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遊泳する異形 宇宙ルート ~ 第10話 ~

[不明 (輸送機機内)]

レーツェル「ウォン重工業のゲシュタルト……?」
ギリアム「そう…… 次期主力機トライアルに提出される機体だ。 しかし、その詳細は謎に包まれている」
レーツェル「そんな物のエントリーが、 よく許可されたものだな」
ギリアム「情報規制も異常なまでに厳重だ。 故に軍の担当者とメーカーが癒着していると思われる。 だが、それよりも問題なのは……」
レーツェル「人型機動兵器開発の実績を持たぬ ウォン重工業が、何故トライアルに提出できるような 機体を作り得たのか……だな?」
ギリアム「その通り。 イスルギ重工からの技術提供があったにせよ、 不自然だ」
レーツェル「それで、ギリアム…… 私に聞きたいこととは?」
ギリアム「ゲシュタルトに搭載されているという AMNシステム……それに聞き覚えはないか?」
レーツェル「………」
レーツェル「……かつてのEOTI機関で 開発が進められていた、アーマードモジュールの ネットワークシステムだ」
ギリアム「ならば……DC絡みということにもなるな」
レーツェル「ああ。 AMNシステムは改良を重ね、 『ODEシステム』の礎となったが……」
レーツェル「EOTI機関がDCへ移行した後、 開発が中止され、プロジェクトメンバーも解散した」
ギリアム「プロジェクトの責任者は?」
レーツェル「ヴィルヘルム・V・ユルゲン博士だ」
ギリアム「……今、彼はどこに?」
レーツェル「L5戦役以後、消息不明となっている。 昨今の彼に関するデータもない」
レーツェル「予防線を張られたか?」
ギリアム「かも知れん。 いずれにせよ、調査すべき対象が増えたようだ」
レーツェル「……その内の一つは減った。 ラウル達のことは、とりあえず心配なかろう」
レーツェル「例え、 彼らが我々に話すことの出来ない事実を 抱えていたとしてもな」
ギリアム(後は……ラウル達次第か)

《地球近海(ヒリュウ改・移動中)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ユン「月軌道へのコース同調、終了。 テスラ・ドライブ、各推進部に異状なし」
レフィーナ「わかりました。 コース再確認……機関、原速」
ショーン「コース再確認。機関、原速。よーそろ」
レフィーナ「……後は月まで戻るだけ。 波も穏やかなようですね」
ショーン「ええ。 この場は我々に任せて、お休みになられますか?」
レフィーナ「い、いえ。 いつぞやの時みたいなことがあったら、 その……恥ずかしいですから……」
ショーン「それは残念。 あのライオンのヌイグルミを もう一度見たかったのですが……」
ユン「……副長がご覧になりたいのは、 それじゃないでしょう?」
ショーン「ゴホン。 ともかく……コルムナから月への短い航海ですが、 気を抜かぬように致しましょう」
レフィーナ「はい」
(警報)
ユン「艦長、戦闘光らしきものと 電磁波バースト、ESウェーブを感知しました。 推測発信源は、ポイントGU3972です」
レフィーナ「近いですね……。 そこに何かありますか?」
ユン「デブリ溜まりくらいで、特にめぼしい物は……」
レフィーナ「……」
ショーン「とは言え、穏やかではありませんな。 いかが致します、艦長?」
レフィーナ「現場へ急行しましょう。 ナビ・スケジュール、コース変更。 総員、第1種戦闘配置!」
ユン「了解! 総員、第1種戦闘配置!」
ショーン(……やれやれ、行く先の波は高そうですな)

