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宇宙海賊クロスボーン・バンガード アラド ~ 第7話 ~

《火星 小バーム・SPACE AREA》

[小バーム]

リヒテル「何!?  妹が…エリカが行方不明だと?」
バルバス「も、申し訳ございません!  火星でリヒテル様をお待ちの際、外に出て 戦闘に巻き込まれた模様で…」
ライザ「その後、戦場を捜索したのですが 残念ながらお姿は発見できませんでした。 おそらく、地球人に捕らわれたものかと」
バルバス「そ、それならば、 まだご存命の望みが…」
リヒテル「黙れ、バルバス!  余の妹が地球人ごときに捕らわれ おめおめと生き長らえると思うか!?」
バルバス「は…はあ…その通りで…」
リヒテル「エリカも誇り高いバームの女だ。 父を殺した地球人の手に落ちるなど、 死に勝る屈辱…」
リヒテル「かような羽目に陥らば、 エリカは自らの手で死を選ぶに違いない。 よいか、余の妹のことは忘れろ」
マルガレーテ「お待ちください、若!」
リヒテル「マルガレーテか…」
マルガレーテ「若はたった一人の 妹君であるおひいさまを… エリカ様をお見捨てになるのですか?」
リヒテル「黙れ、マルガレーテ!  今は地球攻略こそが、余に課せられた 最大にして唯一の使命なのだ」
マルガレーテ「嘆かわしい…。亡きお父上 リオン大元帥がお聞きになられたら、 どれほどお悲しみになることか…」
マルガレーテ「加えて、ボアザンや 素性も知らぬゼーラの輩の力を借りるなど バームの誇りはどこに行ったのです?」
ライザ「マルガレーテ!  リヒテル様とエリカ様の乳母と言えど、 口が過ぎるぞ!」
マルガレーテ「………」
リヒテル「余もエリカの身を案じている。 …だが、今は成すべきことがあるのだ。 それはエリカもわかってくれよう…」
ライザ「偵察部隊の報告では、 現在、地球は本星とその周囲の間で 勢力争いの只中にあるとのことです」
リヒテル「バルバス、ライザ!  ボアザンのド・ベルガン殿と協力して 地球侵攻の第一陣を早急に準備せよ!」
リヒテル「この好機に一気に 地球へ攻撃部隊を送り込むぞ!」
バルバス「はっ…!」
ライザ「リヒテル様の仰せのままに…」
マルガレーテ(ああ…おひいさま…。 どうか…どうかご無事で…)

《移動中 火星から地球へ・SPACE AREA》

[大空魔竜・個室]

エリカ「う…うん…」
一矢「…気がついたかい?」
エリカ「こ…ここは…?」
一矢「心配しなくていい。 ここは大空魔竜の中だ。 今、この艦は地球に向かっている」
エリカ「大空魔竜…? 地球…?」
一矢「俺は竜崎一矢。 火星で倒れていた君をここまで 運んだ者だ。…君の名前は?」
エリカ「エリ…カ…」
一矢「エリカか…。 君にぴったりのきれいな名前だ…」
エリカ「………」
一矢「…もう少し君のことを 聞かせてくれないか?  火星での所属とか、家族のこととか…」
エリカ「わ…わからない…!」
一矢「え…?」
エリカ「な…何も覚えていない…。 自分が誰であったのかも…ああ…!」
一矢「落ち着いて、エリカ。 今はショックで思い出せないだけだよ。 焦らなくてもいいんだ」
エリカ「………」
一矢「今はゆっくり身体を休めてくれ。 また、見舞いに来るよ」
エリカ「ありがとう…ございます…」

[大空魔竜・休憩室]

