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抹消されたMk-III アラド ~ 第1話 ~

新西暦188年。
地球圏では前大戦の戦災の
復興作業が進められていた…。
ティターンズが壊滅した連邦軍は
組織の再建を始め、
異星からの侵略者と
地底に潜む勢力に対抗するため、
軍備の増強を行っていた。

地球側では、
「大空魔竜戦隊」が結成され、
多くのスーパーロボットが
それに属することになった。
また、それとは別に連邦政府の
直轄組織である秘密防衛組織
「GGG」も有事に備え、
本格的に活動しようとしていた。

一方、宇宙側では
「ロンド・ベル隊」がスペースコロニー・
ロンデニオンを本拠地として、
ネオ・ジオン軍残党や
クロスボーン・バンガードを
始めとする反地球連邦勢力の
動きを調査していた。

さらに、火星では
テラフォーミング計画と同時に、
「プリベンター」を中心として、
対異星人戦の橋頭堡となる
軍事基地の建設が進められていた。

こうして、地球圏の人々は
かりそめの平和に
身を委ねることを止め、
天と地からの侵略者に対して
着々と対抗手段を固めつつあった。
そして、誰もが次なる戦乱の
幕開けが近いことを予感していた…。

《L5宙域付近・EARTH AREA》

[ブリッジ]