〔戦域:デブリ溜まり〕

(デブリの傍にヒリュウ改、ヴァルシオーネ、量産型ゲシュペンストMk-II×2がいる)
ラッセル「……オクト2よりドラゴン2へ。 ヒュッケバインの残骸を発見。 パイロットは確認できず」
(ヒリュウ改に雑音)
ユン「こちらドラゴン2。 ノイズのため、完全に聞き取れず。 再度報告をお願いします」
(ラッセル機に雑音)
ラッセル「こちらオクト2。 ヒュッケバインの残骸を発見。 パイロットは確認できず」
ユン「ドラゴン2、了解」
ショーン「事は終わった後……。 それにしても、ノイズの多い宙域ですな」
ユン「散乱している岩塊に かく乱剤の類が含有されているようです」
ショーン「ふむ……」
ショーン(となると、人工物か……?)
リューネ「こっちにも ヒュッケの残骸があったよ」
リューネPTAMと戦って やられたわけじゃないみたいだね」
レフィーナ「え?」
ラッセル「まるで何かに噛みつかれて、 食いちぎられたような……」
レフィーナ「……オクト2、 機体の回収は出来ますか?」
ラッセル「困難です。 散逸がひどく、周辺の岩塊も多くて……」
レフィーナ「……」
ショーン「それにしても、 あの一番大きな岩塊……」
ショーン「外部から 衝撃が与えられたのではなく、 内部から割れたような感じですな」
レフィーナ「内部から……?」
カチーナ「オクト1よりドラゴン2へ。 こっちで妙なモンを見つけた。 画像をそっちへ送る」
(宙域の中心にあるプラントカプセルの残骸のようなものを指す)
カチーナ「どうも何かの施設の 残骸らしいぜ」
レフィーナ「施設?  でも、この宙域には……」
ショーン「ま、岩盤に 仕掛けをしていたぐらいですからな」
ショーン「公には存在していない施設…… インスペクターの物だった可能性も……」
カチーナ「いや、地球製だな」
レフィーナ「え?」
カチーナ「でけえフラスコみたいなのに 名札がついてやがんだよ」
カチーナ「“トーチカ2”、 “フラットフィッシュ”、 “ドナルド・ホフスタータ”……」
カチーナ「最後のは施設管理者の名前か?  これじゃ、まるっきりフラスコの 中身みたいに……」
(ヒリュウ改にアラート)
ユン「中央の岩塊付近に動体反応多数!!」
(中央付近にタッドポールが多数出現)
カチーナ「ゲ! 何だ、こいつら!?  気色悪ッ!」
ラッセル「アインスト!?」
リューネ「いや!  あんなタイプは見たことないし、 感じも違うよ!」
カチーナ「う……!」
リューネ「ヒュッケバイン部隊は あいつらにやられたんだ!」
ユン「目標群、該当データなし!  熱源反応から判断して、PTやAMでは ありません!」
ショーン「ま、一目瞭然でもありますな」
ユン「本艦へ向け、 ランダムパターンで接近中!」
ショーン「こちらを襲う気満々ですね」
レフィーナ「アンノウンとの交戦を 許可します! 艦前と右舷上方に 弾幕を展開しつつ、強速前進!」
カチーナ「……」
リューネ「カチーナ中尉、 どうしたのさ!?」
カチーナ「あ、いや……何でもねえ!」
カチーナ「リューネ、ラッセル!  レオナとタスクがいない分、 気合入れてけよ!!」
ラッセル「了解!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

ユン「アンノウンの反応、全て消えました」
レフィーナ「各機へ。 センサー類があまり利きません…… 目視で索敵を行いつつ、その場で待機を」
カチーナ「……了解」
リューネ「あいつら、いったい何だったの?  顔は人間っぽくて、身体は魚か虫……」
ラッセル「あ、あんな生き物…… 地球にはいませんよね」
リューネ「強いて似てるのを挙げれば、 アインスト……」
リューネ「あいつらの細胞か何かを 使って作り出された奴だったりして」
ラッセル「え? まさか……」
ショーン「ま、どこぞの秘密研究機関が 作り出した生物兵器の試作型……といった ところでしょうな」
レフィーナ「あの…… サンプルを回収した方が いいでしょうか……?」
ショーン「いえ、 素人が下手にあの類の物に 触れるのは危険です」
レフィーナ「え?」
ショーン「ほら、映画などでも よくあるでしょう。肉片などを うっかり艦内に持ち込んでしまい……」
レフィーナ「え、え……?」
ショーン「それが人間へ取り付いて モンスターに……そして、夜な夜な さまよい歩き、美女の生き血を……!」
レフィーナ「きゃあっ!」
ショーン「艦長?」
レフィーナ「す、すみません。 わ、私……その手の話が苦手で……」
ショーン(宇宙戦闘母艦の艦長を 務めていながら、そのリアクション……。 ポイント高いですな)
カチーナ「……」
ラッセル「あの、中尉……大丈夫ですか?」
カチーナ「あ、いや…… あたしはさっきみたいなグロいのが ちょっと苦手でさ」
ラッセル(い、意外だ……)
ショーン「ともかく、 施設には下手に接触せず……」
ショーン「艦体や機体装甲に 付着したアンノウンの体液や肉片は、 厳重に焼却処分した方がいいでしょう」
レフィーナ「わかりました」
(味方機が全機撤退、東端にテュガテールが出現)
???(ティス)「……」
???(ティス)「面白いもの、見ーつけたっと」
???(ティス)「あれ、ちょっとキモチ悪いけど…… 使えるかもね。ふふふふ」

