アルバーダ「……っと、敵機がいなくなっちまったな」
ガエン「これでは、かえって周辺の敵部隊を
警戒させることになるかも知れんな」
セレーナ「とは言え、囮役は果たした。
しばらくの間、王子様がいる野営は
手薄になるだろうし」
アルバーダ「ああ、後はシュウ次第だ。
俺達はモニカ王女と合流するぞ」
ヨン「了解です」
テリウス「……クリストフの一味が……?」
ミラ「はい。
本人や紅蓮のサフィーネは確認されていませんが、
この近くにいる可能性があります」
テリウス(何故、クリストフがこんな所に……?)
ミラ「万一の事態を想定して、
今から殿下をザイア市まで護送致します」
ミラ「私のガディフォールわ回して来ますので、
殿下はすぐにご出立のご準備を」
テリウス「……僕がカークスの所に行ったって……」
ミラ「そのようなことを仰らず、
御身のお立場とラングランの今後をお考え下さい。
……警固兵、くれぐれも警戒を怠らぬように」
兵士「はっ」
ミラ「では、お急ぎ下さい、殿下」
(足音・ミラが立ち去る)
テリウス「ふん……こんなことをして、何になるって言うんだ。
どうせ、僕は飾り物の王位につけられるだけなんだ」
兵士「………」
テリウス「昔からそうだ……
いつもフェイル兄さんと比べられて……
僕なんか何の役にも立たないんだ……」
???(シュウ)「……本当にそう思っているのですか、テリウス」
テリウス「え? 誰だ?」
シュウ「私ですよ」
テリウス「ク、クリストフ!」
シュウ「久しぶりですね」
テリウス「い、いったい、どうやってここに……!?
警固兵は何を……!」
シュウ「隠形の術を使えば、造作もないことです。
それに、周りの兵士達には影縛りを掛けておきました」
兵士「………」
テリウス(動かなくなってる……)
シュウ「ですから、私達の会話が
他人に聞かれることはありませんよ」
テリウス「……ぼ、僕に何の用なんだ、クリストフ……?」
シュウ「あなたは、本当に今のままでいいのですか?」
テリウス「え……?」
シュウ「いつも誰かの言いなりになって、
自分自身のことですら、自分で決められない……
それで満足なのですか?」
テリウス「し、仕方ないだろう。僕は君や兄さんみたいに
魔力が強いわけでもないし、頭がいいわけでもない。
魔装機だって、ろくに扱えない……」
シュウ「それで、何もかも諦めると?」
テリウス「だ、だったら、どうだって言うんだ!?」
シュウ「……あなたは、自分で自分を型にはめているだけです。
努力もせずに、己の殻を破ることなど出来ませんよ」
テリウス「努力はしたさ! でも、僕には才能なんてないんだ!
君やフェイル兄さんとは違う!」
シュウ「いえ、あなた自身が気づいていないだけです」
テリウス「……!」
シュウ「私なら、あなたの才能を引き出すことが出来ますよ」
テリウス「……僕に‥‥君の仲間になれって言うのかい?
破壊神ヴォルクルスを信じ、背教者になれと?」
シュウ「その必要はありません。
ただ、私に力を貸して欲しいだけです」
テリウス「……さっきも言ったろ。僕にそんな力なんてない」
シュウ「………」
テリウス「僕に出来ることなんて……」
シュウ「わかりました。ただ、これだけは覚えておいて下さい。
あなたが自分の意志で行動すれば、必ず道は開けます」
テリウス「………」
シュウ「まず、自分が動かなければ、何事も起こりません」
テリウス「自分が……動く……自分の意志で……」
シュウ「あなたが目覚めるのを待っていますよ。
その時が来れば、これが役立つでしょう」
テリウス「何だい?」
シュウ「隠形の術をインプットした咒文記憶素子です。
額に貼り付ければ、簡単に術を使えますよ」
テリウス「こんな物をもらったって……」
シュウ「では、また会いましょう」
テリウス「君はこのまま去るのか?」
シュウ「ええ。あなたが自分の意志で決断しなければ、
無理に連れて行っても意味がありませんからね……」
(足音・シュウが立ち去る)
テリウス「クリストフ……」
(崖の下にグランゾンとウィーゾルがいる)
シュウ「……戻りましたよ、サフィーネ」
サフィーネ「ご無事で何よりですわ、シュウ様」
チカ「あの、ご主人様。
テリウス王子の姿が見当たりませんけど?」
シュウ「直接会って、話をしましたが……
彼にはまだ時間が必要だと判断しました」
チカ「へぇ‥‥って、ちょ、ちょっと待って下さいよ!
まさか!?」
サフィーネ「テリウスを置いて来たんですの……!?」
シュウ「ええ」
チカ「そ、そんなぁ!
骨折り損のくたびれ儲けって奴じゃないですか!」
シュウ「いいんですよ。彼が自主的に動かなければ、
意味がないのですから。それに、手応えはありました」
チカ「あの軟弱王子が簡単に決断するかなぁ……」
シュウ「時間の問題ですよ」
サフィーネ「それで、シュウ様……これからどうなさるんです?」
シュウ「テリウスの次の行き先はわかっています。
このまま彼の後を追いましょう。
カークス軍に気づかれないようにね」
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