ナナ「どうだった?  お兄ちゃんが助けた女の人の様子…」
一矢「意識は取り戻したよ。 今はミドリさんがついていてくれている」
一矢「けれど、エリカという名前以外は 思い出せないそうだ」
健一「記憶喪失か…。 戦場でのショックが原因だろうな」
ピート「わからんぞ。こちらを あざむくための芝居かも知れない」
一矢「どういう意味だ?」
京四郎「つまり、スパイってことさ。 こちらの様子を探るために 送り込まれたという線は充分考えられる」
ナナ「あんなきれいな女の人が…!?」
京四郎「わからんぜ。 きれいなバラにはトゲがあるってな」
一矢「彼女は… エリカはスパイなんかじゃない!」
ピート「どうして少し話しただけの 人間について断言できる?」
一矢「…根拠はない。 だが、彼女がスパイだなんて 俺にはどうしても思えないんだ」
京四郎「ゲーテ曰く『恋は盲目』か…」
京四郎「一矢、今のお前は父を失い、 さらに女の色香にたぶらかされ 正常な判断力を失っている…!」
一矢「何だと、京四郎!」
ヤマガタケ「確かに すごいカワイコちゃんだったよな」
ブンタ「ええ…僕もそう思いました。 でも、それとこれとは…」
一矢「京四郎! 俺がまともな 判断力を失っているって言うのか!?」
京四郎「ああ。そうやってムキになって 突っかかって来るようじゃあな」
健一「二人とも、そこまでだ。彼女の 素性は今後、調べていけばわかる。 今、争ったって何にもならないぞ」
一矢「く…」
(足音・一矢が立ち去る)
ナナ「お兄ちゃん…」
京四郎「放っておけ。 今の一矢は親父を亡くしたショックで 女に走ったふぬけだ」
めぐみ「いくら何でも言い過ぎよ。 あれじゃ一矢が腹を立てて当然だわ」
デュオ「…いや、そいつはどうかな」
めぐみ「え…? どういうこと?」
デュオ「あのエリカって女、 会談場の近くにいたんだろ?  それだけでも充分怪しいぜ」
ナナ「ど、どうして?」
五飛「…あの区画は 一般人立ち入り禁止だったはずだ」
ナナ「あ……!」
デュオ「見たところ、 軍人とかじゃなさそうだが…外見から あざむくってのはセオリーだからな」
五飛「…ああ。あの女、地球人ではないな」
ナナ「まさか、そんなこと…。 バームの人って翼が生えてるんでしょ?」
デュオ「だから、 あざむくには外見からってな」
健一「………」

[大空魔竜・個室]

ミドリ「あら、一矢君」
一矢「エリカさんの具合はどうです?」
ミドリ「状況は変わらずね。 こちらの問いかけにも、ほとんど 答えてくれないわ…」
エリカ「………」
一矢「エリカ…気分はどうだい?」
エリカ「一矢…さん…」
一矢「一矢でいいよ。その代わり、 俺も君のことをエリカって呼ぶよ」
ミドリ「じゃあ一矢君、 私は一旦、ブリッジに戻るから エリカさんをお願いね」
(扉が開閉する・ミドリが立ち去る)
一矢「………」
エリカ「………」
一矢「そうだ!  君にプレゼントがあるんだ」
エリカ「え…これ、お花…?」
一矢「大空魔竜の中で育てた花だよ。 理由を話して分けてもらったんだ」
エリカ「きれい…」
一矢(君もきれいだ…)
エリカ「一矢…?」
一矢「あ…その…やっと笑ったね…」
エリカ「ありがとう…。 あなたの優しさが嬉しくて…」
エリカ「でも、 あなたは寂しそうな瞳をしている…」
一矢「そうかい…?」
エリカ「ごめんなさい…。 何だか無理をしているように見えて…」
一矢「火星で…父さんを亡くしたんだ…。 バーム星人に殺されて…」
エリカ「………」
一矢「平和を愛する父さんを 卑怯者呼ばわりして殺したバーム星人… 俺は奴らを絶対に許せない…!」
一矢「君が記憶喪失になったのも バーム星人の攻撃のためだ。 …奴らを倒すために俺は戦うつもりだ」
エリカ「………」
エリカ「でも、それでお父様は お喜びになるでしょうか…?」
一矢「え…?」
エリカ「あなたのお父様が亡くなられた 事情は私にはわかりません…」
エリカ「ですが、平和を愛するお父様が 仇討ちをお喜びになるとは 思えないのです…」
一矢(…その通りだ…。 俺は怒りのあまり、父さんの教えを 忘れるところだった…)
エリカ「出過ぎたことを言って ごめんなさい。でも、あなたの… 一矢の瞳があまりに悲しそうだったから…」
一矢「いや…ありがとう、エリカ。 君の言葉で目が覚めたような気がするよ」
一矢「そうだよな…。復讐のために戦って、 あの父さんが喜ぶはずがない…」
エリカ「一矢…」
一矢「不思議だ…君を前にすると自分の心に 正直になれる…。こんなことは初めてだ…」
エリカ(私も、この人を前にすると 自分の心を素直に語ることが出来る…)
エリカ(でも…何故なの…?  何故、この人の話を聞くと、 私は言いようのない不安を感じるの…?)
エリカ(まるで、この人の側にいては いけないかのような…)

