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モニカ、その愛 ~ 第9話 ~


第9話
モニカ、その愛

〔戦域:教会周辺〕

(敵機が出撃済み)
ザンボス「何だと!? 本当か!?」
ギボン「はっ……」
ザンボス「うぬっ、たった4機に……!  デオ・シュバイルともあろう者が、何てザマだ!」
ギボン「報告によれば、相当な手練れだったようで……。 ただし、交戦後、彼らは戦域から離脱したそうです」
ザンボス「威力偵察にしちゃ、派手に動き過ぎだ。 貴様が言った通り、囮かも知れんな」
ギボン「念のため、王女達を教会から こちらに移送させた方がいいかと」
ザンボス「この厳重な警戒網を突破して来るとは思えねえが…… まあいい、そうしろ」
ギボン「了解です」
(教会傍の森の西側にネオ・グランゾンがいる)
チカ「敵が結構いますけど、ネオ・グランゾンなら すぐに蹴散らせますよね」
シュウ「事を荒立てるのは、良くありません。 モニカに何かあれば、元も子もないのですから」
チカ「じゃ、こっそり近づくしかないか……」
シュウ「向こうは私達に気づいていませんが、 こちらから攻撃すれば、水の泡です」
シュウ「さらに、隠形の術はあと20分ほどしか もちませんから……モニカを救出することで踏まえて、 5分以内に教会へ到達しなければなりませんね」
チカ「う~、スリリングだなぁ。目的地はあの辺ですか?」
(教会の東西を指す)
シュウ「ええ。では、行きましょうか」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

チカ「あと4分ですね。 こうやって相手から見えないと思うと、 すっごく悪戯したくなりませんか、ご主人様?」
シュウ「駄目ですよ。 隠形の術が効いている間は、 一切の攻撃が出来ません」

〈4PP〉

チカ「ご主人様、あと2分です!」
シュウ「ええ、わかっています」

〈5PP〉

チカ「ご主人様、あと1分しかありませんよ!」
シュウ「ええ、急がねばなりませんね」

〈ネオ・グランゾンが指定位置へ到達〉

チカ「ふ~っ、無事に到着しましたね。 モニカ王女は教会の中にいるんですかね?  それとも、移動要塞の中?」
シュウ「先に教会の中を捜索しましょう。 ここには昔、来たことがありますし…… 彼女が捕らえられている場所も見当が付いています」
シュウ「ただし、教会の結界内では 術の効力が低下しますから、注意が必要です。 チカ、あなたも来て下さい」
チカ「あたしが先行して、様子を見ればいいんですね?」
シュウ「ええ、お願いしますよ」

[教会 内部(礼拝堂)]

