back index next


敗者達の聖戦 ~ 第17話 ~

〔戦域:水辺の森の傍〕

(西側にヴァルシオン改・タイプCFが2機対峙していて、周りにソルガディを含む魔装機がいる)
オレグ「……まさか、ヴァルシオン改が ラ・ギアスへ召喚されていたとはな」
ラテル「大尉もわかっているだろうが、 意図して呼び込んだわけじゃない」
オレグ「偶然、手に入れたと言うのか。 俺はこの機体が地上のどこにあったか、知らなかった。 もっと早く手中にあれば……」
ラテル「我が軍が接収した時、既に破損していたそうだ。 だから、解析と修理に時間が掛かった」
オレグ「何故、俺達がカークス軍に合流した時点で 話さなかった?」
ラテル超魔装機と同じく、極秘事項だったからな。 だが、今はそうやって機体を任せている。 それで納得してもらおう」
オレグ「………」
(オレグ機と対峙しているヴァルシオン改・タイプCFでシステム起動)
ノイエDC兵「大尉、ジェネレーター出力が安定してきました。 こちらはこのまま行けそうです」
オレグ「そうか。俺の方はもうしばらく掛かりそうだ」
ラテル「オレグ大尉、事は急を要する。 あのヴァルシオン改を先行させるぞ」
オレグ「いいだろう。 こちらとしても後ろ盾を失うわけにはいかんからな」
ラテル「よし……ジール隊は全機同行しろ。 ヴァルシオン改を急いで、確実に カークス将軍の下へ送り届けるんだ」
兵士「はっ。では、先行します」
(西側に固まっていた魔装機とヴァルシオン改・タイプCFが撤退)
アハマド「……エウリード1機とヴァルシオン改2機で 劣勢を覆せるのか? 鋼龍戦隊のヒリュウ改は、 カークス将軍の指揮下から離れたのだろう?」
ラテル「将軍は打開策があると仰っていました。 それに、ゆくゆくはエウリードと ヴァルシオン改を量産する予定です」
オレグ(何だと……?)
アハマド「悠長な話だな。まず、この局面を何とかしなければ、 ラ・ギアスの統一など夢物語だと言うのに」
ラテル「……わかっております」
アハマド「どのみち、いずれ誰かがフェイルロード王子を 止めねばなるまいが……貴様はカークスの打開策が 何なのか、知っているのか?」
ラテル「いえ、私は聞かされておりません」
アハマド「ほう、麾下の者がな。 迂闊に明かせぬということか」
ラテル「それはどうでしょうか……。 ともかく、アハマド殿には引き続き 我が軍にご協力いただければと」
アハマド(……カークスの大義は理解できるが、 もうあの男の末路は見えている……)
(ヴァルシオン改・タイプCFに警告シグナル)
オレグ「むっ、この反応は!」
ラテル「どうした? もしや、敵か?」
レスリー「しかし、こちらのレーダーには反応がありませんぞ」
オレグ「そちらとは性能が違う。 出力が不安定でも、このヴァルシオン改なら 奴と戦える……!」
ミラ「奴……!?」
(ヴァルシオン改・タイプCFでシステム起動)
オレグ「オレグ隊全機は、俺に続け!」
(ヴァルシオン改・タイプCFが撤退)
ラテル「待て! どこへ行くつもりだ!?」

<草原を疾走している味方機>

シュウ「ここから先の地帯は、 カークス軍残党と接触する可能性が高いです。 皆さん、気を付けて下さい」
アルバーダ「……そういうことを言われると、 敵が出て来るんだよな」
セレーナ「ちょっと……やめてよね、アル」
アルバーダ「前もそうだったじゃねえか。 ま、油断すんなってことさ。これから正念場だからな」
シュウ「………」
(警告シグナル)
シュウ「……!」
(進行方向前方が光り、ビームが撃ち込まれてくる。味方機は避ける)
チカ「わわっ!」
エルマ「こちらのレンジ外から撃って来ましたよ!」
セレーナ「今のビームって、移動要塞の!?」
シュウ「いえ、どうやら違うようです。 皆さん、警戒して下さい」