[アルビオン・ブリッジ]

シナプス「…火星の件は バーム側の陰謀だと?」
剛健太郎「おそらくは。 こちら側にはリオン大元帥を 暗殺する理由がありません」
剛健太郎「さらに、あのタイミングで 毒を盛れる者はどう考えても……」
シナプス「あの会談がバーム側の内部抗争に 利用されたものかも知れんと言うことか」
剛健太郎「ええ。極東支部の三輪長官の ように、バーム星人の中にも今回の会談に 反対していた勢力がいると思われます」
シナプス「ならば、リオン大元帥が 暗殺された今、その勢力が…」
(アラート)
剛健太郎「!」
シモン「艦長、本艦へ接近してくる艦を キャッチしました」
シナプス「地球の艦か?」
シモン「…識別信号は出していませんが、 大きさやその他のデータから判断して サウザンスジュピターだと思われます」
シナプス「木星船団か……」
レディ「現在、木星圏への船団派遣は 一時的に中断されているはずです」
ノイン「…怪しいですね」
シナプス「うむ、調査の必要があるな。 バニング大尉、メンバーを選抜して くれたまえ」
バニング「了解です」
シナプス「場合によっては戦闘もありうる。 本艦はこの位置で固定… 総員、第2戦闘配置につけ」

[アルビオン・休憩室]

万丈「…わかりました。 サウザンスジュピターへは僕が 行きましょう」
バニング「では、頼む」
トッポ「万丈兄ちゃん、おいらも行くよ!」
万丈「ダメダメ。トッポはビューティや レイカと一緒に留守番だ」
トッポ「え~!? そんなのつまんないよ!」
万丈「あのね、 遊びに行くんじゃないんだから」
トッポ「チェッ。せっかく、 トビアと計画を立ててたのにさぁ」
万丈「それを聞いたら、 なおさら連れて行けないね」
ノイン「…万丈、 私を止めるような真似はしないな?」
万丈「もちろん、あなたなら大歓迎さ」
ノイン「では…デュオ、トロワ。 同行を頼む」
トロワ「了解した」
デュオ「潜入捜査なら、俺達の出番だからな」
アラド「俺も行きます。 ジュピトリアンってのがどんな連中か、 知っておきたいんで」
バニング「いいだろう」
デュオ「アラド、お前… この手の任務をこなせるのか?」
アラド「一通りの訓練は受けてるよ。 成績はあまり良くなかったけど…」
デュオ「おいおい、大丈夫か?」
(扉が開閉する)
カラス「…では、 私もご一緒させて頂きましょう」
ノイン「…ここは 民間人立ち入り禁止区域だが?」
カラス「申し訳ございません。うっかり 迷い込んでしまいました。その時に 皆さんのお話が聞こえましたもので…」
万丈「お気持ちはありがたいのですが… あなたが僕達に同行する理由は何です?」
カラス「私は若い頃、 サウザンスジュピターの艦内に 入ったことがありましてね」
カラス「何かあった場合、先方の艦内構造に 詳しい人間がいた方がいいと思いまして」
万丈「…なるほど、それは助かります。 じゃあ、ご協力をお願いしましょうか」

