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比瑪とブレンパワード アイビス ~ 第16話 ~

〈アルテリオンをマザー・バンガードに搭載〉

スレイ「く…逃がしたか!  …だが、今日のところは邪魔も入った。 次こそは必ず決着をつける!」
(ベガリオンが撤退)
ツグミ(スレイ…あなたは間違っているわ…。 あなたはフィリオの夢を見失って しまっている…)

〈敵機全滅〉

ラッセ「ふう…ノヴィス・ノア隊の 戦力だけじゃ今回はやばかったな…」
ナンガ「まったくだ…。 αナンバーズ…大した奴らだよ」
比瑪「危ないところを助けていただき ありがとうございました。 私、宇都宮比瑪っていいます」
クマゾー「僕はクマゾーだも!」
アカリ「こら、やめなさい、クマゾー!」
ベラ「その子達は…?」
比瑪「私の家族です」
ベラ「…わかりました。 では宇都宮さん、よろしければ こちらで詳しい話を聞かせて下さい」
比瑪「はい…」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

比瑪「…オルファンとリクレイマー、 それにブレンパワード…。 大体の事情は理解できました…」
ベラ「これからどうするつもりです?」
比瑪「それは…」
ナンガ「ブレンパワードの力は まだ未知数だ。もしかするとオルファンの 秘密を解き明かす鍵になるかも知れない」
ナンガ「ブレンに認められた君には 是非とも協力をお願いしたいな」
比瑪「それって…さっきのグランチャーと 戦えってことですか?」
ラッセ「その答えでは50点だな」
キンケドゥ「俺達の敵はリクレイマーだけ じゃない。人々の平和を脅かす全ての 存在と戦わなければならないんだ」
比瑪「平和を脅かす存在…ですか」
ベラ「もちろん強制する気はありません。 ですが、私達はあなたの力を 必要としています…」
比瑪「………」
比瑪「今、地球圏全体が どういう状況になっているのか… 把握は出来てませんけど…」
比瑪「何かが… おかしいってことぐらいはわかります。 私に出来ることがあるなら手伝います」
ナンガ「では、決まりだな」
ラッセ「ああ…。歓迎するぜ、比瑪ちゃん」
比瑪「その代わり…私のお願いを 一つ聞いてもらえませんか?」
ベラ「ユキオ君、アカリちゃん、 クマゾー君のことですね」
ユキオ「………」
アカリ「………」
クマゾー「………」
比瑪「ええ…。この子達はひだまりの館から ずっと一緒なんです…」
ナンガ「ひだまりの館…?」
比瑪「戦争や災害で親を亡くした 子供達のための施設です…。 私もそこで育ちました…」
比瑪「お願いします。 私が働く代わりに、この子達も ここへ 置いてもらえませんか?」
クマゾー「比瑪姉ちゃんと離れたくないも!」
ユキオ「わがまま言って 比瑪姉ちゃんを困らせちゃダメだよ」
アカリ「でも…でも…」
比瑪「お願いします。この子達だって 炊事や洗濯の手伝いぐらい出来ます」
ベラ「ええ、いいわよ」
比瑪「えっ?」
ベラ「どうしたの?  そんなに驚いた顔をして…」
比瑪「い、いえ…。 簡単に返事をもらえるなんて 思ってなかったので…」
ベラ「実はね、彼らのような子供達を 軍艦に乗せるのは初めてじゃないの」
比瑪「…そうみたいですね。私より 年下の子を何人か見ましたから…」
ベラ「ひどい話だと思うでしょう?」
比瑪「い、いえ、そんな…」
ベラ「でも…いつも何故か子供達と行動を 共にすることになるのよ」
ベラ「前の戦いでもそうだった…。 そして、今回はトビアやその子達が…」
比瑪「………」
ベラ「今まで何度も疑問に思ったわ。 でも、こう考えるようにしたの」
ベラ「私達の小さな仲間達を守って初めて 地球圏を救うことが出来るのだと…。 単なる偽善や独善かも知れないけどね」
キンケドゥ(ベラ……)
ベラ「それに、こんな時代だもの…。 家族同然の人達を引き離すような真似は 出来るだけしたくないわ」
ナンガ「なら、そっちの話も決まりだな」
比瑪「あ、ありがとうございます!  ほら、あんた達もお礼を言って!」
クマゾー「ありがとうだも!」
キンケドゥ「その代わり、君達には しっかり働いてもらうぞ。とりあえずは 新入りらしくジャガイモの皮むきからだ」
アカリ「はーい!」
(扉が開閉する)
アムロ「何だ? 随分と賑やかだな」
カツ「あの子達、僕らと 行動を共にすることになったんですよ」
アムロ「ふうん…昔を思い出すな」
カツ「昔って前の大戦のことですか?」
アムロ「いや、一年戦争の話さ。 あの頃のカツは泣きべそをかいていた 子供だったな」
カツ「か…勘弁して下さいよ、アムロさん。 そんな昔の話を持ち出すなんて…」