第17話
敗者達の聖戦

〔戦域:海辺の平原〕

(東端で出撃準備)
チカ「ご主人様、高熱源体が近づいて来ます!  識別は……」
シュウ「見当は付いています。 先程の攻撃……おそらく、ヴァルシオン改でしょう」
ヨン「えっ!?」
(中央の街の西側にヴァルシオン改・タイプCFが出現)
アルバーダ「おいおい、マジかよ」
ヨン「あれがヴァルシオンの量産型……」
エルマ「あんな物も召喚されていたなんて……」
テリウス「ヴァルシオンって、何なんだ?」
セレーナ「地上で反乱戦争を起こしたDC、 その総帥が乗ってた機体よ」
テリウス「総帥の機体って…… それって、かなり強いってことだろ?」
セレーナ「答えはイエスよ。厄介なことにね」
ヨン「あれには誰が乗っているんでしょう?」
シュウ「真っ先に私を狙って来ましたからね。 もしや、オレグ・ナザロフ大尉…… あなたではありませんか?」
オレグ「……その通りだ」
アルバーダ「やれやれ、ビンゴか。諦めの悪い野郎だぜ」
(セレーナ機に警告シグナル)
エルマ「セレーナさん、アーマードモジュールと魔装機が 戦域内に侵入して来ます!」
セレーナ「まあ、ヴァルシオンだけじゃないとは思ってたけど」
(魔装機などが出現)
ラテル「グランゾン……!  そういうことか、オレグ大尉」
オレグ「ああ、奴は捨て置けん」
アハマド「ここでシュウと出くわすとはな。 そして、パワーアップを遂げたというグランゾン…… さて、如何ほどのものか」
サフィーネ「あれはソルガディ……アハマドもいたの」
セレーナ「あら、知り合い?」
サフィーネ「まあ、そんなトコね。 ちなみに、彼はあなたと同じ地上人よ。 と言っても、召喚されたのはだいぶ前だけど」
ラテル「大尉、ここで彼らと戦っている場合じゃない。 そのヴァルシオンをカークス将軍の所へ 届けなければならないからな」
オレグ「こいつなら、グランゾンと互角に渡り合える。 シラカワ博士を屈服させ、従わせれば、 カークス軍にとって強大な戦力となるぞ」
ミラ「彼がそう簡単に言うことを聞くとは 思えませんが……」
ラテル「ああ、こっちも無傷では済まんだろう」
レスリー(何を消極的な……)
シュウ「私も先を急いでいましてね。 そちらに交戦の意志がなければ立ち去りますが…… いかがでしょう?」
オレグ「俺は既に引き金を引いたぞ」
シュウ「あなたに言っているのではありませんよ」
オレグ「いや、俺達に従え、シラカワ博士。 現状を打開するため……そして、DC再興のためにな」
シュウ「………」
サフィーネ「シュウ様に命令するなんて、百万年早いわね」
チカ「そうそう、調子に乗るなってんですよ!  ヴァルシオンにもね!」
オレグ「ふん、外野は黙っていろ」
シュウ「現状を打開するためと言いましたね。 私が手を貸さずとも、大司教ルオゾールが カークス将軍に力添えをしているはずですが」
ラテル「何!?」
レスリー「戯れ言を!  将軍が邪教集団などと手を組むはずがありません!」
ラテル「ああ。 そんなことをすれば、人心が離れるだけでは済まん。 我々の大義が揺らぐ」
アハマド「ふん、カークスの打開策の正体が見えたな。 だから、貴様らには伝えられていなかったのだろうよ」
ミラ「そ、そんな……」
アハマド「目的のためには手段を選ばん、か。 確かに、その覚悟がなければ、ラ・ギアスの統一など 不可能だろうよ」
レスリー「その前に、クリストフの言うことを真に受けて どうするのです!」
シュウ「疑うのであれば、自分の目で確かめることですね」
ラテル「む……」
レスリー「少佐、惑わされてはなりません!  そもそも、我々がこのような境遇にいるのも、 あの男がテリウス殿下をさらって行ったからですぞ!」
レスリー「ここでクリストフを捕らえ、殿下を連れ戻せば、 我らの正義を証明することが出来るのです!」
テリウス「……カークスの所に戻るつもりはないよ。 あの男の操り人形になるのは御免だ」
ミラ「殿下……」
テリウス「ああ、ミラか。君には世話になったね」
ミラ(少し逞しくなられた……?)
テリウス「悪いけど、僕は自分の意志でこうしてる」
レスリー「何を仰います!  王族の方が邪教集団に身を委ねるなど、 あってはならぬことです!」
テリウス「それを言うなら、クリストフはどうなんだ?」
レスリー「あの男は神聖ラングラン王国を、 その王位継承権を捨てた背教者です!  あなたもそうなるおつもりか!?」
テリウス「僕はクリストフについていくと決めたんだ。 姉さんもそうさ」
レスリー「ぬうう、何たる破廉恥!  ならば、正義を執行するしかありませんな!」
ラテル「ラシッド中尉、何を言っている!  我々はカークス将軍の下へ急がねばならん!  オレグ大尉もだ!」
オレグ「シュウを屈服させた後でなら、その依頼を受けよう」
レスリー「自分もその命令には従えません!  我らの正義のためにも!」
ラテル「正義と無謀を混同するな!  この状況下で貴重な戦力を消耗させる気か!」
レスリー「犠牲を畏れてどうします!  正義に犠牲は付き物なのです!」
ミラ「勝手なことを!」
ラテル「カークス将軍にもしものことがあれば、 元も子もないのだぞ!」
オレグ「このヴァルシオンは、元々ノイエDCの物だ。 我らの目的を優先させてもらう」
ラテル「ちっ、聞き分けのない……!」
アハマド「アクロス少佐、貴様らはカークスの下へ行けばいい。 俺達はここに残る」
ラテル「アハマド殿まで……!」
アハマド「俺がカークス軍に付いている理由は、他にもあってな。 強い敵と戦える可能性が高いと思ったからだ」
アハマド「そして、グランゾンは 一度手合わせしてみたかった相手…… 以前より力が増しているなら、尚更だ」
アハマド「貴様達は行って、自分の役目を果たすといい」
ラテル「……了解です。行くぞ、ライオネス少尉」
ミラ「ヴァルシオンとラシッド中尉は よろしいのですか?」
ラテル「仕方がない、我々だけでもカークス将軍の下へ急ぐ。 確かめたいこともあるしな」
ミラ「ヴォルクルス教団との関わりですね……!?」
ラテル「そうだ。 我が隊は直ちに現戦域から離脱するぞ」
ミラ「はっ!」
(ラテル機、ミラ機を含む魔装機が5機程度撤退)
アルバーダ「おっ、あいつらは退くのか」
セレーナ「DCの残党はともかく、あの地上人も残ったわね」
サフィーネ「ふふっ、ネオ・グランゾンを初めて見て 闘志を燃やしちゃったかしら」
オレグ「アハマド、貴様が残るとは思わなかったぞ。 だが、シラカワ博士は……」
アハマド「事が終われば、好きにすればいい。 DCの再興などに興味はないからな」
オレグ「貴様は反連邦主義者ではないのか」
アハマド「連邦の支配を良しとしない者全てが、 DCに好意的だと思わぬことだ」
オレグ「ふん……」
アハマド「もっとも、地上に未練はない。 そちらの邪魔をする気もないから、安心しろ」
オレグ「いいだろう」
レスリー「オレグ大尉、少々時間をいただけますかな。 我が魔術にて援軍を用意致しますので」
オレグ「援軍だと?」
レスリー「ええ。本来ならば、禁忌の術なのですが…… 手段は選んでいられませぬ」
レスリー「これは、クリストフという巨悪を駆逐する戦い…… 正義執行の聖戦なのですから」
アハマド「ふっ、神の十字軍を名乗る者達を伴っての……か」
オレグ「どんな手を使っても勝たねばならん戦いだ。 ラシッド中尉、任せる」
レスリー「はっ!」
オレグ「各機、攻撃を開始しろ!」
ガエン「残党共が……身の程を知れ」
アルバーダ「相手が相手だ、適当にあしらって ずらかるってわけにゃいかねえか」
サフィーネ「付け回されても面倒だしね」
シュウ「……いいでしょう、オレグ大尉。 私があなたの妄執を断ち切ってあげます。 今、この場でね」
(作戦目的表示)

