back index next


ラングラン侵入 ~ 第6話 ~

〈ラテル機のHP30%以下〉

ラテル「くっ、これ以上は……!  いったん下がるしかないか!」
(ラテル機が撤退)
エルマ「セレーナさん、 戦域内の敵機反応が全て消えました」
セレーナ「とりあえず、こっちの勝利ね」
アルバーダ「結局、あのシアンって奴が どこの所属だったか、わからずじまいだったな」
ヨン「彼の機体は、胴体や股関節の構造がガーリオンに 似ていました。また、パーツの合い具合から判断して、 急造品の類とは思えません」
セレーナ「つまり、イスルギ重工でちゃんと開発された 新型機っていう可能性が高いわけね」
アルバーダ「じゃあ、イスルギのテストパイロットか?」
セレーナ「それで堂々と私達に喧嘩を売るかしら」
アルバーダ「う~ん…… じゃあ、イスルギの新型機を奪ったとかさ」
ヨン「……もしかしたら、 彼は“GS”の関係者かも知れません」
セレーナ「GSって…… 大統領直轄の新型兵器開発実験部隊だっけ?」
アルバーダ「ああ。 ある意味、ヨンの所の商売敵だよな。 ま、こっちには噂レベルの情報しかないが……」
アルバーダ「いずれ、そいつらが大統領の意のままに動く 親衛隊か、特殊部隊になるんじゃねえか?  連邦軍から独立した形でよ」
エルマ「だとしたら、ああいう傭兵紛いの人材を登用するのは どうなんでしょう?」
セレーナ「確かに、パリッとした上品なエリート集団ってのが、 イメージよね。しかも、美少年揃いで」
エルマ「それはイメージじゃなくて、妄想です!」
セレーナ「そこは乙女の夢って言って欲しいな」
エルマ「そんなことより、大統領麾下の軍事組織が ボク達連邦軍に喧嘩を売るのは、問題ですよ」
セレーナ「このツアーに参加してる以上、私達はお尋ね者だしね。 向こうは、後で何とでも言い訳できるわよ」
ガエン「貴様ら、話はそこまでだ。 敵の新手が現れるかも知れんのだぞ」
アルバーダ「おっと、そうだな」
シュウ「……サフィーネ、あなたは別行動を取り、 情報を集めてきて下さい」
サフィーネ「わかりましたわ。 合流地点はどこになさいます?」
シュウ「私達は、バオダ州のアジトで待つことにします」
アルバーダ「アジト? そんなのがあるのかよ?」
シュウ「ええ、地下神殿跡を利用したもので、グランゾンの メンテナンスが行えるようになっています。 あなた達の機体もある程度なら整備可能ですよ」
アルバーダ「何だよ、そういう話は もっと早く言ってくれってんだ」
セレーナ「でも、これで一息つけそうね」
アルバーダ「ああ、どこかで酒を調達できねえかな」
セレーナ「それが無理でも、ゆっくり眠れれば御の字よ。 こっちに来てから、バタバタ続きだったしね」
サフィーネ「その前に、セレーナ…… 私と一緒に来てくれないかしら?」
セレーナ「えっ?」
サフィーネ「情報収集とか、その手の仕事は得意でしょ?」
セレーナ「まあ、その通りだけど……私は地上人よ。 目立つんじゃない?」
サフィーネ「大丈夫、大丈夫。 あと、エルマがいれば、私達の機体を 見張っててもらえるしね」
セレーナ「う~ん……」
エルマ(セレーナさん、これもミッションの一環ですよ)
セレーナ(そりゃそうだけど……)
アルバーダ「ラングランの酒場に行けねえのが残念だが…… 出来れば、酒を手に入れてきてくれねえか。 特産品のつまみなんかがあれば、ベターだ」
セレーナ「酒場行きって、確定なの?  ま、それはともかく……わかったわ、サフィーネ。 ご一緒させてもらうわね」
サフィーネ「それでは、シュウ様……行って参ります」
(ウィーゾルとセレーナ機が撤退)
シュウ「では、私達も行きましょうか」
アルバーダ「ああ、了解だぜ」

《神聖ラングラン王国 バルディア州》

[カークス軍 ソディウム級移動要塞 ブリッジ]

カークス「そうか、あの男が……」
ラテル「クリストフ達は、また良からぬことを 企んでいるに違いありません。 ご命令下されば、直ちに追撃を……」
カークス「いや、いい。 トロイア州を奪還したとは言え、シュテドニアス軍は まだ我がラングラン各地を占拠している……」
カークス「今は、王都を取り戻すことを優先せねばならん。 さすれば、兵達の士気が上がり、戦局を覆す機も 見えてくるだろう」
ラテル「はっ。 では、引き続きシュテドニアス軍補給線の 寸断任務を……」
カークス「いや、君達には別の任務を遂行してもらいたい」
ラテル「何でありましょうか?」
カークス「その前に人払いを」
ラテル「ここには自分しかおりません」
カークス「そうか……。 実は、テリウス殿下がバランタイン州クサカ市付近に 潜伏しているという情報が入ったのだ」
ラテル「!」
カークス「モニカ殿下とセニア殿下に続き、 テリウス殿下の身柄までシュテドニアス軍に 抑えられるわけにはいかん」
カークス「ラクロス少佐、君達はクサカ市へ向かい、 テリウス殿下を見つけ出し、保護してくれ」
ラテル「了解です。 自分達は態勢を立て直さなければならないため、 すぐには動けませんが……」
ラテル「ミラ・ライオネス少尉の部隊を急行させます」
カークス「うむ。 シュテドニアス軍と……そして、フェイル軍より先に テリウス殿下を保護するのだ」
ラテル「フェイル軍より……?  閣下がフェイルロード殿下との合流を 良しとされていないのは理解しておりますが……」
ラテル「友軍であることに違いはないと考えます。 そして、テリウス殿下はフェイルロード殿下の 弟君です。何故、そのようなことを?」
カークス「テリウス殿下の存在は、 私の今後に大きく関わってくるからだ」
ラテル「………」
カークス「今、詳細を説明することは出来ん。 だが、私を信じて任務を遂行してくれまいか」
ラテル「……はっ。 自分には、閣下に取り立てていただいた 恩義があります」
ラテル「必ずや我らの手でテリウス殿下を保護し、 お連れ致します」
カークス「うむ、頼むぞ……」


back index next