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ラングラン侵入 ~ 第6話 ~

〔戦域:荒地周辺〕

(中央にレンファ6機、ケルベリオン・プレザンがいて、その前(北側)にナグツァートがいる)
兵士「く、くそっ! 機体が動かん!」
兵士「こっちもだ! 奴の仕業か!?」
兵士「あの地上人は!? 無事なのか!?」
(ケルベリオン・プレザンから砲撃。ナグツァートの周りに爆煙)
シエンヌ「チッ、効いてない!  どんなバリアを使ってんのさ!?」
ルオゾール「説明しても、あなたには理解できないでしょう。 そもそも、そちらと戦う気はないと 申し上げたはずですが……」
シエンヌ「ふん、どうだかね」
ルオゾール「私がその気になれば、 後ろのお仲間の命を奪うことなど 造作もないのですよ」
シエンヌ「あいつらがどうなろうと、しったこっちゃないよ。 要は、あたしが儲かるかどうかさ」
ルオゾール「ふふふ……やはり」
シエンヌ「やはり? どういうことよ?」
ルオゾール「あなたは傭兵でしょう?  主義主張ではなく、金で動く」
シエンヌ「ふん、あたしをスカウトしようってのかい?」
ルオゾール「一時的にではありますが。 ちょっとした仕事を頼みたいのです。 もちろん、ただでとは言いませんよ」
(ケルベリオン・プレザンに金色に光るものが渡される)
シエンヌ「何だ? 金塊か?」
ルオゾール「地上人のあなたには、この世界の貨幣より 金塊を渡した方がいいでしょうからね」
シエンヌ(グラムじゃない、キロ単位じゃないか……)
ルオゾール「それは前金…… 念のために言っておきますが、本物ですよ」
シエンヌ「………」
ルオゾール「私の依頼を受けていただけるのであれば、 後で同じ物をお渡しします」
シエンヌ「ふん、怪しいね。 この世界じゃ、旨い話には裏があるっていう 教訓はないのかい?」
ルオゾール「あなたを騙す気などありませんよ。 この先にあるソラティス神殿に行っていただき、 様子を探ってもらいたいだけです」
シエンヌ「神殿……? 何であんた自身で行かないのさ?」
ルオゾール「訳あって、先を急いでいましてね」
シエンヌ「じゃあ、何であたしに依頼する?  様子見なら、他の連中でもいいじゃないか」
ルオゾール「神殿には、地上人の部隊がいるかも知れないのですよ。 大きな翼と金色の珠を持った空中戦艦…… 御存知ありませんか?」
シエンヌ(! ハガネか!?)
ルオゾール「ここへ来る前に出会いましてね。 他には魔装機神サイバスター、青と黄色の大型機、 紺色の空中兵器もいましたな」
シエンヌ(……間違いない、鋼龍戦隊だね。 あいつらもこっちへ来ていたのか……)
ルオゾール「おや……もしかして、あなたのお仲間でしたか?」
シエンヌ「生憎、味方でも敵でもないさ、今の所はね。 でも、あんたの依頼を受けてやるよ」
ルオゾール「おお、それは助かります」
ルオゾール(ふふ、私の見込み通りでしたな)
シエンヌ(地上じゃ、表立って鋼龍戦隊の連中とは やり合えないからねぇ。いい機会さ)
ルオゾール「では、私と連絡が取れる通信機を置いていきます。 それを使って、報告をお願いしますよ」
シエンヌ「発信器にもなってるんだろ?  心配するな、神殿にはちゃんと行ってやるよ。 残りの金塊も、もらいたいからね」
ルオゾール「その通信機は、後で役に立つこともあるでしょう。 それでは」
ルオゾール(さて……シュウ様達も ラングランへ上陸した頃合いですね。 私も急がねば……)