(扉が開閉する)
ツグミ「ベラ艦長… 私達が助けた女の子ですが 精神的なショックが大きいようです」
ベラ「そうですか…。 ご苦労でしたね、ツグミ、 アイビス…」
アムロ「あれだけ間近で戦闘に 巻き込まれたんだ。無理もないか…」
アカリ「かわいそう…」
ユキオ「うん…」
アイビス「………」
ツグミ「所持品などを調べましたが、 めぼしいものとしては ペンダントが一つあるぐらい…」
ツグミ「…どうやら身寄りの無い子の ようです」
ギャリソン「ふむ。こうなると専門の病院に 入院させるしかありませんな」
ラッセ「だが、回復したとしても まだ小さな子供だ。今の時代に 生きていくのは厳しいだろうな…」
アイビス「あの…」
アイビス「あのさ…よかったらだけど… あの子、ここに置いてあげない…?」
アムロ「アイビス…」
ナンガ「おいおい… 三人組に続いてもう一人かい?」
アイビス「その分、 あたしも頑張って働くから…」
ベラ「………」
比瑪「私からもお願いします! 何なら、 クマゾー達と一緒に面倒を見ますから!」
アイビス「駄目…かな…?」
ベラ「いいわ。 3人が4人に増えるぐらいだもの、 それぐらい問題ないわよ」
比瑪「ありがとうございます、ベラ艦長!」
万丈「それにしても珍しいな、アイビス。 君が他人を気に掛けるなんて」
アイビス「…あの子を見ていたら 何だか放っておけなかったから…」
クマゾー「お姉ちゃん…」
アイビス「何…?」
クマゾー「人に何かしてもらったら、 お礼言わなきゃ駄目だも!」
アイビス「え…」
アカリ「こら、クマゾー!  お姉ちゃんを困らせちゃ駄目じゃない!」
クマゾー「だって… 比瑪姉ちゃんがいつも言ってるも」
キンケドゥ「そうだな。 クマゾーの言うとおりだぞ、アイビス」
アイビス「え…その…」
クマゾー「早く言うも」
アイビス「その…あ…」
アイビス「あ…ありがとう… ベラ艦長」
ベラ「…どういたしまして、アイビス」
ツグミ「アイビス…」
アムロ「…いい傾向だな、ツグミ」
ツグミ「はい…。あの子を守ることで アイビスの中で何かが変わるのかも 知れません…」
(通信)

アンナマリー「ベラ艦長、 シナプス大佐から通信が入っています。 メインモニターに回します」
(モニターオン)
シナプス「ご苦労だったな、ベラ艦長」
ベラ「いえ…」
シナプス「では、先程の打ち合わせ通り、 ブレン機とクロスボーン以外の者達を 伊豆の極東支部へ向かわせてくれ」
ベラ「了解しました。 その間に私達はGGG本部のある東京湾 Gアイランドシティへ向かいます」
シナプス「こちらも極東支部での要件が 済み次第、君達と合流する」
ベラ「ご武運を、シナプス大佐」
シナプス「ふふ、言い得て妙だな。 何せ、相手はあの男だからな」

《ビッグファルコン・JAPANESE AREA》

[基地]