セニア「ちょっと、乱暴にしないでよ!」
兵士「黙れ、さっさと歩け!」
セニア「もう……いったい、どこへ連れて行く気よ?」
兵士「そんなことを教える必要はない」
セニア「私のノルスは?  傷を付けたりしてないでしょうね?」
兵士「いい加減に……!」
セニア「?」
兵士(か、身体が……!  何も見えない、聞こえない……!)
セニア「ど、どうしたのよ?」
(足音)
シュウ「……それは、影縛りの一種ですよ」
セニア「クリストフ! あなた、どうしてこんな所に!?」
シュウ「お静かに。あなたは……セニアですね?」
セニア「何言ってんのよ。他の誰に見えるっての?」
シュウ「いえ……しばらく見ない内に美しくなりましたね」
セニア「あら、そう? ありがと。お世辞でも嬉しいわ」
セニア「でも、モニカにはそんなこと言っちゃ駄目よ。 あの子だったら、卒倒しちゃうかも知れないから」
シュウ「そう……そのモニカはどこです?」
セニア「……あの子に何の用?」
シュウ「ここから連れ出して差し上げようと思いましてね」
セニア「ふ~ん……怪しいわね」
シュウ「何でしたら、あなたも一緒にどうです?」
セニア「私? 遠慮しとくわ。 それに、どちらかって言うと、私はあんたを 追わなきゃならない立場なんだけど」
シュウ「やれやれ、嫌われたものですね。 ここに残るつもりで?」
セニア「あんたと一緒に行くより安全かもね、私の場合は。 あと、私のノルスも取り返さなきゃならないし」
シュウ「人質として利用されるかも知れませんよ?」
セニア「あんた相手にそんなことしたって、無駄でしょ」
シュウ「……フェイル軍ならば、話は別です」
セニア「! フェイル軍!?  じゃあ、兄さんは決起したのね!」
シュウ「おや、御存知なかったのですか?」
セニア「ええ……王都を脱出してから しばらくの間、兄さんと一緒にいたんだけど……」
セニア「色々あって、私とモニカはシュテドニアス軍に 捕まっちゃってね。端末類を全部取り上げられたから、 情報を入手できていないの」
シュウ「フェイル軍は王都を奪還すべく 動いているようですから、 直に会えるかも知れませんよ」
セニア「わかったわ。 ところで……あなた、マサキと会った?」
シュウ「マサキ……?」
セニア「ええ、どこにいるか不明なのよ。 私が捕まる前、マサキが地上にいる時に何回か 連絡を取ったんだけど……今は通信機がないから」
シュウ「……私には……わかりません……」
セニア「そう……今頃、どこにいるのかしら」
セニア「もっとも、地上にいるマサキを あまり心配させたくなかったから、ラングランの 情勢に関する詳しい話はしてなかったんだけど……」
(鳥の羽音)
チカ「ご主人様、ご主人様。 エントランスでモニカ様を見つけましたよ。 外へ連れて行かれるみたいです」
シュウ「わかりました。 では、セニア……これをあなたに」
セニア「何? シール?」
シュウ「咒文記憶素子です。 隠形の術をインプットしてあります」
セニア「咒文記憶素子って…… そんな物、アカデミーでも……」
シュウ「私が独自に開発した物です。これを額に貼り付ければ、 魔力が少ない者でも術を使うことが出来ます。 脱出する時に活用して下さい」
セニア「……あんたがこんな気遣いをしてくれるなんてね。 それに免じて、今回は黙って見ておくけど……」
セニア「この先、モニカを悲しませるようなことをしたら、 ただじゃ済まさないわよ?」
シュウ「フ……覚えておきましょう。それでは」

[教会 入口付近]

兵士「さあ、さっさと歩け!」
モニカ(ああ、クリストフ様……あなたにお会いしたい……)
兵士「う!?」
???「モニカ……」
モニカ「クリストフ様の声が聞こえる……。 あなたは今、どこにおられるのです……?」
シュウ「ここです」
モニカ「ああ、そうでしたわね……。 クリストフ様はいつも私の胸の中に……」
シュウ「モニカ、こちらですよ」
モニカ「え……?  そ、そんな……本当に……本当に、 クリストフ様ですの……!?」
シュウ「ええ」
モニカ「ああ……お会いしたかった!  これで……これで、もう思い残すことはありません!」
シュウ「いえ、あなたにはやってもらわねばならないことが あります。私と一緒にここから脱出しましょう」
モニカ「クリストフ様とならば、どこへでも参りますが…… ここにはお姉様も捕らえられているのです」
シュウ「彼女とは先程会いましたよ。ここに残るそうです。 なので、脱出時に使えるアイテムを渡しておきました」
モニカ「で、でも……」
シュウ「セニアならば、大丈夫でしょう」
モニカ「……はい……クリストフ様がそう仰るのなら」
シュウ「ああ、私のことはシュウと呼んで下さい。 そちらの名の方が気に入っているので」
モニカ「わかりました……シュウ様」
シュウ「では、行きますよ」

