする
レラを艦から降ろそうとする
無視する


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