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蒼き魔神、再び ~ 第1話 ~

〈ソディウム級移動要塞のHP9000以下〉

ザレス「ええい、ここまで追い込まれるとは!  直ちに後退しろ!」
(ソディウム級移動要塞が撤退)
エルマ「戦域内の敵機反応、消えました」
セレーナ「これで一段落つけるかしら」
エルマ「でも、これからどうするんですか?」
セレーナ「さっき、アルが言った通りよ」
エルマ「向こうはボク達を受け入れてくれるでしょうか」
セレーナ「さあね」
アルバーダ「……どうやら、あのシュウ・シラカワと グランゾンは本物っぽいな」
セレーナ「そうね……偽物だったら、かえって驚くわ」
アルバーダ「よし……セレーナ、エル公、 あの二人に不用意な情報を与えるなよ」
セレーナ「私達の任務内容とか?」
アルバーダ「ああ、鋼龍戦隊の報告書の内容もな。 あと、迂闊に詮索するのも禁物だ」
セレーナ「と言われても、聞きたいことは山ほどあるんだけど。 この世界のことや、シュウ・シラカワ奇跡の生還…… その真相とかね」
アルバーダ「パパラッチは嫌われるぜ。 上手くインタビューをするには、 まず好印象を与えねえとな」
セレーナ「……だってさ、エルマ。 うっかり余計なことを聞いちゃ駄目よ」
エルマ「セレーナさんこそ、気をつけて下さい」
セレーナ(って言うか、 アルが一番斬り込んじゃうと思うけどね)
ガエン「……シュウ、この場に留まるのは望ましくない。 敵の新手が来る前に立ち去るべきだ」
シュウ「そうですね」
アルバーダ「よお、俺達も一緒に行って構わねえか?  色々と聞きてえことがあるんだ」
ガエン「これ以上、お前達と関わり合う気はない。 他を当たれ」
アルバーダ「おいおい、つれないことを言うなよ。 こっちは迷子も同然なんだからさ」
シュウ「……いいでしょう、アルバーダ少尉。 私についてきて下さい」
ガエン「!」
アルバーダ「おっ、話がわかるね。助かるぜ」
ガエン(シュウめ、どういう魂胆で……)

《シュテドニアス連合国領内》

(森の中)