〔戦域:サウザンスジュピター周辺宙域〕

(サウザンスジュピターの近くに小型艇がいる)
アラド「あれが木星船団の輸送艦か… 常識外れのデカさだな」
デュオ「何言ってんだ。 俺たちゃ、もっと大きな艦に 乗ったことだってあるんだぜ」
アラド「へ~え…。やっぱ、宇宙ってのは 凄いねえ。地球にいるだけじゃ、 実感できないな」
デュオ「妙な感心の仕方をする奴だな」
ノイン「…万丈、先方と連絡が取れた。 向こうは木星圏の避難民を乗せて 地球へ向かっているらしい」
デュオ「だからと言って、信用は出来ないね」
カラス「攻撃する意思があるのなら、とっくに モビルスーツを出撃させているでしょう。 …考えすぎではありませんか?」
万丈(…罠の可能性が高いけどね)
万丈「ノイン 僕達は輸送艦内に入る。後は頼むよ」
ノイン「ああ。気をつけてな」
(小型艇が少し進む)
トビア(せ、せまいな…。 でも、忍び込んでることがバレたら、 確実に送り返される…)
トビア(トッポには悪いけど、 木星から来たサウザンスジュピターを この目で見るまでは我慢しなくちゃ…)
???(もしもし…。 そろそろ着艦のようですよ。 身体を固定した方がよろしいかと)
トビア(あ、あなた…誰です…!?)
???(あなたと同じ密航者です。 お互いの目的のためにも、どうかご内密に)
トビア(…わ、わかりました…)
(小型艇がサウザンスジュピターに隣接)

[サウザンスジュピター・ブリッジ]

輸送艦艦長「…先程話した通り、我々は かつてのジュピトリアンと関係がない」
輸送艦艦長「だから、 妙な疑いをかけるのは止めてもらおう」
万丈「ならば、船倉ブロックを 見せてくれてもいいでしょう?」
輸送艦艦長「あそこには ヘリウム3のタンクしかない。 それを君達に見せる必要はない」
デュオ「そこまで拒絶するってことは、 俺達に見られちゃマズい物も 積んでるんじゃないのかい?」
デュオ「新型のモビルスーツとかさ」
輸送艦艦長「馬鹿なことを 言ってもらっちゃ困るね、君」
デュオ(…と言って、 結局見せる気がねえのが怪しいねえ)
アラド「ところで…その首の所にある 『JE』って、何の略ですか?」
輸送艦艦長「あ?」
アラド「『J』はJUPITER… 木星の頭文字だとして… 『E』はENERGY?」
アラド「それてとも、 EMPIRE…帝国だったりして」
トロワ「…木星帝国か。 あのジュピトリアンの後釜…または、 背後組織として相応しい名前だな」
輸送艦艦長「……!」
カラス「…艦長、あなた方の 身の潔白を証明するには、彼らに船倉の中を 見せるしかないと思いますが…?」
輸送艦艦長「あ、あなたは…!  わ、わかりました……」
万丈「………」

[艦内通路]