〔戦域:教会周辺〕

チカ「何とか無事に戻れましたね」
シュウ「ですが、そろそろ敵もモニカがいなくなったことに 気づくでしょう。急いで離脱しますよ」
(隠形の術を掛けたまま、南東の砂地まで移動)
ザンボス「何!? クリストフが!?」
ギボン「は、はい!  教会内に侵入し、モニカ王女を連れ去ったようです!」
ザンボス「う、うぬっ、俺達を出し抜くとは!  いったい、どうやって……」
ザンボス「いや、奴はまだこの近くにいるはずだ!  各機、攻撃だ! 攻撃しろ!」
ギボン「しかし、どこへ!?」
ザンボス「辺り一面へぶちかませ!  クリストフを燻り出すんだ!」
ギボン「りょ、了解!」
(西と北東、南東に爆煙。ネオ・グランゾンが姿を現す)
ザンボス「! グランゾン……なのか!?」
シュウ「フッ……当てずっぽうな攻撃で見破られるとは」
ザンボス「各機、奴を逃がすな!  それと、ギボン! セニア王女をここへ連れて来い!」
ギボン「もしや、彼女を……!?」
ザンボス「いいから、早くしろ! これは命令だ!」
ギボン「りょ、了解……!」
チカ「ご主人様、こうなったらネオ・グランゾンの力を 思い知らせてやりましょうよ!」
シュウ「いえ、ここからの離脱を優先します。 ギナス山方面へ向かいましょう」
チカ「ギナス山……じゃあ、あっちの方ですね」
(離脱ポイントを指す)
シュウ「時間は掛けられません。 5分以内にここから離脱しましょう」
モニカ「シュウ様……」
シュウ「心配無用です。移動要塞には手を出しませんよ。 セニアが連れ込まれている可能性がありますからね」
モニカ(さすが、シュウ様…… 私が言いたかったことをおわかりですのね……)
シュウ「では、しっかり掴まっていて下さい」
モニカ「はい……あなたを信じておられます」
シュウ「……言葉遣いが変ですよ、モニカ」

〈敵機8機以上撃墜〉

ギボン「ザンボス中佐、セニア王女を連れて来ました!」
セニア「あんた達、私を人質にしたって無駄だからね!」
ザンボス「ええい、黙れ!  オープン・チャンネルでクリストフに呼びかけろ!」
(ネオ・グランゾンに通信)
チカ「ん? ご主人様、敵が何か言ってきてますよ?」
シュウ「見当は付きますが……聞きましょうか」
ザンボス「クリストフ・ゼオ・ヴォルクルス! 直ちに降伏しろ!  さもなくば、セニア王女の命はないぞ!」
モニカ「えっ……!」
チカ「あちゃ~、セニア王女を残してきたことが 裏目に出ちゃいましたね」
ザンボス「いいか! これは単なる脅しじゃねえ!  貴様が降伏しねえのなら、ここで王女を殺す!」
セニア「だから、そんなことを言っても無駄だってば」
ザンボス「うるさい! 人質らしく、命乞いをしろ!」
シュウ「……セニアがどうなろうと、 私の知ったことではありませんね」
ザンボス「何だと!?」
シュウ「ですから、煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ」
ザンボス「貴様、こっちは本気だぞ!」
シュウ「彼女に用はありません。 だから、置き去りにしたのですよ」
ザンボス「痛い目に遭わせなければ、わからんか!  デオ・シュバイルをなめるなよ!」
(銃を構える)
セニア「!」
(ネオ・グランゾンから攻撃。ソディウム級移動要塞に爆煙)
ザンボス「ぐうっ! な、何だ!?」
兵士「グ、グランゾンからの攻撃です!」
シュウ「ああ、外れてしまいましたか」
ザンボス「き、貴様、何を!?」
シュウ「あなたの手を煩わせるまでもありません。 私がセニアを殺しましょう……」
シュウ「あなた達もろともね」
ザンボス「う……!」
セニア「ほら、無駄だって言ったでしょ。 あいつは本気でやるわよ」
ザンボス「ブ、ブラフだ!」
セニア「シュテドニアス軍のラングラン侵攻のきっかけを 作ったのは誰か、忘れたの?」
セニア「王位継承権を持ってない私を殺すことなんて、 何とも思ってないわよ」
ザンボス「ぬう……!」
ギボン「やめて下さい、中佐!  ここでセニア王女を殺めてしまったら、 我々だけの問題では済みません!」
ザンボス「ええい! その女を戻して、閉じ込めておけ!  各機はクリストフを捕まえろ!  絶対に逃がすんじゃねえぞ!」
モニカ「あの……シュウ様、先程のは……」
シュウ「フッ……もちろん、ブラフですよ。 セニアのおかげもあって、充分な効果がありました。 さあ、先を急ぎますよ」
モニカ「はい……」

4PP

チカ「ご主人様、あと2分です!」
シュウ「ええ、わかっています」

〈5PP〉

チカ「ご主人様、あと1分ですよ!」
シュウ「ええ……急ぎますよ」

状況選択

ソディウム級移動要塞以外の敵機を全滅させた
ネオ・グランゾンが指定位置へ到達した


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