〈レスリー機のHP50%以下〉

レスリー「ぬううっ! だが、時間は稼げました!  今こそ我が術をご覧に入れましょう!」
セレーナ「何? またあいつのマジック・ショー?」
アルバーダ「今度は驚かせてくれるんだろうな?」
レスリー「天の理、地の理、逆しに行へば、逆しに生ず。 冥府の怨み、煉獄の焔、血をもちて盟す。 闇に依りて盟す」
レスリー「アク・サマダ・ビシス・カンダク!」
(ブローウェルの周りにデモンゴーレムが出現)
アルバーダ「何を呼び出すのかと思ったら……デモンゴーレムかよ」
セレーナ「あのマジックは、サフィーネに 何回か見せてもらったわね」
チカ「やれやれ、あんな初歩の術でいきがっちゃって。 困ったもんですよ」
サフィーネ「まあ、誰でも出来る術じゃないしね。 魔術士官にしては、頑張った方じゃない?」
シュウ調和の結界が崩壊してから、暗黒系魔術の力は 強くなっていますからね。彼はそれで自分の魔力が 上がったのだと思い込んでいるのでしょう」
アルバーダ「そうかい。テリウス、特訓の続きだ。 ゴーレム共はお前さんに任せるぜ」
テリウス「えっ!?」
ガエン「下らん冗談はよせ。 ここで時間を食うわけにはいかんのだ。 速攻で片づけるぞ」
アルバーダ「へいへい、わかってるよ」
(作戦目的表示)