トビア「さて、サウザンスジュピターの 中は見学出来たし…そろそろシャトルに 戻らないと置いてけぼりになるな」
トビア「…そう言えば、 あのおじいさんはどこへ行ったんだろ?」
(規則正しい足音)
船員「密航者を発見!  射殺します!」
トビア「見つかった!?  それにしてもいきなり射殺だなんて 大ゲサ過ぎないか!?」
(複数の速い足音、何かにぶつかった、衝撃)
トビア「うわっ!」
ベルナデット「ち、違います!  私は密航者なんかじゃありません!  お願いします! 助けて下さい!」
トビア「追われているのは君か!?」
ベルナデット「助けて下さい!  私は…私はただっ…ただ!」
トビア「安心していいよ。 実は僕もこの艦への密航者なんだ」
ベルナデット「あなたも…!?」
トビア「僕の名前はトビア。 火星を脱出した船からこっちに 忍び込んだんだ」
ベルナデット「私はベルナデット… ベルナデット・プリエットです…」
(爆発、遅れて衝撃)
ベルナデット「きゃあっ!!」
トビア「な、何だ!?」

[サウザンスジュピター・ブリッジ]

(アラート)
輸送艦艦長「宇宙海賊が 艦砲射撃を仕掛けてきただと!?」
カラス「海賊…?  もしや、クロスボーン・バンガードの 旗を掲げた?」
輸送艦艦長「は、はい!  本艦に接近中です!」
アラド(万丈さん、万丈さん)
万丈(どうしたんだ、アラド?  そんな小声で…)
アラド(おれ、その宇宙海賊に 心当たりがあるんです)
万丈(本当かい?)
アラド(ええ、サイド4で クロスボーン・バンガードと戦った時、 助けてもらった人達かもしれません)
アラド(それに、カミーユさんやヒイロは 海賊の正体に気づいてたみたいですけど…)
万丈「………」
万丈「…デュオ、トロワ、アラド。 僕達はシャトルに戻ろう」
デュオ「船倉を調べなくていいのかよ?」
万丈「ああ。 そんなことをしている場合じゃないからね」
カラス「………」
万丈「では、艦長…僕達はこれで」
輸送艦艦長「な、何を言っている!  今、外に出るのは危険だぞ!」
万丈「いえいえ、お構いなく。 あ、見送りも結構ですから」
万丈(…後は頼むよ、ギャリソン)


