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疾風、そして流星の如く ~ 第29話 ~

《シロガネ艦橋》

ヴィンデル「……レモン、 システムXNの修復には あとどれぐらいかかる?」
レモン「2日ぐらいね。 ……これから、どうするの?」
ヴィンデル「計画通り、 ノイエDCから離れ…… 次の段階へ移る」
レモン「じゃ、 いよいよ本命と接触するってわけね」
ヴィンデル「そうだ。 奴らの力と技術を手に入れれば、 我らの理想はまた一歩実現に近づく」
レモン「ローズのお嬢ちゃんは 上手く話を通してくれているかしら?」
ヴィンデル「連中は こちら側の技術に興味を持っている。 話に乗らぬはずがあるまい」
ヴィンデル「そして、 オペレーション・プランタジネットが 予定通りに行けば……」
レモン「こっちを 利用せざるを得なくなる、ってことね。 ……ノイエDCの方は大丈夫なの?」
ヴィンデル「ローズからの報告では、 オペレーション・プランタジネットへの 参加が決定されたそうだ」
レモン「それじゃ、 バン大佐はしばらく忙しくなるわね」
ヴィンデル「あの男のことだ…… ノイエDCの正当性を証明するため、 自ら作戦に参加するだろう」
ヴィンデル「そして……」
レモン「檜舞台からご退場願う、と」
ヴィンデル「ああ。上手く行けば、 そこにハガネやヒリュウ改…… そして、ヘリオスがいるかも知れん」
レモン「そうね……危ない橋だけど」
ヴィンデル「私は楽しくて仕方がない。 ……この感覚……闘争だよ」
ヴィンデル「そして、 そこから生み出される混沌こそが 我々の望むものだ」
レモン「あなたが、でしょ?」
ヴィンデル「言ったはずだ。 我々の望むもの、だ」

《ノイエDC戦艦艦橋》

アーチボルド「……なるほど。 そういう仕組みですか」
ミツコ「……ええ」
アーチボルド「まったく…… あなたはとんでもないお人ですねぇ」
ミツコ「うふふ、褒め言葉として 受け取っておきますわ。 ……それで、ご返答は?」
アーチボルド「いいでしょう。 今まで通り、ご協力します」
アーチボルド「諸々の失態のおかげで、 ノイエDCでの立場が危うくなって きましたのでね……」
ミツコ「では、頑張っていただくしか ありませんわね」
アーチボルド「ごもっとも。 じゃあ、僕の役目はご指示通りと 言うことで」
ミツコ「ええ、お願い致しますわ」
(通信切れる)
アーチボルド(ふふふ…… これで面白くなってきましたね)
(扉が開閉する)
ユウキ「……アーチボルド少佐」
アーチボルド「おや、どうしました?  まだお茶の時間ではありませんよ」
ユウキ「……我々ノイエDCが 連邦軍の作戦に参加すると言う話は 本当なのですか?」
アーチボルド「おや、耳が早いですね。 ……事実ですよ」
ユウキ「……」
アーチボルド「不服ですか?」
ユウキ「インスペクターを 確実に撃退するには、 やむを得ないことだと判断します」
ユウキ「しかし、今の連邦軍と 共同戦線を展開しても……」
アーチボルド「だから、 僕達が手伝ってあげるんですよ」
アーチボルド「それに、 連邦の方も色々と上の体制が 変わったみたいですからねえ」
ユウキ(体制が変わっただと……?)
アーチボルド「バン大佐も その気ですし……カーラ君にとっても いいんじゃないですか?」
アーチボルド「これからは 地球人同士で戦わずに済むかも 知れませんしねえ」
ユウキ「……」
アーチボルド「それは君も同じ……。 倒すべき相手は地球の侵略を 目論む異星人なんでしょう?」
ユウキ「……少佐はどうなのです?」
アーチボルド「もちろん、 僕も地球の平和を守るために 全力を尽くして戦いますよ」
ユウキ「……」
アーチボルド「ユウキ君、 君とは色々ありましたが……」
アーチボルド「これからは心機一転、 よろしくお願いしますよ」
ユウキ(こいつ、何を企んでいる……?)