ヤザン「…ほう。 ジオンの残党と木星の連中がな」
???(オサリバン)「いずれにせよ、 近い内に大きな戦乱が起きると見て 間違いない」
ヤザン「…で、 俺に接触してきた目的は何だ?」
???(オサリバン)「フフフ…。 噂どおり、一筋縄ではいかん男だな、 ヤザン・ゲープル大尉」
???(オサリバン)「あのダカール戦を 生き延びた理由にも納得がいく」
ヤザン「つまらん世辞を言うぐらいなら、 ガンダムタイプの一機でも回せ。どうせ 新型を開発しているんだろう?」
???(オサリバン)「…そんなものを渡せば、 すぐに足がつく。これでも、我が社は 得意先を選んでいるつもりでね」
ヤザン「フン、結果を出せということか。 …それで、貴様らの見返りは何だ?」
???(オサリバン)「…ジオンと ジュピトリアンの残党に関する情報を 私個人に提供してもらいたい」
ヤザン「提供だと? とぼけるな。 貴様の噂…ある程度は聞いているぞ?」
ヤザン「前の大戦で、ジオンの シーマ・ガラハウとかいう女狐と つるんでいたそうだな」
???(オサリバン)「さて…何の話しかね?」
ヤザン(…狸が……)
???(オサリバン)「私の依頼を引き受けて もらえるのなら、補給は保証しよう。 無論、君が何をしようと…」
???(オサリバン)「どこの陣営につこうと構わん。 いや…いっそのこと、彼ら側について もらえる方がありがたいな。フフフ」
ヤザン「狸は狸でも、とんだ古狸だな」
ヤザン「…いや、ハゲ狸か?  クックック」
???(オサリバン)「! ハゲ…!?」
ヤザン「…ま、いいだろう。 この話、乗ってやる。ただし……」
???(オサリバン)「わかっている。こちらも、それを 保証するために直接通信を入れたのだ。 …信用してくれたまえ」
ヤザン「フン、金稼ぎも程々にな。 やり過ぎると、ガンダム2号機どころの 火傷じゃすまんぞ?」
???(オサリバン)「フフフ…覚えておこう」
(扉が開閉する)
ラムサス「ヤザン大尉、 補充パイロット4名を連れて来ました」
ヤザン「ご苦労」
ゼオラ「はじめまして、大尉。自分は ゼオラ・シュバイツァー 曹長であります」
ゼオラ「以後、よろしくお願い致します」
アラド「自分は アラド・バランガ 曹長……以下同文であります」
ゼオラ「ちょっと、アラド!  何よ、その言い方! それに、 敬礼を忘れてるわよ、敬礼を!」
アラド「…ったく、うるせえなあ」
ゼオラ「何ですってぇ!?」
アラド「わかったわかった!  ちゃんとやりゃあいいんだろ?」
アラド「…あんまりカリカリしてると 頭の血管切れるぜ、ゼオラ」
ゼオラ「もうとっくの昔に切れてるわよっ!  それから、しの一言多い性格!  直しなさいっ!」
アラド「…持って生まれたモンだから、 しょうがねえだろ。お前だって、 すぐに怒る性格直んないし」
ゼオラ「もう、いいから! さっさと 自己紹介をやり直しなさいっ!」
アラド「それじゃ…」
アラド「自分はっ!  アラド・バランガ 曹長! 以下同文でありますっ!」
ゼオラ「あ、あなたねえ!」
ヤザン「…おい、ラムサス。ここは いつからミドル・スクールになった?」
ラムサス「…正直言って、 自分も面食らっております」
ヤザン「チッ、あのハゲ狸め。よりにもよって こんなガキ共を押しつけやがって」
ゼオラ「…お言葉ですが、ヤザン大尉。 自分とアラド曹長は『スクール』の 出身です」
ゼオラ「大尉達のお力添えとなれる 自信は持っているつもりです」
ヤザン「スクール?  …ああ、前にティターンズが 管理していたっていうアレか」
ラムサス「ヤザン大尉、 そのスクールとは何でありますか?」
ヤザン「モビルスーツや パーソナルトルーパーのパイロットを ガキの頃から養成するっていう機関でな」
ヤザン「ま、強化人間候補生の 訓練学校みたいなもんだ。もっとも、 使い物にならん奴が多かったと聞くが」
ゼオラ「…し、しかし…!  自分達はジャミトフ・ハイマン閣下の ご遺志を継ぎ…」
ゼオラ「ティターンズを再建して、 地球を揺ぎない存在とするために…」
アラド(チェッ、また始まったぜ…)
ヤザン「過去の遺物なんざ、 どうでもいいんだよ」
ゼオラ「か、過去の遺物…!?」
ヤザン「ああ、そうだ」
ヤザン「ただし、ティターンズを 壊滅させたロンド・ベル隊を… 野放しにしておくつもりはない」
ヤザン「それだけは理解しておけ」
ゼオラ「…わかっております。 ロンド・ベル隊を許すわけには いきません…!」
ヤザン「上等だ。ま、最初の内は 盾代わりぐらいにおもっておいてやる。 …貴様もな、アラド」
アラド「! 盾代わりですか!?」
ヤザン「何だ、その目つきは? あ?」
ゼオラ「ヤ、ヤザン大尉…!  な、何を…!?」
アラド「…つっ!」
ヤザン「縮んどらんな?  少しぐらいは見込みがあるか」
アラド「盾代わりとしての見込みなら、 遠慮しておきます…っ!」
ヤザン「フン、いい度胸だ。 その意気を忘れるな」
ヤザン「…で、 そこでさっきから黙ってる陰気な ガキもスクールの出身か?」
ヒイロ「………」
五飛「………」
ゼオラ「…違います。あの二人は ここで合流したばかりで……」
ヤザン「どこか見たような面だな?  名前と前の所属を言え」
ヒイロ「…デュオ・マックスウェル…」
五飛「張五飛。 二人共、前の所属はマリーメイア軍だ」
ヤザン「ほう…。 火消しにやられたデキムの残党か。案外、 水をかけていた方だったんじゃないのか?」
五飛「…疑うのなら、認識票を見せるが?」
ヤザン「まあいい。 お前達は格納庫へ行き、出撃準備をしろ」
ゼオラ「了解です、ヤザン大尉。 では、失礼します」
(ヒイロ達、アラド達が立ち去る)
ヤザン「…ラムサス」
ラムサス「はっ」
ヤザン「あのガキ二人の監視を怠るな」
ラムサス「…デュオ・マックスウェルと 張五飛ですね?」
ヤザン「そうだ。あそこまで 堂々とされると、かえって気持ちがいい。 …もっとも、本気かも知れんがな」
ラムサス「…いずれにせよ、 奴らが我々に気づいたと?」
ヤザン「ああ。俺達も出撃準備だ。 クックック…掛かったぞ、獲物が…」
ヤザン「ロンド・ベル…。いや、 カミーユ・ビダンとゼータがな」