《宇宙ステーション コルムナ》

[コルムナ内部]

レオナ「……コルムナに居残ってまで ズィーガーの調整をするなんて」
タスク「いやいや。 インスペクター事件中は忙しくて、 デフォの設定からあまりいじれなかったし……」
タスク「レオナとズィーガーの相性もわかったしな。 足回りと腰のバネをもうちょい軽めにすれば、 もっと扱い易くなるよ」
レオナ「そうかしら?」
タスク「ああ。 レオナは自分で思っているよか、 機体の扱いが固いんだ」
タスク「だから、 セッティングをちょっと緩めにすれば、 ちょうどいい感じになるぜ?」
レオナ「……よく見てるのね、私のこと」
タスク「そりゃあ、もう。 ズィーガーも引き続き愛を込めて、 びっちりばっちり調整しちゃうよん」
レオナ「それより、 あなたの戦い方を何とかなさい」
レオナ「いくらジガンの装甲が厚いからって、 突撃系のモーションをメインにするのは危険よ」
タスク「おろ?  レオナちゃんも俺のこと見てくれてるじゃん」
レオナ「誰が見たって、私と同じ意見を持つわ」
タスク「さ、さいでっか~」
レオナ「それにしても…… どうしてこのコルムナでなければ駄目なの?」
レオナ「ズィーガーの調整は ヒリュウでも出来るでしょう?」
タスク「いや、俺にちょっとアイデアがあってさ」
レオナ「アイデア?」
タスク「そう。ショーン少佐とラドム博士の伝手で、 ここにあるMOSSのサブ・コントロール・システムを 使わせてもらって……」
(扉が開閉する)
スタッフ「タスク・シングウジ少尉、 レオナ・ガーシュタイン少尉…… 管制室へお越しいただけませんか?」
タスク「は、はあ……」

[コルムナ 管制室]

レオナ「隕石?」
タスク「大きいんスか?」
管制官「直径約500メートルです」
レオナ「予測軌道は?」
管制官「これをご覧下さい」
(モニターオン)
タスク「おー、コルムナへドンピシャ」
レオナ「ファースト・コンタクトが第4警戒ライン内?  何故です?」
管制官「それが…… 警戒ラインの内側に突然発生したような 現れ方をしまして」
管制官「観測しようにも 探査プローブ待ちの衛星では、捕捉が難しく……」
タスク「それで俺っちのガンドロに お呼びがかかったってわけッスね。 いいッスよ、俺らの得意分野だし」
レオナ「私も随伴すべきでしょうね」
タスク「そうそう。 二人で星空サイクリング……じゃなかった、 ランデブーを♪」
レオナ「……一人にするのが不安なのよ。 あなた、調子に乗る時があるから」