《伊豆基地司令室》

ケネス「……以上が、 新たなオペレーション・プランタジネットの 内容だ」
レフィーナ「……」
ダイテツ「……」
ケネス「言うまでもなく、 これは総司令部の決定事項である」
ケネス「テスラ・ライヒ研究所の奪還、 そして最終フェイズへの参加という 貴様らの任務に変わりはないが……」
ケネス「くれぐれも 戦う相手を間違えるなよ」
レフィーナ「……わかっております」
ダイテツ「ケネス少将、 最後に聞きたいことがある」
ケネス「指令と呼ばんか、馬鹿者が」
ダイテツ「ケネス少将、 レイカーはどうなったのだ?」
ケネス「……心配するな。 レイカーとサカエ達には 休養を取ってもらっている」
ケネス「もっとも…… 今後、軍内で日の目を見ることは ないだろうがな」
ダイテツ(やはり……人質も同然か)
ケネス「では、 貴様らの健闘を期待している。 以上だ」
ダイテツ「……了解」

《ハガネ艦内》

ラミア「……私に話とは何でしょう?  ギリアム少佐」
ギリアム「君に確認したいことがある。 システムXN……リュケイオスのことだ」
ラミア「……」
ギリアム「ヴィンデル・マウザーが 搭乗していた特機……」
ラミア「ツヴァイザーゲインです」
ギリアム「そのツヴァイザーゲインが 搭載しているシステムXNは、 アギュイエウス……」
ギリアム「転移フィールドを展開し、 システムごと空間・次元転移を 行うタイプのものだ」
ラミア「はい」
ギリアム「では、 もう一つのリュケイオス…… あれはどうなったのだ?」
ラミア「……リュケイオスは EOTであるアギュイエウスを 解析して造られたもの……」
ギリアム「……」
ラミア「そのため、 装置そのものが大型化し、 自身の転移は不可能……」
ラミア「ただし、 一度に多くの物体を転移させる能力は アギュイエウス以上でした」
ギリアム「そう…… そして、リュケイオスはまだ向こう側に 残っている可能性が高い」
ラミア「……」
ラミア「シャドウミラー隊の転移は、 リュケイオスで行われました」
ギリアム「2000機近くの機体を 短時間で転移させるためか?」
ラミア「はい。 最初に転移を行ったのは、 私達Wシリーズ……」
ラミア「次にヴィンデル様が アギュイエウスと共に……」
ラミア「そして、 アクセル隊長とレモン様が 後詰めに回られたのです」
ギリアム「……」
ラミア「作戦では、リュケイオスに 自爆装置が仕掛けられ……」
ラミア「最後の者が転移を行った後、 爆発するようになっていました」
ラミア「そして、 シャドウミラー以外の転移者が 現れていないということは……」
ギリアム「リュケイオスは 確実に消滅したと?」
ラミア「はい」
ギリアム「そうか……」
ラミア「……」
ラミア「……ギリアム少佐、 一つ質問をさせていただいても よろしいでしょうか?」
ギリアム「何だ?」
ラミア「何故この部隊の人々は、 ああも簡単に私を受け入れて くれたのです?」
ギリアム「……」
ラミア「私は敵だったばかりか…… 人間ですらないというのに」
ギリアム「有り体に言えば、 仲間だからさ」
ラミア「……」
ギリアム「そして…… 君が人間と変わらない心を 持っているからでもある」
ラミア「私が……?」
ギリアム「そうだ。 人の心と心の強い結びつきが この部隊の力の源……」
ギリアム「過去や素性はどうあれ、 この星を守るという志を共にする者 であれば、彼らは受け入れてくれる」
ラミア「……」
ラミア(そうやって この部隊は強くなっていく……)
ラミア(そして、 それは向こう側のベーオウルブズも 同じだったのだろうな……)