第1話
抹消されたMk-III

〔戦域:月周辺宙域〕

(敵機が出現)
エマ「…そろそろ見えるはずね」
カミーユ「エマ中尉、あれじゃないですか?」
(戦艦を指す)
ファ「識別、確認しました。 あの艦に間違いありません。ただ、 護衛のサラミスはダミーのようです」
キース「ふう、とりあえずは無事かぁ」
コウ「いや、キース… まだ油断は出来ない。少なくとも、あれを ロンデニオンへ持って帰るまでは」
エマ「ウラキ少尉の言うとおりよ」
キース「は、はい。しかし、同型機が 今頃になって見つかっただなんて…」
カミーユ「起動実験に失敗して封印され、 戦後のどさくさで行方不明に なっていたらしい」
キース「管理がずさんだねえ。まあ、俺達も 他人のことは言えないけどさ」
エマ「いずれにしても、 穏やかな話じゃないわね」
カミーユ「そうですね。 何かあるといけません。 早く戦艦に接触しましょう」
エマ「わかったわ」
(戦艦でアラート)
キース「な、何だ!?」
ファ「エマ中尉! 高熱源体の反応がっ!」
エマ「!!」
(ダミー艦が爆発)
キース「ダミー艦がやられた!?」
ファ「気をつけて!  モビルスーツ隊が来るわ!!」
(アラド達が出撃)
コウ「あのモビルスーツは…!」
カミーユ「まさか、ティターンズの!?」
コウ「それにトーラス… しかも、有人タイプだ!」
ヤザン「…久しぶりだな、カミーユ」
カミーユ「お、お前は…ヤザン!  生きていたのかっ!?」
ヤザン「ああ、 狙った獲物は逃がさん主義でな。 ずっと機会を狙っていたのさ……」
ヤザン「お前とゼータを倒すためにな」
カミーユ「貴様! 性懲りもなく!」
連邦軍艦長「ロンド・ベル隊の モビルスーツへ! こちらは推進部を やられて動けない! 援護を頼む!」
エマ「了解。ウラキ少尉とファは 戦艦の護衛に回って。カミーユと キースは私と一緒に敵機の迎撃を」
カミーユ「了解…!」
ヤザン「来るか。さて、ガキ共… お前達の実力を見せてもらおうか?」
ヒイロ「任務了解……」
五飛「…こちらもだ」
コウ「まさか…あれにはヒイロ達が?」
キース「う、嘘だろ!? またかよ!?」
コウ「…どう思います、エマ中尉?」
エマ「今、プリベンターの主要メンバーは 火星にいるはずよ」
コウ「しかし…ヒイロやデュオ達なら 極秘任務で…しかも単独で動いていると いう可能性もあります」
エマ「…わかったわ。私が確認してみる」
ヤザン「…カップルの方はどうした?  怖気づいたか?」
アラド「あの…ヤザン大尉。 自分達はそんな関係じゃありません」
アラド「ついでに言うなら、自分は おしとやかなタイプが好みなんですが…」
ゼオラ「! がさつでわるかったわねっ!」
アラド「そんなこと、 一言も言ってねえっての!」
ヤザン「フン、戦闘前に痴話ゲンカか?  随分と余裕があるな」
ゼオラ「す、すみません!  それよりも…!」
ゼオラ「どうしてアラドの機体は ザクなんですか!? バーザムは もう1機あったはずです!」
ヤザン「お前の恋人の度胸を 試してやろうと思ってな……」
アラド「あの…ヤザン大尉。こいつは 恋人でも何でもないんですが」
ゼオラ「ちょっと!  何でもないって、どういう意味よ!?  …って、それよりも!」
ゼオラ「ヤザン大尉、 相手はあのロンド・ベル隊で… しかもガンダムタイプが3機です!」
ヤザン「そうだ。 奴らがジャミトフとバスクを倒した。 仇を討つには絶好の機会だぞ?」
ゼオラ「そ、それはわかっていますが…」
アラド「気にすんなよ、ゼオラ。ザクは 訓練生時代、さんざん世話になった機体だ。 おれはこいつの方が性に合ってる」
アラド「それに、 ザクは基本中の基本。ザクを制する者は 全てのモビルスーツを制す…」
アラド「あの赤い彗星の シャア・アズナブル大佐が、一年戦争中に そう言ってたそうだぜ?」
ゼオラ「ホントなの!?」
アラド「…ウソだ」
ゼオラ「あ、あなたねえっ!!  ただでさえスクールじゃ 一番成績が悪かったんだから…」
ゼオラ「下手をすると死んじゃうわよっ!?」
ヒイロ「…奴の言葉は あながち間違いじゃない」
ゼオラ「え!?」
ヒイロ「ザクの機体性能を 限界まで引き出し、機転を利かせば… ガンダムと互角以上に戦える」
ヒイロ「かつて… それをやった一人のジオン兵がいた」
アラド「へえ……。 その人って凄かったんだな」
ヒイロ「だから、お前もやってみせろ」
アラド「ああ、死ぬつもりはないよ。 で、あんた達は大丈夫なのか?」
ヒイロ「フッ…ガンダムのことなら、 良く知っている」
五飛「ああ…嫌というほどな」
アラド「?」
ヤザン「無駄話はそこまでにしろ。 俺の隊はゼータをやる。 お前達はまず戦艦を攻撃しろ」
ゼオラ「了解です!  ジャミトフ閣下やバスク大佐の仇を 討ってみせますっ!!」
(作戦目的表示)