〈レスリー機撃墜〉

レスリー「ば、馬鹿なぁっ!  正義が敗れるなど、あ、あるものか!」
レスリー「せ、正義がぁ! 正義がぁぁぁぁ!!」
(レスリー機が爆発)

〈vs アハマド〉

[シュウ]

アハマド「貴様とグランゾンが どれほどの力を得たか、見せてもらおうか!」
シュウ「アハマド、あなたの望みは私と戦うことですか?  それとも、より強き者との対戦でしょうか?」
アハマド「その両方だ、この場においてはな!」
シュウ「……なるほど、わかりました。 では、望み通り、お相手致しましょう」

[サフィーネ]

サフィーネ「シュウ様のお手を煩わせるまでもない…… アハマド、あんたの相手は私がしてあげるわ」
アハマド「ふん……やはり邪魔立てするか、サフィーネ」
サフィーネ「当たり前でしょ。 シュウ様に手出しする者は、私が許さないわ」

[モニカ]

モニカ「アハマド、シュウ様にあなたの相手をなさっている 時間はございませんのよ」
アハマド「モニカ王女、我が前に立ちはだかるのであれば、 相応の覚悟をなさいませよ」

[テリウス]

アハマド「テリウス王子……自らのご意志で戦場に立たれるとは、 どのような心境の変化ですかな?」
テリウス「僕はクリストフがこれから何をするか、 この目で確かめようと思ったのさ……!」
アハマド「なるほど……。 シュウに拐かされたとは言え、 ご決意は固いようですな」
アハマド「しかし、敵になるのであれば、容赦はしませんぞ」

[ガエン]

アハマド「ふん、ガディフォールか。物足りん相手だ」
ガエン「それはどうかな?  強い敵と戦いたいという貴様の望み、 俺が叶えてやろう」

[アルバーダ]

アハマド「地上人の機体か。相手にとって不足はない」
アルバーダ「こっちは先を急ぐんでな、 さっさとけりをつけさせてもらうぜ!」

[セレーナ]

アハマド「貴様……地上人か」
セレーナ「シュウに協力するなんて物好きなとか、 ヴォルクルス教団に入信したのかとか、 その手の台詞は聞き飽きたわよ」
アハマド「ならば、語るまい。ここで死ね!」
セレーナ「その台詞も結構聞き飽きなのよね!」

[ヨン]

ヨン「あの機体、ガディフォールとほぼ同じ……!?」
アハマド「ふん、貴様に正魔装機と量産型の違いを 見せてやろう!」

〈vs オレグ〉

[シュウ]

オレグ「シュウ・シラカワ!  貴様を屈服させてやるぞ、このヴァルシオンでな!」
シュウ「確かにヴァルシオンは強力な特機ですが…… ネオ・グランゾンの相手ではありませんよ」

[サフィーネ]

サフィーネ「シュウ様に命令するなんて、身の程知らずね。 ただじゃ済まないわよ、あんた」
オレグ「その前に貴様がひれ伏すことになる!  このヴァルシオン改の前にな!」

[ガエン]

ガエン「貴様の願いが叶うことはない。ここで死ね」
オレグ「それはこちらの台詞だ!  ヴァルシオン改の力を思い知れ!」

[アルバーダ]

オレグ「もはや貴様は地上に戻れん!  ここで死んでもらうぞ!」
アルバーダ「犬の帰巣本能は侮れないぜ?  てめえこそ、この地で骨を埋めるんだな」

[セレーナ]

オレグ「連邦の犬など、 このヴァルシオン改で駆逐してやる!」
セレーナ「貴重な機体なんじゃないの、それ。 私達の前に持ち出してきたのが、運の尽きね」

[ヨン]

ヨン「DCのフラグシップ機、その量産型…… 火力と耐久力は、相当な物のはず!」

状況選択

ソルガディよりヴァルシオン改・タイプCFを先に撃墜した
ヴァルシオン改・タイプCFよりソルガディを先に撃墜した
ソルガディを最後に撃墜した


back index next