《伊豆基地・ラボ》

ケンゾウ「アヤ…… 私の罪は許されるものではない」
ケンゾウ「お前とマイを偽り、 利用し続けてきた罪……」
ケンゾウ「それは いかなる責めを受けても、 許されるものではないのだ」
アヤ「……もういいんです、お父様」
ケンゾウ「アヤ…… お前はまだ私のことを父と?」
アヤ「お父様は……自分のしたことを 悔いておられるのでしょう?」
ケンゾウ「……」
アヤ「だから……リュウやクスハ達の 自然な覚醒を待ち、戻ってきたマイの 記憶操作を行わなかった」
アヤ「それは…… お父様の中に葛藤があったから……」
ケンゾウ「だが、アヤ…… 私はお前を……お前の記憶を……」
アヤ「……」
アヤ「お父様の下にいなければ、 私はリュウやマイ達と 出会えなかった」
ケンゾウ「……」
アヤ「今の私にとって、 大切なのは過去ではなく未来……」
アヤ「私は 自分の過去や枷を全て受け入れ、 これからも生きていきます」
アヤ「そして、マイやリュウ、ライ、 ヴィレッタ隊長と共に戦います。 自分達の未来を手にするために……」

《連邦軍伊豆基地》

アラド「パターンTBS……?」
マリオン「そう、 ツイン・バード・ストライク……」
マリオン「ビルガーとファルケンの 連携攻撃パターンでしてよ」
アラド「連携攻撃……」
マリオン「ええ。キョウスケ中尉のアルトと エクセレン少尉のヴァイスのそれを 参考にし、構築したものです」
アラド「……」
マリオン「ビルガーとファルケンは パターンTBSを活用することによって、 その真価を発揮するのです」
アラド「で、でも……ファルケンは……」
マリオン「無論、承知しています。 パターンTBSを使えるかどうかは あなた次第……」
アラド「……」
マリオン「自信がないのであれば、 封印したままにしておきますが」
アラド「い、いえっ!  使えるようにして下さい!」
マリオン「……さらに イチバチになりますわよ?」
アラド「望む所ッス!  お願いします、ラドム博士!!」
マリオン「ふふ……わかりました。 では、その時が来たら、TBSを 使えるようにしておきますわ」
(扉が開閉する)
キョウスケ「……ラドム博士」
マリオン「珍しいお客ですわね。 私に何か?」
キョウスケ「このデータを 博士に見ていただきたいのです」
マリオン「……」
マリオン「アルトの改造プラン…… あなたが?」
キョウスケ「ええ」
マリオン「これはまた、 どういう風の吹き回しでして?」
キョウスケ「シャドウミラーの 特機に比べて、現状のアルトでは 当たり負けしてしまう……」
キョウスケ「連中と互角…… いや、それ以上に戦うため、 おれなりに考えた改造案です」
マリオン「……見せて下さるかしら?」
(通信)
マリオン「……」
アラド「な、何だ、これ……?  イチバチどころじゃない、 イチキューかイチジューだ……!」
キョウスケ「……」
マリオン「なるほど、現状のアルトの 短所をカバーするのではなく…… 長所を伸ばす方向性ですのね」
マリオン「特機並の攻撃力…… 装甲……突進力……」
マリオン「でも、これでは 重量がかさみ、さらに扱いにくい 機体になってしまいますわよ?」
キョウスケ「それは覚悟の上です」
マリオン「……わかりました。 私としても、望む所ですわ」
マリオン「あなたが 伊豆へ戻ってくるまでに パーツを作っておきましょう」
キョウスケ「……お願いします」

《ハガネ艦長室》

ショーン「そうですか、 レイカー司令とサカエ副指令は……」
ダイテツ「だが、 今はオペレーション・プランタジネットに 専念するしかあるまい」
ダイテツ「今の上の体制がどうあれ、 インスペクターの侵攻を食い止めねば ならぬのは事実だからな」
ショーン「……ええ」
ダイテツ「そして、我々の敵は インスペクターだけではない……」
ダイテツ「シャドウミラー、 アインスト……これからの戦いは 何が起きるかわからん」
ショーン「……」
ダイテツ「ショーン…… お前とレフィーナ中佐のヒリュウを 頼りにさせてもらうぞ」
ショーン「何を今さら。 それは私達の方も同じです」
ショーン「いつぞやの約束、私秘蔵の マッカランを中佐やレイカー司令達に 味わっていただくためにも……」
ショーン「これからの戦い、 必ずや勝利を」
ダイテツ「ああ」
(通信)
テツヤ「……艦長、 ブリーフィングの時間です。 作戦室へおいで下さい」
ダイテツ「うむ、わかった。 すぐに行く」