〈1EP〉

エマ(トーラスに乗っているのが ヒイロ達なら…プリベンターの通信コードを 使えば、反応があるはず…)
ヒイロ「! …エマ中尉か」
エマ「ヒイロ? ヒイロなのね?」
ヒイロ「…現在、特別任務を遂行中…。 クラップ級のクルーへ脱出勧告を」
エマ「脱出勧告!?」
ヒイロ「俺達は戦艦へ攻撃を仕掛ける。 …今ならまだ間に合う」
エマ「でも、あれには積み荷が…!」
ヒイロ「後で何とかする。 そちらは適当な所で切り上げてくれ」
ヒイロ「ただし…攻撃は本気でな」
エマ「…わかったわ」
コウ「どうでした、エマ中尉?」
エマ「やっぱり、ヒイロ達だったわ。 みんな…適当な所で戦線から離脱して、 戦艦のクルー救出に回って」
コウ「…演技をしろってことですね。 了解です」
カミーユ「エマ中尉、 積み荷はどうするんです?」
エマ「ヒイロ達に何か考えがあるみたいよ。 後は彼らに任せましょう」
キース「だ、大丈夫でしょうか?」
エマ「心配はいらないわ。…彼らならね」

〈vs コウ〉

[ヤザン]

コウ「生きていたのか、ヤザン・ゲープル!」
ヤザン「フン、お決まりの台詞だな。 だが、そいつは俺相手に言うだけじゃ すまないぜ?」
コウ「どういうことだ!?」
ヤザン「その内わかることだ、その内な」

[ヒイロ or 五飛]

コウ「いくら芝居だとは言え、 本気で味方を攻撃するのは……」
五飛「…下手に手心を加えられるよりは マシだ。以前と同じように攻めてこい」
ヒイロ「ただし、こちらも本気でいく…」
コウ「わかった…。そこまで言うのなら!」

[アラド]

コウ「お前達、ティターンズが 過去に何をやったか…知っていて 戦っているのか!?」
ゼオラ「あなた達のお題目はいつもそうよ!  ティターンズを悪者扱いして…!」
コウ「何…?」
ゼオラ「彼らを滅ぼしたあなた達が…戦後に もたらしたものは何なの?」
ゼオラ「結局、無能な連邦の支配体制を 強化させただけじゃないの!」
コウ「だが、G-3ガスやコロニー落しで、 多くの人が死ぬよりははるかにマシだ!」
コウ「大儀をかざせば、 何をやっても許されるわけじゃない!」
ゼオラ「うっ…!」
アラド(向こうの言ってることは… 正しいよな)

[撃墜]

コウ(…こういうの、 あまり得意じゃないんだけど…)
コウ「やられたっ! 離脱する!」

〈vs キース〉

[ヤザン]

キース「ヤ、ヤザン・ゲープル…!  生きていたなんて…!」
ヤザン「それはこっちの台詞だ。 ま、俺にとっちゃ獲物が増える分には 困らないがな」

[ヒイロ]

キース「ちょっとは 手心を加えてくれるんだろうな!?」
ヒイロ「ああ、少しぐらいはな」
キース「って…本気なんだろ、やっぱり!」

[アラド]

キース「F2型のザク…!  何か懐かしいな。昔、そいつに乗って バニング大尉にしごかれたもんだ」
アラド「やっぱ、ザクは基本だからね」
ゼオラ「そんなこと 言ってる場合じゃないでしょ!!」

[撃墜]

キース(ま、いつものとおりに やればいいか…)
キース「だ、駄目だぁっ!  これ以上は!!」

〈vs カミーユ〉

[ヤザン]