<味方機が海上を疾走中>

チカ「皆さん、もうすぐバルディアの海岸線が 見えてきますよ~」
アルバーダ「……ラングランの領海内に入って しばらく経つが、出迎えがねえな」
セレーナシュテドニアス軍相手で、忙しいんじゃないの?」
アルバーダ「かもな。 バルディアで情報を集めるついでに 一杯やりてえもんだぜ」
セレーナ「セオリー通りに酒場で情報収集ってわけ?」
アルバーダ「ああ、アレグリアスを踊る 美人のバイラオーラがいれば、申し分ねえ」
セレーナ「セニョール、 ここはスペインじゃなくて、ラ・ギアスよ」
エルマ「……セレーナさん、ヨンさんからプライベート回線で 通信が入っています。アルバーダさんにもです」
セレーナ「何かしら? つないで」
エルマ「ラジャ」
ヨン「あの……すみません。 折り入って、お聞きしたいことがありまして」
アルバーダ「俺にか? そうだな……好みの食い物は、 いわゆるものぐさ料理だ」
ヨン「は?」
アルバーダ「食うだけじゃなく、作るのも好きだぜ。 今度、俺の腕前を見せてやろうか?」
ヨン「え?」
エルマ「ものぐさ料理の腕前を自慢するなんて、 怠け者を自称してるようなものじゃないですか」
アルバーダ「湯を注ぐだけでも、温めるだけでも、 ぶっかけるだけでも、料理は料理さ」
エルマ「ボクは、包丁の類を使ってこそ 本格的な料理だと思いますけど」
アルバーダ「あ、お前……今の発言で、 10憶8千万人の料理人を敵に回したぞ」
エルマ「それ、どこの統計データなんですかっ!」
ヨン「あの……エルマ君って、包丁を使えるんですか?  参考までにマニピュレーターのシステムを……」
セレーナ「ヨン、話がズレてるわよ。 それで、聞きたいことって何?」
ヨン「あっ、すみません。私が持っているデータでは、 シュウ・シラカワ博士と鋼龍戦隊に協力していた 魔装機神サイバスター……」
ヨン「その操縦者、マサキ・アンドーとの間には 浅からぬ因縁があると記録されているんですが…… 全然話題に上りませんよね?」
セレーナ「ああ、その点は私達も引っ掛かってるわ。 単純に思い出せていないだけかも知れないけど」
ヨン「しかし、サフィーネさんやガエンさんは……」
アルバーダ「たまたま口にしてねえだけかもな。 もう奴に用がなかったり、話題にする 必要がねえとかでよ」
ヨン「………」
アルバーダ「ともかく、 俺達はなるべくシュウに対して余計な詮索をしたり、 地上の情報を与えないようにしてんだ」
アルバーダ「迂闊なことを言って、 サイバスターとやり合う羽目になっちまったら、 面倒って言葉じゃ済まねえからな」
ヨン「ああ、そうですね……あれと戦うのは……」
セレーナ「だから、ヨンも気をつけてね。 仕事が仕事だけに、サイバスターに 興味があるのはわかるけど」
ヨン「は、はい」
チカ「あっ、海岸が見えてきましたよ!  何とか無事にラングランへ……」
(警告アラート)
アルバーダ「やれやれ、敵も見えたか?」
エルマ「アンノウン接近、2時方向より真っ直ぐ!  レンジ4、数は20!」
チカ「え? あっ!」
エルマ「もう、ちゃんとレーダーを見てるんですか?」
チカ「ふん、へっぽこ目玉風船に そんなことを言われる覚えはありませんよーだ」
エルマ「へ、へっぽこ!? 風船!?」
チカ「あ、飛べないのに風船ってのはおかしいですね。 こりゃ、失礼致しましたっと」
エルマ「じゃ、じゃあ、あなたはボクみたいにセレーナさんの 世話が出来るんですか!? 言っておきますけど、 寝相の悪さは半端じゃないですよ!」
セレーナ「余計なことを言わずに、 さっさと接近中の機体を識別する!」
エルマ「ラ、ラジャ!  熱源反応から、シュテドニアス軍の魔装機アーマードモジュールだと思われます!」
ガエン「出迎えは、バルディアにいるカークス軍だと 思っていたがな」
エルマ「アーマードモジュールは1機、 連邦軍の識別信号を出していません!」
セレーナ「じゃ、ノイエDCの残党か……。 このスピードだと、ガーリオンかしら?」
サフィーネ「シュウ様、どうなさいます?」
シュウ「内地への侵入を優先するため、 戦闘は避けたい所ですね。転進しましょう」
ガエン「……珍しく意見が一致したな」
アルバーダ「おっと、1機突出して来やがったぜ。 アーマードモジュールだ」
ヨン「ガーリオン以上の加速力です!  カスタム・タイプか、それとも……」
エルマ「これじゃ、逃げ切れませんよ!」


第6話
ラングラン侵入

〔戦域:海岸周辺〕

(北西の森の東側にケルベリオン・パッセが出現。海岸付近で出撃準備)

アルバーダの乗機は
グルンガスト弐式 それ以外


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