《ブリーフィングルーム》

カチーナ「何!? ノイエDCと 共同戦線を展開するだぁ!?」
テツヤ「……そうだ」
ラッセル「い、いつの間に そんな話が……!」
ショーン「詳しい事情は お教え出来ませんが……」
ショーン「共通の敵と戦うため、 連邦軍とノイエDCの間で 一時休戦することになったのです」
カチーナ「そんなんで納得いくか!」
ダイテツ「中尉の気持ちはわかる。 だが、北米をインスペクターから 確実に取り戻すには……」
ダイテツ「ノイエDCとの共闘も やむを得ないことなのだ」
ライ「手勢が増えた方がいいという話は わかりますが、彼らの中には シャドウミラーがいます」
ライ「彼らも オペレーション・プランタジネットに 参加するのですか?」
ショーン「いえ。 先方からの報告によれば、 彼らは連絡を絶ち……」
ショーン「現在は 行方知れずとのことです」
キョウスケ「それを信用しろと?」
ショーン「するしかありませんな、 今の段階では」
ヴィレッタ「ラミア、 それについてあなたの意見は?」
ラミア「ヴィンデル様が シロガネで動いておられることから 考えても事実だと思います」
ラミア「ノイエDCに戻るとしても、 その時は……」
ヴィレッタ「彼らの下に つくことはない、と?」
ラミア「はい」
カチーナ「まあいい。 あいつらが出てきた時にゃ、 異星人と一緒にブッ潰すだけだ」
ダイテツ「……では、テツヤ大尉。 作戦の概要説明を」
テツヤ「はっ。 こちら側の軍勢は太平洋方面と 大西洋方面の大きく二つに分かれる」
テツヤ「そして、太平洋方面は 連邦軍が、大西洋方面はノイエDCが 中心となって作戦を遂行……」
テツヤ「つまり、 北アメリカのインスペクター軍を 海側から挟撃するのだ」
テツヤ「また、 作戦は5つのフェイズに分かれ…… 我々は第2と最終フェイズを担当する」
テツヤ「第2フェイズは 北アメリカ西部の軍事関連施設の 奪還……」
テツヤ「そして、最終フェイズでは インスペクターの最大拠点となっている ラングレー基地の奪還だ」
エクセレン「東海岸から西海岸…… まるで、アメリカ横断何とやらって 奴ねぇ」
タスク「でも、 大西洋方面の連中に比べたら、 俺達の移動距離が多くないッスか?」
カイ「……我々の役目には敵の陽動も 含まれているからだろう」
レフィーナ「その通りです。太平洋方面の 部隊が先に仕掛け、インスペクター軍を 西海岸方面へ陽動……」
レフィーナ「その隙を突き、 大西洋方面の部隊が東海岸側へ 一気に進行するのです」
エクセレン「で、 ラングレーでごっつんこ、ってわけね」
タスク「何か 損してるような気もするけど…… しょうがないッスね」
テツヤ「では、第2フェイズの 詳細について説明する」
テツヤ「別部隊がハワイ地区の 奪還任務を遂行している間、 我々は太平洋を横断……」
テツヤ「アメリカ西海岸を突破し、 コロラドまで進行。テスラ研を インスペクターから奪還する」
アイビス(いよいよ、 フィリオ少佐達を助ける時が 来たんだ……)
テツヤ「それを成功させるには、 西海岸の敵防衛線をいち早く 突破することが必要になる」
テツヤ「そこで…… 西海岸へ接近し次第、 先行部隊を出撃させる」
テツヤ「メンバーは アヤ大尉、マサキ、リューネ、 そしてアイビスだ」
テツヤ「お前達の役目は 敵防衛線の突破……なお、指揮は アヤ大尉に執ってもらう」
アヤ「了解です。 ……みんな、よろしくお願いね」
リューネ「ああ、こっちこそ」
マサキ「じゃ、 一足先にアメリカ西海岸を 拝ませてもらうとするか」
ダイテツ「緒戦の結果は 以後の戦いを大きく左右する…… 頼むぞ、お前達」
マサキ「ああ。 水先案内は俺達に任せな、おっさん」
ダイテツ「……くれぐれも迷うなよ」
マサキ「うっ……。 わ、わかってるって」
レーツェル「……ダイテツ艦長、 一つお願いがあるのですが」
ダイテツ「何だ?」
レーツェル「アヤ大尉達の出撃と 同じタイミングで……」
レーツェル「私とゼンガーをテスラ研へ 先行させていただきたいのです」
アイビス「え……!?」
クスハ「お、お二人だけで……!?」
レーツェル「ああ。 我が友との約束もある。それに……」
ゼンガー「我らは ある物を受け取らねばならんのだ」
ダイテツ「それはいったい?」
レーツェル「……ビアン・ゾルダーク博士の 遺産です」
リューネ「親父の遺産だって!?」
レーツェル「そう、その名はダブルG…… 我らの新たなる力だ」
リューネ「ダブルG……?」
アイビス「テスラ研に そんな物があったなんて…… 知らなかったよ……」
クスハ「わ、私も……」
レーツェル「無理もない。 私もその存在を知ったのは、 つい最近のことだからな」
クスハ「じゃあ、 レーツェルさんもどんな機体なのか ご存じないんですか?」
レーツェル「ああ、ダブルGという名と 特機タイプであること以外はな」
ゼンガー「故に一刻も早く手に入れたい。 それに、我らが先に出向けば、 ハガネとヒリュウ改の突破口も開ける」
ダイテツ「……良かろう。 テスラ研への先行を許可する。 ただし、事は慎重にな」
ゼンガー「了解」
レーツェル「では、アイビス…… 我らは一足先に友の所へ 向かわせていただく」
アイビス「はい。 あたし達も出来るだけ早く テスラ研へ行きます」
ダイテツ「よし…… 各員、直ちに持ち場へつけ。 定刻となり次第、我らは伊豆を発つ」