第7話
宇宙海賊
クロスボーン・バンガード

〔戦域:サウザンスジュピター周辺宙域〕

(サウザンスジュピターに隣接している小型艇)
ノイン「戻って来たか、万丈。 中の様子はどうだった?」
万丈「大方、予想通りだったね。 カラスも行方をくらませたし。 …それで、海賊は?」
ノイン「モビルスーツ部隊が接近中だ。 まもなくサウザンスジュピターと 接触する」
万丈「なら、 君達はアルビオンへ戻って出撃準備を。 僕はここに残る」
アラド「の、残るって…一人で!?」
万丈「ああ。まだやることがあるし、 宇宙海賊に興味もあるんでね」
アラド「で、でも…生身じゃ危険ですよ!」
デュオ「そうか… お前、知らなかったんだな」
アラド「へ!?」
万丈「心配は無用さ、アラド。 僕は身一つで外に飛び出すわけじゃない。 何故なら……」
万丈「ダイタァァァァァァァン!  カムヒア!!」
(ダイファイターが出現し、小型艇の隣でダイターン3に変形)
万丈「…とまあ、こういうことさ」
アラド「す、すげぇ! 何て便利な…」
万丈「ほら、今の内に!」
ノイン「了解した。すぐに戻る!」
(小型艇が東へ移動し撤退)
万丈「さて…来たようだね」
(マザー・バンガードが出現)
輸送艦艦長「や、奴らは!!」
(クロスボーン・ガンダムX1が出撃)
輸送艦艦長「ガンダム!?  あんな所に!!」
(サウザンスジュピターの北側に爆発)
ベルナデット「きゃあっ!」
トビア「…機体チェック…… 要領は作業用のモビルスーツと同じ…」
トビア「よ、よし… これなら何とか外に出られる!」
ベルナデット「ト…トビア…」
トビア「心配しないで、ベルナデット。 僕が必ず君を守る。……行くよ!!」
(バタラが出現)
トビア「あ、あのモビルスーツは… ガ、ガンダム…!!」
ベルナデット「ト、トビアッ!!」
【強制戦闘】
トビア[ビーム・ライフル]vsキンケドゥ[ブランド・マーカー]
(キンケドゥは避ける。トビア機のHP1%に)
キンケドゥ「飛び降りろ!」
トビア「え…!?」
キンケドゥ「コックピットを潰すぞ!」
トビア「わああっ! 脱出をっ!!」
(トビア機が爆発)
万丈「あのガンダムの動きは……!」
トビア「何だ? 何故だ?  あの海賊…僕達を…殺さなかった…?」
(敵機増援が出現)
万丈「…どうやら、 どっちも正体を現してくれたようだね」
ベラ「……私達は 宇宙海賊クロスボーン・バンガード。 木星の闇に潜む敵を打ち砕く者です」
万丈「…久しぶりだね、セシリー。 いや、ベラ・ロナと呼ぶべきかな?」
ベラ「ええ、今はそう名乗っています。 その方が私達の目的を達成するのに 都合がいいので」
万丈「なら、この破嵐万丈とダイターン3… 君達に協力させてもらおう」
キンケドゥ「…出来れば、証拠を押さえたい。 あの輸送艦は沈めないでくれ」
万丈「それなら、 すでに手を打ってあるからご心配なく」
キンケドゥ「…そういうところは 相変わらずですね、万丈さん」
万丈「まあ、情報はなるべく早めに おさえておく主義なんでね」
万丈「…ついでに言わせてもらえば、 そっちにはかつて僕達の敵だった人間が いるようだが?」
ザビーネ「私は クロスボーン・バンガードの 非道な殲滅作戦に嫌気が差し…」
ザビーネ「正統な主の下へ… ベラ・ロナ様の下へつくことを選択した …この答えでは不服か?」
万丈「…とりあえず、今は信用しておくよ。 ベラ艦長と彼の顔に免じてね」
キンケドゥ「………」
ベラ「各小隊へ。今回の作戦目的は 敵輸送艦の戦闘力を奪うことです。 決して撃沈させてはなりません!」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

ウモン「キンケドゥ、 大空魔竜戦隊とロンド・ベル隊が 来たぞ!」
キンケドゥ「フフ…対応が早いな」
(母艦出撃選択・大空魔竜)
大文字「やはり、 彼らはジュピトリアンだったか…」
サコン「しかし、あのモビルスーツは データにない機体です。木星圏で新たに 生まれた新勢力か……」
サコン「ジュピトリアンの背後にいた 組織かも知れません」
大文字「何にせよ、シナプス艦長の 読みは当たっていたということだ。 各機、出撃してくれたまえ!」
(出撃準備)

〈サウザンスジュピターのHP規定値以下〉

ザビーネ「キンケドゥ、 サウザンスジュピターの動きは 止まった」
キンケドゥ「よし… このまま艦内に乗り込む」

[格納デッキ]