第10話
遊泳する異形

〔戦域:宇宙空間〕

(ジガンスクード・ドゥロとズィーガーリオンが出撃)
レオナ「こちらオクト4。 隕石予想軌道へ到達しました」
管制官「こちらコルムナCC、 確認しました。目標とのランデブーは 1570秒後の予定です」
タスク「おーっし!  張り切ってブッ壊してみよーっ!」
レオナ「壊さなくていいのよ」
タスク「やだなあ、わかってるって」
タスク「えーっと、加速ベクトルは いじらずに遠距離砲撃で軌道遷移を 行う、と……」
レオナ「ほんの少しずらすだけで よくてよ。探査プローブの打ち込みは こちらでやるわ」
レオナ「質量分布によっては うかつに削ると、コルムナのデブリ スイーパーでも対処できなくなるわ」
タスク「近づいて岩石割り……ってのは 御法度ってわけね」
レオナ「ええ。破片とESウェーブで もみくちゃにされるわ。ジガンテ・ ウンギアを使っては駄目よ」
タスク「へーい。禁じ手にしとくわ」
レオナ「今回の私達のミッションは、 あくまでコルムナへの衝突軌道から 遷移させること」
レオナ「くれぐれも調子に乗って 余計な手間をかけさせないで」
(ズィーガーリオンに雑音)
レオナ「電波干渉? こんな所で?」
(ズィーガーリオンに雑音)
管制官「CCより………3・4…… 目標が……加速……」
レオナ「加速!?」
タスク「おいおい、 ブースターでも付けてんのかよ?」
レオナ「波にあおられた?  いや、あれだけの質量を 加速させる波なんて……!」
(ジガンスクード・ドゥロに警報)
タスク「レオナ、 電波干渉の原因が来たぜ!」
レオナ「!」
(隕石のようなものが曲がりながら西から東へ移動)
タスク「さ、最近の隕石は活きがいいねェ」
レオナ「あんな怪しい動きをする 隕石なんてなくてよ!」
(隕石が爆発、閃光、フラットフィッシュが出現)
タスク「!!」
レオナ「あ、あれは!?」
(フラットフィッシュが東へ移動)
タスク「こいつが 隕石を着込んでたのか!?」
レオナ「巡洋艦……機動兵器……?」
タスク「ひ、ひらめだ! 宇宙ひらめだ!」
レオナ「た、確かに 熱源分布はまるで生物のような……!」
タスク「あいつが着込んでた 岩塊にかく乱剤になる物が 含有されてんだ!」
レオナ「この宙域から抜けないと 通信が出来ないということね」
タスク「それだけじゃねえ!  見ろ、あの岩塊の裏に……」
(フラットフィッシュが更に東へ移動し、『気合』『加速』『必中』がかかる)
レオナ「!」
(ジガンスクード・ドゥロがズィーガーリオンに隣接)
【強制戦闘】
???[ジャゲド・ファング]vsレオナ[防御](援護防御(タスク))
(ジガンスクード・ドゥロのHP50%に)
タスク「くうっ!!」
レオナ「タスク!!」
タスク「い、いつもの パターンだとわかっていても、 突っ込みたくなる性分なのよね」
レオナ「だ、大丈夫なの!?」
タスク「ああ。 伊達に突撃馬鹿やってんじゃねえんだぜ」
タスク「それにさ、前にも言ったろ?  このジガンはお前を守るための 盾でもあるんだ」
レオナ「でも、ズィーガーなら 今の攻撃は!」
タスク「いや、 お前にやってもらいてえことが あってな」
レオナ「!?」
タスク「あれを見てくれ…… さっき、隕石が割れた辺りだ」
(中央にタッドポールが多数出現)
レオナ「何、あれ……!?」
タスク「さっきの岩塊に 卵みてえなのがへばりついてた……」
タスク「さしずめ、 宇宙おたまじゃくしだな。 もうふ化して、動こうとしてやがる」
レオナ「……」
タスク「レオナはあれを超特急で 片付けてくれ。放っておいたら、 どんどん増えるかも知れねえから」
レオナ「あなたはどうするの!?」
タスク「……さっきので推進系が やられちまってさ、あそこまでは 行けそうにねえ」
タスク「おたまじゃくしは お前に任せるぜ。俺は親ひらめを 足止めしとくからさ」
レオナ「そんな足回りの不調抱えて 出来るわけないでしょ!」
タスク「まともに相手する気はねえって。 G・テリトリーは生きてるし、 にらめっこは得意なんよ?」
レオナ「でも!!」
タスク「あ? 心配?  心配してくれるの?」
タスク「なら、 去り際に“がンばってね”の 熱いベーゼを……」
レオナ「ズィーガーとジガンで どうやってそんなことするのよ!  行くわ!」
(ズィーガーリオンが西へ移動)
タスク「レ、レオナちゃ~ん」
レオナ「……」
レオナ「……下手なのよ、嘘」
(フラットフィッシュを指す)
タスク「はぁい、お客さん。 こっちにもいい娘がおりまっせ!」
(フラットフィッシュがジガンスクード・ドゥロの方を向く)
タスク(とは言ったものの……)
タスク(推進系だけじゃねえ、 両膝と足首のサーボにも ガタがきてやがる……)
タスク(俺の方は 肋骨にヒビぐらいか……)
タスク(けど、ここは耐えるしかねえ。 耐えて、レオナを信じて、 チャンスを掴む……!)
タスク(Eバイパス、2番、3番、 4番閉鎖。チャージ開始…… G・テリトリー、集束……!)
タスク(俺の読みじゃ、奴は引っかかる。 後は……運だ)
(作戦目的表示)