アルバーダ「……なるほど、位相が異なる地底世界ね。 なら、地面の下を掘り進んでも、このラ・ギアスには 辿り着かねえんだな」
シュウ「そうです」
アルバーダ「じゃあ、シュテドニアスっていう国と さっきのロボットは?」
シュウシュテドニアスはラ・ギアス有数の連合国家で…… 先程の機体は魔装機と呼ばれ、この世界で 用いられている人型汎用兵器です」
アルバーダ魔装機…… 鋼龍戦隊に協力してたっていうサイバスターもそうか?  資料にゃ、魔装機神と書いてあったが……)
セレーナ「……そもそも、宇宙にいた私達が どうしてこの世界に来てしまったの?」
シュウ「それについては、この者が答えてくれるでしょう」
セレーナ「え?」
チカ「ぷはぁーっ! ああ、苦しかった!  ポケットに押し込むなんてひどいですよ、ご主人様!  もう少しで息が詰まっちゃう所でした!」
アルバーダ「な、何だ、この鳥は?」
セレーナ「喋ってる……」
エルマ「さっき、通信で聞こえてきた声だ……。 ロボットか何かですか、それ?」
チカ「失敬な!  あたしはファミリア、いわゆる使い魔ですよ!」
チカ「そっちこそ、何なんですか!  案山子みたいな姿をして!」
エルマ「ボ、ボクは案山子じゃありません!  セレーナさんのサボット、エルマです!」
チカ「サボット?  ああ、仕事をサボるロボットってことですか」
エルマ「サポート・ロボットの略称です!  それに、ボクは仕事をサボったりしません!  そうですよね、セレーナさん!?」
セレーナ「ん? ああ、そうね」
エルマ「もう、何で生返事なんですかっ!  そりゃ確かに、セレーナさんは時々、 不真面目な態度が見られますが……」
セレーナ「はいはい、エルマ。 余計なことは言わないの」
アルバーダ「なあ、いわゆる使い魔とか言われても、 いまいちピンとこねえんだけとな」
シュウ「地上世界の使い魔は、魔法使いをサポートする 存在で……猫や鳥などの小動物、または精霊である ケースが多いですね」
シュウ「こちら側でも似たようなものですが、 使役者の無意識の一部を切り取って作られています」
アルバーダ「このペラッペラ喋る、ノリの軽そうな鳥が あんたの無意識の一部だって?」
シュウ「私と性格が似ていないのは、 ペルソナの一つだからですよ」
アルバーダ(もう一人の自分ってか? それでも充分意外だぜ)
シュウ「では、チカ……先程の説明の続きを」
チカ「あ、はいはい。つい最近、誰かが強力な召喚魔法を 使ったらしくって、地上人とそのマシンが ラ・ギアスへ来てるんですよ」
アルバーダ(召喚……魔法だと?)
チカ「しかも、色んな所で突発的にゲートが開かれていて、 召喚されたものも多岐にわたってます」
チカ「噂じゃ、人間や大型ロボットだけじゃなく、 空中戦艦まで呼び出されているとか」
チカ「とにかく、無節操な召喚なんで、魔法を失敗したか、 何らかの事故じゃないかっていう噂です」
アルバーダ「じゃあ、何か?  俺達は、適当にこんな所へ連れ込まれたってのかよ?」
チカ「まあ、そういうことになりますね。 ご愁傷様です」
アルバーダ「ちぇっ、他人事みたいに言いやがって。 その召喚魔法とやらを使った奴に 心当たりはねえのかよ?」
チカ「ありませんね」
シュウ「………」
チカ「ちなみに、召喚魔法は誰にでも 使えるわけじゃありません。大神官や 大魔法師クラスの術者でないと無理ですね」
セレーナ「魔法に大神官、使い魔……ファンタジー物のノリね。 この様子だと、魔王とか魔神もいるんじゃない?」
チカ「あ、前者はともかく、後者は……」
シュウ「チカ、過度の説明は不要ですよ」
チカ「す、すみません」
セレーナ「………」
シュウ「……ガエン、地上人の召喚多発について、 何か知っていますか?」
ガエン「いや」
ガエン(知っていたとしても、 この連中の前で言えるものか)
チカ「あ、そうそう。 シュテドニアス軍は召喚された地上人を懐柔して、 自軍に組み込んでるんです」
アルバーダ「それでさっきのザレスって奴は 俺達に声を掛けてきたのか」
チカ「ラングランでも同じことをやってるでしょうね。 おかげでこっちはいい迷惑ですよ、まったく」
セレーナ「そのラングランってのは何?」
チカ「ラ・ギアス最古の、そして最も大きな国です。 魔装機は、元々そこで開発された兵器なんですよ。 ガエンのガディフォールもそうです」
セレーナ「へえ」
チカラングランは、強大な軍事力を持っているが故に 周辺の国から危険視されてまして……」
チカ「特にシュテドニアスは侵攻の機会を窺っていて…… そんな時、ラングラン王都でテロ事件が起きたんです」
シュウ「………」
チカ「それで、国王であるアルザールが亡くなり、 ラングランの政治中枢は滅茶苦茶になって…… そこへシュテドニアス軍が攻め込んで来たんですよ」
アルバーダ「泣きっ面に蜂どころの騒ぎじゃねえな」
チカ「ええ。王都は占領され、第一王位継承者の フェイルロード王子は行方不明。その後、 重要拠点は次々に制圧されていったんですが……」