(爆発)
トビア「くっ! ううっ!」
ベルナデット「きゃあっ!!」
トビア「は、早くここから 逃げ出さなくちゃ…!」
トビア「ベルナデット、 格納庫がどこにあるかわかるかい!?」
ベルナデット「格納庫は、この船倉ブロックの 先にあると思うけど…」
トビア「ん? 何だ、あれ…?  タンクがたくさん並んでる…」
トビア「!!  あ、あのマーク…まさか、毒ガス…!?」
トビア「な、何で… ここにこんな物があるんだ…!?」
カラス「なに… 単なる表示ミス…悪い冗談だよ…」
トビア「カラス先生!?」
カラス「嘘だと思うなら バルブを一つひねってみたまえ。 天国へ上る気分が味わえるよ…」
トビア「せ、先生…!?」
(銃を構える)
トビア「やめて下さい、カラス先生!  どうしたんですか!? どうして、 僕に銃を向けるんです!?」
カラス「私は正常だよ、アロナクス君。 だが、君は見てはいけないものを 見てしまったんだ」
カラス「…死にたまえ」
トビア「な、何を言ってるんです!?  何のつもりなんです、先生!!」
カラス「ジュピトリアン軍を滅ぼされ、 イージス計画からも見放された我々が… 地球の人間に復讐するための計画…」
カラス「その計画を君一人に… たかがあの海賊ごときにかぎつけられた 程度のことで…」
カラス「諦めるわけには いかないだろう…?」
トビア「カ、カラス先生…!?」
カラス「私は地球連邦に潜り込み… 我々の計画のために情報を収集し、 火星に同胞を導いた」
トビア「……!」
カラス「全ては総統クラックス・ ドゥガチの御心のままに!」
カラス「地球に巣食う連邦という名の ウジ虫どもを皆殺しにし!」
カラス「母なる大地を 我ら木星帝国のものとするのだ!」
トビア「木星…帝国…!!」
カラス「死・ね…!」
ベルナデット「駄目っ!!」
カラス「! 何!?」
(銃声)
トビア「!!」
トビア「あ、あれ…? 撃たれてない…」
カラス「く! 何者だ!?」
???(ギャリソン)「……ふむ。私めの射撃の腕も まだまだ衰えておらぬようですな」
トビア「あ、あなたは…!」
カラス「貴様、破嵐万丈の執事か…!  いつの間にこの艦へ…!?」
ギャリソン「以前から、あなたのことを 疑っておりましてな。そこのトビア様と ご一緒に密航した次第でございます」
カラス「私を疑っていただと?  …ただの老いぼれではないな?」
ギャリソン「それはお互い様ですな」
カラス(……それよりも… まさか、あのお方がこの艦に 乗っておられたとは……)
(爆発)
カラス「何!?」
トビア「う、うわあああっ!!」

[格納デッキ]