〈vs タッドポール〉

[レオナ]

レオナ(タスク…… お願い、頑張って……!)
レオナ(すぐに あなたの所へ戻るから……!)

〈vs フラットフィッシュ〉

[タスク 1回目]

タスク「さあ来い、ひらめ野郎!  がっちり受け止めてやっからな!!」

[タスク 2回目]

タスク「頼むぜ、ジガン!  俺と、可愛い勝利の女神が ついてんだからな!」
レオナ(タスク……!)

〈タッドポールが全滅〉

レオナ「こっちは片付いたわ!  タスク、大丈夫!?」
タスク「ま、まあ……何とかな」
(フラットフィッシュに『気合』)
タスク「ヘッ、 あのひらめ野郎……怒ってやがるぜ」
レオナ「すぐに行くわ!  何とかして、離脱を……」
(フラットフィッシュがジガンスクード・ドゥロに隣接、ジガンスクード・ドゥロが揺れる)
タスク「ぐあっ!!」
レオナ「タスク!!」
タスク「ヘッ、かかりやがったな!  俺にとどめを刺しに来たのが、 てめえの運の尽きだ!」
タスク「逃がさねえぞ!  てめえも、勝ち札もな!」
(エンジン出力が上がる)
タスク「G・テリトリー、 局部集中展開! 損傷部、カバー!」
(タスクに『根性』)
タスク「スラスター、 4番から11番までカット!  1番、2番、3番、全開!!」
(タスクに『気合』)
タスク「Eバイパス、 アンカー、ブラスターに接続! 開放!」
(タスクに『熱血』)
レオナ「タ、タスク、あなた……!」
タスク「整備士上がりならではの 裏技って奴さ。長持ちはしねえがな」
レオナ「……!」
タスク「こいつをやるために じっと我慢の子を決め込んでたのさ」
タスク「さあ行くぞ、ひらめ野郎!!  一発逆転で決めてやる!!」
(作戦目的表示)

〈vs フラットフィッシュ〉

[タスク]

タスク「ひらめ一匹 止められないとあっちゃ、 最強の盾の名が泣くんだよ!!」

〈敵機全滅〉

(北西にヒリュウ改とカチーナ機、ラッセル機、ヴァルシオーネが出現)
カチーナ「タスク! レオナ!  無事か!?」
(ズィーガーリオンがヒリュウ改の方を向く)
レオナ「カチーナ中尉……!」
カチーナ「近くで ドンパチの反応があったから、 急いで来たんだ」
リューネ「あんた達も あの化け物と……」
レオナ「え、ええ。 でも、タスクのおかげで何とか……」
(ジガンスクード・ドゥロに大きな爆煙、ズィーガーリオンがジガンスクード・ドゥロの方を向く)
レオナ「!」
(タスクの反応なし)
レオナ「タ、タスク……?」
レフィーナ「艦を前方へ!  急いでジガンスクードを回収!」
レオナ「返事をなさい、タスク!  もうそのパターンは通用しなくてよ!」
レオナ「これで何回目なの!?  もう騙されないわよ!」
レオナ「あ、あなたは ワンパターンなんだから…… いつも同じ手口なんだから……」
レオナ「ま、毎回心配するだけ 損なんだから……!」
リューネ(レオナ……)
レオナ「応答しなさい、タスク!  タスク!!」

[ヒリュウ改 格納庫]