《???》

ミツコ「……ついに始まりましたわね、 オペレーション・プランタジネットが」
ニブハル「ええ」
ミツコ「それで、ムブハル補佐官…… 例の件はどうなりましたの?」
ニブハル「受け入れることのことです。 やはり、決め手はあなたから 提供された戦力と……」
ニブハル「システムXNです。 彼らにとっても、空間転移装置は 貴重なものですからね」
ミツコ(本当は 空間転移だけではないのですが…… それを教えるわけにはいきませんわね)
ミツコ「……わかりました。 早速、ヴィンデル大佐に伝えますわ」
ニブハル「では、 後のやり取りは当事者達に 任せると言うことで」
ミツコ「はい。私達は高見の見物を 致しましょう……」


第29話
疾風、そして流星の如く

〔戦域:西海岸〕

(先発隊が出現)
マサキ「よっしゃ、突破成功!  見えたぜ、アメリカ西海岸!」
シロ「マルとバツのパネルは ニャいのかニャ?」
クロ「シロ、クイズじゃニャいんだから」
マサキ「敵機が見当たらねえ…… 陽動が上手くいってるみてえだな」
アヤ「今、連邦軍が ハワイへ攻め込んでるし……」
アヤ「ノイエDCの部隊もメキシコの 東海岸に到達しているから、こっちは 手薄になっているのかも知れないわ」
リューネ「ノイエDCの連中も なかなかやるもんだね」
マサキ「昨日の敵は今日の友、か。 どうもスッキリしねえが、 今回ばかりはありがてえぜ」
アイビス(スレイ……あんたも この作戦に参加してるの……?)
リューネ「この調子だったら、 ゼンガー少佐達も無事にテスラ研へ たどり着けるね」
マサキ「だといいが……」
アヤ「みんな、油断は禁物よ。 ここから先は敵地……」
(精神感応)
アヤ「!」
アヤ「早速来たわ!  0時の方向、距離6000!」
マサキ「何っ!?」
(敵機が出現)
マサキ「やっぱり、 そう上手く事は運ばねえか!」
リューネ「アヤ、ハガネとヒリュウ改は あとどれぐらいで来るの!?」
アヤ「およそ6分後……!  それまでにここの突破口を 開かなきゃダメよ!」
マサキ「なら、足の速いサイバスターと アステリオンで突っ込むぜ。 いいな、アイビス?」
アイビス「りょ、了解!」
マサキ「どうした?  怖気づいたか、流星さんよ?」
アイビス「そんなことない!  あたしだってやれる!」
マサキ「上等だ。遅れんなよ」
アイビス(あたしに 力があれば、テスラ研を 敵に渡すこともなかった……)
アイビス(あの時の悔しさを 思い出すんだ……!)
マサキ「アヤ、どうだ?」
アヤ「わかったわ。二人とも、 最短距離の突破口はあの位置よ!」
(目的地を指す)
アヤ「今から6分以内に どちらかがあそこまで行って!」
マサキ「ああ、任せな!」
アイビス(やるんだ……!  1分……いや、1秒でも早くフィリオ達を 救い出す……!)
アイビス(そのために あたしの力でここを突破するんだ!)