トビア「な、何だ…?  モビルスーツ…突っ込んで来た!?」
(モビルスーツが動く)
???(キンケドゥ)「大丈夫か?  俺のいうことがわかるか?」
トビア「な、何が…」
トビア「何が起こっているんですか!?  僕達の知らない所で…いったい…!」
キンケドゥ「………」
キンケドゥ「お前の取るべき道は二つある。 一つは何も聞かずに地球へ帰り、全てを 忘れ、貝のように口をつぐむこと…」
キンケドゥ「そして、もう一つは… 我らと共に真実に立ち向かうことだ」
トビア「あ、あなたは…?」
キンケドゥ「…宇宙海賊クロスボーン・ バンガード。俺の名はキンケドゥ… キンケドゥ・ナウだ」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベラ「ようこそ、 我がマザー・バンガードのブリッジへ。 そして、お久しぶりです…」
エマ「あの時、 サイド4で私達を助けてくれたのは… やはり、あなただったのね」
ベラ「隠すつもりはなかったのですが… 彼らと戦うには、こうするより他に 手がなかったのです」
エマ「事情は理解しているつもりよ、 ベラ・ロナ。そして…キンケドゥ・ナウ」
キンケドゥ「すみません、エマ中尉。 あなた達を前にして、この名前を 名乗るのも何ですが…」
キンケドゥ「あえて、ロナ家の名を 冠するベラの決意を汲んでやって下さい」
エマ「ええ、わかったわ…」
アラド「…ウラキ少尉、やっぱり あの艦長さん達と知り合いだったんスね」
コウ「ああ。前大戦で共に戦った ロンド・ベル隊の仲間さ」
アラド「へ~え… じゃ、先輩ってワケですね」
アラド「ところで、おれ…ロナって名前に 聞き覚えがあるんですけど」
キース「そりゃそうだよ。以前の クロスボーン・バンガードの総帥は マイッツアー・ロナ…」
キース「セシリー…じゃなかった、 ベラの祖父さんなんだ」
アラド「ホントですか!? それがまた、 どうしてロンド・ベル隊に…!?」
キース「まあ、色々あってね。簡単に 説明すると、ベラがクロスボーンの女王に 祭り上げられそうになたところを…」
キース「シーブック…じゃなかった、 キンケドゥが助け出したんだ」
アラド(そうだったのか…)
キース「ん? どうした?」
アラド「い、いえ…別に」
ベラ「…木星帝国の目的は 一言で言えば、地球人類の粛清です」
ノイン「つまり、 かつてのジュピトリアンと同じだと?」
ベラ「ええ。前大戦時、 クラックス・ドゥガチ率いる木星帝国は 表に出て来ませんでしたが…」
ベラ「ジュピトリアンがあれだけの戦力を 持っていたのは、ドゥガチの後ろ盾が あったからこそだと言えます」
エマ「前回は精神波による攻撃を… 今回は毒ガスを使って、自分達の 目的を達成するつもりなのね」
キンケドゥ「ええ。方法が単純なだけに、 より恐ろしいと言えるでしょう」
ノイン「なるほど…毒ガスなら、準備に それほど手間がかからないからな」
万丈「ところで、ベラ。君達は いつ木星帝国のことを知ったんだい?」
ベラ「前大戦の後、私達は復興の兆しを 見せていたクロスボーン・バンガードを 独自に追っていました」
ベラ「その時、彼らの背後に巨大な組織が 存在していることを知ったんです」
エマ「それが木星帝国なのね…」
ベラ「ええ。彼らは巧妙にその存在を カムフラージュし、暗躍を始めていました」
万丈「…だろうね。情けない話だけど、 僕やプリベンターは彼らの動きに 気づかなかった…」
キンケドゥ「そこで俺達は名前や過去を捨て、 あえてクロスボーンの旗を掲げ、 木星帝国に接近しようとした」
万丈「そりゃまた、 随分と思い切った方法を取ったね…」
ベラ「…クロスボーン・バンガードの中で 内部抗争があり…私がベラの名を名乗った 方が人や戦力を集めやすかったのです」
ノイン「我々プリベンターに 申し出てくれれば、協力をすることが 出来たのに…」
ベラ「私達が行動を開始した時、 ロンド・ベル隊はティターンズによって 一時解散させられ……」
アラド(…その話、聞いたことがある)
ベラ「プリベンターはマリーメイア軍との 戦闘を始めていました」
ベラ「そんな時に、 あなた方へ協力をお願いすることは とても出来なかったのです」
ベラ「そして…元々、この戦いはロナ家に 生まれた私個人の戦いです。それに他人を… あなた方を巻き込んでよいものかと…」
キンケドゥ「ベラ……」
万丈「何言ってんの。 僕達の戦いはいつだってそうさ」
万丈「それぞれ事情や理由は違えど、 目的は同じ。だからこそ、力を合わせて エアロゲイターを倒すことが出来た」
万丈「今さら、そんな水くさいことは 言いっこなしにしようじゃないの」
ベラ「…ありがとう、万丈さん」
エマ「…で、 あなた達は木星圏へ向かうつもりなの?」
ベラ「いえ。すでに木星帝国の主力艦隊は クロスボーン・バンガードの導きで 地球圏へ向かっています」
エマ「!」
万丈「何だって…!?」
ベラ「私達は 何としても木星帝国の侵攻を 食い止めなければならないのです…!」

《火星・SPACE AREA》

[メガノイド基地]

???(コロス)「………時は満ちました……」
???(コロス)「…これより、 新たな計画を始動させます……」
???(コロス)「……今度こそ…… 成功させなければなりません………」
???(コロス)「そう、人類の未来のために……」
???(コロス)「そして、あなたの夢のために…」

『プロペラントタンク』を入手した
『カートリッジ』を入手した
『リペアキット』を入手した
『セシリーのパン』を入手した
『ガンダムF91』を入手した


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