(速い足音)
カチーナ「おい、ラッセル! タスクは!?」
ラッセル「今、ジガンスクードのコックピットから 運び出された所です……」
レオナ「タスク、返事をなさい!  聞こえないの!?」
タスク「………」
レオナ「タスクッ!!」
リューネ「動かしちゃ駄目だって、レオナ!  今、救護班が来るから!」
タスク「………」
レオナ「!」
タスク「レオナちゃ~ん、ごほうびのキッスを!」
カチーナ「何だ、元気じゃねえか」
レオナ「……バ……」
レオナ「バカ!!」
(平手)
タスク「おぐっ!!」
(速い足音・レオナが走り去る)
タスク「レ、レオナちゃぁ~ん……」
カチーナ「ったく、てめえも懲りねえ奴だな。 ケガの方はどうなんだ?」
タスク「今回は打ち身と肋骨にヒビぐらいで……」
カチーナ「それに、さっきハタかれた分な」
タスク「一番効いたッス」
リューネ「当たり前だよ。 レオナは、ああ見えてもあんたのことを いつも心配してんだから」
リューネ「けど、度が過ぎると怒るっての、 わかってんでしょ?」
タスク「まあ、そうなんだけど…… いちるの望みって奴で」
リューネ「あのレオナが 人前でキスなんてするわけないでしょ」
タスク(二人きりの時でも なかなかしてくんないんだよな~、こりがまた)
カチーナ「ま、おめえが無事で何よりだぜ」
タスク「そりゃ、中尉に鍛えられてますから」
リューネ「ホント、タフだよね」
タスク「ああ。 中身がもろくちゃ、最強の盾の名が泣くし……」
タスク「ちょっぴり怖い勝利の女神様もついてるしな」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ユン「先程の施設……トーチカ2は、 特務部隊が事後処理を行うようです」
ショーン「ほう、迅速な対応ですな」
レフィーナ「もしかすると、 トーチカ2は連邦軍管轄の施設だったのかも……」
ショーン「艦長の仰る通りでしょうな」
ユン「あんな怪物を……連邦軍が?」
ショーン「イージス計画では、色々なプロジェクトが 進められておりますからな……」
ショーン「あのトーチカ2では、 生体兵器の開発研究が行われていたのでしょう」
ユン「でも、あんなことになってしまっては……」
ショーン「再起不能…… それ以前に、計画の方向性が間違っていたような 気もしますが」
レフィーナ「あれであの怪物を 完全に駆逐することが出来たのでしょうか」
ショーン「そう願いたいものです」
(扉が開閉する)
リューネ「艦長、ちょっといいかい?」
レフィーナ「何でしょう?」
リューネ「これから テスラ・ライヒ研究所へ行こうと思ってるんだ」
レフィーナ「あなた一人で?」
リューネ「うん。 ヴァルシオーネのメンテのために」
レフィーナ「それなら、 この艦やムーンクレイドルでも……」
リューネ「前からカザハラ所長に言われててね。 ヴァルシオーネは特殊な機体だから、 定期的にテスラ研でメンテをした方がいいって」
レフィーナ「そういうことなら、いいでしょう。 許可します」
リューネ「ありがと。 時間があったら、新型の情報を集めとくよ」
レフィーナ「新型?  もしかして、アビアノの次期主力機トライアルで 選ばれたという……」
リューネ「そうそう、バル何とかっていう奴。 こないだ聞いたんだけど、ツグミやアイビスが それの試作機と模擬戦をやったんだってさ」
ショーン「ほう……。タカクラ女史は何と?」
リューネ「あんまりいいことは言ってなかったね。 何か問題があるみたい」
ショーン「ふむ……」
レフィーナ「もしや、 そのまま制式採用が強行されるのでは……?」
ショーン「利権が絡んでいたら、あり得ますな。 我々の部隊でも行く行くはその新型を 運用することになるかも知れませんし……」
ショーン「ここは一つ、 パイロット視点での意見が欲しい所ですな」
リューネ「任せて。 じゃあ、行ってくるよ」
レフィーナ「ええ。気をつけて……」

《トーチカ2残骸》

[輸送機 内部]