マサキ「よ~し……!  風と流星、そのスピードを あいつらに思い知らせてやろうぜ!」
アイビス「了解!  あたしとアステリオンなら、 必ずやれる!!」

〈3PP〉

アヤ「二人とも急いで!  タイムリミットまであと4分よ!」
マサキ「ああ、わかったぜ!」

〈目的地の周りにいるバレリオンを撃墜〉

アイビス「…行ける!  このままなら何とか…!」
アヤ「時間の余裕はあまりないわ!  早く突破口を……」
(精神感応)
アヤ「!」
アヤ「まだ来るわ!!」
リューネ「ええっ!?」
シロ「そ、そんニャ!!」
(敵リオンが出現)
マサキ「くそっ!  面倒な所に出て来やがって!!」
シロ「こ、これじゃ、 間に合わニャいニャ!」
アイビス「シロちゃん!  あきらめちゃ駄目だよ!」
アイビス「あきらめたら それで全てが終わっちゃう!!」
(通信)
スレイ「……相変わらずの 楽観論だな、アイビス」
アイビス「え!?」
(カリオンが出現)
アイビス「スレイ……!  こんなタイミングで来るなんて!?」
スレイ「ブースト・ドライブ!  駆けろ、カリオン!」
(カリオンが西へ移動)
スレイ「ターゲット・マルチロック!  ファイヤリングロック・オープン!」
(カリオンが増援で現れたリオンを撃墜)
アヤ「は、速い……!」
マサキ「あいつ、もしかして!?」
スレイ「………」
アイビス「スレイ……まさか……」
アイビス「あたしを助けてくれたの?」
スレイ「……勘違いするな、アイビス。 私の最大の目的はテスラ研の奪還…… そのためなら手段は選ばない」
アヤ「だから、 私達のアシストをすると?」
スレイ「そうだ。この場合、それが 最も効果的な戦略だからな」
アイビス「……ありがとう、 スレイ……」
スレイ「お前に礼を言われる筋はない。 次に合う時は、また敵同士である事を 忘れるなよ」
アイビス「それでもいい……」
アイビス「あんたがフィリオのことを ちゃんと想ってくれてるのが判っただけで あたし……嬉しいよ……」
スレイ「………」
マサキ「……話がついたようだな。 だったら手伝ってもらうぜ、 彗星さんよ」
スレイ「彗星……?」
シロ「ニャんで彗星ニャ?」
マサキ「流星のライバルなら、 そんな感じだろ? それに、 機体の色も赤だしさ」
シロ「じゃ、赤い彗……」
クロ「それ以上は危ニャいわよ。 しかも、あの色……緋色でしょ?」
マサキ「ひいろ……。 それもヤバいんじゃねえか?」
クロ「そ……そうかもニャ」
リューネ「何にせよ、マサキにしちゃ まともなネーミングだね」
スレイ「彗星か……悪くない呼び名だ」
スレイ「ならば、 流星との違いを見せてやろう!」
(作戦目的変更)

目的地に到達したのは
アイビス マサキ


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