カミーユ「ヤザン、貴様…!  ティターンズを再興しようとでも 言うのか!?」
ヤザン「ティターンズを? この俺が?  ハッハッハッハ!」
カミーユ「何がおかしい!?」
ヤザン「ジャミトフやシロッコの野望など、 知ったことか。奴らは自分の力に溺れ、 貴様らに敗れた。それだけだ」
カミーユ「ならば、何故?」
ヤザン「愚問だな、カミーユ!」
ヤザン「俺はな… 貴様やロンド・ベルをこの手で倒せば、 後は何だっていいんだよ!」

[ヒイロ]

ヒイロ「遠慮は不要だ…」
カミーユ「わかっている…!」

[アラド or ゼオラ (1回目)]

ゼオラ「Zガンダム、カミーユ・ビダン!  ジャミトフ閣下とバスク大佐の 無念は、私が晴らしてみせる!!」
カミーユ「何だと? ティターンズが 何をやったか、知っているのか?」
ゼオラ「当然よ! あの方達は 反乱を目論むスペースノイドを倒し… 地球を救おうとしたのよ!!」
ゼオラ「それを…あなた達ロンド・ベルと プリベンターが!」
カミーユ「違う!  ティターンズは力でスペースノイドを 押さえつけようとした」
カミーユ「俺達はそれを止めるために!」
ゼオラ「ジオンだのエゥーゴだのが 宇宙にいれば、武力を行使するのは 当然でしょうっ!!」
カミーユ「だが、 ティターンズが取った方法は 決して許されるものじゃない!」
ゼオラ「だまされないわよ!  あなた達こそ、地球圏を戦乱に巻き込んだ 張本人! 覚悟しなさいっ!」
アラド(おいてけぼりなんだけどな、 おれ……)

[アラド or ゼオラ (2回目)]

カミーユ「お前の目的も ジャミトフの仇を討つことか!?」
アラド「いや…。正直言って、 そんなのどうでもいいんだ」
アラド「ティターンズやあんた達の 大儀や正義なんかに興味はないんだ。 ヤなんだよ…そういうの」
カミーユ「何…!?」

[撃墜]

ヤザン「腕が落ちたな、カミーユ!」
カミーユ(奴をだませるとは思えないが… やっておくか)
カミーユ「くっ、ヤザンめ!  覚えていろ!!」
(Zガンダムが爆発)
ヤザン「フン、逃げたか……。 まあいい、一度でケリをつけるのは つまらんからな」

〈vs エマ〉

[ヤザン]

エマ「あのダカールの戦いを 生き延びていたなんて…!」
ヤザン「そういうことだ。 貴様らが死ぬまで…俺の戦いは 終わらんよ!」

[ヒイロ or 五飛]

エマ「ヒイロ、五飛…後のことは頼んだわよ」
ヒイロ「任務了解…」
五飛「任せろ」

[アラド]

ゼオラ「あなた、エマ・シーン中尉ですね!?  ティターンズを裏切ったっていう…!」
エマ「…過去って、 そう簡単に振り切れないものね。 本人の意思とは関係なく…」
ゼオラ「あなたのような人がいたから、 ティターンズはっ!」
エマ「…あの組織の行く末は 決まっていたわ。力を誇示するだけで 地球圏が統治できるのなら…」
エマ「一年戦争の時代に ジオン軍がそれをやっていたわ」
ゼオラ「ジ、ジオンと一緒にするなんて…!」
エマ「結果は同じよ。 どのみち、ティターンズは淘汰される 運命だったのよ…」
エマ「今という時代ではね」
ゼオラ「そんなこと、認めるわけには!」

[撃墜]

エマ(みんなに言った手前、 ちゃんとやらなきゃね)
エマ「ここまでね…。離脱を!」

〈vs ファ〉

[ヤザン]

ヤザン「運がなかったな。 カミーユと一緒でなければ助かったものを」
ヤザン「…いや、 わずかに生き長らえるだけか?  この俺に見つかった以上はな!」
ファ「好きにさせるものですか!」

[ヒイロ]

ファ「出来れば、 ちょっと手加減して欲しいんだけど…」
ヒイロ「…狙いは外す。コンマ2桁でな」
ファ「…って、それだけなの!?」

[アラド]

ファ「あなたのような子供が まだティターンズにいるなんて…!」
ゼオラ「子供って… そんなに歳は変わらないでしょ!」

[撃墜]