(扉が開閉する)
ヒューゴ「……」
フォリア「どうだった、外の様子は?」
ヒューゴ「生存者は1人もいない。ひどいものだ」
フォリア「そうか……」
ヒューゴ「どうやら、 トーチカ2は生体兵器の研究開発施設だったらしい。 大きな培養槽みたいな物が4基あった」
フォリア「ここで何を作ってたんだよ?」
ヒューゴ「よくわからん」
フォリア「隊長からは?」
ヒューゴ「詳細については聞かされていない」
フォリア「またそのパターンか。 だいたい、宇宙にもう一つトーチカが あるって話も初耳だったんだぜ?」
ヒューゴ「それはアルベロ隊長も同じだ」
フォリア「どうだかな。 裏でミタールと何を話しているか、 知れたもんじゃない」
ヒューゴ「隊長を疑っているのか?」
フォリア「疑いたくもなるさ」
ヒューゴ「俺達を欺くような人じゃないことは、 お前が一番よく知ってるはず」
フォリア「……まあ、な」
ヒューゴ「欺いているのはミタールの方だ」
フォリア「わかってるよ」
ヒューゴ「……隊長が真相を探ろうとしないのが 不満なのか?」
フォリア「ああ。 このまま馬鹿正直にミタールの言いなりに なっていたら……」
フォリア「次にトーチカ2のような目に遭うのは、 俺達かも知れないぜ?」
ヒューゴ「……」

[輸送機 内部]

アルベロ「ドナルド・ホフスタータ以下、 スタッフは全員死亡……」
アルベロ「内部に残っていた培養槽は4基。 全て破損しており、中には何も入っていなかった」
ミタール「数が合わん。 トーチカ2には合計で7基の培養槽があるのだ」
アルベロ「周辺を調査したが、見当たらなかったな」
ミタール「……」
アルベロ「あそこで何を作っていたのだ?」
ミタール「君が知る必要はない」
アルベロ「……アースクレイドルで 我々が捕獲した“ヘッド”…… あれに関わる物ではあるまいな?」
ミタール「我々のプロジェクトに対して、 余計な詮索をするなと事前に言ってあるはずだ」
アルベロ「……」
ミタール「まもなく処理班がそちらへ到着する。 少佐達は彼らを警護してくれたまえ」
アルベロ「……了解した」

《イタリア地区 ブレッシア》

[トーチカ1 中央管制室]

ミタール「トーチカ2は廃棄…… フラットフィッシュ・プランは 中止せざるを得ない」
エリック「原因はあやつの細胞かの?」
ミタール「ああ……イェッツト・セルを組み込んだ フラットフィッシュの制御に失敗したようだ」
エリック「これはドナルドが 自分の命と引き換えに出した警告じゃの」
ミタール「……イェッツトも 同じ結果になるというのか?」
エリック「んむ。 さっさと処分した方がいいと思うがの」
エリック「宇宙ひらめはともかく…… あやつがここで暴れたら、洒落にならんでの」
ミタール「貴重なサンプルを手放すつもりはない。 ドナルドのデータを可能な限り入手し、 今後の教訓とする」
エリック「せめて、 イェッツトを別の所へ移送できんかの」
ミタール「無理な話だな。 ドナの一件で、我々のプロジェクトに 疑いの眼差しを向けている者がいる」
ミタール「今、下手に動くわけにはいかん。 それに、予算にも限りがある」
エリック「そこは、スタインペックに頼んでの」
ミタール「……シュタインベックだ。 彼とニブハルもプロジェクトの真相を 第三者に知られたくはあるまい」
エリック「とは言え、背に腹は替えられんでの。 宇宙ひらめはともかく、ここで何かあったら 大損じゃからの」
ミタール「……博士は自分のプロジェクトに 専念してくれればいい」
エリック「んむ。 ソウルゲインの復元はもう少しで終わるでの。 眠り王子は相変わらずじゃがの」
ミタール「……」
ミタール(それより、気になるのは 行方不明になった3基の培養槽だ)
ミタール(ヒリュウ改はフラットフィッシュとの 戦闘後、すぐに現場から去った。 サンプルも回収していない)
ミタール(完全に破壊されたか、 何者かに奪われでもしたのか……?)


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