三輪「諸君、よく来てくれた。 ワシが極東支部長官の三輪防人だ」
三輪「諸君らの宇宙での活躍は このワシの耳にも届いておる。 まずはその労をねぎらおう」
サンシロー「よく言うぜ。 異星人が地球に降下したのは 俺達の責任だとわめいていたくせに」
ミドリ「やめなさいよ、サンシロー君。 長官がこっちをにらんだわよ」
三輪「ゴホン。これより諸君らは ワシの指揮下で、異星人及び地下勢力の 殲滅作戦に参加してもらうことになる」
シナプス(やはり、そう来たか…)
三輪「そして、 これだけは忘れずにいてもらいたい」
三輪「諸君らの戦力は、 あくまでも『地球』と『地球人』を 防衛するためのものだ」
三輪「それら以外の者達のために 戦う必要はない!」
大文字「長官、スペースノイドは見捨てても 構わないとおっしゃるのですか?」
三輪「大文字博士、君は地球人かね!?」
大文字「は…?」
三輪「地球人か?  それとも宇宙人かと聞いておるのだよ!」
大文字「………」
三輪「いいかね、博士。地球人類の基盤は 地球にあるのだよ。スペースノイドなど、 それに寄生するダニのようなものだ」
シナプス「地球さえ守れば、コロニーは どうでもいいということですか?」
三輪「当然だ。コロニーは破壊されれば 作り直すことが可能だが…地球は そういうわけにはいかんのだ!」
三輪「それに、これまで宇宙人共は地球の 恩恵にすがって生きてきたのだ。この 有事に連中を構っている余裕はないわ!」
カミーユ(あの考え方… まるでティターンズと同じじゃないか…)
ジュドー(なんで、あんな人が 極東支部の長官になれたんだよ…)
めぐみ(お父様が更迭されなければ… こんなことにはならなかったのに…)
三輪「では、早速だが諸君には 地下勢力殲滅作戦に参加してもらう」
アムロ「地下勢力殲滅作戦?」
三輪「うむ。地底には依然として ミケーネ帝国と恐竜帝国の二大勢力が 残っており…」
三輪「この数ヶ月、奴らは 偵察と思われる部隊を地上に 送り込んできている」
三輪「今回の作戦は今までのように 奴らを地上で待ち受けるのではなく…」
三輪「地下勢力の本拠地を探し出し、 攻撃を仕掛けて殲滅するという 画期的なものなのだ」
一平(何を威張ってんだ。 攻守が逆になっただけだろうが)
三輪「すでにゲッターチームと グレートマジンガーが奴らの本拠地の 探索任務についておる」
三輪「彼らからの報告が入り次第、 諸君らには全力で地下勢力を 叩き潰してもらいたい!」
大文字「しかし、三輪長官… 我々が地底へ攻撃を仕掛ければ、 日本の防衛が手薄になります」
三輪「戦力は諸君ら以外にも存在している。 それに、地下勢力を殲滅するためならば、 少々の犠牲には目をつぶる」
剛健太郎「一般市民を犠牲にしても 構わないとおっしゃるのですか?」
三輪「異星人は黙っていろ!  貴様に地球防衛を語る資格はない!」
剛健太郎「……!」
健一「三輪長官、父や俺達は 命を懸けて侵略者と戦ってきました!  今の発言は取り消して下さい!」
三輪「異星人の息子が何を言う!  本来ならば、貴様ら親子は敵対分子として 捕えられてしかるべきなのだぞ!」
健一「敵…!?  今までボルテスで戦って来た俺達が、 敵だと言うんですか!?」
日吉「ひ…ひどいや、そんな言い方…!」
一矢「長官! 剛博士や健一達は 今も地球のために戦っています!  それが嘘でないことは俺達が証明します!」
三輪「ほう、証明だと?  異星人のスパイと内通している貴様が 一体何を証明するというのだ?」
一矢「な…!?」
三輪「だいたい貴様の父親がバーム星人との 交渉などという寝言を言い出したから、 今日の事態を招くことになったのだ」
一矢「寝言だと…!  エリカをスパイ扱いしただけでなく、 父さんの命を懸けた理想を寝言だとっ!?」
三輪「な、何をする気だ!?」
京四郎「いかん!  ファン・リー、ヤマガタケ!  一矢を押さえるんだ!」
ヤマガタケ「お、おう!」
(倒れた)
一矢「くそっ! 放せ、放してくれ!!」
ファン・リー「落ち着け、一矢!  ここでお前が暴れても何にもならんぞ!」
一矢「放せぇぇっ!!」
三輪「いいか? 今の極東支部は 岡の時のように甘くはないぞ!」
三輪「貴様らには地球を守る兵士として、 ワシの指揮下で戦ってもらう!  覚悟しておけ!」
ピート「………」
サンシロー「…これからは やりにくくなりそうだぜ…」


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