チカ「現在はカークス将軍が自軍の戦力を立て直し、 他部隊を吸収しつつ、シュテドニアス軍へ 反攻を行ってます」
セレーナ「えーっと……要は泥沼の戦争状態ってわけね」
チカ「そういうことです。 そもそも、ラングラン王都で起きたテロは……」
シュウ「……チカ、同じことを二度言わせないで下さい」
チカ「あっ……は、はい」
セレーナ(この二人……いや、一人と一羽か、 何か知ってるみたいね)
アルバーダ「じゃあ、次の質問だ。 シュウ、さっきも言った通り、俺達はあんたが 死んだっていう噂話を聞いていたんだかな……」
アルバーダ「真相はどうなんだ?」
シュウ「私が死んだのは、事実のようですね」
アルバーダ(何で伝聞なんだ?)
シュウ「経緯は覚えていませんが、 私は地上で死亡し……ルオゾールの術によって、 現世に舞い戻りました。グランゾンと共に」
アルバーダ「……!」
セレーナ「復活の呪文か何かで蘇生したっての……!?」
シュウ「そう思ってもらっても構いません」
アルバーダ「マジかよ」
チカ「言っときますけど、 誰もが甦れるわけじゃありませんからね。 ご主人様とルオゾール様はヴォ……」
シュウ「……チカ」
チカ「あっ、す、すみません! つい……」
セレーナ(ヴォ……何なの?)
シュウ「私が甦ったのは、 私達が信奉する神のご加護あってのことだと 言っておきましょう」
セレーナ(神……)
シュウ「もっとも、蘇生時の影響で 記憶の一部を失ってしまっていますが」
アルバーダ(なるほど……様子が変なのは、そのせいか。 こいつが記憶喪失なのは、俺達にとっちゃ 好都合だが……)
シュウ「あなた達は、私が死んだ経緯を御存知なのですか?」
アルバーダ「あ、いや……さっき言った通り、噂を聞いた程度でな。 詳しいことは知らねえ」
シュウ「そうですか」
アルバーダ(やっぱり、 迂闊に鋼龍戦隊関連の話をしねえ方がいいな。 いらん疑いを持たれちまう)
セレーナ「ねえ、あなたが地上とラ・ギアスを 行き来してたんなら、私達も戻れるってことに なるのかしら?」
シュウ「その通りですが、地上へのゲートは 誰にでも開けるものではありません」
アルバーダ「……あんたはどうなんだ?」
シュウ「可能ですが、今は無理です。 グランゾンに備えられたゲートの開放装置が 不調なので」
アルバーダ「……ふうん。 じゃあ、あんたと一緒にいれば、 いずれは地上へ戻れるってことか」
ガエン「何? 貴様、まだ俺達に付きまとう気か?」
アルバーダ「もちろん、ただでとは言わねえ。 さっきみてえなことがあれば、協力するさ」
シュウ「……私達の目的が何なのか、尋ねないのですか?」
アルバーダ「聞かねえ方がいいんだろ?  ま、それでも都合が悪いってんなら、他を当たるさ」
ガエン「そうしてもらおうか」
シュウ「……いえ、申し出を受け入れましょう。 事が済めば、あなた達を地上へ帰して差し上げます」
ガエン「シュウ、貴様……」
シュウ「ギブ・アンド・テイクですよ。 私達の味方は少ない……色々としがらみがある者より、 彼らに手伝ってもらった方が好都合でしょう」
ガエン「だからと言って……」
シュウ「目的を確実に達成するためです。 腑に落ちないのであれば、あなたの主に 報告をしてもらっても構いませんよ」
ガエン「………」
アルバーダ「よお、商談成立ってことでいいかな?」
シュウ「ええ」
チカ「予め言っときますけど、給料とか礼金は びた一文払いませんからね」
アルバーダ「貯金が雀の涙だからってか、鳥だけに」
チカ「失礼な。 あたしゃ、そこら辺の鳥よりお金を持ってますよ」
アルバーダ(おいおい、マジで貯金してんのか)
シュウ「では、私達はこれからシュテドニアス領内を走破し、 ラングランへ向かいます。機体に搭乗して下さい」
(足音・シュウが立ち去る)
セレーナ「ガエン、だったっけ……。よろしく」
ガエン「ふん……」
(足音・ガエンが立ち去る)
セレーナ「あらら。 ねえ、アル……あの二人の目的、 本当に聞かなくて良かったの?」
セレーナ「勇者様ご一行っていうより、 どうもその逆の立場っぽいけど」
アルバーダ「今、あいつの身柄を拘束したって、しょうがねえだろ。 ここは地上じゃねえし、帰り道が確保できなく なるかも知れねえ」
セレーナ「それはそうだけど……」
アルバーダ「シュウの本当の目的は、 くっついていけば追々わかるだろうよ。 それもミッション・デビルの一環だ」
セレーナ「だけど、予想外のことが起きたら?  南極事件オペレーション・オーバーゲートみたいに」
アルバーダ「……その時はその時だ」
セレーナ「でも、アルの友達は……」
アルバーダ「………」
アルバーダ(これが任務じゃなかったら、 シュウ・シラカワ……俺は……)

REPORT
換装パーツ『タイプN装備(量産型ゲシュペンストMk-II改)』を入手しました。
換装パーツ『タイプC装備(量産型ゲシュペンストMk-II改)』を入手しました。


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