ファ(ちょっとわざとらしいぐらいに しておいた方がいいかもね…)
ファ「きゃあああっ! 助けてっ!!」

〈クラップ艦撃墜〉

ヤザン「…あっさりと引き上げたな。 連中らしくもない」
ダンゲル「そうですね。 戦艦のクルーも、攻撃を仕掛ける前から 脱出を始めていたようですし」
ヤザン「…理由には見当がつく。 獲物と出会えたことでよしとしておこう」
ダンゲル「む…?  ヤザン大尉、モビルスーツ用の コンテナを発見しました」
ヤザン「コンテナ?」
ダンゲル「はい。 さっきの戦艦に積まれていたようです」
ヤザン「なるほど、本命はそいつだったか」
ダンゲル「…どうします?」
ヤザン「せっかくのお宝だ…。 回収はアラドとゼオラにやらせろ。 チェックを怠らせるなよ」
ダンゲル「了解です」
ヤザン「よし……引きあげる!」

《L1宙域付近・EARTH AREA》

[ブリッジ]

ヤザン「…中身はヒュッケバインだと?」
ラムサス「はい。しかも、量産型の Mk-IIではなく…Mk-IIIです」
ヤザン「フン…前の大戦でロンド・ベル隊が 使っていた奴か?」
ラムサス「いえ、エンジンを通常の物に 交換した同型機だと思われます」
ラムサス「また、登録番号が抹消されており… 専用の換装パーツも見当たりません」
ヤザン「さしずめ、 予備パーツ用…あるいはデータ取得用か。 なら、多少は使えるな」
ラムサス「しかし、パイロットが…」
ヤザン「アラドを乗せろ。 奴はさっきの戦闘で被弾しなかった…」
ヤザン「使える奴に成長するかも知れんぞ」
ラムサス「了解です、ヤザン大尉」
ヤザン「それよりも、網を張れ。奴らは ロンデニオンへ戦力を結集させつつある。 もっといい獲物が掛かるかも知れん」
ラムサス「いい獲物…でありますか?」
ヤザン「そうだ。新型機や いわくつきの機体は、ロンド・ベルの所へ 送られる可能性が高い…」
ヤザン「何にせよ、面白くなって来た。 クックック…」

[格納庫]

ゼオラ「ええっ!?  アラドがヒュッケバインMk-IIIに 乗るって……本当ですか!?」
ダンゲル「ああ、ヤザン大尉の決定だ」
アラド(ヒュッケバインって、 確か……)
ゼオラ「そんな無茶な!  あれって、危険な機体なんでしょう!?」
ダンゲル「…さあ、知らんな」
ゼオラ「…………」
ダンゲル「文句があるなら…お前が乗るか?」
ゼオラ「じゃ、じゃあ…」
アラド「いえ、自分が乗ります」
ゼオラ「アラド!?」
ダンゲル「ならば、 すぐに使えるようにしておけ」
アラド「了解です」
ゼオラ「アラド、 あなた…わかってるの!?  あれ…バニシング・トルーパーなのよ!」
アラド「…知ってるよ。あれに関わると ロクな目に遭わないってんだろ?」
ゼオラ「だったら、どうして…?  あなたの腕じゃ…」
アラド「何かの縁って奴さ。それに、 いわくつきの機体に乗る機会なんて 滅多にねえし」
ゼオラ「な…!」
ゼオラ「何言ってんのよ!」
アラド「おろ?」
ゼオラ「死んじゃったら… あんなのに乗って死んじゃったら、 どうするつもりなのよ!」
ゼオラ「あなた、 あの時の約束を忘れたの!?」
アラド「…心配はいらねえよ、ゼオラ。 そう簡単に死ぬ気はねえって」
アラド「それにさ、おれ…… お前との約束以外に 守らなきゃならないものもあるしな」
ゼオラ「な…何カッコつけてんのよ…!」
アラド「?」
ゼオラ「落ちこぼれのあなたが 何を守るっていうの!?」
アラド「いや、あのさ…。 そんな言い方ないだろ?」
ゼオラ「じゃあ、守るものって何よ!?  言ってみなさいよっ!?」
アラド「……いいよ、いいよ。 そういうの、口に出すモンじゃねえし」
ゼオラ「もう!  お願いだから真面目にやってよねっ!!」
アラド「あ~い…」
アラド(…ま、わかんなくてもいいか…)


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